---亘----
リアスからの念話が届いた。
『ごめん…亘以外の男と…ねぇ、私を…汚れた私を消して…』
リアスの魂の叫びに思えた。僕はリアスを護れなかった。彼女を護り切ると心に誓ったのに…無力さを感じる。悔しさを感じる。封印していた感情が沸騰していく。
こんな不甲斐ない僕に出来ること、せめて彼女の願いを叶えてあげたい。
『むじゃ君…ごめん…ここまでだ』
『亘…今までありがとうな…転生できたら、次こそはリアスを愛してあげろよ!』
うん。愛したい。今世の分もね。僕は僕にかけてあった封印を解き、溜まっていた感情を暴走させていく。徐々にではあるが、目の前が真っ暗になっていく…
そして、世界は終わりを迎えた…
全てが消えていく。世界の終わりを迎え、星は新しい世界に生まれ変わる準備をする。世界に宿っていた魂達は転生の門を目指す。その門をくぐれた者だけ、新しい世界で転生することが出来るのだ。
しかし、僕はあることに気づいた。彼女の願い…「私を消して」を叶えると、彼女の魂がロストしていしまう。それでは来世以降、出逢うことが出来無いのだ。僕は彼女の魂を探し出し、リセットにより生じた滅の力から護る。彼女の魂を転生の門へ無事に届けないと。僕は僕の身体を盾に、彼女の魂を護る。たぶん、僕が彼女に出来る最後の守護である。
僕の身体に滅の力が触れ始めた。身体が徐々に分解されていく。まだ門まで時間がかかりそうだが、僕の身体は全て分解されてしまった。まだ、心と魂が残っている。僕は全てを使って、彼女の魂を護る。彼女の魂を僕の魂で包み、さらに僕の心でコーティングをした。
徐々に心が消えていく。彼女を思う心…彼女を愛した心など、いずれも彼女に向けることなく、心の中に蓄積していたものだ。でも、後悔は無い。こうして、彼女の為に使えるのだから。心も全てロストした。彼女を護らないいけないという魂に叫び…されだけを糧に転生の門へと向かう。そして、彼女の魂を無事に送り届けると、僕の魂は誰かに護られて消えた。
僕の魂は殆どロストした。
「亘…もう、お前は亘として転生はできない」
僕に話し掛けてきた知らない老人。ここはどこだ?彼女は?顔さえ想い出せない彼女…覚えているのは、彼女のオーラだけだ。
「お前に無邪鬼の身体と魂を移植する。お前が願いをした後、お前から分離して、アイツは無事だった。どうだ?お前の息子と融合しないか?」
僕の息子?何の話だろうか?僕に息子はいない。無邪鬼って誰だ?想い出せない。
「お前の妻達の魂は回収した。娘は転生の門を潜って無事じゃ」
妻?想い出せない彼女かな?娘?いたかな?
「魂が一部しか残っておらん。なので、お前の妻達の魂から、記録を取り出して、お前の修復した魂へ移植する」
意味が分からない。僕はどうなるのだ?いや、僕は誰だ?
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僕は老人の手の平の上にいる。どこか懐かしい女性が老人と共に僕を見つめている。老人の表情は哀しそうだった。女性は驚いたような表情である。
「これが亘の成れの果てだ。もう消える寸前なんだ」
亘?それが僕の名前なのか?
「亘の魂?」
女性が老人に訊いた。この女性は僕の知り合いだったのだろうか?
「そうだ。身体は粉々になり回収出来なかったよ」
老人の言葉を受けて、女性の表情は暗くなっていった。
その後、老人により、僕の魂は修復され、身体を僕用にカスタマイズしてくれた。
「今回はお前に何も教えてやれん。まず、魂が安定させることが先決だからな」
今回は?前回は教えてもらったのかな?何を教えてもらったのか、思い出せない。
「人間の子供と言うことにして、育てて貰うよう、手配をしてある。魂の記憶が徐々に甦り、真実を思い出せるようになるかと思う。今度こそ、無事に成長してくれ…我が子供よ」
僕はこの老人の子供なのか…
「では、ここでの記憶を消す。現世へお前を持ち込むぞ」
僕の目の前が徐々に暗くなっていった。