高校の入学式の朝を迎えた。オーフィスのことは、黒歌にまかせてある。学校へは一緒には連れて行けないから。リアスの転移魔法陣で、学校の傍にあるリアスの家へ。僕と一緒に住む為、今後は通学の為の転移先、駒王町を仕切る為の詰め所的にな役割にするそうだ。
「式典終わって帰宅する前に、旧校舎にあるオカルト研究部の部室に来てね♪私の眷属達を紹介するから」
そう言い終わると、スキップしながら自分の教室の方へ向かっていった。式典は…あっ、寝ちゃった。うん?終わりそうだ…終わったので、クラス分けの掲示を見て、自分の教室へ向かう。
教室の中を見ると、小学校時代の知り合いに似た人物を発見。その人物の前に立ち、名札の名前を確認。やっぱりそうだ。
「イッセー!久しぶり。小学校卒業以来じゃん」
「うん?姓が違うけど、シュウか?」
驚いた顔の人物、兵藤一誠。僕の小学校時代の友人に間違えない。
「そうそう。シュウだよ。両親が離婚して、養子に出されて、育て親の姓だよ」
やっと小学校卒業以来、人間の友人に巡り会えた。
「同じクラスかぁ。また、あれこれしような」
「知らない間にエロ度増えたんじゃないの?もう、僕はそっち系には関わらないからね。この歳でやったら犯罪だよ」
小学校の友人、というか悪友。女子更衣室を覗くための作戦を僕が立てて、イッセーが実行する。時には女性教員の更衣室まで。小学校での将来の夢って題材の作文では『俺はハーレム王になる』って…先生以外、生徒は全員大爆笑。先生は頭を抱えていたっけ。
「まぁ、そういうなよ。相棒♪」
覗きの相棒なんかになりたくないよ。まったく。まして、ハーレム王の友人はちょっとなぁ…
担任の先生が来て、初めてのホームルーム。そして席決め…あっ、イッセーの隣だぁ…先生からの説明が終わり、やっと帰宅時間になった。
「イッセー、また明日な」
「今後のことを語り合うために一緒に帰らないか?」
帰ろうとした僕を呼び止める。
「ごめん。今日はこれから約束があるんだ。じゃぁな。」
イッセーを教室に残し、旧校舎を探した。リアスの用件を早く終わらして、バイトに行かなきゃ。
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旧校舎のオカルト研究部のドアの前にいる。ノックしてドアを開けて中に入ると、ここにも知り合いがいた。
「木場じゃないか」
「うん?シュウか?何でここに?」
怪訝そうに僕の顔を見る知り合い、木場 祐斗。同じ道場で剣の腕を鍛えている仲間だ。
「あら、祐斗と知り合いなの?」
真顔で言うリアス。朝、見た顔と大違いで、眼光が鋭い。
「サーゼクスお兄さんに紹介してもらった沖田さんの道場で腕を鍛えあっている仲間です」
「鍛え合っている?僕の相手にならないくらい弱いじゃないか」
僕を蔑んでみている木場。
「はぁ?僕は木刀なのに、木場は魔剣じゃないか。チートだろ、それって」
「魔剣を造り出すのも能力のうちだよ。沖田さんもいっているだろう?能力出し切って立ち会えって」
そうか…木場は悪魔なのか…体力が僕よりも有ったのはその為か?
「まぁまぁ、お二人とも熱くならないでくださいね」
って、女性の方が間にはいってきた。
「彼女は姫島 朱乃。このオカ研の副部長よ。」
「朱乃って呼んでくださいね」
朱乃先輩は、リアスに負けない程の立派な巨乳…威圧感があるなぁ。木場は面白く無さそうに、僕を睨んでいる。まぁ、スルーしよう。早くバイトに行きたかった僕は、リアスに切り出した。
「で、リアス。用件を早く終わらせてくれないか?僕はバイトに早く行きたいんだけど…」
言っている途中で、木場が魔剣を創造して、切っ先を僕に向けてきた。
「今、部長を名前だけで呼んだよねぇ。お前、失礼だろう?この方はグレモリー眷属の『王』のリアス様だ。そして、魔王輩出家である名門グレモリー家の次期当主様だぞ。この方の『騎士』として、お前を許さない」
「ふ~ん。でも、リアスは僕の眷属の『兵士』だよ」
ちょっと、いじわるっぽく、木場に向けて言う。
「私たちの『王』に向かって、『兵士』とは何ごとだ!」
間違っていない騎士道を振りかざしている木場は、なんか熱い。こんなに熱いやつだっけ?そんな木場を宥めるように
「祐斗、シュウの言う通りよ。私は、シュウの『兵士』になったの」
リアスの言葉を聞いて、リアスに視線を向ける、リアスの眷属達。
「そんな…有り得ない。貴様、リアス様を拐かしたなぁ」
木場の僕に対する殺気が増している。次期当主クラスの悪魔を拐かすって、どんな能力持ちだよ…
「祐斗、おやめなさい」
「いいえ、やめません。リアス様は、こいつに惑わされているのが、わかりませんか?僕は貴様を許さない。貴様を倒して、リアス様を救い出してみせる」
やるしかないかと思って、僕は左手に小型の転移魔法陣を展開して、一振の刀を呼び出し、鞘をベルトに挟んで刀身を抜き、木場の魔剣を叩き折った。折れた事に驚いた木場は、もう一度魔剣を創造して、僕に向かって構えた。
「リアス、言葉で言ってもダメみたいだから、痛い目に遭わせていいよね?」
木場が僕に放つ殺気に、あたふたしているリアス。僕の問いは彼女の耳に届いていないようだ。
「貴様程度の腕で、痛い目に遭わされるような剣の腕ではないぞ。貴様はどこまで侮辱するんだ?」
僕の構えている刀の刀身から、水が浸み出し気化しているので、刀身の周囲の空気が揺らぐ。
「沖田さんに使うなって言われていたけど、ここには沖田さんがいないので、この刀でお前を屠ってやるよ」
刀身を抜いてから話ている間、時間が経つにつれて、朱乃さんと木場は苦しそうな顔をしだした。
「貴様、何をやった?」
苦しげな声の木場。
「僕は何もしていない。ただ、刀身を抜いただけ…この刀は妖刀村雨って言ってね。刀身から聖なる水が浸み出しているんだよ。聖なる水、聖水って悪魔にとって劇薬だろ?」
「なんだとぉ??」
木場は僕の言葉を理解し、顔から血の気が失せていく。
「室内で使うと気化した聖水が充満しだして、沖田さんと木場の命にかかわるから、沖田さんの前では使用禁止にされていたんだよ。究極の悪魔殺しの刀だからさぁ」
「そんな…」
ドサッ!
床に何かが落ちる音がした。音のした方を見ると、荒い息遣いで朱乃さんが倒れていた。
「朱乃先輩が倒れたのは、木場!お前のせいだよ。話を禄に聞かずに切っ先を向けたお前のなぁ」
僕は刀身を軽く振った。浸み出している聖水の水滴が、木場の頬を掠めた。その途端、木場の顔が歪み、両手で顔押さえて、その場に蹲って、うめき声をあげている。水滴が掠めた部分の肉は抉れ、骨から煙が出始めていた。
「お前の負けだ。木場、チェックメイトだよ」
刀身を鞘に戻して、リアスの方を向く。
「リアス、二人を冥界の医療チームに転送してくれ」
頷いたリアスは魔法陣を展開して、二人を冥界へ送り出し、僕は部屋の空気を入れ換えるために窓を全開に開けていった。
「なぁ、リアス。前もってあいつが理解できるように説明してくれなっかったのか?」
リアスに声を掛けた時、開け放した窓に二人で並んで立っていた。
「だって、シュウの知り合いだったなんて知らなかったし、こんな展開になるなんて…」
「避けられる殺生は避けたいよ」
張り詰めた気が緩んだせいもあって、僕は窓枠に項垂れた。
「それよりも、私はピンピンしているんだけど、なんで?」
不思議そうな顔をしたリアスが訊いてきた。
「リアスはまだ転生人間だから、聖水でダメージをまったく受けないよ」
「え?私ってまだ人間なの?」
急に涙目になるリアス。
「今日、バイト先に一緒に来るか?バイト先だと簡単に悪魔に戻せるから」
「どういうこと???」
「来れば、わかるよ」
突然、背中越しに何かの気配を感じて、振り返るとサーゼクスお兄さんがいた。
「おっ…お兄様」
「この学校から冥界への転移を確認したので、来てみたのだが。リアス、説明しなさい」
そんな、サーゼクスお兄さんに、僕は土下座をした。
「ごめんなさい。相手が話しをよく聞かないで、襲ってきそうだった…でも、やりすぎました。リアスは、何も手を出していません。罰するなら僕を罰してください。お願いします」
サーゼクスお兄さんは、僕の身体を起こしてくれて、
「リアスを…妹を庇ってくれて、ありがとう。でも、ここはリアスが部長を務めるクラブの部室だ。責任者はリアスってことになるから、リアスから事情を訊かないといけないんだよ」
そういって、サーゼクスお兄さんはリアスを伴って、どこかへ転移した。