※この作品はR-18です。

神器なき男 (再編集版)   作:もっち~!

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選ばれし戦士たち

 

 

---リアス---

 

朝になると、ヴァイラと椿姫が消えていた。ヴァイラの部屋には書き置きがあった。

 

『時空の扉に誘われ、シュウ君の元へ向かいます。心配しないでください』

 

と。何で、ヴァイラと椿姫が呼ばれ、私が呼ばれないのか不思議、いや納得が出来無い。ソーナは目を真っ赤に腫らしていた。一晩中泣いていたのだろうか?

 

取り敢えず、お兄様には報告しておこう。

 

 

 

---サーゼクス---

 

朝起きると、グレイフィアがいないことに気がついた。家の中を探したのだが、どこにもいない。グレイフィアの部屋に行くと、戦闘服が無いことに気がついた。どこで何と戦おうとしているのだろうか?グレイフィアの部屋で佇んでいると母上が来た。

 

「女性の部屋に入って、何をしているの?」

 

「いや、朝起きたら、グレイフィアと彼女の戦闘服がいなくなっていて」

 

「……、あの子を探しに行ったのかもしれないわね」

 

「あの子とは?」

 

「リアスの婚約者、私の義理の息子になる彼よ♪」

 

「シュウ君をですか?どこに行ったのかな?」

 

「あの人には、心当たりがあるのかもしれないわね」

 

「心当たり?」

 

「戦った者同士にしか、わからないことってあるでしょ?」

 

「戦ったって?シュウ君とグレイフィアがですか?いつですか?」

 

「あの子が帰る前の日だったかしら。私とグレイフィアとリアスの三人で、彼と戦ったのよ。私達が勝ったら婿入りしてもらうって条件でねぇ。でも、私達の完敗。負けたのに気持ち良かったのは、不思議だけどね♪もう、彼無しではダメかな?」

 

母上の頬が赤らんでいる。

 

「まさか、負けた腹いせに、シュウ君を三人で襲ったんじゃないでしょうね?」

 

僕の脳裏に不安がよぎる。父上も僕もパートナーを、満足させきれていない。悪魔の女性って底無しだから…

 

「そんなことはしません。一応、リアスの婚約者ですよ。少なくても、私はしていませんよ」

 

母上、含みをもたせた、その言い方は何?とも聞けず

 

「とりあえず、グレイフィアからの連絡待ちですね」

 

 

 

---ヴァイラ---

 

鏡、いや時空の扉を抜けると、見慣れないお爺さんと、シュウ君がいた。後から、椿姫さんとグレイフィアさんも、やって来た。

 

「よく来てくれたなぁ。選ばれし者たちよ。わしは、次元旅行を司る航路の神じゃ。ここは、わしの部屋、始まりの間じゃよ。シュウは心がやさぐれて、一人でいることを望んだのじゃが、我々的には仲間と共に、行動が取れるようにしたいのじゃ。この先、出会うじゃろう敵は、あの子一人では無理じゃからのぅ」

 

目の前のお爺さんは神様らしい。

 

「我々と申しましたが、どういった方々ですか?」

 

グレイフィアさんが物怖じせずに、質問をされた。

 

「グレイフィアよ、志が同じ者、あの子をマスターと思っている者じゃ」

 

「志とは?」

 

「今はまだ話せない。時が来たら、シュウとその仲間に話すぞ」

 

シュウ君はどんなことに巻き込まれているのだろうか?私は彼を護りきれるのだろうか?不安が一杯だ。

 

「質問はもう良いかな?答えられることは答えるぞ」

 

「シュウ君は一人でいることを望んでいるって、私達の事が嫌いになったのですか?」

 

その質問は、私もしようと思っていたのよ。椿姫さんに先を越された。

 

「椿姫よ、逆じゃろうな。好きだから、誰も傷つけたく無いからじゃろう。シュウは日に日に強くなっている。シュウの鍛錬場所、異世界の1日は、汝らが住んでいる世界の1分に値する。汝らの世界での1時間は、異世界では2ヶ月となる。シュウの場合、睡眠中も異世界に行って鍛錬しているので、1日で1年以上の鍛錬を行っているのじゃ。なので、心を休ませる時間が無い弊害で、シュウの心は病んでいるのかもしれない」

 

病んでいる?確かに無邪気な時もあれば、残虐な鬼みたいな時もある。あれは、鍛錬の弊害だったのか。

 

疑問に思っている事を聞いてみた。

 

「シュウ君をマスターとして選んだ理由は何ですか?彼の仲間には、幻のドラゴン、神さ様、大天使様達がいますが、同じ志の方なんですか?」

 

「アガレスの子孫よ、今は言えない。しかし理由は存在している。彼は…我々の希望であり、最後の一手である…」

 

「最後?」

 

「あぁ、最後の一手じゃ。敵が強大すぎた場合、わしらでも倒せなかった時の保険。使えば彼はいなくなる。そういう存在じゃ。少し話し過ぎたなぁ」

 

「いなくなるって?」

 

「アガレスの子孫よ、質問タイムは終わりじゃ。じゃ、異世界に行ってきなされ」

 

目の前の空間が歪み、次の瞬間、私達4人は異世界にいた。

 

 

 

---リアス---

 

お兄様に連絡をした。なんと、グレイフィアもシュウの元に向かったらしい。何で??私の頭の中に疑問が渦巻く。私が滅の力を具現化出来ないから、お呼びが掛からなかったのかしら?シュウが戻って来るまでに、意地でもマスターしようと思う。

 

 

 

---ヴァイラ---

 

目の前にシュウ君がいる。でも、私達を見ても、話しかけてこない。

 

「シュウ君、会いたかったよ」

 

シュウ君は、私の言葉に不思議そうな顔をしている。

 

「お姉さん達は、どなたですか?なんで、僕の名前を知っているのですか?」

 

三人で顔を見合わせた。これって、シュウ君の記憶から、私達の事が抜け落ちているのか?それとも、別の記憶が埋め込まれたのか?

 

「君は一緒に旅する仲間を、忘れたのかな?」

 

シュウ君を優しく抱きしめ、頭を優しく撫でてあげるグレイフィアさん。

 

「そうか!お姉さん達を、忘れる魔法を掛けられたんだ。そうだよね、お姉さん達を見ていると、何か懐かしい気がするんだよ。申し訳ないけど、名前を教えてもらえますか?」

 

「私は癒やす者、グレイフィアよ」

 

「私は戦う者、椿姫です」

 

「私は守護する者、ヴァイラ」

 

「これからもよろしくお願いします、お姉さん達♪」

 

ペコっと頭を下るシュウ君。

 

 

 

---椿姫---

 

この世界に来て、どの位経過したのだろうか?この世界には、カレンダーが無いので、今日はいつで、ここへ来てから、どの位日数が経ったのかが、わからなくなる。私はシュウ君に貰ったミラーフルアーマーを着て前衛にいる。隣にはシュウ君。ヴァイラさんは後衛から指示を出してくれる。グレイフィアさんは魔力主体の攻撃なので、小物の敵は、私とシュウ君で倒さないといけない。来る日も来る日も戦闘の連続である。今日は、日が暮れたので町に戻る。

 

町に戻ると宿に戻って食事を4人で取る。その後、町に繰り出し、本日手に入れた不要な物をアイテム屋さんで売る。そして、アイテム屋、武器屋、防具屋で掘り出しものを購入する。今日は、私達3人に素早さがアップする『はやてのリング』を買ってくれた。お金の管理はシュウ君の担当である。シュウ君の持っている不思議な袋は、無限に物を入れられる優れ物で、いくら物を入れても一定の大きさである。なので、大量の金貨をしまうお財布として最適であった。そういえば、私も入れられたなぁ、って、なんか遠い昔の出来事に感じてしまう。あっ、シュウ君が杖を買っている。レア物で『変化(へんげ)の杖』っていうものらしい。これを使うと相手や自分を違うものに変えたりできるらしい。

 

防具屋で、シュウ君が何やら悩んでいる。

 

「どうしたの?シュウ君」

 

私は尋ねた。

 

「ヴァイラさんとグレイフィアさんの防具を、どうしようかなって」

 

「私はこれで良いのよ」

 

自前の戦闘服を見せるグレイフィアさん。

 

「仲間には、怪我して欲しくないから。でも頑丈な物だと動きにくいよね?う~、どうしよう」

 

しばらく考えて結論が出たみたいだ。グレイフィアさんとヴァイラさんに『ドラゴンフルアーマー』をプレゼント。いかなる攻撃のダメージでも、軽減してくれるのだそうだ。見た目がごついけど、思ったより動き易いみたい。私にもって言われたけど、以前シュウ君に貰ったミラーフルアーマーを使っているので辞退した。シュウ君に言われた通り、カウンター効果を付与出来ていたから、ほぼ無傷だよ。シュウ君、ありがとう♪

 

そして、宿に帰って、シュウ君は錬金釜で錬金をしている。大量の薬草を入れて特薬草にしている。トレーニングルームに常備している特薬草の青汁の原料って、こうやって作っていたんだね、シュウ君。

 

次の日も次の日も、同じことの繰り返し。でも、自分が強くなって来ているのがわかる。今まで苦戦していた敵が、カンタンに倒せるようになっていく。こんな鍛錬を、今まで一人でしていたの?休まずに毎日…いままで以上に、尊敬の眼差しでシュウ君を見てしまう。

 

 

 

---シュウ---

 

僕は『ヘルプ』で神様を呼び出して、『侍』を極めたことを告げると、『居合斬り』が使える様になった。次のジョブは『パラディン(聖騎士)』にしてもらった。

 

 

 

---リアス---

 

シュウがいなくなって1週間経った。異世界時間だと20年以上かな??シュウが帰ってきたら、上達、強化された自分を見せようと、みんな笑顔を絶やさずに、がんばっている。

 

 

 

---グレイフィア---

 

この世界では歳は取らないみたいだ。もう、ここに来てどの位だろうか?遠い昔に来た気がする。シュウ君は、除々に記憶を取り戻していた。みんなで話し合った結果、シュウ君のことを、自分達の子供のように接していた。

 

私は忘れていた。シュウ君の生い立ちを…サーゼクスに聞いていたのに。小学校を卒業すると、実の親に捨てられたシュウ君。彼が求めていたものは、単純なことだった。親からの愛情だったのだ。それを思い出して、三人で相談して、出来る限り、自分達の子供と思って接しようと決めたのだった。彼に欠落していたのは、親からの愛情…愛情のキャッチボールだったのかもしれない。

 

 

 

---ヴァイラ---

 

異世界は1つでは無いみたいで、一番強い敵を倒すと、違う異世界へと旅立っていた。今いる世界は、ギルドという様々なジョブの学校がある世界だった。私は剣術、椿さんは刀、グレイフィアさんは格闘術、シュウ君は怪しげな術のギルドに、冒険の合間に通って鍛錬を続けている。シュウ君はパラディンというジョブなのに、『ダークロード』という資格を得てきた。聖魔光闇の攻撃も防御も出来るらしい。すごい吸収力だ。負けていられない。私は彼を守護する者なのだから。

 

 

 

---椿姫---

 

ギルドに生活拠点が移ったので、ダンジョンを冒険する時しか、シュウ君達に会えない。私の得物は長刀なのだが、この世界には無い武器らしいので、刀系のギルドに所属し、鍛錬をしている。冒険している最中に刃こぼれすると、シュウ君が修理してくれる。錬金釜で刃の部分を錬金してくれるのだ。最近は、この世界にも慣れて、この世界でシュウ君と果てても良いかなって思っている。現実世界のみんなは、私の事を覚えてくれているだろうか?

 

 

 

---リアス---

 

もう、いなくなってから1ヶ月は経過している。シュウはどうしているのだろうか?生きているのだろうか?何も連絡は無い。1分で1日経過する世界だから、1時間で2ヶ月、6時間で1年、1日で4年、1か月だと120年??シュウは人間だものな…死んだのかな?あぅ、涙が自然に出てくる。お願い、早く帰って来て、シュウ!!

 

 

 

---ソーナ---

 

シュウ君、椿姫、元気ですか?次からは、どこでも同じように接しますから、早く帰って来て下さい。

 

 

 

---グレイフィア---

 

神により選ばれた戦士達、私達3名が、始まりの間に転移していた。

 

「シュウはこれからの100年、祠にこもる。汝らの役目は終わった。ありがとう」

 

「私達はシュウ君の元に戻れるのですか?」

 

「グレイフィアよ、シュウとは現実世界で会いなさい。といっても、汝らを先に帰すが」

 

「傍にいられないのですか?」

 

シーグヴァイラが訊いた。

 

「アガレスの血を継ぐ者よ、祠にはシュウ一人しか入れない」

 

「最後まで一緒にいたいです」

 

椿姫が願望を伝えたが、

 

「椿姫よ、それは出来ぬ。なぁに、現実世界にいれば、すぐに逢える。では、送り返すぞ」

 

 

 

---ヴァイラ---

 

気が付くと、私達の家の自分の部屋にいた。今迄の事は夢だったのだろうか?部屋を出て、1階のリビングに向かう。みんなが驚いた顔で、私を迎えてくれた。

 

「ヴァイラ?ヴァイラだよね?帰って来たのね」

 

リアスがいち早く気づいてくれて、声を掛けてくれた。ソーナは、急いで椿姫の部屋に向かうようだ。

 

リアスが私に抱きついてきた。シュウ君の事を伝えたら、落ち込むだろうな。でも、言わないと。

 

「シュウ君は、異世界時間であと100年戻ってこないです」

 

「なんで??」

 

「祠で一人、100年間過ごす修行だそうよ」

 

「我 したことある」

 

「私もあるぞ」

 

「どういうこと??」

 

二大ドラゴンもしたことがあるとは…

 

「私の場合は、夢幻の祠だった。たぶん、オーフィスは無限な祠だと思う。シュウがなんの祠にこもったかにもよるが、なんらかの能力を得られるはずだ」

 

「私より強くなっていたら怖いぞ」

 

クロウが呟いた。

 

 

 

---グレイフィア---

 

転移先は私の部屋。急いで、サーゼクスの部屋に向かう。

 

「グレイフィア?」

 

間の抜けた旦那様の声。

 

「ただいま、あなた♪」

 

サーゼクスが抱きついてきた。が、あっドラゴンフルアーマーを装備したままだった。

 

「その鎧痛いよ~。何、その鎧は?」

 

「シュウ君のプレゼント。ドラゴンフルアーマー!いかなる攻撃ダメージも軽減できるの♪」

 

「僕にお土産は?」

 

「有る訳ないでしょ!」

 

軽く拳を彼の腹部に当てたつもりが、サーゼクスは壁まで飛ばされた。

 

「痛いよ、グレイフィア。なんだい、この威力は…」

 

 

 

---椿姫---

 

「ソーナ、ただいま」

 

涙をポロポロ流したソーナが、抱きついてくる。

 

「おかえりなさい、椿姫」

 

「ごめんなんさい、シュウ君と一緒に帰って来られなかったわ」

 

「なんで?」

 

「たぶん、神様が彼に与えた最後の試練だと思う。異世界時間で100年間、一人で祠にこもる荒行をしているの」

 

「彼を一人にしちゃダメだよ」

 

ソーナの目から大粒の涙が零れていく。

 

「神様が現実世界で帰ってくるの待ちなさいって」

 

「そんなぁ…早く逢いたい…謝りたい…」

 

「シュウ君、強くなったよ。でもねぇ、無くした物もある」

 

「無くした物?」

 

怪訝そうな顔のソーナ。

 

「仲間としての愛情はたくさん貰ったの。でもねぇ、異性としての愛情は…異世界に100年近く、男一人、女三人で暮らしていて、彼は誰とも交わらなかったし、誰とも肌を合わせなかったの…」

 

私の目から一筋の涙が零れていった…

 

 

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