※この作品はR-18です。

神器なき男 (再編集版)   作:もっち~!

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冥界危機一髪

 

 

異世界時間で120日経過して、一旦戻ることにした。ヴァイラには、袋に入ってもらって、『ルーラ』で帰還。

 

「みんな、ただいま!」

 

「おかえり♪」

 

「今日からヴァイラも、一緒に生活するからよろしくね」

 

新しい住民のことを、皆に説明した。それから、袋からヴァイラを取り出すと、彼女が話し掛けてきた。

 

「シュウ君、私の親に会いに行って貰えますか?」

 

あぁ、責任を取るってことかな?親御さんの承諾を取るんだな。

 

「いいよ。お供は、オーフィスとアポ。一緒に来てくれるかな」

 

「我 シュウ 護る」

 

「オーフィスと私がいれば、冥界相手でも勝てると思う」

 

僕もそう思うよ、アポ。

 

「あと、ライザー。一緒に来て、誤解を解いてくれるかな?」

 

「あぁ、恩を少しでも返したいから、喜んでついて行くよ」

 

ヴァイラの転移魔術で、アガレス家に飛んだ。

 

-----

 

転移して出た先は、大公アガレスさんの目の前だった。何故か、焼き鳥オヤジもいるなぁ。

 

「君達は、一体?シーグヴァイラ、どうして、この者といる?」

 

ヴァイラと共に、現れた僕達に対して、怪訝な視線を送ってきたアガレスさん。

 

「ライザー、お前まで何故だ?あの危険な人間といるのだ?」

 

焼き鳥オヤジは完全に、僕を危険人物だと言い切っているようだ。

 

「「眷属なんだから、護衛するのは務めです」」

 

ヴァイラとライザーが揃って、それぞれの父親に言い放った。

 

「シーグヴァイラよ、眷属とは?」

 

アガレスさんが、ヴァイラに訊いた。『王』が眷属になるなんて、異常事態だろうな。

 

「私は、シュウ様の眷属『兵士』に成りました。この先、一生彼の護衛をいたします、お父様」

 

「そやつが、危険人物であってもか?」

 

「シュウ様は危険な方ではありません。むしろ、優しさを表現するのが、不器用なだけです」

 

僕って不器用だったのかぁ。

 

「大公アガレス殿、騙されてはいけません。ソイツはペテン師です」

 

「騙しているのは、親父の方だろ?なんで、恩を仇で返すんだよ。俺とレイヴェルが恩義を感じている人物を、なんで危険人物にするんだ?俺にはそれがわからない」

 

自分の父親に喰って掛かるライザー。

 

「お前らは騙されているんだ。それが解らないのか?」

 

「どう騙されたっていうんだ?説明してくれるかな、親父」

 

「フェニックス卿、ライザー君の言っていることは、本当ですかな?」

 

冷静な口調のライザーの言葉を受けて、アガレスさんが焼き鳥オヤジに尋ねた。

 

「いや、息子達は騙されたことに、気づいていないだけです」

 

「ねぇ、埓開かないから、こんなうざい世界は無くしちゃおうよ」

 

アポ、それは過激だって。良い悪魔もいるんだし…

 

「これが、こいつらの正体。冥界相手に勝てるっていうホラ吹きの集まりですぞ」

 

勝ち誇ったような焼き鳥親父。ふざけるなよ~!

 

「黙って聞いていれば、ほんとにウザったいオヤジだな?だから、レイヴェルが家出して、うちに来たんじゃないのか?」

 

キレかかった僕が、焼き鳥オヤジに文句を言う。

 

「レイヴェル君が家出?誘拐されたって…」

 

アガレスさんこそ、焼き鳥オヤジに騙されているみたいだ。

 

「誘拐されたのなら、俺はその犯人と一緒になんか、ここに来ないと思うけど。その辺はどう誤魔化すんだ、オヤジ?」

 

「あと、冥界相手に勝てるって言うのは、本当だよ。ここにいる仲間だけも、半壊にできるんじゃないかな?」

 

転移魔法陣が現れて、サーゼクスお兄さんが現れた。

 

「膨大なオーラを感じて来てみれば、一触即発に近い状況みたいだね。シュウ君」

 

「だって、ライザーの親父さんが、僕の事を嘘つきとか、危険人物だとか、挙げ句の果てに、レイヴェルを誘拐したとか難癖つけすぎるから」

 

「大公アガレス殿、どうしてこうなるんですか?とっても、危険なオーラを感じますが」

 

僕の言葉を受け入れて、アガレスさんに状況を確認しているサーゼクスお兄さん。

 

「それは…そいつらが危険人物な証拠だ」

 

お兄さんは大公様に尋ねているんだ。焼き鳥オヤジは黙っていて欲しいぞ。

 

「ねぇ、サーゼクスお兄さん。そこの焼き鳥オヤジは人の話を聞く気が無いみたいだし、僕が危険人物で無いといけないみたいなんだ。こいつらを屠って良いかな?」

 

「シュウ君、この埋め合わせは今度するから、ここはお兄さんに任せてもらえないかな?」

 

僕とお兄さんの会話に割り込む焼き鳥オヤジ。

 

「無礼だぞ!私のことを、焼き鳥オヤジと言うとは。その無礼さは死に値する。この場で貴様の首をはねてやるからな!」

 

剣を抜くフェニックス卿。それを見て反応するオーフィスとアポ。オーフィスは黒いドラゴンに、アポは紅い巨大なドラゴンに龍化した。あまりの大きさに、部屋が崩壊していく。お屋敷自体も崩れ始めている。

 

「脱出しろ!!!」

 

お兄さんの声で、お屋敷にいた者は総て脱出した。崩れたお屋敷跡に佇むドラゴン2匹。

 

お兄さん、大公、フェニックス卿は固まって脱出していた。

 

「何だ…あのドラゴンは?見た事が無い」

 

アガレスさんは見たことが無いんですね。

 

「だから、シュウ君に危害を及ぶようなことを、しないでくれと頼んだはずですよ、大公殿」

 

「面目ない」

 

お兄さんの言葉に頭を下げるアガレスさん。

 

「まだ、彼の護衛組だけでこの被害だぁ、攻撃組が来たら、冥界は滅びるぞ。フェニックス卿、どう責任をとってくれるんでしょうか?」

 

「…」

 

お兄さんの言葉に、返す言葉が無い焼き鳥オヤジ。避難した三人の前に、僕と守護役のヴァイラ、ライザーが近づいていった。

 

「シュウ君、あのドラゴンは?」

 

お兄さんに訊かれた。

 

「『無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)』オーフィスと『真なる赤龍神帝(アポカリュプス・ドラゴン)』グレートレッドです」

 

お兄さんに、僕の側近を紹介した。

 

「なんだって??オーフィスとグレートレッドだと…そんなのが、仲間なのか?」

 

驚いているアガレスさん。

 

「ドラゴンなら、もう少し呼べますよ」

 

ティアさんとサマエルを龍門から出現してもらった。

 

「今度はなんだ?」

 

「『天魔の業龍(カオス・カルマ・ドラゴン)』ティアマットと『悪魔喰者(ホーリードラゴン)』サマエルです♪」

 

焼き鳥オヤジは、サマエルの聖なるオーラに触れ、腰を抜かしているようだ。

 

「サーゼクスお兄さん、その焼き鳥オヤジから、正式な謝罪文書の提出と、今後、僕達に根も葉もないでっち上げ話を、押し付けないことを約束してくれたら、引きます」

 

「出来なかったら?」

 

「残念ですが、ここは一度リセットします。たぶん、今来てくれている4匹だけで、事足りると思いますが、戦力足りなければ、もう少しドラゴンを呼びます」

 

 

「まだ、ドラゴンがいるのか?」

 

「います」

 

アガレスさんの問いに答えた。その時、僕の隣に転移魔法陣が現れて、リヴァさんが転移してきた。

 

「ティアが呼ばれたので来てみたよ。これは壮大な風景だなぁ」

 

龍化したアポを、見上げるようにして眺めるリヴァさん。

 

「レヴィアタン様」

 

お兄さんがリヴァさんに跪く。

 

「魔王様、その方は?」

 

アガレスさんがお兄さんに尋ねた。

 

「大公殿、先代魔王のレヴィアタン様です」

 

アガレスさんと焼き鳥オヤジが、リヴァさんに跪く。

 

「サーゼクスよ。何故、私のマスターが怒りのオーラに塗れているのかな?」

 

「私の力が及ばなかったようです。すみません!」

 

「どうする?このままだと、冥界は壊滅だけど」

 

「それは困ります」

 

「今日のところは、私がマスターを連れて帰るが、詫び状を持って来い!!現魔王と大公の全員のサイン入りでだ。今後、私達のマスターに、怒りのオーラを纏わせない事を誓うように。良いなぁ」

 

「わかりました」

 

リヴァさんはお兄さんと、政治的な大人の会話をしてくれた。

 

「シュウ、帰ろう。私達の家に。怒りのオーラは君には似合わないよ。オーフィス、アポ、他の皆も家に帰ろう。仲間が待っている我らの家に!」

 

リヴァさんの転移術で、僕達は家に転移した。

 

-------

 

僕は黒歌からもらった鎮静剤を飲んで、部屋で休んでいる。怒りのオーラがまだ消えない。そんな僕に対して、黒歌と白音が気功で、緊張を解してくれている。この二人のおかげで、徐々に怒りのオーラは、しぼみ始めた。

 

2階のリビングでは、詫び状を持って来た現四大魔王様と大公様が来ていた。僕はこんな状態なので傍聴するだけで、交渉はリヴァさんが、代わりにしてくれている。彼女の後方には、僕の眷属の『王』クラスの4名が立っている。

 

「早速、詫び状を持って来たな。次は無いと思え。私達のマスターは、可哀想に怒りのオーラがまだ消えない。その位、怒らしたのだからな。肝に命じておけ!」

 

「「すみませんでした」」

 

魔王様達とアガレスさんが謝罪しているのが聞こえる。

 

「で、焼き鳥オヤジの処遇はどうするのだ?アガレスよ」

 

「今後、隠居をすすめる方向です」

 

「で、お詫びの品は?サーゼクスよ」

 

「すみません。ご用意して来ませんでした」

 

「では、こちらから要求を出して良いか?」

 

「叶えられる事であれば。」

 

「ジズとベヒモスを、私のマスターの眷属にしたい。居場所を教えてくれないか?」

 

リヴァさんが要求を魔王様達に提示した。

 

「陸の魔獣王ベヒーモスなら、私の眷属にいます。天空の魔鳥ジズは天界の一角を借りて隠居生活しているようです」

 

と、お姉さん。

 

「天界?困ったなぁ。忍び込むかな?」

 

「天界と問題を起こさないでください」

 

お兄さんの困ったような声が聞こえる。

 

「見つかるヘマはしないよ」

 

「それよりも、レヴィアタン様に見て貰いたい物があるのですが」

 

サーゼクスお兄さんは、古びた箱を取り出し、蓋を開けた。そこには天使の羽が1枚、大事そうに入っていた。

 

「これは、初代アガレスの物じゃないか。あいつは未練が有ったのかな」

 

「なんですって??」

 

声が裏返る程、驚くアガレスさん。

 

「なんだ、知らないのか?アガレスよ。自分の先祖の事を」

 

「どういうことですか?」

 

「そういうことだ」

 

 

 

 

 

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