異世界時間で120日経過して、一旦戻ることにした。ヴァイラには、袋に入ってもらって、『ルーラ』で帰還。
「みんな、ただいま!」
「おかえり♪」
「今日からヴァイラも、一緒に生活するからよろしくね」
新しい住民のことを、皆に説明した。それから、袋からヴァイラを取り出すと、彼女が話し掛けてきた。
「シュウ君、私の親に会いに行って貰えますか?」
あぁ、責任を取るってことかな?親御さんの承諾を取るんだな。
「いいよ。お供は、オーフィスとアポ。一緒に来てくれるかな」
「我 シュウ 護る」
「オーフィスと私がいれば、冥界相手でも勝てると思う」
僕もそう思うよ、アポ。
「あと、ライザー。一緒に来て、誤解を解いてくれるかな?」
「あぁ、恩を少しでも返したいから、喜んでついて行くよ」
ヴァイラの転移魔術で、アガレス家に飛んだ。
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転移して出た先は、大公アガレスさんの目の前だった。何故か、焼き鳥オヤジもいるなぁ。
「君達は、一体?シーグヴァイラ、どうして、この者といる?」
ヴァイラと共に、現れた僕達に対して、怪訝な視線を送ってきたアガレスさん。
「ライザー、お前まで何故だ?あの危険な人間といるのだ?」
焼き鳥オヤジは完全に、僕を危険人物だと言い切っているようだ。
「「眷属なんだから、護衛するのは務めです」」
ヴァイラとライザーが揃って、それぞれの父親に言い放った。
「シーグヴァイラよ、眷属とは?」
アガレスさんが、ヴァイラに訊いた。『王』が眷属になるなんて、異常事態だろうな。
「私は、シュウ様の眷属『兵士』に成りました。この先、一生彼の護衛をいたします、お父様」
「そやつが、危険人物であってもか?」
「シュウ様は危険な方ではありません。むしろ、優しさを表現するのが、不器用なだけです」
僕って不器用だったのかぁ。
「大公アガレス殿、騙されてはいけません。ソイツはペテン師です」
「騙しているのは、親父の方だろ?なんで、恩を仇で返すんだよ。俺とレイヴェルが恩義を感じている人物を、なんで危険人物にするんだ?俺にはそれがわからない」
自分の父親に喰って掛かるライザー。
「お前らは騙されているんだ。それが解らないのか?」
「どう騙されたっていうんだ?説明してくれるかな、親父」
「フェニックス卿、ライザー君の言っていることは、本当ですかな?」
冷静な口調のライザーの言葉を受けて、アガレスさんが焼き鳥オヤジに尋ねた。
「いや、息子達は騙されたことに、気づいていないだけです」
「ねぇ、埓開かないから、こんなうざい世界は無くしちゃおうよ」
アポ、それは過激だって。良い悪魔もいるんだし…
「これが、こいつらの正体。冥界相手に勝てるっていうホラ吹きの集まりですぞ」
勝ち誇ったような焼き鳥親父。ふざけるなよ~!
「黙って聞いていれば、ほんとにウザったいオヤジだな?だから、レイヴェルが家出して、うちに来たんじゃないのか?」
キレかかった僕が、焼き鳥オヤジに文句を言う。
「レイヴェル君が家出?誘拐されたって…」
アガレスさんこそ、焼き鳥オヤジに騙されているみたいだ。
「誘拐されたのなら、俺はその犯人と一緒になんか、ここに来ないと思うけど。その辺はどう誤魔化すんだ、オヤジ?」
「あと、冥界相手に勝てるって言うのは、本当だよ。ここにいる仲間だけも、半壊にできるんじゃないかな?」
転移魔法陣が現れて、サーゼクスお兄さんが現れた。
「膨大なオーラを感じて来てみれば、一触即発に近い状況みたいだね。シュウ君」
「だって、ライザーの親父さんが、僕の事を嘘つきとか、危険人物だとか、挙げ句の果てに、レイヴェルを誘拐したとか難癖つけすぎるから」
「大公アガレス殿、どうしてこうなるんですか?とっても、危険なオーラを感じますが」
僕の言葉を受け入れて、アガレスさんに状況を確認しているサーゼクスお兄さん。
「それは…そいつらが危険人物な証拠だ」
お兄さんは大公様に尋ねているんだ。焼き鳥オヤジは黙っていて欲しいぞ。
「ねぇ、サーゼクスお兄さん。そこの焼き鳥オヤジは人の話を聞く気が無いみたいだし、僕が危険人物で無いといけないみたいなんだ。こいつらを屠って良いかな?」
「シュウ君、この埋め合わせは今度するから、ここはお兄さんに任せてもらえないかな?」
僕とお兄さんの会話に割り込む焼き鳥オヤジ。
「無礼だぞ!私のことを、焼き鳥オヤジと言うとは。その無礼さは死に値する。この場で貴様の首をはねてやるからな!」
剣を抜くフェニックス卿。それを見て反応するオーフィスとアポ。オーフィスは黒いドラゴンに、アポは紅い巨大なドラゴンに龍化した。あまりの大きさに、部屋が崩壊していく。お屋敷自体も崩れ始めている。
「脱出しろ!!!」
お兄さんの声で、お屋敷にいた者は総て脱出した。崩れたお屋敷跡に佇むドラゴン2匹。
お兄さん、大公、フェニックス卿は固まって脱出していた。
「何だ…あのドラゴンは?見た事が無い」
アガレスさんは見たことが無いんですね。
「だから、シュウ君に危害を及ぶようなことを、しないでくれと頼んだはずですよ、大公殿」
「面目ない」
お兄さんの言葉に頭を下げるアガレスさん。
「まだ、彼の護衛組だけでこの被害だぁ、攻撃組が来たら、冥界は滅びるぞ。フェニックス卿、どう責任をとってくれるんでしょうか?」
「…」
お兄さんの言葉に、返す言葉が無い焼き鳥オヤジ。避難した三人の前に、僕と守護役のヴァイラ、ライザーが近づいていった。
「シュウ君、あのドラゴンは?」
お兄さんに訊かれた。
「『無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)』オーフィスと『真なる赤龍神帝(アポカリュプス・ドラゴン)』グレートレッドです」
お兄さんに、僕の側近を紹介した。
「なんだって??オーフィスとグレートレッドだと…そんなのが、仲間なのか?」
驚いているアガレスさん。
「ドラゴンなら、もう少し呼べますよ」
ティアさんとサマエルを龍門から出現してもらった。
「今度はなんだ?」
「『天魔の業龍(カオス・カルマ・ドラゴン)』ティアマットと『悪魔喰者(ホーリードラゴン)』サマエルです♪」
焼き鳥オヤジは、サマエルの聖なるオーラに触れ、腰を抜かしているようだ。
「サーゼクスお兄さん、その焼き鳥オヤジから、正式な謝罪文書の提出と、今後、僕達に根も葉もないでっち上げ話を、押し付けないことを約束してくれたら、引きます」
「出来なかったら?」
「残念ですが、ここは一度リセットします。たぶん、今来てくれている4匹だけで、事足りると思いますが、戦力足りなければ、もう少しドラゴンを呼びます」
「まだ、ドラゴンがいるのか?」
「います」
アガレスさんの問いに答えた。その時、僕の隣に転移魔法陣が現れて、リヴァさんが転移してきた。
「ティアが呼ばれたので来てみたよ。これは壮大な風景だなぁ」
龍化したアポを、見上げるようにして眺めるリヴァさん。
「レヴィアタン様」
お兄さんがリヴァさんに跪く。
「魔王様、その方は?」
アガレスさんがお兄さんに尋ねた。
「大公殿、先代魔王のレヴィアタン様です」
アガレスさんと焼き鳥オヤジが、リヴァさんに跪く。
「サーゼクスよ。何故、私のマスターが怒りのオーラに塗れているのかな?」
「私の力が及ばなかったようです。すみません!」
「どうする?このままだと、冥界は壊滅だけど」
「それは困ります」
「今日のところは、私がマスターを連れて帰るが、詫び状を持って来い!!現魔王と大公の全員のサイン入りでだ。今後、私達のマスターに、怒りのオーラを纏わせない事を誓うように。良いなぁ」
「わかりました」
リヴァさんはお兄さんと、政治的な大人の会話をしてくれた。
「シュウ、帰ろう。私達の家に。怒りのオーラは君には似合わないよ。オーフィス、アポ、他の皆も家に帰ろう。仲間が待っている我らの家に!」
リヴァさんの転移術で、僕達は家に転移した。
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僕は黒歌からもらった鎮静剤を飲んで、部屋で休んでいる。怒りのオーラがまだ消えない。そんな僕に対して、黒歌と白音が気功で、緊張を解してくれている。この二人のおかげで、徐々に怒りのオーラは、しぼみ始めた。
2階のリビングでは、詫び状を持って来た現四大魔王様と大公様が来ていた。僕はこんな状態なので傍聴するだけで、交渉はリヴァさんが、代わりにしてくれている。彼女の後方には、僕の眷属の『王』クラスの4名が立っている。
「早速、詫び状を持って来たな。次は無いと思え。私達のマスターは、可哀想に怒りのオーラがまだ消えない。その位、怒らしたのだからな。肝に命じておけ!」
「「すみませんでした」」
魔王様達とアガレスさんが謝罪しているのが聞こえる。
「で、焼き鳥オヤジの処遇はどうするのだ?アガレスよ」
「今後、隠居をすすめる方向です」
「で、お詫びの品は?サーゼクスよ」
「すみません。ご用意して来ませんでした」
「では、こちらから要求を出して良いか?」
「叶えられる事であれば。」
「ジズとベヒモスを、私のマスターの眷属にしたい。居場所を教えてくれないか?」
リヴァさんが要求を魔王様達に提示した。
「陸の魔獣王ベヒーモスなら、私の眷属にいます。天空の魔鳥ジズは天界の一角を借りて隠居生活しているようです」
と、お姉さん。
「天界?困ったなぁ。忍び込むかな?」
「天界と問題を起こさないでください」
お兄さんの困ったような声が聞こえる。
「見つかるヘマはしないよ」
「それよりも、レヴィアタン様に見て貰いたい物があるのですが」
サーゼクスお兄さんは、古びた箱を取り出し、蓋を開けた。そこには天使の羽が1枚、大事そうに入っていた。
「これは、初代アガレスの物じゃないか。あいつは未練が有ったのかな」
「なんですって??」
声が裏返る程、驚くアガレスさん。
「なんだ、知らないのか?アガレスよ。自分の先祖の事を」
「どういうことですか?」
「そういうことだ」