※この作品はR-18です。

神器なき男 (再編集版)   作:もっち~!

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匙の場合

---イッセー---

 

シュウの事を見直した匙と共に、ヴァーリを師匠にして、内に秘めたドラゴンの力を使いこなせる様に、鍛錬をしていく。匙はシュウの事を信頼しつつあったのだが、

 

「いまだに、感情が読み取れないや」

 

シュウの表情から読み取るのは、難しい。行動や仕草などから読み取るしかない。リアス先輩クラスだと、雰囲気や漂わせるオーラでわかるらしいけど。俺も匙も、そういうことも含めて、まだまだ未熟な領域なようだ。

 

 

ドラゴンの力の初歩的な使い道は分かって来たが、まだまだ実戦で使いこなせる域に達せずあせり始めた頃、

 

「ドラゴンの力が進化するには、何かしらのきっかけが必要だ」

 

ヴァーリがステップアップに大切なことを言う。

 

「何か?」

 

「神器は魂に呼応する。だから、魂を揺さぶられるようなことが必要になるんだ」

 

う~ん…以前の俺だったら、ヴァーリに抱きつかれたり、腕を極められた程度でも、魂が揺さぶられていたのだろうけど、エロき心と性欲を抜かれた今、何もときめかない。

 

簡単な剣術は木場に習い、魔力の扱い方は朱乃さんに習い、気の流れやオーラの制御は黒歌さんに習っていった。しかし、魂は揺さぶられない。エロき心さえ戻れば…

 

そして、シュウは相変わらずだった。俺からエロき心と性欲を奪ったはずなのに、自分からどうこうしようとしない。相手まかせであるのだ。来る者拒まずって感じではある。好みの女性って概念も無いのかもしれない。

 

女性陣は、シュウの溜まった性的欲望…シュウ的には疲労らしいのだが、定期的に抜くことが大事だと言う。シュウ的な過労状態は、シュウの暴走を起こしかねない。起こしてしまうと、後が大変だから、献身的に介護目的で抜いているそうだ。うらやましい限りだ。

 

匙的には、ソーナ会長がそういうことに従事するのに抵抗があるものの、シュウの傍で多くの時間を過ごすにつれて、シュウの抱えている問題に向き合い、ソーナ会長の行為を容認していった。

 

シュウは感情障害故、エロき心が有ろうとも、性なる快楽による悦びすら感じないらしい。抜いてもらっても、暖かさだけを感じ、生きていると実感しているだけとか。そんなシュウが、匙には不憫に思えてしかたないらしい。

 

「ソーナ会長とあんなこと、そんなこと、こんなことしているのに…それが感じないって…」

 

「匙、俺にはお前の思いが分かる。リアス部長にあんなこと、そんなこと、こんなことしているのに感じないって…もったいない、男性として、損していると思う」

 

叶わぬ恋を抱く同志と語らう、シュウの不憫さ。

 

「俺には、性欲とかエロ心を抜かれたのに、未だにそう考えるイッセーの方が、凄いと思うぞ。どうして君はそういう妄想がまだ浮かぶんだ?シュウに教えてあげて欲しいよ」

 

ってヴァーリ。確かに妄想だけは浮かぶんだよ。性欲は全く湧かないのに…俺も不憫な気がする…

 

 

-------

 

 

高校2年になった。同じクラスには、シュウ、シーグヴァイラ、ヴァーリ、翼紗、桐生、そしてアーシアたん♪そう、クラス替えは無かった…

 

進級して、直ぐの頃、匙が放課後やって来た。

 

「俺にも春がやって来たんだよ~♪」

 

嬉しそうに話す匙。他校の女子高生にラブレターを貰ったと言う。で、今日の夕方、学校近くの公園で、お返事をするだと。

 

「良かったな、匙♪」

 

無表情のシュウが、嬉しそうに話しているようにみえる。

 

「うん♪でね…初めてだから…アドバイスを欲しいんだよ。念話で指示してくれないか?」

 

初デートでシュウにアドバイスを貰う?危険が一杯だと思う。たぶん、ハーレム所持っていう点に置いては、女性の扱いはそれなりだと思うのだが、シュウ本人のヤルは交わりでなく、拷問、調教のことであるし…

 

「自信は無いけど…」

 

「いいんだよ。見守ってくれているだけでも。なぁ、頼むよ」

 

まぁ、シュウが傍にいる安堵感は重要かもしれない。ただ、いるだけで安心に思えることも多いし。

 

 

そして、夕方。シュウだけでは不安って言うこともあるが、匙の彼女を見たいというヤジ馬根性が働き、シュウと俺のクラス内の仲間達で見守ることになった。気配は消す方向で…匙の彼女に不安を抱かせない配慮である。

 

そして、匙の彼女は現れた。

 

「夕麻ちゃん…返事だけど、オーケーだよ♪」

 

とっても嬉しそうな匙。しかし、シュウから念話が入った。

 

『索敵をしろ。匙のジャマをさせるなよ。何かがいる』

 

っと。索敵ができる桐生、翼紗、ヴァーリが対応をしているみたいだ。

 

「元ちゃん、お願いがあるの」

 

匙の彼女が、匙に甘えるように言った。

 

「なぁ~にぃ~♪」

 

その声を聞いて、のぼせたような匙。

 

「お前の命をよこせ!」

 

えっ?匙の彼女が、いつの間にか光の槍を持っている。それを匙に投げ放った。突然の事で、匙は動けない。しかし…

 

「匙を騙したのか?堕天使よ!」

 

匙のいた場所にはシュウがいた。匙に向けて放たれた光の槍が、シュウの身体を突き抜けて刺さっていた。匙は、シュウにより草むらまで飛ばされて無事だが…

 

「貴様…何者だ?」

 

「匙のダチだよ。それが何か?」

 

匙の彼女は堕天使に姿を変え、再度光の槍を持ち、シュウと対峙する。

 

「悪魔では無いのか?光の槍であまり苦しまないな」

 

「あぁ、一応聖属性だからな」

 

『我が剣よ ここに』

 

シュウが呪文を唱えると、手に光り輝く剣が発現した。その剣を見て、狼狽える堕天使。

 

「聖剣だと?」

 

「はぁっ…はぁっ…いや、タダの聖剣では無い」

 

苦しいのかシュウの息づかいが荒くなっていく。周囲を見回すと、ヴァーリが白い鎧を纏い大柄な堕天使と、翼紗、ヴァイラは小柄な堕天使と抗戦していた。

 

『我が闇よ 剣に力を』

 

更に呪文を唱えたシュウ。聖剣の放つ光が神々しさから禍々しい物へと変貌していく。

 

「えっ…ダークエクスカリバー…」

 

顔を強張らせていく堕天使が呟いた。シュウはその堕天使目がけて斬り込む。避ける堕天使だったが、シュウは狙い定めたように、堕天使の翼を根元から斬り落とした。

 

「うっぐっ!」

 

顔を歪める堕天使。苦し紛れに放った光の槍は、またもシュウの身体に突き刺さった。それにより、地面に膝を着くような体勢になるシュウ。

 

「「シュウゥゥゥゥ~!」」

 

俺と匙はほぼ同時に叫んだ。堕天使が3本目の光の槍を手にしていたから。シュウの反応がおかしい。マズい気がする。そんな時だ。俺の魂が震えている気がした。そして、

 

『バランスブレーカー』

 

ドライグの声がして、俺は赤い鎧に身を包まれていた。

 

『宿主よ。その怒りを、あの堕天使にぶつけろ』

 

ドライグがカウントを始めた。匙を見ると、アイツも黒い鎧で身を包んでいた。

 

「ライン!」

 

匙から黒いラインが伸び、堕天使の槍を持つ手を拘束した。

 

『カウントアップしたら、あの堕天使の顔に拳をぶつけろ!』

 

ドライグから指示が出た。俺は右手を握り締め、その拳にオーラを流し込む。そして、堕天使に向かって歩き出した。

 

堕天使の傍まで行くと、匙のラインが外れず、ソイツは藻掻いていた。そして、ドライグがカウントアップを知らせてくれ、拳に集まっているオーラに『倍化』の恩恵を『譲渡』してくれた。

 

「てめぇ~!俺達のシュウに何をしてくれたんだぁぁぁぁ!」

 

腰の回転を使い、全体重を拳にのせて、堕天使の顔にぶち込んだ。俺の拳と地面にサンドされたソイツの頭部はつぶれて、四方八方へと肉片やら骨片やらが散らばり、息絶えたようだ。光の槍を発現した堕天使が死んだことにより、シュウに刺さっていた光の槍は消滅し、槍が栓の役割をしていた傷口からは、大量の血が吹き出した。

 

アーシアたんがシュウの元へと駆け寄り、治癒術で止血をしつつ、傷を治していく。

 

「シュウさん…しっかりしてください」

 

アーシアたんが声を掛けるも、シュウの声は聞こえない。

 

ヴァーリ達も交戦した相手を屠り、シュウの元へと集まってきた。

 

「匙は…無事か…」

 

絞り出すような声でシュウが言った。

 

「俺は大丈夫だ。お前は…大丈夫か…」

 

見た目、大丈夫に見えないシュウに、声をかける匙。

 

「そうか…無事か…良かった」

 

皆でアーシアたんの方を見る。首を横に振る彼女。手に負えない状態のようだ。

 

「もう少し、がんばってください。救援信号を出しましたから」

 

自力で体勢の維持が出来無くなったのか、アーシアたんの身体に身を預けるシュウ。アーシアたんは、必死に励ましているのだが、シュウのオーラが萎んでいく。

 

「シュウ!」

 

部長の声がした。俺達の周囲にたくさんの転移陣が現れていき、仲間達が次々に駆けつけてきた。

 

「あぁ、リアス…ごめん…また、ダメかな…」

 

「ダメじゃない!しっかりして!ねぇ、シュウ」

 

シュウの手を握り締める部長。握り締めた瞬間、彼女の顔が歪んだように見えた。何かの異変を感じ取ったのかもしれない。

 

「リアスを…愛したかった…」

 

部長の手から、地面に向けて力無く落ちていくシュウの手…

 

「シュウゥゥゥゥ!」

 

リアス部長は渾身の力を込めて、シュウに声をかけた。

 

 

 

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