お昼休み、僕は恐る恐る弁当箱の蓋を開けた…目に入ってきたのは、巨大なフランクフルトのタコさん。イッセーのは普通のタコさんウィンナー。巨大な厚焼き玉子、しかも硬い。イッセーのはふわふわの厚焼き玉子…なにもかも巨大で硬そう。はぁ~、せっかく作ってくれたんだから、意地でも全部食べますけど。はぁ~。溜息ばかりしか出やしない。
食べ終わると、予想以上に顎あごが疲れた。明日からは止めて貰おう。そんな苦難な食休みを過ごしていると、桐生が寄ってきた。
「イッセーは今、どこに住んでいるのさぁ」
「どこでもいいだろう?」
「昨日、イッセーの家に行ったら、学校の傍で、友達とルームシェアしているって言われたわよ。友達って、シュウしかいないよね?」
なんで話を僕に振るんだ?
「イッセーには、桐生がいるだろう」
「私は彼とは一緒に住んでいない。で、シュウの家に遊びに行きたいんだけど、どこ?」
何がしたいんだ、コイツは?
「はぁ?なんで、お前が僕の家に遊びに来るの?理由は??」
「イッセーの住んでいる環境が見たいのよ。」
「なんで?俺の住んでいる環境?見せられる訳ないだろう。プライベートの侵害だぞ」
「まさか、異性と暮らしていたり?」
「一人部屋だよ」
「なら、見せられるでしょ?」
「無理無理」
「そう、ならイッセーの両親に、年上の女性と暮らしているってチクろうかな?」
「暮らしていないって」
休み時間終了のチャイムが鳴る。桐生は粘着質なのか?それとも、イッセーに惚れているのか?こいつって、トラベルメーカーな予感がする…
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放課後、4人でオカ研の部室に向かうが、またつけられているみたいだ。3人を先に行かして、僕が一人が囮になる。後ろにいるのは、桐生みたいだ。家を探す気が満々なのだろう。僕は生徒会室に向かい、室内に入った。
「椿姫、よぉ!」
「あっ、シュウ君」
「ソーナは奥かな?」
「そうです」
僕は奥の部屋に入る。ソーナが書類の山と格闘していた。
「ソーナ、ごくろうさま」
「シュウ君。どうしたの?」
「つけられていてね。ここから転移していいかな?」
「いいわよ。いつでも利用してね。」
お礼の代わりにソーナの額に口づけをする。そして、僕は転移した。
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バイト先にて
「駒の属性を本体依存に出来ますか?」
最近、考えていた事を社長に訊いてみる。
「うん?どういう事かな?」
「僕の駒って、基本転生人間だけど、設定によっては転生悪魔にもなりますが、駒の宿主の属性を通す事って出来たらいいなぁって。例えば、リヴァさんならドラゴンで、黒歌なら猫しょうって具合になれば、それぞれの特性が活かせるって思うんです」
「それは良いアイデアだね。転生悪魔だと、君の聖水の噴水攻撃で全滅しちゃうかもしれないものな。うん、考えてみるよ」
「ありがとうございます」
今日は来客もなく、平穏無事に仕事をこなせた。
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家に帰って、リアスを探す。自分の部屋で、料理のレシピ本を読んでいるリアスを発見。
「リアス、頼むから、お弁当を作らないで」
「まずかったの?」
目を見張って僕を見た。
「硬かった。人間の顎は柔だから、とっても疲れたよ。」
リアスは両手で、僕のあごをマッサージし始めた。
「作るなら、朱璃さんにちゃんと習ってつくってね」
「そうだわね。同じ素材と同じような食感を目指してみるよ」
僕はリアスの額に口づけをした。
「なんで?額?」
顔を赤らめているが、気に入らないみたいだ。
「嫌なら、しない」
「嫌じゃないけど、ちゃんとしてね」
目を閉じて顎を上げて、唇を突き出すようにしているリアスに、デコピン一発!
「痛っ、なんでよぉ~」
「いや、なんとなく…」
そして、なんとなく夜は過ぎていく。
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次の日の昼休み、知らない女子生徒が教室を覗いている。
「いた、あいつだぁ!」
って、声がした。誰かが何か悪さしたのか、って思っていたら、二人の知らない女子生徒が、僕の前にいた。
「あなた、ちょっと、顔を貸しなさい」
はぁ?なんだ、こいつら。
「貸さないよ。知らない人に、ついて行っちゃダメって、言われているから」
「あんたは、子供か?」
「子供ですよ。まだお酒もたばこもダメだし、選挙権すらないですし」
「ふざけたやつだ!」
イラだった相手が、僕の胸倉を掴もうとした時、ヴァイラとヴァーリが間に入る。
「彼に何の用かしら?残念ながら、恋人募集はしていないわよ」
「そんなにオーラを溜めて、何しようっていうのかな?」
「あなた達は、こいつの何??」
「「ガードだ」」
「「えっ?」」
驚いている名の知らない二人の女生徒。
「イッセー、次の授業、僕ら三名は気分が悪いから、外の空気吸ってくるって、言っておいてくれるかな?」
「あいよ」
僕達は教室を後にした。そして、人気の無い旧校舎の裏手に来た。うっそうと草が茂った森の一角。
「まず、お前ら誰だ?僕は面識が無いぞ」
「私は、巡 巴柄。彼女は由良 翼紗」
「巡さん達は、僕に何の用かな?」
「私達は放課後、生徒会を手伝っている。あなた、昨日、新羅副会長と、支取会長を敬称無しの上に、名前で呼んだわね?それって、失礼だと思わないの?彼女達は、先輩だよ」
そういうことか…
「シトリー眷属か?」
言い当てられて、驚く二人。
「どうしてそれを?あなた達も悪魔?」
うん?知らないでケンカを売りに来たのか?
「僕達は人間だよ。転生人間。君達、転生悪魔とは違う」
僕の返答に戸惑う巴柄。
「あなた達は何者?」
「相手の正体を知らずに、ケンカ売っているの?眷属の『王』のソーナが聞いた、嘆くわよ」
呆れたように、ヴァイラが言葉を漏らした。
「力づくで、わからせてあげるわ」
巴柄は日本刀を構え、翼紗は体術かな?
「ヴァイラは巴柄、ヴァーリは翼紗の相手してくれるかな?」
「「了解!」」
ヴァイラはレイピアを構えた。ヴァーリはバランスブレイク(禁手)した。
「まさか、噂で聞いた白龍皇?」
禁手化したヴァーリに驚く翼紗。
「シーグヴァイラが言っていただろ?相手の正体を知らずに、ケンカを売ったお前らが悪い」
ヴァーリが笑みを浮かべて言った。
「女性にまかせて自分は高見の見物?」
「ごめんなさい。手加減出来る攻撃が出来ないから、不器用者なんです。僕がやると瞬殺しちゃうからね、新米悪魔さん」
「新米?」
何か驚いている巴柄。新米って自覚が無いのかな?
「だって、彼女、大公アガレス様のお嬢様だよ。それを知らないから、新米だって言っているんだよ。本来、悪魔で有る君達が、僕達にケンカを売るって、有り得ないと思うよ」
「大公のお嬢様?」
巴柄がヴァイラに確認する。
「私はシーグヴァイラ・アガレス。大公家の次期当主にして、彼の婚約者である守護者。覚えておきなさい」
1分も掛からずに、相手の二人は攻撃不能に。ヴァイラとヴァーリには、ご褒美として異世界で鍛錬してもらう事にした。その間に、こいつらを調教…でなくて、教育しまくろうかな。相手の二人を袋に詰めて。三人で異世界に『ルーラ』した。
ヴァーリとヴァイラに特薬草の青汁アンプルを渡して、狩り場に置いてくる。僕は宿屋で部屋を取り、袋から巴柄と翼紗を取り出した。ここからは前菜として、お決まりの普通ではないスライム君達の出番…
スライム君達が満足して帰って行くと、恍惚の表情になっている巴柄と翼紗が出来た。そんな状態の巡と由良に、交互でサービスをしてもらう。なかなかうまい。
特に翼紗。体術系のおかげなのか、身体の肉付きがバランス良く、気持ちが良い。見た目は僕好みだし…そして、調教…いや、教育は二人の気力が果てるまで続けた。
で、巴柄と翼紗を袋に詰め、ヴァーリとヴァイラを拾って、実世界に帰還。三人で教室に戻った。
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放課後、僕は生徒会室へと向かう。また桐生がついてくる。生徒会室に入ると、椿姫に何も言わないで、ズンズンと会長室に進む。ドアを開けるとソーナがいた。後ろから心配そうに椿姫がついて来る気配がする。
「ソーナ、どういうことだ?シトリー眷属にケンカ売られたんだけど?」
「え?そのような指示は出していません。人違いでは?」
生徒会役員のみんなの手前、冷静沈着なソーナ。僕は袋から巴柄と翼紗を出した。
「こいつらが、昼休みに来て、ツラ貸せって。肉体的にも精神的にも返り討ちにしちゃったけどね」
身体中傷だらけで服を纏わずに恍惚な表情の二人…
「なんてことを」
「ひどい…」
ソーナと椿姫が驚いていた。
「ねぇ、シュウ君、手当もせずにお仕置きしたんですか?」
手当をする程の怪我は無い。そこまで鬼では無いのだが…
「手当?お仕置きの前に、塩でも塗り込めば良かった?今からじゃ、遅いのかな?」
僕は巴柄、翼紗に回復魔法を掛けた。
「これで良い?嫌なら嫌って、僕に直接言えば良いだろ?支取先輩。そんなに嫌なら、解消で良いからな!僕から申し込んだ訳で無いし。どうも、お騒がせしました。新羅先輩!」
僕は後ろを振り返らずに生徒会室を出た。そこには桐生が待っていた。
「生徒会と何を揉めているの?」
こいつ、イラつく奴だなぁ…イライラによるストレスが、僕の心を闇へと呼び込む。
「おまえには関係ない!」
校門を出ても、まだついてくる粘着質な桐生。
「もう、ついてくるな。お前が思っているより、サイテーな男だぞ。平気で女性を傷つけられる」
「そんなことしたの?」
僕の言う事を信用していない桐生。早くどこかに行って欲しい。誰かを屠りたくなってきた…
「今、してきた。生徒会室でね。二人を半殺しにしたよ」
「なんてことを…」
「だから、一人にしてくれ。頼む」
桐生はまだ離れてくれない。本当に屠る前に、妖刀村雨を装備して、刃先を桐生に向ける。
「どっかに行ってくれないなら、桐生でも斬るよ」
桐生は青醒めて、どこかに走って行った。一人残った僕。無差別な殺意を抱いてしまい始めた僕は、もうこの世界には、居られなと思う。僕の居場所である異世界へと『ルーラ』した
。
---リアス---
夜、シュウは帰って来ない。アジュカ様の会社は、初めての無断欠勤だそうだ。ソーナと椿姫が謝っている。生徒会で言葉のすれ違いがあって、シュウはキレて、どこかに行ってしまったようだ。
「ごめんなさい。もっと、優しく接すれば良かった。生徒会のみんなの手前、いつも通りに接することが出来なかった。本当にごめんなさい」
ソーナは涙をポロポロ流し、みんなに謝っている。椿姫もソーナの隣で泣いている。あのシュウが、こんな事になるなんて、シュウ的には、辛い事が積み重なったのだろうか?
私は眷属のみんなに頼んで、探してもらっている。アポは次元の狭間で色々な世界を覗いて探すって、オーフィスと二人で出かけた。
「ソーナ、何でお前の眷属が、ボウズにケンカ売るんだ?お前、ボウズの事を、眷属に話していないのか?」
アザゼルがソーナに訊いた。
「まだ、話してませんでした。すみません」
探しに行っていたイッセーが、戻ってきた。
「同じクラスの桐生って女子が、たぶん、シュウと最後にあった人物のようです。一人になりたいって言ったシュウの傍に居続けたら、いきなり刀で襲われたって」
「あぁ、その子が、トリガーになったのかな。ストレスが限界で爆発したのかな?はぁ~…何て事をしてくれたのよ。その子を屠っていい?」
「落ち着いてください。リアス部長。屠ちゃダメですって」
イッセー、わかっているわよ。
「無事ですよね?私、まだ恩返しをしていないんです。私の願いを叶えてくれたシュウ君に」
朱乃…
「私もです。契約の成果に見合う以上の報酬を、貰っちゃいましたから。それも先渡しで」
小猫…
「私も。過去のレッテルを外してくれた上に、夢にまで見ていた白音との暮らしを、叶えてくれたにゃん」
黒歌…そうだわ。みんなの悩みを解消してきたのに、シュウの悩みは誰も、解消してあげていないよね。いや、彼の悩みすらわかっていない…
「おい、みんな、聞け!ふらっと、一人旅に出たと思え。ボウズが帰って来るまで、おのおの鍛錬を怠らずに、今以上の物を見せてやれよ」
アザゼルが提案をしてくれた。そうだね。それしか無いか。
「そうですよね」
ヴァイラ…
「こんな鍛錬に適した環境をくれた恩に報いなきゃな」
ヴァーリ…
「リアス、ソーナ、そういうことだ」
アザゼルが、プチパニックしていた私達に、良い方向性を示してくれた。
---シュウ---
僕は航路の神様と会っていた。
「僕はもっと強くなりたい」
「お前は、真面目に鍛錬を取り組んでいると思うが、足らぬか?」
「一人で敵を屠れるようになりたい。仲間を戦闘に参加させなくても、良いようになりたい」
「何があったのじゃ?」
「僕は強くなりたい」
僕の意識は遠くなっていく…遠くで誰達の声だけが聞こえる。
「短期間での高負荷な鍛錬によって、傷を負っていた心が、想いのすれ違いによって、壊れてしまったようだ。この子にとって実世界は、短期間に色々有り過ぎのだろう。心を癒やせる仲間が、いれば良いのだろうか?」
「サマエルよ、我々がいるではないか」
「普段、傍にいて上げられない。彼が心に傷を負っても、傍で癒やしてあげられない。まだ常時、傍にいてあげることが出来無い。はがゆいけどね」
「間違った道に進むようであれば、我々が正してあげられるが、心のすれ違いによるダメージは避けられないからなぁ」
「精霊よ、非常事態だから、彼の仲間を3人くらい、ここに呼ぼう。心を癒やすことは我々には出来無いからな」
---ヴァイラ---
今日は何も手につかないので、部屋に戻って来たけれど、シュウ君のことが心配だよ。何が、守護者だ。大事な時に、傍にいないのでは意味がない。私では彼を護れないのだろうか?涙が自然に溢れてくる。
ぼぉ~っとしていたら突然、鏡が光り出す。えっ!?鏡から声が聞こえる。
『選ばれし者よ。汝、主シュウを守護する者なり。守護したいのであれば、時空の扉をくぐれ』
あの鏡から入れば、シュウ君に会える。そんな気がしてきた。私は、部屋に書き置きを残し、鏡に入って行った。
---椿姫---
何であの時、声を掛けなかったのだろうか。あの時、シュウ君が出て行く後ろ姿に、声を掛けていれば、状況は変わっていたかもしれない。涙が止まらない。一生分の涙が出ても構わない。シュウ君が戻って来てくれるのならば…
突然、鏡が光り出す。鏡から声が聞こえる。耳を澄まして聞く。
『選ばれし者よ。汝、主シュウと共に戦う者なり。共に戦いたいのであれば、時空の扉をくぐれ。』
時空の扉?光っているあの鏡に違いない。私は、迷わず鏡に入って行った。
---グレイフィア---
シュウ君の事を聞いたとき、まだメイドの仕事中だったのに、人目をはばからず涙が出てきた。奥様から注意をされたけど、自然に出てきてしまった涙。私にはどうすることも出来ない。サーゼクスもあれこれ探してくれているけど、痕跡すら見つからない。もう会えないのかしら?私のご主人様…
突然、鏡が光り出す。鏡から声が聞こえる。こんな不思議な事ってあるのね。
『選ばれし者よ。汝、主シュウを癒やす者なり。癒やしたいのであれば、時空の扉をくぐれ。』
癒やす?シュウ君は傷ついているの??待っていて、今すぐ行くから。私は戦闘服に着替えて、鏡に吸い込まれていった。