僕には友達がいない。家族もいない。会話は買い物の際とバイト先でしかしていない。
バイトからの帰り道、駅前には楽しそうに会話をしている人々がたくさんいる。あんな風に話せる相手が欲しいなぁ。僕にとって、会話をしている人達は輝いて見え、夜空を彩る星々にも見える。
話す相手のいない僕は、何らかの広告のビラを配っている女性達の笑顔を見て、心を癒やしている。いや、癒やしているつもりになっているだけかもしれない。でも配っている女性達は皆同じ顔に見え、同じ声に聞こえる。違いのわからない男になっていく僕。
もらったビラを山のように抱えて、家に帰り着き、鍵を開けて、室内に入り
「ただいま~♪」
と、声を掛けるが返事は、勿論無い。一人暮らし故、返事が有ったら、問題が有り、少し怖い。でもね、それでも誰かと会話したい。たとえ人間でなかろうと。座敷童でも住まないかな?
住処は小さな一戸建てである。小さい庭もある。バイト先の会社の社長が社宅として、持ち家の1つを貸してくれた。台所、風呂、トイレ付きである。水道光熱費も会社持ちである。とても優遇されている環境で、バイト生活をしている。
一息つけて、今日の戦利品である駅前で貰った広告のビラに目を通していく。アダルト系のビラが多いなぁ。あっ、パチンコもあるかぁ。ティッシュ付きは有り難いななどと、種類別に選別をしていく…うん?その中の1枚に目が止まった。
それは確か、隣町の駅前で、かわいいお姉さんに貰ったビラだ。『あなたの願いを叶えます』と大きな文字で書かれていて、その文字の下には魔法陣が描かれている。何の広告だろうか?僕はその魔法陣に、なにげなく『ガールフレンドが欲しい』と、念じてみたら……ビラに描かれていた魔法陣が畳に浮かび上がり、目の前に女の子の姿が現れた。
「え?…」
小学生くらいの女の子の頭には猫耳が、おしりの辺りには猫の尻尾が……猫さん?
「かわいい…」
あまりのかわいらしさで、ガン見をしていたら、女の子が話しだした。
「あのぅ…私は悪魔で塔城小猫といいます。あなたの願いを叶える為に、召喚されました」
「え…あくま?」
いきなり、嫌な汗がにじみ出てくる。脳裏に浮かんだことを口に出してみる。
「命を対価に願いを叶えるって事かな?」
目の前の悪魔の女の子、小猫ちゃんは首を横に振って、
「命とは言いません。それなりの代価なり対価を、頂ければ充分ですよ。」
それなりってことなので、ちょっと一安心。深呼吸してから、彼女に土下座して、
「こんな僕ですが、どうかガールフレンドになってください」
と、お願いをしてみた。
「いいですよ。その為に召喚されたのですから。で、あなたのお名前は?」
そうだ、自己紹介をしないといけないですね。
「僕は、代羽周太郎といいます。シュウってと呼んでください」
「わかりました。シュウさんってお呼びします。意外にシュウさんって、暖かい気を纏っていますね。まったりモードですにゃん♪」
反則手に近い笑顔で猫耳を触りながら、小猫ちゃんの頬が少し赤らんでいく。全然悪魔には見えないんだけど、怒らすと凶暴なモンスターになっちゃうのかな?って不安もある。だけれども、僕の願望、お友達、いやガールフレンドが欲しいって気持ちの方が大きい。たとえ、相手が人間で無くてもねぇ。
「そうかな?自分ではわからないけど。。。小猫ちゃんがいうんならそうなのかもね。で、対価はどうしましょう?」
この笑顔を見られただけでも価値は有ると思うので、このまま命を取られてもいいかもしれない。
「ここに呼ばれることを対価とします」
彼女の口にした代価は意外な物だった。召還することって、対価になるのか?
「えっ?それだけで良いの?」
「シュウさんの纏うオーラって、なんか癒やされるような感覚が有るんです。おかげで久しぶりなんですけど、笑顔になれましたにゃん♪」
契約書の様な物を取りだして、小猫ちゃんと契約をした。対価は召還された本人が決めて良いらしかった。
「では、これで正式に契約です」
形式的な手続きが終わると、あぐらをかいている僕の足に、白い仔猫に変化して小猫ちゃん載って来た。これはこれで反則手のかわいさだ。触り心地は夢のようだし。
「本名、白音って言います。ちゃんは要りませんから、白音って呼んでください。シュウさん♪」
白音は僕の顔を見上げるようにしながら、そう言ってきた。猫化しているので、表情は読み取れないけど、声は甘えるような感じだ。
「わかった。白音」
白音の背中を撫でながら答えた。気持ちの良い白音の毛並み。あきもせず撫でていたけど、ウトウトっと…眠くなった来た。僕は白い仔猫と一緒に布団に入り寝た。
夢うつつの中、柔らかな肌に接している僕。僕の唇が優しく奪われていく。こんなに気持ちが良い感覚は初めてだ。段々と股間が熱くなっていく。僕は柔肌の白い肌に口づけをしていく。
「あっ…いい…気持ち良いニャン♪」
背中に胸を密着させる。相手の吸い付くような肌の感触が、僕の前面の肌の神経を目覚めさせる。僕は後ろから相手の胸を恐る恐る手で包み込む。相手の手が僕の手を優しく交わってきた。柔らかな胸、吸い付くような乳首…手の平に幸せがいる感じである。僕のペニスは、柔らかい太ももに挟まれて、至極の快感が伝わってくる。
「成長したら…また抱いてくださいにゃん♪そのときは…私の中に…」
股間から勢いよく暖かい何かが出る感覚で目が覚めた。これが夢精ってものか…初夢精…パンツの中が大変なことになっている。僕は、隣で寝ている白い仔猫を起こさないように、パンツを履き替えにいった。
---
朝起きると、布団の中に白い仔猫がいた。夢では無く、ガールフレンドが出来たようだ。。
昨晩のことを思い返してみる…顔が自然に、にやけてしまう。白音と一緒にいるだけで、あんなに艶めかしい夢を見られるのかぁ。実際にしなくても、とても嬉しい。
白音が起きないよう静かに、朝の日課である気の修練の始める。庭で座禅を組んで、木漏れ日を浴びながら、風や木々などの自然な気を感じるように神経を研ぎ澄ましていく。
何かの気配を後ろ感じて振り向くと、まぶしい笑顔の人型の白音が立っていた。
「シュウさん、おはようございます♪」
「白音、おはよう」
「ごめんなさい。泊まってしまって」
「あやまらないでいいよ。白音と一緒に過ごせて、嬉しかったから」
白音の頭を、撫でながら彼女に言葉を返す。
それから、しばし雑談をしてから、朝ご飯を一緒に食べて、それぞれの学校に登校するのであった…