※この作品はR-18です。

神器なき男 (再編集版)   作:もっち~!

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静養生活

 

サマエルの心優しき仲間を総て復活させた。僕の魔力というか、体力は底を着く様な衰弱ぶり。再生可能な身体っていっても、こういう状態では戦う気力も、アレする気力もありゃしない。

 

静養先になったのは、バチカンの本部。奇蹟を目の前で見る機会を得た、ストラーダ枢機卿の強い薦めも有り決まった。聖なる地なので、悪魔の次期当主であるヴァイラはついて来られず。後、教会関係者と仲を深めるのは、元エクソシストの義父の名誉回復にも繋がるかもしれないと、サマエルから助言をもらったからだ。

 

ストラーダさん、ハーフ天使のテオドロさん、クリスタルディさんの三枢機卿から軽い尋問みたいなことを受けてから、静養生活が始まった。1日1時間三枢機卿とのディスカッションという名の事情聴取が義務づけられたが、まぁ、静養するにはいい場所である。リアスの夜這い攻撃もないしねぇ。

 

僕の身の回りの世話をしてくれているのは、トスカという少女だ。彼女の能力(結界タイプの防御の神器を持っているらしい)があれば、僕の身の安全は保証されるそうだ。ここを退所する時にも、一緒に付いて来てくれるんだとか。僕の身を案じてくれている、バチカン側の誠意なんだろう。

 

お見舞いに来てくれる人、デュリオ兄ちゃん。いつもおいしい食べ物を持ってきてくれる。精が付く食べ物ではなくて、おいしい食べ物っていうのがミソかもしれない。色々な国の教会を視察して回って、ついでに食べ歩きもしてくるという、バチカンきってのグルメンだと思う。

 

あと、紫藤 イリナ。イッセーと僕の共通の幼なじみ。イッセーのファーストキスの相手だ。なんの因果か、ここバチカンで再会した。ここで教会の戦士としての訓練をしているらしい。こいつが来ると、静かな静養が賑やかな静養になる。トスカが、僕とイリナのやり取りを聞いていて、吹き出すことしばしば。

 

あとは…あ、イリナがたまにつれてくる戦士仲間の青髪のゼノヴィアっていう子がいる。口数が少ないが大人しいって印象は無い。きっと剣を持つと人が変わるのかもしれない。

 

--

 

ある日、デュリオ兄ちゃんが、聖女アーシアっていう子を連れてきてくれた。なんでも治癒能力があるってことで、僕は彼女に回復をしてもらった。身体だけでなくて、心も癒やされるような回復能力だ。聖女じゃなければ眷属にしたいなぁ。こういう人材。

 

聖女アーシアはデュリオ兄ちゃんがいない時も訪ねてきてくれるようになった。回復中にトスカとは気が合うみたいで色々話している。

 

身体を動かせるようになってきたので、リハビリ。剣の訓練だな。アーシアが来てくれる日だけ、訓練に参加。まだ、僕自身の回復魔法が使えない。気力も魔力も1回底ついちゃっているので、なかなか回復がしないみたいだ。

今日の訓練の相手はゼノヴィア。持っている得物…あれ、反則でないのか?聖剣みたいだし。目つきも普段と違う。獲物狙う獣の目だ。こちらも気合いを入れて、妖刀村正を構える。が、物言いがついた…ストラーダさんから…

 

「シュウ君、その刀はちょっとダメだな」

 

「聖剣だって反則だよ」

 

ゼノヴィアが手にしている剣を指差す僕。

 

「あの子は天然の聖剣使いだからいいんだ」

 

「僕だって、天然の妖刀使いだよ」

 

「その刀は、禍々しすぎるからダメだよ」

 

そうだよね、やっぱり、初代ハーデスが宿っている刀ではダメだよね。って、自己納得する僕。しかたないので、愛用の妖刀村雨に差し替える。今度は大丈夫だよね?えっ!中断??

 

「その刀、聖水が滴っているのかい」

 

「そうですけど…対悪魔用です」

 

「聖剣認定してあげよう」

 

「いやいや、妖刀のままでいいんです」

 

そんなやりとりをしていると、ゼノヴィアが斬りかかってきた。僕は村雨で防ぐ。その瞬間、ゼノヴィアの聖剣が折れる。

 

えっ?

 

「聖剣を簡単に折れるのか?その妖刀は」

 

ストラーダさんは目が点。いや斬りかかったゼノヴィアの受けた衝撃はでかかったようだ。

 

「破壊のエクスカリバーが逆に破壊された??まさか?」

 

ゼノヴィアは違う得物を出してきた。さっきのよりヤバいぞ、それは…

 

「聖剣デュランダル。使い手を選ぶじゃじゃ馬の剣だ」

 

「さっきのより危ない気がするんですが」

 

「破壊力は抜群だが…」

 

問題を抱えた剣なんですね。村雨を折られたらイヤだなぁ。僕は剣を変えた。今度は絶対的な物理強度を持つメタルキングの剣だ。

 

剣と剣とのぶつかり合い。接触する度に火花が飛び散る。僕は、ダメージ無効化の呪文を唱えて、捨て身の戦法に打って出る。ゼノヴィアは僕の行動に驚き、一瞬の隙ができる。彼女の剣を持っている手を刃のない部分で叩いて、剣を落として、刃先を彼女の喉元に向けた。

 

「勝負あり。勝者シュウ。負け知らずの彼女に勝つとは、君はすごいなぁ」

 

「普段もっと、強い相手と練習していますから」

 

「もっと強いとは?」

 

「沖田総司先生です」

 

僕の言葉で、ストラーダさんは、固まっている。まぁ、人間で一番剣の達人だと思うし。あっ、人間ではなくて転生悪魔だったね。沖田先生は…

 

------

 

今日も聖女アーシアとデュリオ兄ちゃんが来てくれた。トスカがお茶を淹れてくれる。兄ちゃんが持ってきたお菓子を囲んでおしゃべりをしていた。

 

「シュウ君の家って、教会なの?」

 

「僕の家っていうか、親に捨てられた僕を引き取ってくれた義理の親の家です」

 

「そうだったのか」

 

「教会っていっても、バチカンが認めていない教会ですよ」

 

「認めていない?それって、異教の教会ってことかな?」

 

「いや、僕の義父は教会に追放された人だから」

 

「追放?何かやらかしたの?」

 

「悪魔の女性と結婚しただけです」

 

僕は兄ちゃんに、淡々と話した。

 

「あぁ、そういえば昔、エクソシストの人が悪魔と恋愛して粛正されたって」

 

「たぶん、その人です。元エクソシストで教会の元戦士だったから」

 

「そうか、無用な血は流れなかったんだね。良かったなぁ」

 

「アーシア、聖女を廃業したら、おいで!義父の教会は、教会を追放された人、堕天使、悪魔も礼拝に参加できるんだよ」

 

アーシアは興味深そうに聞いていて頷いた。

 

「聖女に廃業があるのかわかりませんが、いつか行きたいです。信仰心があれば、誰でも祈れるんですね」

 

「邪心を持っている者は、義父が叩き出すけどね」

 

元エクソシストでも優秀な部類に入る義父は、邪心を持っている者の見極めが出来る。欲しい能力ではあるけど、純粋な信仰心を持っていないとダメらしい。僕は信仰心すらないものなぁ。

 

「一緒に帰るトスカは、しばらく義父の処で、世俗な生活が出来るように修行してもらうよ」

 

「それでは、シュウを護れません!」

 

拒否するように言うトスカ。

 

「僕の家は安全だから大丈夫だよ」

 

「安全って?」

 

兄ちゃんが、訊いてきた。

 

「はぐれは別として、悪魔と堕天使は襲って来ないし」

 

「そんなことを言い切れるのは、何故かな?」

 

怪訝な顔付きで、兄ちゃんが訊いてきた。

 

「僕の家の隣が堕天使の総督の家だし、僕の家には魔王の妹が二人いるから」

 

三人は驚いたのか固まっている。教会関係者にとって、悪魔と暮らしていることは、考えられない事態なのだろう。まして、魔王の妹だし…

 

「悪魔と暮らしているんですか?」

 

トスカが素っ頓狂な声を上げた。

 

「悪魔だけでないよ。ハーフ堕天使、ハーフヴァンパイア、もののけ、ドラゴンなどだよ」

 

「すごい。異種族共存している家なんだ」

 

アーシアは興味津々。トスカは目が泳いでいる。兄ちゃんは…

 

「ヴァンパイアにドラゴン?ここではあり得ない話だな」

 

まぁ、教会の戦士の戦う相手だものな。

 

「何人か呼んでみようか?」

 

「ここにかい?大騒ぎになりそうな…」

 

兄ちゃんの言う通りだな。

 

「会ってみたいです」

 

アーシアは目を輝かして、熱望していた。聖女にしておくには、惜しいくらいの不思議大好き少女だなぁ。聖女でなければ、話相手として眷属にしたいなぁ。きっと、話は合うはずだし。

 

「じゃ、呼んでみよう。トスカ、この部屋に結界を張れるかな?」

 

「張れますが、それだと転移して来られませんよ」

 

「大丈夫、転移でない方法で呼ぶから」

 

不審に思いながら、結界を張ってくれたトスカ。

 

「転移でない方法って??」

 

兄ちゃんも転移でない方法に興味が有るみたいだ。僕は空間を斬り裂いて、そこから呼ぶと、4人の女の子が出てきた。その内の二人は、僕の太ももに並んでまたがり、一人は僕の肩に上り肩車状態に、残る一人は僕の背中に隠れるように立っていた。

 

それと共に、廊下をものすごい勢いで駆けてくる音がする。結界を張っていてもバレちゃうのか。教会の戦士は、すごいなぁと感心していると、ノックもなくドアが開き、ストラーダさん、クリスタルディさん、ゼノヴィアがいた。うん?イリナは?アイツは気づかなかったのか?。

 

「おい、この部屋から、ものすごいオーラを感じたのだが、何か異変でもあったのか?」

 

血の気の引いたストラーダさんの顔を見て、苦笑いしている兄ちゃん。

 

「シュウ君が、彼の家族を呼び出しただけですが…」

 

兄ちゃんの言っていることは正しいが、バチカンにとってどうなのよって、存在がいるけどね。

 

「シュウ君の家族?どうやって??」

 

「亜空間移動というか、空間を斬り裂いて呼んだというか」

 

教会の人はびっくりしている。たぶん。聞いたことも、見たこともないことだろう。僕もアポに習うまでわからなかったし♪

 

「そんなことも出来るのか?」

 

信じられないって目で睨まれても、目の前の現実を見てね、ストラーダさん♪

 

「まぁねぇ」

 

兄ちゃん、笑い顔が引きつっているよ。

 

「紹介してくれるかな?何者かを」

 

ストラーダさんに、自己紹介を促された。

 

「まず、背中に隠れているのは、暗闇の女装男子のギャスパー君、ハーフヴァンパイアです」

 

「ヴァンパイアだって!?」

 

クリスタルディさんは、目が飛び出るくらい驚いている。まぁ、バチカンに吸血鬼がいたら驚くよな。

 

「僕のももにまたがっている女の子、左は猫しょうの白音。右は真なる赤龍神帝グレートレッドのアポ」

 

「グレートレッドだとぉ!!」

 

ストラーダさん高齢なんだから、そんなに驚かないで。高血圧で倒れますよ。

 

「肩車状態なのは、無限の龍神のオーフィスです」

 

「オーフィスも!!」

 

「女の子の姿なのは、彼らが動きやすいからです。ドラゴン形態だと目立つし、小回りは利かないでしょ」

 

「あぁ、小回りも利くし、懐にはいりやすいしな」

 

アポが僕の説明に載っかった。アーシアは物怖じせずに、一人一人に挨拶している。他の人は驚いて固まっているというのに。

 

「いつか、シュウ君の家に行きたい。楽しそうだよね」

 

アーシアが楽しそうな笑顔で、僕の方へ振り返った。

 

「にぎやかだよ。今呼んだのは大人しい部類だからね。そうだ、あそこで固まっている子、トスカっていうんだけど、僕が帰る時に一緒に帰るから、よろしくね!」

 

「「「了解!!」」」

 

元気のいい返事が返ってくる。固まっているトスカの元に、白音が近寄り、仙術で心を癒やしてあげているみたいだ。

 

「シュウ君、あの子も回復能力あるの?」

 

「魔法ではない方法でね。僕も有るけどね」

 

「そうなんだ。私と同じですね」

 

回復能力が有るから聖女なのかな?まぁ、普通の人間にあったら奇蹟な力だものな。

 

「オーフィス、グレートレッドが大人しい部類って、騒がし部類だと、どういった者がいるのかね?」

 

あぁ、そういう興味は出てくるよね。

 

「呼びますか?」

 

「呼ばないでよい。この者達だけでも、異常事態なのに」

 

邪龍がバチカンにいたら大問題だよなぁ。

 

「あと、ティアマット、リヴァイアサン、クロウ・クルワッハ、アジ・ダハーカ、サマエルかなドラゴンだと。」

 

「伝説級の最上位ばかりでないか…」

 

ストラーダさんとクリスタルディさんの耳元で、最凶の生物の名前を告げる。

 

「なんだとぉ…それまでもが、使役モンスターなのか??」

 

「はい!苦労しましたけどね」

 

「シュウ君、君が敵でなくて良かったよ…」

 

-------

 

僕は大聖堂の壇上の椅子に座っている。ストラーダさんに、ここに連れてこられて…壇上を見上げている教会関係者の視線が痛いよ~

 

「ここにいる者によって、私は天界で奇蹟を見ることが出来ました。偉業、奇蹟をなす為に、自ら人間を捨て、魔物に身を落としましたが、聖書の始まりの神、我々人間に知恵を与えてくれた蛇をかばった大天使、そのお二方の封印を解き、エデンの園を再生することに尽力してくださった上に、復活された大天使を慕ったが為に粛正されたセラフ達をも復活させるという奇蹟を起こされました。彼の為した数々の偉業、奇蹟を讃えて、我々正教会は、彼、シュウ・ヨハネを聖者と認定したことをお知らせします」

 

僕が聖者?まぁ魔物だから聖人にはなれないかな?などと考えていると、ストラーダさんが手招きで僕を呼ぶ。僕はストラーダさんの横に立つ。

 

「彼の名前からある方を、心に浮かべた者も多いと思いますが、黙示録の作者の子孫で有る事は確認済みです」

 

えぇぇぇぇ~!僕って、そういう子孫だったの??

 

「彼の祖先はビジョンを見た。その末裔である彼もまた、ビジョンを見て、様々な封印を解き、我々に新しき時代を開いてくれました」

 

ストラーダさんは、僕に1本の聖剣を手渡してくれた。

 

「シュウ君、祝福の聖剣です。それに祈りを捧げてください」

 

よくわからないけど、ストラーダさんと位置を入れ替わり、祝福の聖剣を両手で持ち持ち上げて、黙祷した。

 

 

 

---ストラーダ---

 

シュウ君が祝福の聖剣を掲げて念じ始めた。すると、大聖堂の中の空気が一変したのを感じられる。全身に鳥肌が立つものの、身体全体が暖かい何かに包み込まれたみたいだ。壇下の席に視線を移すと、ある者は跪き祈りを捧げ、ある者は涙がこぼれ落ちている。心の中が浄化されているようだ。戦士として血に塗れたことをしたシーンが走馬燈のように浮かんでは光に包まれ消えていく。私もいつしか涙が止まらなくなっていた。

 

シュウ君の祈りの言葉を聞いた後も、しばらくは放心状態であったが、徐々に正常な状態の感覚に戻っていった。シュウ君がこちらを見て、次にどうするかの指示待ちのようだ。

 

 

 

---シュウ---

 

なんで、みんな泣いているんだろう。1分くらい黙祷して、最後に「アーメン」と言ったのだが、次にどうすれば良いのかわからない。隣のストラーダさんを見ても、放心状態だし。この剣を効果ってなんなんだろうか??

 

やっと、ストラーダさんが、放心の海が抜け出したようだ。

 

「シュウ君、ありがとう」

 

何がありがとうかが、わからない。まぁいいっか。式典も終わりそうだし。

 

---

 

式典の後、僕達、ストラーダさん、クリスタルディさん、デュリオにぃちゃん、トスカ、アーシア、イリナ、ゼノヴィアは天界に来た。サマエルにストラーダさんが報告する為で、僕とストラーダさんとアーシア以外は護衛の名目だ。

 

バチカンから専用の転移陣で天界の門まで来た。これが正規ルートなんだな。門が開くとセラフとして復活されて、天使長をされているルシファーさんが、迎えに来てくれた。

 

「ルシファーさん、こんにちわ♪」

 

「シュウ君、こんにちわ。身体はもう大丈夫かな」

 

「まだ6割くらいです」

 

と、会話していたら、他の面々が固まっている。うん?なんで??

 

「シュウ君、天使長と対等に会話かい??」

 

兄ちゃんが目を白黒させて、驚いている。

 

「シュウ君は特別ですよ。我々の大恩人ですから」

 

笑みで答えるルシファーさん。そんな僕達の会話風景に、ストラーダさん以外は、驚きの表情だ。あれ?不思議大好きなアーシアもか??僕達はルシファーさん先導の元、第四天エデンの園に着いた。

 

「こんなに緑豊かな場所が天界にはあるんですね」

 

アーシアが目の前に広がる光景を見て呟いた。

 

「シュウ君のおかげで、昔のような風景になりました。私達が復活する前は、荒涼とした廃墟だったそうです。まったく、前天使長は何をしていたんでしょうね」

 

ルシファーさんが、以前の状況を皆に説明した。

 

「あっ、湖もある。」

 

トスカが池を見つけた。

 

「湖の畔にある樹は、知恵の実がなる樹と生命の樹です。それらもシュウ君によって、修復されました」

 

「本当にシュウが、奇蹟を起こしたんだね」

 

僕の片手に抱きつくイリナ。うん?上から誰かが降りてくる。オーラからすると、大天使サマエルだな。

 

「みなさん、ようこそ、天界へ」

 

サマエルは表情が優しくなった気がする。これが本来の彼の顔なのかもしれない。サマエルとは、今でも念話で会話している。ブラフマー、知恵の精霊ともだ。

 

「創造神ブラフマーは、手が離せないので、私だけ降りてまいりました」

 

ブラフマーは接客向きでないから、降り来ないんだよね。

 

『そうだよ』

 

って、ブラフマーから念話で返事が来た。今も彼らは、僕達の仲間だ。天界に、もしものことがあれば、いつでも駆けつける用意は有る。

 

「いえ、大天使様にお目にかかれて光栄です」

 

僕以外が跪いている。僕は?まぁいいか。サマエルは家族みたいなものだし。

 

「シュウ君も跪きなさい」

 

クリスタルディさんに、やっぱり注意された。僕も跪こうとしたら、

 

「シュウは良い。君は私達の家族であるから。で、ガブは元気そうかい?」

 

「元気みたいだよ。僕はあれからバチカンにいて、家に帰っていないけど。たまの連絡では、一番の下っ端として、こき使われているみたいだけどね」

 

「あぁ、あのメンツだとな。今迄の下っ端が、赤龍帝だったもんな」

 

と、僕らが我が家の世間話しをしていたら、クリスタルディさんが口を挟んだ。

 

「ガブって、どなたですか?」

 

「元セラフだったガブリエルさん。今は僕の眷属だよ」

 

「はぁ?セラフだったガブリエル様がシュウ君の眷属??で、一番の下っ端??」

 

「シュウの眷属は強いですよ。現魔王とレーティングゲームして、圧勝しましたからね」

 

サマエルが自慢げに話した。

 

「現魔王ってサーゼクス・ルシファーですか?」

 

ストラーダさんに訊かれた。

 

「そうだよ。サーゼクスお兄さんだよ」

 

「お兄さん?」

 

デュリオ兄ちゃんが声を上げた。

 

「シュウは現魔王の妹の婚約者だから、その表現で間違えはない」

 

即座にサマエルが返答した。

 

「えっ?魔王の妹の婚約者??」

 

イリナが驚いている。

 

「向こうが言っているだけだよ、イリナ」

 

一応、弁明をする僕。

 

「で、私に報告とは?」

 

「シュウ君の今回の偉業、奇蹟の数々を讃えて、彼を聖者として認定しました」

 

ストラーダさんが、サマエルに報告をした。

 

「それは別の意味で偉業を為し得たな、シュウ」

 

「それは、どういう意味でしょうか?」

 

ストラーダさんがサマエルに質問をした。

 

「シュウは、私、大天使サマエルを家族とし、魔王の一人アジュカ・ベルゼブブの養子で、教会認定の聖者とは…これを偉業と言わずして何というのだ、ストラーダよ」

 

「シュウ君、君は魔王の養子だったのかい?」

 

僕に確認してきたストラーダさん。

 

「うん、冥界での父さんだよ。僕の冥界での名前はシュウ・ベルゼブブだよ♪」

 

「なんと…」

 

絶句しているストラーダさん。

 

「勝手に聖者に認定して、剥奪、追放なんかしたら、バチカンは1分以内に消滅するから注意しておけ」

 

ストラーダさんを威嚇するサマエル。黙り込むストラーダさん。

 

「天界だけでなくて、冥界も敵になるし。一番怖いのはシュウ君の家族ですよ、あれは危険ってもんじゃなく、即死クラスですって」

 

ストラーダさんに訴える兄ちゃん。この前の家族紹介の時に、初めて死への恐怖を感じたらしい。

 

「サマエル様、そのようなことはいたしません」

 

「シュウ、家族を紹介したのか?」

 

「大人しい部類の4名。アポとオーフィスと白音とギャスパー」

 

「たしかに大人しいな。戦力的には、全員魔王クラス以上だけど」

 

「サマエル、僕達はもっと強くなるよ。みんなを護れるようにね」

 

「期待しているぞ、シュウ」

 

サマエルがそう言うと、僕達はバチカンに転送されていた。

 

 

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