※この作品はR-18です。

神器なき男 (再編集版)   作:もっち~!

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別れ、そして…

---シュウ---

 

あの神との戦い以来、リアスは僕で無くてイッセーを頼るようになっていった。それに伴い、リアスの気持ちはイッセーへと傾いている気がする。何か切ない…愛せない僕より、愛せるイッセーの方が、リアスを幸せにできるだろう。

 

その後、何か色々な事案が発生しているようだけど、僕の耳に届くことは無くなった。リアスがそう指示を出したようだ。僕に関わらせない為に。僕はガードとして失格したのかな。

 

しかし、そんな僕にも届く事案が発生した。邪龍軍団が、世界各地で猛威を振るい始めたようだ。邪龍達は、赤龍帝の鎧を着たイッセーのコピー体を大量に作り、神滅具兵器として、世界を破壊し、制覇し始めたようだ。

 

彼らはアレを復活させたらしい。僕は、アザゼルの元を訪ねた。

 

「お前が出る幕では無い。家で大人しくしていろ!」

 

「僕がいけないの?」

 

「お前は悪くない。だから、留守番をしていろ」

 

そのとき、机の上にある計画書が目に飛び込んできた。

 

「これは?」

 

「お前には関係ない!」

 

何か、嫌な予感がする。僕は結界の中に籠もり、計画書を熟読していく。

 

「おい、結界を解け。お前が見るものじゃない」

 

そこには、恐るべき計画が書かれていた。これは、ダメだよ。リアスが悲しむ。ソーナが悲しむ、グレイフィアが悲しむ、ヴァーリが悲しむ…みんなが悲しむ…そんなの許せない!僕の中の何かが熱く燃え始めた。

 

「この計画、変更するよ」

 

僕は、そこに書かれている術式を変更して、発動していく。

 

「おい、お前…何をしているんだ?やめろ~!」

 

「だって、これって、悲しみを生み出す計画だよね?」

 

「しかし、これしか無いだろ?」

 

「そうでも無いよ。誰も悲しまない方法が1つだけ有る。その方法に向けて、術を発動した。ロックもかけた。変更は利かないから」

 

「お前…何をしでかすんだ?」

 

「誰も悲しまない方法だよ、アザゼル」

 

僕は僕のやるべきことを見つけた気がする。この為に、僕はここにいる気がする。

 

「まさか…お前…」

 

アザゼルの顔から血の気が引いていき、目には涙が見えた。

 

「僕一人でいい。消えるのは…リアスにはイッセーがいる。ソーナには匙がいる。シーグヴァイラだって、僕なんかより幸せになれる相手は見付かると思う」

 

「ダメだ。そうじゃないんだ、シュウ…」

 

「僕からみんなが去って行った。僕は一人だよ。消えても誰も悲しまない」

 

「だから、違うんだ、シュウ!お前の元を去った訳じゃない」

 

「みんなの為になれるのは、嬉しいことだよ、アザゼル」

 

僕は用済みになった計画書を消し去った。

 

「おい、落ち着け!リアスはお前を見捨てていないんだ」

 

「新しい計画を実行すれば、僕のことなんか、みんな直ぐ忘れるよ。僕は誰も愛せないから…誰も幸せにできないから…だから、みんなの為になれるのが嬉しいよ。ありがとう、アザゼル。こんな機会をプレゼントしてくれて♪」

 

僕は計画を変更したという記憶と僕に関しての記憶を、アザゼルの記憶に対して封印した。ジャマされたくないから。それから、僕はその場から、計画を進める準備をする為に転移した。

 

 

 

---サーゼクス---

 

計画の決行日が近づいて来た。今回の計画は、決行寸前まで参加者以外には秘密である。引き留められる可能性があるから。

 

出現したトライヘキサを絶対隔離領域というフィールドに閉じ込めて、参加者全員で倒すのだ。その間、絶対隔離領域からの出入りは出来無い。トライヘキサが逃げる可能性があるから。完全に隔離したフィールドにした。

 

「アジュカ、絶対に逃げる心配は無いんだな?」

 

参加しないアジュカに訊いた。魔王の内、彼だけが残る。各勢力共に、トップ陣が参加するが、万が一の為、一人ずつ残すことにしたのだ。天界サイドでは、ガブリエルだけが残る。堕天使サイドはアザゼルだけが参加ではあるけど。

 

「破られないはずだ。シュウ君の専用フィールドを改造したから」

 

そう言えば、シュウ君に、最近会っていない。リアス達も彼を巻き込まない為に、距離を置いているそうだし。彼はどうしているんだろ。最後くらい、一緒に戦いたいなぁ。リアスとシュウ君はゴールインするのかな。どんな子供が出来るのだろうか…涙があふれ出てくる。

 

「サーゼクスちゃん、泣いてんだ~♪」

 

セラフォルーが茶化すように言う。場の雰囲気が少し和む。

 

「ソーたんは、シュウ君とゴールインするかな。う~ん、私とゴールインして欲しい気もするけど…彼は待っていてくれるかな…」

 

セラフォルーの目にも輝く物が生じた。

 

「音声と映像は送り合えるから、たまに会話する機会は作るよ」

 

と、アジュカ。それならいいか。彼らの成長話を糧にがんばれるな。

 

 

 

---リアス---

 

シュウと距離を置いた結果…シュウと連絡が取れなくなった。どこにいたのよ~。何かやらかしていないよね?不安が過ぎる。

 

「シーグヴァイラ、どこにいるか知らないの?」

 

彼のお目付役のシーグヴァイラに訊いた。

 

「ごめん。戦況が気になって…気づいた時にはいなかった」

 

う~ん…困ったなぁ…アーシアは貼り付くように言われていたのに、任務が果たせていない事で、泣いている。泣いても戻って来ないよ~、アーシア。

 

グレイフィアとガブリエルは、前線で戦っているので、ここにはいない。ヴァーリや翼紗達も戦場に出ていた。なので、シュウの監視はシーグヴァイラとアーシアに任せていた。

 

「そう言えば、オーフィスは?」

 

オーフィスも消えていた。二人で何かをやらかしているのか?この局面で何をやらかすのだ?

 

「リアス、シュウ君のことは後にしようよ」

 

ソーナが提案してきた。そうだよね。明日は大掛かりな作戦の決行日である。全ての勢力で、一気に叩くらしい。

 

 

 

---シュウ---

 

いよいよ、作戦の決行日になった。今まで一緒にいてくれたオーフィスの頭を撫でた。

 

「シュウ 我も戦う」

 

「オーフィスは、リアスを護ってくれ。もう、僕は彼女を護れないから。ね、頼むよ、オーフィス」

 

「う、うん…でも…」

 

「生きて戻るよ。その為の準備をいっぱいした。だから、リアスを護りながら、待っていてくれるよね?」

 

今回使うフィールドは、リアル時間と同じ時間軸で時が過ぎるフィールドだ。フィールドの強度を上げる為の処置をした結果、そうなった。だから…リアスの生きている間に帰れない可能性もある…でも、リアスには幸せになって欲しいから。愛し合える相手と一緒になって欲しいから。

 

僕に出来ることは、みんなを悲しませないことだと思う。愛せない故、僕に課せられた宿命だと受け止めているので、哀しくもない。

 

 

 

---サーゼクス---

 

作戦が決行される。一緒に戦ってくれた相手を労う。

 

「イッセー君、君と一緒に戦えて嬉しいよ。後はまかせるぞ」

 

「何言っているんですか?これからだって、一緒に戦えるでしょ?」

 

「いや、リアス達には言っていなかったけど、絶対隔離領域にトライヘキサを封じ込めて、そこで俺達がアイツらと戦う。倒しきるまで帰れない。それがどの位かかるか見当もつかないんだ。イッセー君、リアスとシュウ君のことを頼むよ」

 

俺は、絶対隔離領域へと転移する光に導かれて、地上を離れていく。

 

「えっ?何を言っているんですか?」

 

イッセー君に笑顔だけ返す。言葉が浮かばない。これが永遠の別れでは無いと分かっていても。でも…

 

-------

 

しかし、俺達は絶対隔離領域へ転移は出来無かった。どういうことだ?

 

「おい、アジュカ!失敗したのか?」

 

アジュカの顔からは血の気が感じられない。何か遭ったのか?

 

「やられた…シュウ君に…」

 

まさか…

 

「彼が一人で向かった。誰にも別れの悲しみを抱かせない為に…」

 

なんでだ?

 

「愛せない自分に出来る事、愛したいみんなの為に出来ることだって…」

 

作戦開始直前、アジュカの元にオーフィスが手紙を持って、転移してきたそうだ。その手紙には、作戦開始後、リアス達の記憶から自分の記憶を消すとあった。誰も愛せない自分が消えても、問題無いと…明日になれば、作戦参加者の記憶からも消えるともある。おい…何をやっているんだよ…シュウ君…

 

 

 

---シュウ---

 

あれから、どの位経ったのだろうか。みんなとの想い出も糧に戦い続ける。心が折れない限り、戦える。僕は絶対に帰るんだ。待っていてくれるオーフィスの元へ…

 

持っている能力を全て解放する。かかっている封印を全て解放する。僕は僕で無くなっていく。でも、想い出は消えない。これが僕の唯一の糧だから。

 

今ならリアスを愛せると思う。愛していると言いたい。ソーナにもシーグヴァイラにもヴァーリにも…みんなに言いたい。手遅れだけどな…

 

無邪鬼に最後のお願いをする。僕の全てを捧げる代わりに、コイツらを全滅させて欲しい。全滅できる力が欲しいと願った。彼に願ったのは初めてだ。僕の身体は僕で無くなっていく。戦う為の身体へと変貌していく。

 

 

 

リアスは元気かな?ソーナは姉妹仲良くしているかな?シーグヴァイラは良い人に巡り会えたかな?

 

「亘、私も戦うよ♪」

 

姉ちゃんが転移してきた。

 

「姉ちゃん、ありがとう♪」

 

「うん」

 

姉弟で敵を屠る。屠り続ける。心が折れたら負けだ。姉ちゃんとの思い出を糧にしていく。

 

そして…

 

------

 

姉ちゃんは神の間へ戻り、僕だけ地上へと戻った。あれから、どの位年月を重ねたのかわからない。僕に面影は残っているだろうか?みんなに面影はあるのだろうか?

 

そこは僕のいなかった世界。みんなの記憶から僕の記憶は消えている。だけど、みんなに逢いたいのだ。どうなったか、気になるから。

 

僕達の住んでいた家は無かった。リアスは結婚したってことだな。ソーナの家も無い。みんな結婚したんだな。駒王学園へ向かう。旧校舎は無くなっていた。新校舎は旧校舎になっていた。どの位の年数が過ぎたんだ?タイムスリップって、こんな感じなんだ。僕にとっての昨日は、みんなにとっての大昔なんだろう。

 

う~ん…オーフィスのオーラが検知出来無い。どこに行ったのかな?それとも、オーフィスの寿命でもダメなくらい年数が経ったのかな。

 

あてもなく彷徨う僕。知り合いのいない世界。つらい…封印を解いた影響で、色々な感情が交差していく。哀しい…でも、僕の望んだこと、後悔はしていない。今まで愛せなかった罰を受けていると思えばよいんだよな。

 

思っていた以上に、器の損傷がデカイ。後どの位保つのだろうか。器が無くなっても死ぬことは無いらしいけど、この世界には居られなくなる。だから、一目、誰でもいいから、逢いたい。

 

-------

 

冥界へやって来た。ここなら、何かしら痕跡があるかもしれない。首都にある歴代魔王の墓を見て廻る。サーゼクスさん、アジュカさん、セラフォルーさん、ファルビウムさん…みんな逝ってしまったのか…彼らの墓の前で祈りを捧げる。

 

首都を見て廻ると英雄の墓という物があった。そこも見て廻る。イッセー、ヴァーリ、匙の墓が合った。間に合わなかったようだ。彼らにも祈りを捧げる。

 

「あの…お父様の知り合いですか?」

 

知らない女性に声を掛けられた。ソーナに似ている女性。その後ろには…

 

「…帰ってきてくれたんだね…シュウ君」

 

知らない老女に声を掛けられた。えっ?このオーラ…

 

「ソーナか?」

 

「うん♪」

 

うっすらと面影もある。

 

「倒してくれたんだね…ありがとう…背負ってくれて…」

 

「えっ?お母様、この方が…」

 

ソーナの娘がソーナに尋ねた。

 

「そう、私の想い人よ♪待ちきれないから、違う相手と結婚しちゃったけど」

 

幸せなオーラを彼女の娘さんから感じる。きっと、ソーナも幸せなんだろうな。

 

「ねぇ、リアスには逢ったの?」

 

「逢っていない。ソーナが初めての再会だ」

 

「ねぇ、逢ってあげて」

 

ソーナ親子に病院へ連れて行かれた。リアスは病気なのか?ソーナの娘が、車椅子の載った老女を連れてきてくれた。

 

「シュウ…帰ってきてくれたのね」

 

自慢の紅髪からは鮮やかさが消えていた。しなやかだった髪の毛は、固そうに見える。過ぎ去ってしまった年輪を感じる。

 

「リアス?リアスなのか…」

 

「そうだよ…おかえりなさい」

 

「ただいま」

 

リアスに抱きつく。身体は骨と皮だけに近い。何かの病気なのかな?

 

「ねぇ、次の周回でも出逢いたい…私のナイト様♪」

 

ナイト?

 

「あれ?イッセーが護っていたんじゃないの?」

 

「え?それは誤解だよ。アイツはシーグヴァイラと結婚したんだよ」

 

「はぁ?」

 

それは驚きだ。

 

「私の旦那様は、シュウだよ♪」

 

更に驚く僕。生死不明の僕と結婚式を挙げたらしい。リアスは何をしているんだ?でも、おかしいぞ。

 

「確か、記憶を消したはず…」

 

「消えていない。オーフィスが術の発動をね、身体を張って止めてくれたんだよ」

 

だから、オーフィスのオーラが無いのか…

 

「みんなに根付いたシュウの記憶を、術から護りたい一心だったみたい」

 

「で、なんで僕の妻に?」

 

「みんなから勧められて…勢いかな。あの頃は、若かったから…」

 

はにかむリアス。

 

---------

 

リアス達と再会した夜、リアスの容体は急変して…僕は器を捨てて、彼女の魂に寄り添う。そして、彼女の魂と共に天界の門を目指す。死んだ者の魂が転生をする為に通る門である。

 

肉体が死んでから天界の門へ魂が着くまでの間、それまでの記憶が走馬燈のように流れて行く。リアスは生きてきた証を見ている。そんなリアスを見守る。

 

天界の門をリアスの魂がくぐると、一番輝いていた頃の生きていた時の姿に戻った。

 

「シュウ…一緒に行こうよ」

 

リアスからのありがたい誘い。でも、僕は一緒には行けない。

 

「ごめん、僕は一緒には行けないんだよ。死んでいないから」

 

「え…」

 

「僕は不死の呪いを受けた魂、だから転生できない。器を見つけて着床して、そして生き続ける定め」

 

「そんな…ねぇ、もう逢えないの?」

 

哀しそうな表情のリアス。傍に行って抱き締めたい。

 

「想いが強ければ、再会できると思う。次に逢えたら、一緒にいられるように努力するよ」

 

また逢いたい。また出逢いたい。強く願う僕。

 

「封印を解いたから、次は愛せると思う。リアス、愛しているよ♪今まで、ありがとう」

 

彼女に想いを伝えた僕は、何かに導かれるように、リアスから遠ざかっていく。リアスは何かを叫んでいるようだが、僕に声は聞こえない。徐々にリアスの姿が小さくなっていき、点になり闇に消えた。

 

--------

 

あれから何回か着床を繰り返し、色々な人生を過ごした。神と人間との子供だったり、転生天使と神の子との子供だったりと…でもリアスに出逢うことは無かった。もう逢えないのかな?

 

何度も着床を続ける。生を受けている間、僕の僕としての記憶は無い。でも、リアスに逢えれば…器を捨て着床する僅かの間だけ、僕は僕に戻れる。その短い時間にリアスのことを思い出し、生き続ける糧にしていく。

 

そして、時は経ち…今度、着床したのは、転生天使の母親と鬼の父親の間に産まれた受精卵だった。禁忌な交配な為、本来宿るはずだった魂は消滅して、僕の魂が着床したのだ。禁忌なる産まれし命、イレギュラーな存在な彼らが僕の着床相手になりやすい。

 

今度こそ、リアスに出逢えるかな?期待を胸に…その時を待つ。

 

 

 

 




このリアスとの再会編は、『神器なき男2』「あの紅髪へ」になります。
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