※この作品はR-18です。

神器なき男 (再編集版)   作:もっち~!

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悪夢の館*

 

 

---相沢祐一---

 

父親の海外転勤。母親は一緒に付いて行き、僕は従兄弟の家に居候することになった。想い出がたっぷり詰まった、雪の似合うあの街に僕、相沢祐一は向かった。

 

駅前のロータリー。しばらく来ない間に都会になっていた。そびえ立つビルの森。僕はベンチに腰を下ろした。まだ、この街には雪はなかった。しかし、見える風景はどこか寒い感じがする、

 

しばらく座っていると、僕の前に、ふくよかで黒髪の少女が立った。

 

「隣に座っても良いですか?」

 

少女が僕に声をかけた。けだるそうな声、言い方…記憶にある少女に一致する。

 

「遅い…遅いぞ、名雪!凍えて死ぬところだったぞ」

 

少女に向けて言葉を投げると、少女の口元が緩んだ。

 

「祐一、それくらいで死なないよ」

 

僕の従兄弟の水瀬名雪が迎えに来てくれた。

 

「久しぶりだな、名雪」

 

僕は、荷物を持って立ち上がった。

 

「私のこと、覚えているかな?」

 

首を少し横に倒し、僕の顔を覗き込む名雪。

 

「名雪の声しか覚えていないよ。って、駅前が随分と都会になっちゃって、すでに迷子なんだけど」

 

「だね」

 

名雪を先頭にして、彼女の後をついていった。駅までの道のりを覚えないとなぁ。商店街を通り抜る。ここら辺りは記憶にある店が、まだ残っているようだ。あそこのたい焼きは美味しいんだよな、などと思いに耽っていると、住宅街に入った。似たような家が多い。迷子になりそうな予感。

 

記憶に残る、こじんまりとした一戸建てに着いた。表札には『水瀬』とある。ここだな。玄関に入ると、叔母の水瀬秋子が迎え入れてくれた。高校生の娘がいると思えない程、若く見える。旦那様は単身赴任中で、母娘の二人暮らしだ。

 

「祐一さん、長旅で疲れていませんか?」

 

挨拶もそこそこに、叔母は僕を気遣ってくれた。

 

「長旅だったので、少し寝たいんですけど…」

 

「お部屋に、引っ越し屋さんが運んできた荷物を、入れておきましたよ。起きたら、箱から出してくださいね」

 

「ありがとうございます」

 

名雪が僕の部屋に案内してくれた。

 

「私の部屋は隣だよ」

 

「そっか。ありがとう」

 

僕が部屋に入ろうとすると、名雪が僕を見つめる視線を感じた。

 

「何か用かな?」

 

振り返り、名雪に言った。

 

「用ってことでもないけど…久しぶりなんだよ。もう少しお話しようよ♪」

 

名雪が甘えるように言う。しかし、眠いんだけど…

 

「少しだけなら…」

 

彼女の部屋に招き入れられた。そこは異世界であった。部屋中にならべられた様々な目覚まし時計の数々。ここは目覚まし時計屋か?

 

「こっ、これって…なんで?」

 

名雪を見て尋ねてみた。

 

「朝弱いから…起きられないから…」

 

って、こんだけあって起きられないのか?隣の部屋がこれだと、毎朝…

 

「ケロピー目覚まし、貸してあげる♪」

 

名雪が、僕に目覚ましの1つを貸してくれた。カエルを模した目覚まし時計。借りておこう。

 

「サンキュー、名雪」

 

名雪がモジモジして僕を見ている。なんだろうか?

 

「ねぇ、昔みたいに、キスして…ください」

 

昔、そんなことしたかな?記憶に無いんだけど…あぁ、あれかぁ…

 

ぱちっ!

 

「痛いよ…祐一」

 

「すまない、キスと間違えて、デコピンしてしまった。ははは」

 

「まったく、もぅ…昔と変わらないなぁ、祐一は…」

 

赤くなったおでこをさすりながら、ぼやく名雪。

 

「じゃな、名雪。僕は少し寝る」

 

僕は彼女の部屋を出て、自分の部屋に行き、ベッドに横になった。

 

◇

 

夢を見た…木の上に少女がいる。少女は僕の名前を呼びながら、僕に手を振っていた。僕は、彼女の元に走り寄ったのだが、突然現れた大きな何かにより、彼女の座っていた枝が折られて、彼女は転落した。

 

『お前は何も見ていない。ここを立ち去るがよい』

 

何かから言葉が発せられて、僕は怖くなりその場を逃げ出した。

 

◇

 

肉同士がぶつかる音と、何ともも言えない刺激で、目が覚めた。僕の上には幼児体型と言えば言える少女がいた。幼児にしては撓わに実る乳房が目に入る。少女は、僕の上で上下に跳ねるようにしている。彼女の動きに合わせて、豊満と言えそうな乳房が上下に揺れている。彼女の顔は、その豊かな乳房により見えないが、

 

「祐一…いいよ…サイコーだよ」

 

と、聞き覚えのある声がする。え?これって…少し冷静になって状況把握に努める。僕はいつの間にか全裸である。彼女も全裸である。周囲はおびただしい数の目覚まし時計に囲まれていた。そして、僕のアレは彼女のアソコに刺さっていた…

 

をい…いつの間に…

 

そして、なんとの言えない感覚になり、全身の筋肉が緩む。彼女もそうなったのか、僕の方に倒れて来た。

 

どさっ!

 

顔面同士の激突は免れたようだ。僕の頭の横に彼女の頭がある。下腹部にヌメリ感を感じた。詰まり、それは…

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

荒い呼吸の彼女。

 

「おい…どういうことだ?」

 

僕は彼女に尋ねた。彼女は僕の方に、汗だくの顔を向け、

 

「うぇるかむふるーつみたいなものだよ」

 

と、笑顔で答えた。

 

「はぁ?意味わっかんない。僕は僕の部屋で寝たはずだが…

 

「気のせい…気のせいだよ」

 

けだるい声の彼女の説明に、要領を得ない僕。

 

「これで、祐一は私の物よ。浮気は許さないよ」

 

って…勝手すぎるだろ?

 

「あらあら、祐一さん。来ていきなり、コレですか?」

 

って、秋子さんに声を掛けられた。なんで、ここにいるんですか?!

 

「ふふふ、お若いから、まだまだいけそうですね」

 

って、秋子さんに風呂場に連れて行かれて、僕の全身を柔らかくて暖かい泡で洗ってくれた。これも夢なのかな?気分は夢心地であった。なんとも言えない快楽が全身を覆っていく。なぜか秋子さんも全裸であり、僕と身体を合わせている。僕は前から後ろから、秋子さんを求めていく。萎えると、秋子さんがお口でリフレッシュをしてくれて、また力強くなり、秋子さんを求めていった。名雪とは違う感触…心が秋子さん色で塗られていく。

 

◇

 

『祐一。朝だよ。朝が来たよ~起きて、私を起こしてね』

 

けだる名雪の声で目覚めた。目が覚めたの僕の部屋だった。目覚まし時計のアラームは、名雪のボイスだった。なんか、けだるぞ。

 

あれは夢だったのだろうか?僕の顔は柔らかい物に包まれていた。なんだろうか?これは…触るととても柔らかいが、

 

「あら、祐一さん、おはようございます」

 

って、僕の下から秋子さんの声がした。え?なんで?

 

「祐一さん、起きてすぐに臨戦態勢なんですね」

 

秋子さんのフィンガーテクニックでガチガチになっていた僕のアレ…そして、秋子さんが積極的に僕と交わり、僕は朝から一発抜いてしまった…いいのか?朝から、こんなことをしていて。それも秋子さんの中で出してしまったし。罪悪感に包まれる。

 

「朝ご飯の支度しますから、名雪を起こしてきてくださいね」

 

って、僕に言うと、裸にエプロンをして、部屋を出て行った。なんだ?この家は?水瀬家ってこんな感じだっけ??

 

僕は下着をつけ、制服を着ていく。今日から名雪の通うの学校へ転校するのだ。しかし、朝からこんなことをして、少しけだるい。そうこうしていると、隣の部屋から賑やかな音がしてきた。名雪の目覚まし時計軍団が活動し始めたようだ。僕は、名雪の部屋に飛び込み、目覚まし時計を1つずつ止めていった。一体、何個あるんだ?学校に間に合うのか?

 

どうにか全部、停止できたようで、部屋は静かに…いや、名雪の寝息が聞こえる。こいつ、まだ起きないのか?

 

「おい、名雪!朝だぞ!」

 

名雪に掛かっている布団を剥がすと、全裸の彼女がいた。

 

「祐一…着せて…」

 

名雪がふざけたようなことを言う。

 

「はぁ?なんで?」

 

「祐一は私の物…だから、お願い…」

 

よく解らないが、僕は名雪に衣服を着せていた。パンツを履かせて、ブラを着けてやり、制服を着せていく。そして、最後に靴下を履かせた。

 

「終わったぞ、名雪」

 

名雪は目をつぶったまま、僕の肩に寄り添い、

 

「学校に行こう…祐一…」

 

って…なんだろうか、この家…おかしいぞ。小さい時に来たときは、普通の家だった気がするんだけど。

 

1階のリビングのテーブルに着くと、裸エプロンの秋子さんが、サラダやスープを目の前に置いてくれた。

 

「トーストは自分で焼いてくださいね。祐一さん♪」

 

って、引き込まれるような瞳で、僕を見る秋子さん。秋子さんを食べたくなる…なんか、俺もおかしいんだが…

 

 

 

---有栖---

 

相沢祐一が転校してきた。見た目はさわやかなヤツそうだ。あゆちゃんと香里の顔は強張っていた。祐一は名雪の隣の席に座った。

 

休み時間、僕達に挨拶をしてきた祐一。あゆちゃんを見てもなんとも思っていないようだ。

 

「祐一は私の従兄弟なんだよ」

 

と、けだるそうな声で、名雪が情報をくれる。

 

「この街は初めてなのか?」

 

と、北川がきく。

 

「いや、以前にも来たことがある、想い出深い街だよ」

 

その瞬間、あゆちゃんの顔が青ざめた。あゆちゃんが、祐一に何かを言おうとしたので、僕が止めた。

 

「ダメだよ。こちらから接触はダメだ」

 

僕の言葉に頷くあゆちゃん。

 

「そうだよね…」

 

 

 

昼休み、名雪と弁当を食べる祐一。僕達は屋上に向かう。佐祐理さんのお弁当が品数豊富で、教室で広げるにはちょっと大変なので、屋上で食べるようになっていた。

 

「祐一が転校してきたのか?」

 

舞さんが僕に訊いてきた。

 

「そうです。あゆちゃんのことを覚えていないから、舞さんのことを覚えていないと思います」

 

「そうか…」

 

「それで、水瀬家について調べてみましたわ、有栖さん」

 

佐祐理さんがメモ帳を片手にしゃべり出した。

 

「何かわかりましたか?」

 

「不思議なんですが、まるで分からないんです」

 

「それって、どういうことですか?」

 

「古くからある家なんですが、世帯主であるご主人が何をしているか、誰も知らないんです。その上、ご主人を見た方も誰もいないんです。ご近所付き合いは悪くないみたいですけど、おかしいでしょ?」

 

おかしいよな。誰かしら、知っていても、いいはずだよな。見かけていないって言うのも変だよな。

 

「単身赴任とかではなくて?」

 

香里が口を挟む。

 

「あの家に住んで以来、見たことがないそうです。そもそも、いつから住んでいるのかも、わからないんですって」

 

「図書館とか役所で調べられるかな?」

 

佐祐理さんに質問をした。

 

「図書館は無理ですね。役所なら可能性はあります」

 

「じゃ、それは仲間に調べてもらうようにします」

 

「なんか狐につままれたような話ですよね」

 

って、確かに…

 

 

 

放課後、名雪は部活に行く。祐一は僕達、帰宅部についてきた。

 

「北川に聞いたんだけど、帰宅部なんだってね。僕も参加したい」

 

って…北川…余計なことを…その北川は、ここにはいない。駿河参りか?

 

そして、いつもの待ち合わせポイント、たい焼き屋の前でたむろする僕達。

 

「ここのたい焼き、美味しいんだよね。記憶にあるんだ。毎日、名雪と食べていたんだ」

 

って、祐一。僕の後ろに隠れるように佇むあゆちゃん。

 

「ありすぅぅぅ~!」

 

いつものようにあゆさんと栞が走ってきたが、祐一の姿を見るや、立ち止まる。

 

「熱いうちの食べるのが美味しいんだよ」

 

って、祐一がたい焼きを頬張っている。

 

「なんで…」

 

あゆさんが哀しそうな顔をした。祐一はあゆちゃん、あゆさん、栞、舞を見ても、何も言わない。本当に記憶に無いのか?

 

祐一の意識を読み取ろうとするが、弾かれた。結界が張られているようだ。いや、結界というより、なんらかの加護か?

 

「あらあら、祐一さん。買い食いはダメですよ」

 

って、大人の女性に声を掛けられた祐一。

 

「あっ、秋子さん。夕食の買い物ですか?」

 

「間食すると夕食が食べられなくなりますよ」

 

「じゃ、僕はここで失礼します」

 

と、祐一と女性が、連れ立って去っていった。

 

「あれが、名雪の母親だ」

 

って、香里が教えてくれた。なんかタイミング良く出て来たな。あの人…オーラを見るが、不可視の状態だった。人間では無いようだ。

 

「あの人は人間で無い。みんな、注意しろよ」

 

名雪の家に遊びに行ったことがある香里の顔色が良くない。ショックだったのかもしれない。とりあえず、僕達の家に移動をした。だが、何者かに追跡をされている気配がした。

 

「あゆさん、みんなを連れて、先に行ってくれ」

 

「有栖は?」

 

「追っ手を蹴散らす…」

 

あゆさんは頷き、みんなを家に誘導していく。僕は緊急信号を発した。これであゆさん達にガードがつくだろう。僕は追っ手に対して、結界を張り、これ以上の追跡を出来ないようにしてみるが、僕を超えて、みんなを追跡する追っ手達。なんで?気配は感じるが、見えない相手。

 

あっ…紙人形…地面と平行になれば、紙が薄いほど見えないよな。僕は、気配を感じる箇所の重力を変えてみた。すると、地面に大量の紙人形が落ちて来た。なんだ、この量は?見える相手であれば、術は使えるので、紙人形を焼き払っていった。

 

僕の周囲の気配は消えたので、みんなの後を追う。

 

 

 

---香里---

 

有栖を残して移動をする私達。でも、舞さんとあゆさんの顔色が優れない。

 

「何かがいる。近くにだ…」

 

舞さんが警告を発した。未だ、危険は去っていないようだ。なのに、この場には戦える者はいない。

 

「大丈夫…援軍が来る」

 

あゆさんから笑みがこぼれた。

 

周囲の空間で、何か燃えいく。それも、かなりの量だ。

 

「あゆ、遅くなってごめんね。ガイアの仕事が中々終わらないんだもの」

 

目の前に、紅髪の青年と金髪の少女が現れた。

 

「九重さん、ガイアさん♪」

 

あゆさんが彼らをそう呼んだ。

 

「なるほど…有栖でも苦戦するな、これは」

 

紅髪の青年が何かを唱えると、更に空間で何かが燃えていく。

 

「こんなに大量に式神を操るって、尋常な敵ではないわ。ガイア、注意して」

 

「了解!」

 

「みんな、あゆの近くに詰めて。強制転移させるから」

 

私達はあゆさんの近くに詰めて並ぶと、一瞬で有栖の家に転移した。

 

 

 

しばらくすると、先程の紅髪の青年と金髪の少女と有栖が転移してきた。

 

「なんだ?あの数…尋常じゃないだろ?」

 

肩で息をしている有栖。

 

「アリスと相性が悪い敵だな。見えないに近いもんな」

 

紅髪の青年が有栖に声を掛けた。

 

「見える敵なら無敵に近いんだけど…兄様、叔母様、助かりました」

 

って…え?有栖のお兄さんと叔母さん?

 

「有栖…紹介しれくれるかな?」

 

私は有栖にお願いをした。

 

「あぁ、そうだね。えぇっと、紅髪の男の人は、僕の兄様のガイア・グレモリー・鬼門です。種族は僕と同じで、天使と鬼と悪魔のクォーターで、肩書きは魔王です」

 

魔王…って、あの魔王か?

 

「で、金髪の僕より若そうな女性が、僕の叔母様、鬼門九重です。種族は九尾の狐の幼体になるのかな。僕の父様の義理の妹さんになります」

 

え?九尾の狐?

 

「アリス、叔母様って言わないで、名前で呼んでね♪見た目は私の方が若いんだからさぁ」

 

たしかに、若い…いや、幼さが残っているんだけど…

 

「魔王って、魔王ですか?」

 

佐祐理さんが質問をした。

 

「悪魔の世界の王です。僕には王になる為の偉業とかなかったんですが、前魔王がヘマをして、繰り上げで任命されました」

 

ヘマ…なんだかなぁ。

 

「そう、なんだかなぁって状況です」

 

え?なんで?

 

「僕達は心が読めますから。口に出さなくても会話できますよ」

 

あ…しまった…

 

「今回の敵は厄介だな。一応、来てみたけど、僕も相性がいいとは言えないなぁ。九重おば…いや、九重さんは相性がいいかもしれないけど」

 

「兄様、誰だと良いですか?」

 

「敵は妖術使いのようだな。そうなると、白音さん、黒歌さんかな。防御に関してだけどな。一番相性の良いのは炎系の呪文が得意の父さんの気がする」

 

「父様は…忙しいからダメだな。個々の問題に首を突っ込むとペナルティーが発生しそうだし」

 

「あの人、暴走するからね、ははは」

 

暴走って…有栖達のお父さんって、危険なのかな?

 

「それよりも、今問題なのは、大量の式神をどうするかだよ。街中にまだ大量にいるよ」

 

九重さんから現況の報告があった。

 

「明日の通学時間を狙う気か?」

 

舞さんが言葉を漏らした。

 

「たぶんなぁ」

 

と、ガイアさん。

 

「う~、高校生組はオーフィスがガードに付いてくれ。中学生組には忍だ。九重さんは街中の式神の駆除をお願いします」

 

ガイアさんから指示が出た。ふと有栖を見ると、いつの間にか倒れていた。

 

「有栖…」

 

私は有栖を抱き起こした。

 

「エネルギー切れだ。それだけ、厄介な敵ってことだ。香里さんと…舞さんで有栖のエネルギーを補充してくれないか」

 

って、指示を出された。それって、アレだよな。顔が赤くなるのがわかる私。

 

舞さんと二人で、有栖を祈祷部屋に運んだ。

 

 

---ガイア---

 

『ロスヴァイセとルフェイを手配した。それで、対処してくれ』

 

父さんから念話が届いた。ロスヴァイセさん、ルフェイさんとも魔法使いである。やはり、炎系の魔法で燃やすしかないか?

 

「ガイア、私と真琴と伊豆湖で、術者をマークして、式神の制御を狂わせてみるよ」

 

九重おばさんが、提案をしてきた。

 

「術者ってわかったんですか?」

 

「そこなんだよ…候補は三名だ。一人は姿を見せていないし…厄介な案件だな」

 

「一人に絞らないとキツいですよ。結構強大な妖術みたいだし」

 

九重おばさんは考え込んでしまった。術者が分かれば、アリスの能力は一番有効なんだけど。対式神だと、無駄にエネルギーを使いすぎてしまうし。

 

『しょうがないな。僕が行こうか』

 

父さんから念話が入った。

 

『『ダメです』』

 

僕と九重おばさんが却下した。エロ神である父さんが介入すると、見返りで女性陣が大変なことになるのは目に見えている。それにより、ペナルティーが科せられるのも困るし。

 

『残念だ…』

 

凹んだ声の父さん。あっ、やっぱり。何かを期待していたんですね。

 

『勿論だ、ガイア。今回の術師は美味しそうだし』

 

え?術師が美味しそう?それって…候補は二人…いや一人に絞れそうだよな。

 

『ガイア、正解だ。ただ、舐めてかかると痛い目に遭うぞ。現時点の九重より、能力が上かもしれない。娘の方は紙ペラだし』

 

紙ペラ…まさか式神か?

 

『父さん、何を知っているんですか?』

 

『あ?敵のボスが美味しそうだってことだ。僕にはそれしか興味がない』

 

エロ神らしい発想ですが…

 

『たぶん、その世界の祐一は媒介だろう』

 

媒介?

 

『アイツらの食料を考えろ、ガイア』

 

食料?九重おばさんを見る僕。

 

「私?私の食料…おいしいお団子と稲荷寿司が好きです。じゃなくてだよね?そうねぇ、化かした人間の抱く驚きの心とか、恐怖心かな」

 

ってことは…妄想とか恋心とかか?そうか、だから、舞とかあゆと栞とかに抱いていた恋心は喰われて、記憶から消えたのか。

 

『ほぼ正解だと思う、ガイア。まぁ、子供のケンカで埒が明かないようなら、親同士の戦いもアリだろ?』

 

って、参戦する気満々の父さん。自重してください。もうエロ神は卒業して…

 

『はぁ?僕は生涯エロ神でいいんだよ。それなのに…重い責任を担う神にしやがって…あのドエス上司の野郎!』

 

あぁ、また、ペナルティーの予感がする。

 

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