---亘---
聖戦士機関を追放された。なので、プラド達と合流して、モンスターハンターの仕事を続けた。来る日も来る日もモンスターでは無くケダモノばかり狩る。なんで、人間はこうも傲慢なのだろうか?僕はこんな奴らの為に、身を捧げた訳では無いのに…
僕の精神状態を心配してくれたプラドが、神代家に連絡を取ってくれ、僕は神代家の修行施設に送られた。戦いの無い日々、自分と向き合う日々、ただ時間を過ごすだけの日々、心の葛藤は消えていったが、生きる気力も萎えていった。もう、どうでも良くなって来た。いっそ、このまま…
祖母が僕の心をモニタリングしていたようで、死を決意した日に、僕を迎えに来てくれた。
「ねぇ、学校へ通わない?」
「聖戦士の?」
「違うわよ。普通の学校よ。亘、一般人の学校へ通った事無いでしょ?」
「一般人の学校?」
「戦闘もケダモノも無い学校。ねぇ、通いなさい。そして、何をすべきかを考え直しなさい」
何をすべきか…何を…
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寮生活がまた始まった。この学校は、朝の礼拝も、剣術鍛錬も、聖書の読解も無く、学科と呼ばれる様々な教科を学ぶだけのようだった。
教室で勉強して、図書室で興味のある書物を読み、寮へ寝に帰る、単調だけど、それなりに充実していた。何かするっていいなぁ。ただ日々を過ごすのでは無いので、気力もそれなりになってきた。
ただ、何をすべきかという祖母の宿題が終わらない。何をすれば良いのだろうか?
「ねぇ、亘君、つきあってあげようか?」
同じクラスの紫藤さんだっけかな?いきなり、声をかけられた。
「何に付き合うの?」
「何ならいいの?」
「特に何も浮かばない」
「う~ん、じゃ、剣術なんかどうかな?たまには運動した方がいいよ」
剣術?禁止されていたかな?
「剣術はダメだな。君を怪我させてしまう」
彼女を振り切って、寮への帰路に着く。が…
「ちょっと、待ちなさいよ!」
紫藤さんが僕の進行方向へと回り込んだ。
「私が怪我?舐めないでよね。私は剣術を習っているのよ。素人の君に負ける訳がない」
「得物は何?」
相手の得物を知れば、相手の実力が分かる。
「得物?剣よ!」
「普通の剣?」
「普通の?意味が分からないよ~」
「じゃ、ダメだ。聖剣使いクラスで無いと、相手にならない」
紫藤さんを置いて、その場から寮へと帰った。翌日、紫藤さんから試合を申し込まれた。
「家から聖剣を持ち出して来たわ。これで勝負をしないよ!」
彼女の手にしているのは、聖剣オートクレールかな?
「使いこなせるのか?聖剣は使い手を選ぶと思うんだけど」
彼女は剣を鞘から抜こうとするが抜けない。聖剣は持っているだけではダメだ。使いこなせて、初めて聖剣として機能するのだ。
「抜けないんじゃ、話にもならないな」
「ちょっと、待ちなさいよ~。あなたは使い手なの?」
彼女の手にしたオートクレールを奪い取り、鞘から抜き素振りをして鞘に戻した。僕の素振りに見とれているような紫藤さん。
「あなた…聖剣使いなの?」
「ごめん、答える義務は無い。じゃな!」
その日も、無事に寮へと帰った。が、次の日、また紫藤さんに呼び止められた。
「ちょっと待ちなさいよ~ちょっと一緒に来て貰おうかな♪」
強引に僕の腕を抱き、どこかにつれていこうとする彼女。
「どこへ?なんで?」
「昨日、お父さんに聖剣を持ちだしたことがバレて…亘が見たいって言ったからって、言い訳しちゃった。てへぇ♪」
はぁ?濡れ衣…なんで?僕は紫藤さんの家に連れ込まれた。家には険しい表情の男性が待っていた。
「君が娘の彼氏の神内亘君か?」
彼氏?濡れ衣だ…
「違います」
「うん?娘とは遊びで、聖剣目当てだったのか?」
何か話が飛んでもない方向へ。紫藤さんは苦笑いしている。何を吹き込んだのだ?
「君は何者だ?返答次第で、君の処分を決める」
「処分?何で?」
「はぁ?娘と不純異性行為をしたそうじゃないか!」
「不純異性行為ってなんですか?」
男性の顔が真っ赤になっていく。
「お前、私の娘と全裸で抱き合ったそうじゃないか!」
「していませんけど…」
「はぁ?お前、私の娘に恥をかかせたそうだな!」
「どんな?」
「娘が来てって…お前は娘に興味が無かったのか?娘から押し倒したそうじゃないか!」
「はぁ?」
紫藤さんは男性の後ろで舌を出して笑っているし。
「言いがかりはそこまでにしてください。貴方の娘さんは嘘吐きです。僕は何もしていないし。オートクレールに興味も無い」
僕の言葉で男性の顔色が変わった。
「なんで、この剣の名称を知っているんだ?」
「鞘を見ればわかりますよ。聖剣は鞘とセットですから」
「お前…何者だ?」
オートクレールを手にして構える男性。
「名乗る義務は無い」
僕に斬り掛かってくる男性。僕はバトンを手にして念じ、ホーリーソードを発現させて、防ぐ。
「何?なんで、ソレを…」
「恩師からのプレゼントです」
「恩師?あっ…それは、ストラーダ猊下の…」
剣を鞘に戻した男性。僕も剣を消失させた。
「お前は何者だ。何故、ストラーダ猊下のソレを持っているのだ?」
「答える義務は無いと申し上げました。僕の事が知りたければ、恩師に訊いてみて下さい」
僕は寮へと帰っていった。翌日、退学を言い渡された。寮に持ち込んだ荷物をバックパックとキャリーバック2つに詰めて、寮を後にする。退学理由は、僕の正体が判明したかららしい。紫藤さんのお父さんは、この学校で権力があるそうだ。聖戦士学校を退学になった僕は危険と判断されたのだろう。紫藤さんの嘘はバレたそうだけど、本当の理由を出せない学校側は、紫藤さんの言い分を公式理由とした。紫藤さんの名前は伏せて。
退学理由はどうでも良かった。それより問題は、また生きる場所を失った。どうするかな?プラド達と合流するかな…
「君が神内亘君かな?」
紅髪の男性に声を掛けられた。
「そうですが…あなたは?」
「私はサーゼクス・グレモリーだ。君の祖国で学校を持っているんだけど、どうかな?私の学校へ編入しないか?」
う~ん、退学したばかりのタイミングで…祖母の手配かな?
「でも、住む場所が無いんですけど…」
「それは、大丈夫だ。妹が眷属と共に住んでいるのだが、君の部屋を用意させる。だから、是非、編入して欲しい」
住む場所があるならいいかな。
「お世話になります」
「そうか、では、まいろうか」
僕は男性と共に転移をした。この転移陣って…メフィストの使っていた文字と同じだ。この人は悪魔かな。
瞬間的に、異国の路上から、広い部屋に転移した。そこには紅髪の少女が待っていた。どことなくメフィストに似ている。親近感を感じる。オーラも似ているし。
「リアス、彼を預かって欲しい。駒王学園の高等部の1年へ編入をさせたい」
「え…預かるって…お兄様、男子はちょっと…」
僕を見て頬を赤く染める少女。
「そう言わないでくれ。彼が住む場所が無いんだ」
少女と男性が何かを相談している。僕は少女の姿を見つめていた。メフィストは大人しくしているかな?少女に似た仲間の心配をする。寂しさを紛らわせるのに、なんかやらかしているかな?プラドがいるから、大丈夫かな?
「亘君、話は付いたよ。君は妹の家で暮らして良いから。学費とか食事とか心配しないでいいからね」
「あ…神内亘です。よろしくお願いします」
大家さんになる少女へ頭を下げた。
「リアス・グレモリーよ。よろしくね!」
こうして、僕は紅髪の少女と出会った。