2年生、ソーナ、リアス、椿姫、朱乃さん達の修学旅行が、明日に迫っていた。朱璃さんは朱乃さんの留守中、バラキエルさんと冥界で過ごすようだ。
「シュウ、お土産は何がいい?」
「リアスの困った顔」
「はぁ?」
「その顔だよ」
リアスは顔を赤く染める。旅行準備で慌ただしくも、なんとなくのどかな晩であった。
「あんまり、リアスを困らせないでね。私達に当たるから」
リアスをからかっていたら、ソーナが口を挟んできた。
「そんなことしたら、僕に言ってくれ。リアスの頭をグリグリ締め上げる刑にするから」
「そんなことしないもん」
今度は頬を膨らませている。感情が豊かで良い子だ。頭を撫でてあげる。
「子供で無いんだから、そんなあやし方しないでよ」
「どんなあやし方がいいの?」
「それは…」
今度はモジモジしだした。リアスはからかいがいがあるなぁ。もっとしたいけど…
「お土産は、しば漬けと生八つ橋ニッキ味がいいなぁ」
と、ぼそっという僕。
リアスとソーナがメモっている。同じものが2つずつ来そうだな。
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翌朝、旅行行く組と学校行く組がいなくなった僕達の家。残り組はリビングに集まる。僕は、みんなに指示を出していく。ヴァーリとヴァイラに意思確認を済ませている。この二人も関係者であるから。黒歌は留守番だ。白音とずっと一緒にいて欲しいから。
黒歌は僕の顔を見つめている。何か言いたそうだ。でも、僕はあえて訊かない。決心が揺れそうだから。
「黒歌、後を頼むよ。また、逢えたら良いな」
参加メンバーは第四天、かつて『エデンの園』と呼ばれていた場所に、亜空間移動した。
---天界---
天界の第六天に中枢機関「ゼブル」がある。そこには、天界を取り仕切っている熾天使(セラフ)達がいる。
「ミカエル様、何者かが第四天に侵入したようです」
ラファエルがミカエルに侵入者がいることを伝えた。
「なんで、第四天なんだ?あんな何も無いところに?取り敢えず、天使達を向かわせて迎撃させなさい」
ミカエルと呼ばれた男は、天界の組織「熾天使」を率いる天使長で、四大熾天使の1人であり、神不在の『神のシステム』の代行をしている。現在の真の信仰の対象である。
「反撃されています。応援要請です」
「熾天使の部隊を投入させなさい。あと、バチカンへ応援要請をしなさい」
---第四天---
アレを呼び出すための準備は進んでいた。思ったより早く迎撃部隊が来て、アレをする場所の前方では戦闘をしている。ヴァーリは禁手して『半減の力』で、天使たちを弱体化して、ヴァイラ、美猴、アーサー、ルフェイが屠っていく。
「なるほど、無限スライム地獄の鍛錬は、この為だったのかよぉ♪」
美猴は別世界での鍛錬を思い出していた。
「そうみたいですね」
その美猴の言葉にアーサーは頷いた。
ヴァイラは『炎のブーメラン』で天使の翼を燃やしていく。
「ここは守り抜くわよ」
ヴァイラはみんなを鼓舞した。
「「「了解!!」」」
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床に魔法陣を描き終えた大天使サマエル。
「そろそろ、始めようか」
シュウを中央に6名の人物が周囲を取り囲み、囲んだ外側にはレヴィアタン、ベヒモス、ジズは三角形を描くように立っている。
「我、白い馬なり」
「我、赤い馬なり」
「我 黒い馬なり」
「我、青い馬なり」
「我は殉教者なり」
「我、天変地異を起こせる者なり」
ホーリードラゴン、グレートレッド、オーフィス、ティアマット、サマエル、ブラフマーの順に、言霊をシュウへと発した。シュウは彼らの中央で黙祷して、祈りを捧げた。
「アーメン」
次の瞬間、シュウ達の頭上には六芒星が現れ、レヴィアタン達の頭上には三角形が現れた。三角形は3種類各6枚ずつのタイル状のものが六芒星に向かって行き、決まった場所に収まっていった。最後の1枚が嵌まると、六芒星が90度傾、き立ち上がる格好になり、レヴィアタン達の頭上で獣門に変化した。
「門を開け 我は鍵なり!」
シュウの身体が一瞬揺らめき、獣門に吸い込まれていく…門は開き、天界の最終兵器トライヘキサが出現した。
---第六天---
「ミカエル様、大変です。ウリエルが喰われました」
ラファエルから被害状況が、ミカエルにもたらされていく。
「喰われた?誰に??」
「アイツの封印を解かれました…トライヘキサが召喚されています」
「地上の人間を屠る為のヤツが、天界に召喚されただと?誰が一体…」
---グリゴリ本部---
「アザゼル、大変だぁ。天界が攻撃に晒されているみたいだ」
シェムハザより天界の状況が知らせた。
「あんだとぉ?誰…あぁ、ボウズかぁ。時期が早くねぇか?」
「どうします?」
「俺達は絶対に動くな!シェムハザ、ここは頼んだぞ。俺はちょっと行く処が出来た。あと、バラキエルには知らせるなよ」
---魔王領---
「天界が攻撃されているぞ」
ファルビウムより天界の状況がもたらされた。
「我々は手を出さない」
「そうだな。働いたら負けだぞ。サーゼクス」
---第四天---
「前衛部隊はトライヘキサの横か後ろに移動しろ。前にいると喰われるぞ!!こいつは、人の形をした生き物は見境なく、喰い続ける殺人生物だから」
サマエルから、トライヘキサについての注意事項が知らされた。
「「「了解!!」」」
ヴァイラ達は、アイツの後ろに位置取った。
「アポ、オーフィス、ティアはミカエルを頼む」
「あぁ、ミカエルをやっと叩けるな、サマエルよ」
アポが頷いた。
「ルシファー達の無念を晴らしてくれ。私とブラフマーとホーリードラゴンで第七天へ行く。システム改修の時間稼ぎも頼む。バチカンから援軍が来ると思うから」
サマエル達は亜空間移動で第七天神のシステム室に移動した。
「まず、エデンの園の機能を復活させよう」
「いや、ミカエルの堕天化が先だな。権力を掌握するという征服欲を持ちすぎている」
サマエルの考えにブラフマーは異を唱えた。
「確かに…では、それを先にしましょう」
ブラフマーの考えに同調したサマエル。
---バチカン---
アザゼルの前にストラーダ枢機卿がいる。
「天界への援軍は出さないで欲しい」
「はぁ?堕天使の総督が何の用かと思ったら、お主らが手引きしたことか?」
「かつて、俺が天使だった頃の大恩人達が起こした天界のクーデターみたいなものだ。人間が介入しない方が良い」
「大恩人?クーデター?何を言っている」
「黙示録に書かれてる人物達が関わっている」
「黙示録だと??あれはまだ解読出来ていないはずだ」
「啓示した側と啓示された側が、手を組んでいる。天界はそいつらを人間の手で屠れって言っているんだろ?あんたも、あれを解読していた側の人間だ。意味わかるよな?」
「歴史から抹殺された大天使様か?」
「あぁ、そうだ。アレを書いた末裔の者が、封印を解いた」
「実在するなら、会ってみたいなぁ。封印されていたのか…」
「きっと、生きて帰って来てくれるはずだ。その時は紹介するぞ」
「封印を解かれた者は誰だ?」
「大天使サマエル、創造神ブラフマー、知恵の精霊、次元航路の神…」
「まさに歴史から消された者達だぁ。そうか、封印されていたかぁ。お前を信じて、武器を捨て、天国の門の前に行こう」
---木場---
リアス部長が修学旅行中なので、悪魔のお仕事を早めに終え、僕達の家に帰る。異変に気づく僕達…
「なんで、家の中なのにお前、女にならないんだ?」
イッセーに指摘された。僕はシュウにかけられた呪いで、家の中だけ女性になるようにされていたが、今は僕は僕のままだ。
リビングに入ると、いつもは、オーフィス君とかアポさんとルフェイさんなんかがいて、賑やかなのだけど、今夜は黒歌さんしかいない。トレーニングルームかな?イッセー君は黒歌さんのうつろな目を見て、急に2階に上がっていく。僕は彼の後を追った。シュウの部屋のドアを開けると……部屋の中は空っぽだった。ベッドも、机も椅子も本棚も何も無い状態だった。イッセー君は両手の拳を握りしめていた。僕は彼に声がかけられない。こんな時、彼になんて言えば良いのだろうか?
---白音---
黒歌お姉様は、私を見つけると、いつもより強く抱きしめてくれた。
「寂しかったにゃん。でも、シュウと約束したんにゃん。この家を護るってにゃ」
お姉様は、私の小さな胸に顔を埋めて泣いている。私も泣きたいのに、これでは泣けない。横を見ると、ギャ~君は固まっていた。いつもシュウお兄様が座っていた椅子を見て、膝にアポさん、肩車でオー君を載せて、笑顔で頭を撫でてくれた人は、もうここにはいない。
この家の時は、止まったかもしれない。
---翼紗---
いつものように巴柄と家に帰ると、時が止まったかのようにみんな固まっていた。聞こえてくるのはすすり泣く声だけ。
「黒歌さんどうしたんですか?」
「お兄様達が行ってしまわれた」
小猫ちゃんがぽつりと言う。
「どこへ?」
「片道切符の旅路…」
「へぇ?」
---木場---
シュウ、なんで呪いを解いたのさぁ?女性の姿ならイッセー君を、後ろから抱きしめても不自然でなかったのに…なんてことを思ったら、イッセー君の声で現実に引き戻された。
「おい、ドライグ!天界にはどう行けばいいんだ?」
「バチカンから階段があったはずだが。あとは転移魔法か、亜空間移動だな」
「どれも、難し…あぁ、木場!お前はバチカンに転移できるか?」
「バチカン?行ったことないよ。僕がいたのはバチカンの研究機関の研究所だったから」
「誰かいないかな?」
「行ってどうするんだ?」
「ダチの骨拾いに行く。ついでに少しでも役に立ちたいんだぁ」
シュウには僕も、呪いの件を問い詰めたい。でもバチカンに行く方法??
「バチカンなら行けるぞ」
声がした方を見るとクロウがいた。
「世界各地を飛び回っていたからなぁ」
「連れて行ってくれ」
「ダメだぁ。お前らは弱いから、置いていかれたんだぞ」
「そうなのか?」
「今行けば、無駄死だ。お前はリアス・グレモリーの眷属で悪魔だ。そんなヤツが天界に行ったら、一撃で屠られるぞ」
「あ…俺…悪魔だった」
力無く崩れ落ちるイッセー君。この家で悪魔で無いのは、黒歌さんと邪龍の二人だろう。僕らは悪魔だ。だから悪魔のお仕事をこなして帰ってきたんだよ。
---ソーナ---
翼紗から連絡があった。私達の家の異変。なんで、私達の修学旅行中?朝、玄関で見送ってくれた彼。お土産を要望していたじゃない。リアスにも連絡があったのだろか?あぁ、どうしよう。私は屋上に行って、お姉様を呼び出した。
「呼ばれてもなぁ…」
「お姉様は魔王なんだから、どうにか出来ませんか?」
「どうにか出来るなら、もうやっているよ。出来ないから、ここに来たのよ~」
「なぜ、出来ないんですか?」
お姉様は溜息を吐いて
「サーゼクスとファルビウムが、悪魔は手を出さないと決定したのよ」
「そんな事を言わないで、お願いします。彼を、シュウ君を助けてください」
「私達は、悪魔なのよ!ソーナ!だから、天界には行けない。行くだけで身を焦がされる危険があるの」
「こんな事なら、私は悪魔でなくて、彼と同じ人間に生まれたかったです」
「あなたにはお腹に宝物があるじゃない、私には彼なんにもくれなかったのよ~」
お姉様が、私を差し置いて泣き崩れた。