リアスの場合*
---リアス・グレモリー---
玄関に立っている彼は、私を見て固まっていた。
「どうしたの?」
彼に理由を訊いてみた。
「リアスさんって…悪魔なんですか?」
えぇ、そうだけど…
「なんで、分かったの?」
「ここに来る為の転送陣に書かれていた文字って、悪魔文字ですよね?」
今度は私が固まる。この子は、魔法陣の術式が読めるのか?いや、悪魔文字を知っているのか。何者なんだ?
彼の名前は、神内亘(じんないわたる)。私達の通う駒王学園の高等部1年に転入してきたのだが、住む家が無いという。前にいた高校は全寮制であった為で、退学処分になった関係で、即座に住む権利を失ったそうだ。
路頭に迷いそうな彼に救いの手が差し出され、私のお兄様が理事長をしている駒王学園に、編入となったそうだ。そして、お兄様の命令で私の家に置くようにと言い渡され、彼と共に家に転移して来たところなんだけど…
「ねぇ、リアスさん。悪魔の羽が見たいです」
彼の目は輝いているようだ。へ?私が悪魔である事で、恐怖を感じて固まってのでは無く、お願いのタイミングを謀っていたようだ。
「え?」
戸惑いながらも、彼の要望通り、羽を出して見せてあげる。減る物では無いし。
「背中を見せて貰えませんか?羽の生えている背中を見てみたいです」
「えっ?」
そんな要望は初めて言われた。そんなに珍しい事なのか?悪魔のいる世界で育った私には、なんの興味も無い事だったけど。
「こ、ここではダメ…玄関前では、肌は見せられないよ…」
彼の要望に、胸がキュンとする感じがした。この子は何なの?心臓がドクドクと大きな音を立てている気分になり、胸を手で押さえた。
「きっ、君の部屋へ案内するわ。こっちよ」
何かに動揺している私。彼を誘導する為に彼の前を歩いているだけなのに、すごく恥ずかしい気分になっていく。こんなウブなキャラでは無いのに…
彼を彼の部屋へと招き入れた。壁際にキャリーバック2つと背負っていたバックパックを降ろす彼。荷物はこれだけらしい。
「リアスさん、見せてください」
彼は私に頭を下げて、お願いしてきた。見せるだけなら、いいかな?
「わかったわ」
ブラウスのボタンをはずす。何故か指が震えてボタンがうまくはずせない。手間取って、ボタンを外しきると、ブラウスを脱いで床に置き、彼に背中を向けた。
「う~、生羽だ~♪」
背中に接近して見ているのか、彼の息づかいを背中に感じる。あっ…濡れ来た…どうして、これだけの行為なのに…彼には気づかれないように振る舞う。
「もう、いいかしら?」
「触れて良いですか?」
彼のお願いを聞く度に、胸がドキッとする。心地良い痛さではあるけど…パンティが濡れていく。
「良いわよ」
羽に彼の指の感触を感じた。指先をソフトタッチで当て撫でているようだ。ダメっ…平常心が奪われそうな感覚。こんなことは初めてである。
「ふ~ん、ここの骨から羽が出ているのか」
あぁ…肩甲骨周りを触られている。身体の中では、熱い液体がコンコンと湧き出ている気がする。腿の内側が震え始めた。どうしよう…
「そうだ。悪魔に知り合いが出来たら、質問しようと思っていたんですけど、悪魔の出産って、卵ですか?」
はぁい?思わず、私は彼の方を振り向いて、
「おへそがあるし、乳房をあるし、産道もあるのよ。一応ほ乳類なのよ」
おへそを指差し、説明する。しかし、勢い良く振り向いたせいで…腿を液体が伝わり流れる感覚がある。彼の視線を感じる。気づかれたのか?…このまま押し倒されるのか…抵抗する自信が無い。どうしよ~
「へぇ~、おへそ触っていいですか?」
しかし、心配事は起こらなかった。爽やかさを感じるオーラを纏う彼。拍子抜けするくらい、彼からはエロさが感じられない。こんなにグジュグジュになっている私の方がエロすぎる。
「いいわよ」
彼はおへそ部分に近づいて、観察をしている。彼の息が下腹部に…あぁ、ダメかな…悶々さが頭に湧き上がってきた。彼の指がおへそを触る度に、内臓が蠢く。そして、ついに足の力が抜けていき、彼にのし掛かるように倒れた。
え?…ダメっ…動かないで…運悪く、しゃがんでおへそを見ていた彼の鼻先が、私の敏感な部分に命中した。彼の口はパンティ越しではあるが、割れ目の辺りに…今度こそ、濡れているのがバレた…
「リアスさんの香り、味、共に嫌いで無いですよ」
私の肩を優しく抱きしめて、ベッドに私を横たえた彼が言った。味?舐、め、た、の…頭の中が真っ白になっていく。初対面の男性に…悪魔の名門家のお嬢様だと自負していたのに…
頭の中の霞みが消えていくと、私の身体は上下に動いていた。え?なんで?私の視線の先には全裸で横たわっている彼がいて、彼の上で全裸の私が跳ねていた。所謂騎乗位ってやつだ…身体の感覚が戻ってくると、とても気持ちが良い。口元から生暖かい液体が零れて、胸の上に垂れている。恍惚な表情なんだろうな、私って…私の身体の奥深くの部分では、ピストン運動により生じた空気砲が命中しまくっていて、これはこれで気持ち良い。
そして、絶頂を迎えた私は、彼の方へ倒れこんでいく。そんな私の肩を優しく受け止めてくれ、ゆっくりと彼の口に私の口を近づけていく、口同士がドッキングをした。彼の舌が私の口の中に入ってきて、まず、口の中に溜まった生暖かい液体を吸って、飲み込んでくれている。次に唇、そして歯茎、舌の裏、舌の付け根…どれも途轍もなく気持ちが良い。私は彼にされるがままになっている。動きたくても、力がまったく入らず、動けないのだ。私の舌は重力に逆らわず、彼の口の中へと垂れ下がっている。
彼の手は、私のお尻を弄っている。谷間に指を入れ、谷間を広げて、谷間の沢伝いに中指を這わしている。彼からの刺激を総て受け入れていく。その結果、喘ぎ声の代わりに生暖かい液体が、彼の口の中に流れていく。
そんな私にとっての幸せな時間は終わりに近づいていた。
「リアス、どこにいるの?」
私の眷属の朱乃の声が聞こえた。私を心配して、来てくれたのだろうか?そして、この部屋のドアが開けられて…
朱乃が入室したのは、オーラで分かる。でも、朱乃は一言も発しない。どうしたの?何か、声をかけてよ~
無言の時間がだいぶ経ってから、
「り、リアス…どうして…」
朱乃の声が聞こえた。反応したくても、声が出ない。いや、彼の口から離れられない。たぶん、状況から私が騎乗位プレイをして果てたことは明白だろう。脱いだ記憶が無いのだけども、たぶん床にはグショグショに濡れたパンティが落ちているはずだし。
「どうして、こんなことに…」
朱乃の声は震えていた。私が置かれている光景は、ショッキングな物だったのかもしれない。今の私には知ることが出来ないけど。
「ねぇ、君…大丈夫?」
え?私で無くて、彼の心配をしているの?
「リアス…どいてあげて…彼、失神しているわよ…」
え?なんで?思い当たるのは、彼の口に垂れ流していた生暖かい液体。彼の飲み込む速度を上回る湧水量だったのか?
朱乃が私の肩を掴み、起き上がらせようとする。全身に力の入らない私を起こすのは大変なようで、中々私を起き上がらせられないでいる。
「小猫ちゃん、手伝って…」
え?小猫もいるの?声がしていなかったでしょ?肩に小猫の小さな手の平の感覚がある。二人の手助けで、私は起き上がった。
「小猫ちゃん、リアスを支えていて」
朱乃は、まず彼の顔を横にして、彼の口の中に溜まっていた液体を、外へと流し出した。
「こんなに…」
驚く朱乃。いや、私も驚いている。あんなに大量に流し込んだのか。次に首を元の位置に戻して、彼に人工呼吸を施している。
「大丈夫?ねぇ、息を吹き返して」
朱乃の悲痛な声が、部屋に響き渡る。
「リアス、そこをどいて!」
退きたくても、退けない…刺さったままだ。状況を朱乃に伝えられない。朱乃が、私の身体をチェックし出した。
「えっ…ち、ちょっと…リアス、あなた…」
絶句気味の朱乃の震える声。え?何が起きているの?
「まずいな…これだと、電気ショックを与えられないなぁ…」
少し考えてから、朱乃が誰かに会話用魔法陣で連絡をした。現れたのはお兄様だった。頭を抱えたお兄様。
「リーア…なんてことを…」
私の股間に手を当て、
「痙攣しているね。これだと無理に抜けないなぁ。彼の身が危ないし。冥界の医療機関に転送しよう」
え?ちょっと待って…この姿で転送って有り得ないでしょ?
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退院してから、お兄様にたっぷりと説教をいただいた。私は彼より早く退院でき、汚してしまった彼の部屋を掃除をして、彼の退院を待った。
掃除かぁ…自分の部屋の掃除すらしたことが無いのに。何で彼の為にこんなにも献身的に働いているのかな?自分で自分に疑問を持った。答えは出ないけど。
リビングで、朱乃、小猫、私で、今回の件の話し合い。この家には、私と彼以外に、私の眷属である朱乃と小猫も住んでいるのだ。
純血悪魔で名門家の娘である私は、上級悪魔として眷属という物を持つことが許されている。眷属にするには、チェスの駒を模した悪魔の駒という物を対象者に入れることで、眷属にできるのだ。駒は『女王』『戦車』『僧侶』『騎士』『兵士』と、価値の違う駒がある。眷属にする者の価値により、入れられる駒は制限されることになる。
「リアス、事情はサーゼクス様から聞いたわ。不可抗力だったのね」
サーゼクスとは私のお兄様で、4大魔王の内の一人で、『ルシファー』
の名を頂いている。
冷たい視線で私を見る朱乃と小猫。姫島朱乃は私の眷属で『女王』である。学校では私と同じ学年で、種族は人間と堕天使のハーフである。
塔城 小猫も眷属で『戦車』である。学校では2学年下である。種族は猫又という妖怪である。
「引っ越して来た日に、入院とは…あの方も災難でしたよね」
「もう!不可抗力なのよ。私には責任は無いのよ。分かっている?」
冷たい視線攻撃は止まらない。
「唾液責めで相手を窒息死寸前って、何のプレイなの、リアス?」
好きで唾液責めした訳では無い。それにプレイでは無い。ただ…
「だって…気持ち良かったんだよ…」
あの時の記憶が甦り、耳が熱くなり、顔を俯せる私。
「えぇ、気持ち良かったみたいですよね、リアス先輩。あんな恍惚な表情のリアス先輩の顔は見たこと無いですから」
小猫が軽蔑したような言い方をした。それについては反論できない。性欲に飲まれたのは、私の責任だ。だけど…気持ち良かったなぁ…あぁ、また彼と…
「で、リアス。彼をどうするつもり?」
朱乃が話題を変えてきた。
「どうする?」
また抱き合いたい…顔が熱い。真っ赤になっているのかな…
「リアス、そういう意味で無くて…彼の待遇よ。眷属にするの?」
出来れば、私が彼の下僕に成りたい…
「ねぇ、まさか…マジ惚れ?…リアスが…」
私の表情から、私の気持ちを察してくれた朱乃が、絶句気味だ。意外かな?そこにお兄様が転移してきた。
「リアス、彼をどうしたいんだ?」
開口一番、お兄様が朱乃と同じ様なことを言う。
「一緒にいたい。ずっと、傍にいたい…」
正直な気持ちをお兄様に伝えた。
「う~む…彼がね、今回、リアスに恥をかかせてしまったから、俺達の前から消えるって言うんだよ」
消える…いやだ~!
「恥なんかかいていないもん!」
「彼はそう思っているんだ。で、彼をどうしたいんだ?具体的にさぁ」
具体的…顔が益々熱くなっていく気がする。
「サーゼクス様、リアスはマジ惚れみたいですよ」
朱乃が説明をしてくれた。
「そうだろうな。リーアが異性に対して、あんな積極的に出たのを初めて見たもん」
お兄様が苦笑い気味に言った。入院中にも聞いたけど、残留思念を探査した結果、私が性欲に負けて、全裸になった挙げ句、彼を全裸にして、押し倒したことが判明した。
「結婚…したい…彼が何者であっても…」
判明した事実からの私の決意をお兄様に伝えた。
「彼を眷属にするかい?現状なら兵士の駒4つでいけるが」
え?4つも?何かの能力持ち?
「彼は能力持ちなの?」
お兄様に聞いた。
「まぁ…なぁ…」
お兄様にしては、歯切れの悪い返答であった。
「どんな?」
「平常時であれば、兵士の駒4つだ。敵対心を発動すると、眷属にできなくなる。その程度の能力だ」
それって、戦闘状態だと、私を超える可能性が有るの?
「彼を眷属にするには注意事項がある。彼を怒らせないことだ。怒らせてキレた場合、俺でも殺される自信があるから」
ジョークでは無さそうだ。真面目な顔でそう言ったお兄様。
「彼の最大の怖さは、ノーアクションからの攻撃だ」
「魔法使いですか?」
「違う。彼は陰陽師だ」
「陰陽師?神内って家は聞いたことが無いですけど」
そっち系に詳しい朱乃が口を挟んだ。朱乃の家は代々神社で、お母様は巫女さんだった。
「それは彼が絶縁されたから、祖母の旧姓を使っているそうだ。彼の本名は神代亘(じんだいわたる)だ」
「神代家…神の代理のような力を持つ…あそこですか…」
朱乃の顔から血の気が引いていく。そんなに凄い家の出なのか?朱乃の質問に、頷くお兄様。
「彼は陰陽師となることを拒み、絶縁された。忌み嫌われた結果では無く、彼の為の処置だそうだ。絶縁しないと彼に好きな道を歩んで貰えないと、神代本家の者達の総意だそうだ。陰陽師としての能力は、神代本家の当主を凌ぐそうだよ。本来、儀式を執り行い、その力を発揮する者である陰陽師であるが、彼はノーアクションで、いかなる場所でも術を発動できるそうだ。その上、術式プログラマーであり、相手の魔法陣をリバースさせることも得意だそうだよ」
陰陽師…悪魔なんか簡単に消されちゃうじゃん…でも、彼は私の香り、味共に嫌いじゃないって言ってくれた。
「彼に尽くします。ですから…お願いです。彼を私の眷属に、形だけでもさせてください」
お兄様に頭を下げた。
「だそうだけど、亘君、どうする?」
え?お兄様の声がシリアスモードからホノボノモードになっている。
「恥をかかせた僕を許して貰えるなら、ここに置いてください。リアスさん、お願いします」
彼は私に土下座をした。え…ここは私が謝る場面だよ~
「じゃ、リアスの兵士の駒を4つ入れるよ」
お兄様はいつの間にか、私の悪魔の駒の『兵士』を4つ持っていて、それを彼に入れた。彼に入る瞬間、駒は色を変えて、彼に吸い込まれて行った。
「驚いたなぁ…入る瞬間に変異の駒に変化したぞ」
お兄様は目を見開いていた。いや、私達全員がその光景を、驚きの目で見ていた。
「これで、僕も羽が生えるのかな?」
あの不思議大好き少年の目のようになった彼。そして、彼の背中には…え?なんで?…彼の背中には見た事のない羽というより翼が生えた。
「う~む…あれって、初代ルシファーの持っていた翼のようだな」
純白の翼の所々がライン状にドス黒くなっている。
「あっ、マズイ。リーア、彼に抱きついて、落ち着かせろ!」
言われた通りに、彼に抱きつき、『ごめんなさいごめんなさいごめなさい』と謝り続けた。
「リアスさん、もう大丈夫だよ。やっと、身体に潜む魔を手懐けたから」
暫くすると、彼の方から抱きついてくれた。
「亘…ずっと、傍にいるからね」
「僕もリアスさんの傍にいます。リアスさんの…好きですから」
無言な箇所は念話で飛んで来た。顔も耳も熱くなっていく。
「リーア…注意事項を忘れるなよ」
お兄様は笑顔で帰って行かれた。
こうして、私と亘の前途多難なハイスクール生活が始まった。