---有栖---
スヤスヤと穏やかな寝息を立てて寝ている舞さん。僕は、彼女の身につけている物を脱がしていく。罪悪感一杯な僕。こんなに穏やかに寝ている女性に、なんてことをしているのだろうか。
などと考えながら、プラグイン。彼女の身体の中を探る。霊能力はかなりあるようだ。彼女の霊能力を利用して、紙人形が式神となり、彼女を襲っている感じがする。となると、結界を張っても、紙人形状態で持ち込まれれば、弾くことは出来ないかもしれない。
彼女のか細い腕が、僕を抱きしめてきた。形の良い触り心地の良い乳房が、僕の胸板に押し付けられて、柔らかい乳首が、胸の皮膚を刺激してくる。
気持ち良すぎ~なんか、役得感が満載だ。出ちゃいそうだし。
「祐一君…」
ぽつりと出た彼女の寝言…確定だ。彼女も狙われているんだ。でも、僕と交わって、呪いは解けるはず…いや、待てよ。彼女の霊能力に反応する仕掛けだと、意味をなさないのかな?
念話で伊豆湖さんに、舞さんの調査をお願いした。一言に霊能力と言っても、色々な能力に分類されるらしい。舞さんの能力の分類がわからないと、対処もしずらい。
舞さんの体内検査が終わり、舞さんに服を着せて、僕の翼で寝ている舞さんと添え寝する感じで寝た。余り無茶をすると、翼が汚れてしまうしねぇ。
なのに…朝、目覚めると全裸の舞さんとしていた…
「おはよう…気持ち良いから、有栖とスキンシップしたんだよ」
って…僕の心遣いは無駄に…服を着て、学校に行く準備をして階下に降りると、舞さん用の大盛り牛丼が用意されていた。
「朝から…牛丼…ありがとう♪」
豪快とは言えない食べ方であるが、完食していく。どこに入るんだ、アレはって感じの細身なのに大食いタイプである。
「有栖、おはよう」
階段から駿河が降りてきた。手にはリードを持ち、その先端は北川の首に巻かれている首輪に繋がっていた。
「なかなか、良いペットができた。満足とは言いがたいが、まぁ、調教していけば、モノになるかな」
今日は学校に行く気になったらしく、制服を着ていた。一方、北川は目にクマが…そして、未だに全裸…
「北川、全裸で学校に行くのか?」
「いや…駿河様、首を外してもらえないでしょうか?」
駿河の前に跪き、お願いをしていた。
「しょうがないな…」
首輪から解放された北川は、2階に戻っていく。服を着るんだよな。たぶん…
そんな主従を待っていると遅刻しそうなので、翼さんからお弁当を受け取って、あゆさん、僕、舞さんで学校へと向かう。
◇
「北川は、無事か?」
教室に入るなり、香里に尋ねられた。
「生きているよ」
「生きているなら、いいか。で、その後はどうだ?」
「4人目を確定できた。今回のはちょっと厄介だよ」
「そうか…」
2時間目が終わる頃、北川が教室に着いた。窶れた顔のおかげで、廊下でバケツを持って立ち尽くす罰は免除されたようだ。
昼休み、舞さんが知らない女性を連れて、やってきた。
「倉田 佐祐理です。舞のお弁当係なんですけど、勝手にお弁当をあげないでくださいね」
って、よくわからないことで、怒っているようだ。
「でも、おいしいんだよ、佐祐理」
翼さんのお弁当を美味しそうに食べている舞さん。
「ダメです。舞のお弁当は、佐祐理が作るんですから。いい?今後、舞には関わらないでね」
舞さんを連れて出て行こうとする佐祐理さん。しかし、舞さんは僕の隣に陣取り、翼さんのお弁当を食べていた。
「舞…どうしたの?」
舞さんの行動が、信じられないみたいな佐祐理さん。この人、何か変だよな。何だろう。遠隔で探ろうとするも、心に纏った闇で弾かれた。なんだ?この人は…
「有栖の身体、気持ち良いんだよ」
って…おいおい…舞さんの発言で顔を赤らめる香里。
「えっ?舞…あなた…この子と寝たの?」
あの~、お昼時の話のネタに適さないと思いますが…
「うん。寝たよ。気持ち良かった」
佐祐理さんが僕を睨む。
「どうやって、舞をくどいたのよ!」
って、言われても…
「有栖とお散歩して、有栖の家で牛丼食べて、有栖と寝た」
無邪気に報告する舞さん。目が点になる佐祐理さん。なんか、物凄い恨みを買った気分…
『覚えておきなさい』
って、佐祐理さんから念話が届いた。この人も、なんらかの能力者なのか?昼休みが終わり、舞さんと佐祐理さんが教室を出て行った。
「有栖…」
心配そうに声を掛けてくれた香里。
「あの佐祐理さんって、何かありそうだね。僕の探査能力を弾いたよ」
「能力者ってこと?」
香里が驚いている。まぁ、普通は驚くか。
「可能性はある。あの感じだと、被害者では無いみたいだ」
ってことは加害者か?傍観者か?なんだろうか?
◇
いつも通りの帰宅部…のはずが、舞さんと佐祐理さんもいる。その代わり、北川は消えた。北川の身に何が起きたのだろうか?関わりたくないので、スルーするけど。
「あなた達、毎日、こんなことをしているのですか?」
たい焼きとアイスを食べる儀式中に、佐祐理さんがあきれたように言った。舞さんは牛丼を食べているのだが。
「毎日です。中学の妹達と待ち合わせをしてね」
食べながら帰宅をする。佐祐理さんも連れ帰る作戦だ。香里、栞、Wあゆさんに作戦の説明はしてあった。
「こんな小さな家に住んでいるの?」
そんなに小さい家ではないはず。住んでいる人数が多いし。
佐祐理さんが家に入ると、何かを感じ取って、翼さん、ひたぎさんが構えていた。
「で、佐祐理さんは何者なんですか?」
単刀直入にきいてみた。
「何者?舞のお弁当係よ!」
気配を消していた伊豆湖さんが、佐祐理さんの背中から抱きついた。
「何をするの?舞、助けて!」
舞さんは、僕の肩に手を置いて、見ていた。
「怨霊が憑いているな。有栖、除霊をしよう」
伊豆湖さんが、お札を佐祐理さんに貼り、呪文を唱えると、佐祐理さんの身体から、黒いモヤのようなモノが湧き出してきた。
僕は黒いモヤを闇の世界に誘った。モヤは空間の切れ目に吸い込まれていき、完全に消え去ると佐祐理さんが倒れた。僕は佐祐理さんを優しく抱きしめ、彼女の心を探っていく。
『一弥』という弟がいた。彼を『正しい道』に進ませようとして、厳しく接した。でも彼は病弱であり、姉に優しさを求めていたのが、姉の接し方に絶望して、重い病気を患った際に、絶望を抱きながら死んだようだった。
弟の死の一端は自分にあると気づいた彼女はリストカットをして…心から笑えない少女になったようだ。
僕は、佐祐理さんの手首から、傷を取り除いた。怨霊は、弟に引け目を感じていた佐祐理さんの弱い心に取り憑いたようだ。心の傷も癒やしていく。天使の翼を展開して、翼で佐祐理さんを抱きしめた。
「佐祐理…ズルい…有栖の翼…」
舞さんの声が聞こえたが、僕の行動をジャマするようなことはなかった。皆で、静かに見守っている。
「天使の翼…あなた…天使だったの?」
意識を取り戻した佐祐理さん。
「暖かいし、気持ちが良い…舞の言っていたことが分かる気がする…」
うっとりとした目になっていく佐祐理さん。
「有栖、そのまま、祈祷室で仕上げをして来い」
伊豆湖さんから指示が出た。僕は佐祐理さんと共に祈祷室に転移して、関係を持った。
舞さんより肉厚感のある佐祐理さん。股間の感触が良い。締まりは舞さんの方が良いけど、甲乙付けがたい気持ち良さである。
「学校で、ごめんなさい。有栖さん、佐祐理も舞と同じように親しくしてくれますか?」
「いいですよ♪」
口調が柔らかくなった佐祐理さん。腰が微妙に動いている。出ちゃうと翼が汚れるので、程々で分離して服を着たて、二人でリビングに戻ると、
「佐祐理、ズルい…私の有栖に…」
佐祐理さんを睨む舞さん。僕のことを抱き寄せている。
「あははーっ、舞が焼き餅を焼くとは…二人のモノにしようか?」
佐祐理さんは、香里に挑発的な目つきをするも、
「みんなの有栖君だよね♪」
と、平和的な解決に導いてくれた。で、この街で起きていることを佐祐理さんに話した。
「そんなことが起きているの?わかった、佐祐理も調べてみるわ」
と、協力してくれることになった。
「まず、校舎内にある紙人形を見つけて、破棄したいんです」
「了解!舞の為だもの、がんばります。あと、お弁当は私にまかせて貰えませんか?」
僕とあゆちゃん、香里、舞さんの分をお願いすることにした。翼さんの負担が減るのは良いことだし。
夜の学校…僕と舞さん、真琴さん、伊豆湖さんで、見回る。舞さん目がけて飛んでくる式神を、僕と真琴さん、伊豆湖さんで撃退していく。
「まだまだ、いるな」
「うん?式神以外の魔物がいるな。なんでだ?」
伊豆湖さんから、2種類の不可視なるモノがいると報告を受けた。二人から恨まれているのか?うん?式神でない魔物を倒すと、舞さんの身体に異変が起きた。いきなり傷ができるのだ。これって?
「伊豆湖さん、舞さんの能力って、魔物創造とか?」
「可能性はあるな。式神は有栖と真琴にまかせた」
そういうと、伊豆湖さんは舞さんに抱きつき、彼女の能力の制御をしていく。目の前の魔物の数がみるみる減っていく。
「有栖、正解だ。あとで、その辺りの経緯を探ってくれ」
校舎内の式神を一掃して、家に戻り、舞さんとプラグイン。伊豆湖さんにより、能力の制御が施され、僕の探査能力は今迄潜れなかった深層に潜る事に成功した。
10年前、祐一と知り合った。カチューシャをプレゼントされてたり、舞にとっては特別な男の子だったようだ。しかし、長期休暇でしかこの地に居られない祐一。祐一が帰る日に、魔物に襲われているから助けてと、祐一に助けを求めた。しかし、祐一はスルーして帰ってしまった。その時に創り出した魔物が、式神と共に舞さんを襲っていたようだ。しかも、魔物は舞さんの身体の一部とリンクしており、倒せば舞さんにダメージが行くようになっていた。
呪術師はこの舞さんの能力も利用したのだろ。今の舞さんは魔物を創る必要性はない。なのに、魔物は創られていた。
未だ、見えていない敵、手練れな予感がする。7年前でなくて10年前っていうのも、違和感がある。7年前に来た時、祐一は舞さんに会わなかったってことだよな?なんで?会わないように仕組まれていたのか?
「有栖、敵の正体は絞れてきたぞ」
伊豆湖さんが、僕に告げた。
「祐一が転校してくれば、確実になりますね」
「あぁ」
「祐一の動き次第で、あゆちゃん、栞、舞さんが、再度狙われる可能性ありますよね」
「あるな。が、どこまで敵が祐一をコントロールできるかだ」