翌日、僕はアジュカ父さんの会社に行った。父さんに駒の事で呼ばれたのだ。
「今後のことを考えたのだが、とりあえず、僕を含め魔王を眷属からはずそう。レーティングゲームでの君のチームの立場は、他のチームの向上に、貢献してもらいたいのだよ。その場合、正式なゲームになるので、魔王の立場の者は参加できなくなる。だから、魔王を抜いた枠にもっと有用な人物を入れて、準備をして欲しい」
「そうですね。魔王は抜きましょう。って、駒って抜けるんですか?」
「君の駒はテスト用だから抜けるよ。はい、僕達3名分の駒だ」
僕は駒を受け取った。
「とりあえず、2軍枠の者が魔王の抜けた枠に入るから。たぶん『兵士』の駒だけが余るはずだ。あと、自分で眷属を持っている者達は、補欠枠に入れて置く機能をつけよう。対戦相手が眷属メンバーだとシステムに異常が出るからね」
「了解です。リアス眷属が3名いるので、そこの補欠枠もお願いします」
「わかった」
「そうだ。バチカンで眷属にしたい子を見つけたのですが、聖女だったので断念しました」
「聖女かぁ。そうだな、その判断は正しい」
「父さん、聖女は廃業って有るんですか?」
「能力が無くなればねぇ。聖女では無くなるけど、それでも眷属に入れたい?」
「能力は関係無くて、人と成りが好きなんです。話相手要員というか」
「なるほど、君らしいや」
父さんはニヤリとした。
久しぶりに術式プログラムとにらめっこ。バイトをがんばるぞ!
---イリナ---
あぁ、昨夜の記憶が無い。気づいたら、イッセー君の上にいた。それも二人とも全裸で…アレが刺さったまま。あぁ、なんてことをしてしまったのだろうか?イッセー君と顔を合わす度に、恥ずかしい。
---ゼノヴィア---
昨日は試合形式の殺し合いの後、アーサーに聖剣の扱い方を習った。今日は、シュウの剣の師匠がくる日だそうで、アーサーも手ほどきを受けるそうだ。私も一緒に、手ほどきを受けたいのだが、シュウに頼みたくても、当のシュウが見つからない。後、イッセーとイリナの様子が変だ。昨晩、何かあったようだ。また、イリナに先を越されたかと思うと悔しい。
---リアス---
あれから、グレイフィアによる幽閉状態で、シュウに夜這い、じゃなくて逢いにいけない。次期当主としての振るまいとか、教会のこと、悪魔のことを1からたたき込まれている。シュウを怒らせたみたいだから、謝りに行きたいのに…あ、グレイフィアに睨まれている。怖いよ~!シュウ、助けてよ~!!
---シュウ---
バイトが終わり帰ると、沖田先生がみえていた。剣術をもっと極めなければ。ゼノヴィアも一緒に習いたいというので、僕、アーサー、木場、トスカ、ヴァイラ、椿姫、巡、ゼノヴィアで習う。沖田先生は生徒が増えて、嬉しそうだ。
ソーナとリアスは、一応身重ってことで、鍛錬禁止令を出している。沖田先生に稽古をつけたもらった後、数名に駒を入れた。
---
翌日、ソーナと僕は生徒会室に向かった。ソーナに何かあったら大変なので、僕は彼女のガードとして付いていった。来年1月から学校を休学するため、12月中に椿姫へ引き継ぐことがあるんだとか。
二人で生徒会室に入ると、歓迎する者、無視する者、睨む者、様々だ。椿姫が近寄ってきて、僕と話し始めると、匙がソーナに、何やら話しかけていた。
「なんで、1月から休学するのですか?」
「プライベートな事情よ」
「俺はソーナ先輩の眷属です。知る権利が有ると思います」
「匙、立場をわきまえなさい。あなたに権利など無いわ」
「何でですか?俺達に、言えない事情が有るのですか?」
「知る権利は、あなたにはないわよ」
「しかし…」
匙のしつこさに、椿姫がキレた。
「しかし、じゃないだろ?あなたはソーナを困らせているのが、わからないの?」
「心配しちゃいけないんですか?」
「心配するヒマがあるのなら、強くなりなさい!ソーナ眷属が、現状では、一番弱いんだからね」
「現状?なんで新羅先輩が知っているのですか?」
「他の眷属と一緒に鍛錬をしているからよ」
「誰としているのですか?」
「知ってどうするの?」
「俺も鍛えてもらいます」
「イヤだよ」
僕は即答した。
「なんで、お前が断るんだよ?」
「練習場所に提供しているのは、僕の家のトレーニングルームだ。お前がうちに入る前にすることあるだろ?謝罪しろ!僕の斬首刑の原因を作ったのは、お前だからな!!」
「別に首斬られても、再生するんだから問題無いだろう?」
「ソーナ、こいつを屠ってもいいか?」
「ダメですよ」
ソーナが止めに入った。
「匙の無礼は、私が謝ります。この場は収めてもらえませんか」
僕の目の前に立ち塞がり、頭を下げる椿姫。
「ダメですよ!」
翼紗が僕に抱きついて、動きを封じ込める。
「匙、暴言を謝れよ。失礼だろ?その言い方は」
巴柄が匙を一喝した。
「なら、アイツと勝負して俺が負けたら、土下座してやる」
何言っているんだ、こいつ??
--
なんか知らないが、生徒会の上下関係のもつれで、僕は匙と勝負することになった。さて、どうしよう。とりあえず、おっさんに相談してみよう。
---アザゼル---
匙と決闘することになったボウズが、俺に相談に来た。
「おっさん、匙ってやつと勝負することになったんだよ」
開口一番、困った顔をして言う。よほど、困っているんだろうな
「お前なら簡単だろ?」
「だって、屠ってはダメっていうんだもの。僕って中途半端な攻撃方法を持っていないのにさぁ」
こいつ、さらっと怖いことを言っている。手加減出来る攻撃方法が無いのか?
「あいつの能力って、何かな??」
「相手と自分を接続し、相手の力を吸収できるヴリトラ系神器を持っているぞ」
「ヴリトラって何に?」
「五大龍王のうちの1匹、邪の龍王(プリズン・ドラゴン)だ」
「そうか、ドラゴンかぁ」
ボウズの顔が明るくなっている。こいつ、まさか、ヴァーリに使った手を…
「持てる力を全部使って良いみたいだし。うん、これなら、殺さずに済みそうだな」
やっぱり、ヴァーリに使った手だな…
「それは、反則に近いのでは??」
「真剣勝負で、屠るなって言う方が反則でしょ?」
おいおい、真剣勝負は、真剣で戦うことでないぞ…
ボウズは『ありがとう』って言って、去って行った。勝負にならんだろ?あの手は…
---シュウ---
匙との勝負の日、僕は匙と共に仮想フィールドに転移された。
「お前にヴリトラの力を存分に味合わせてやる」
なんか、熱血系だな、こいつ。
「見せてよ、その力をさぁ」
匙から黒いライン状の物が伸びてきて、僕に吸い付く。
「これで、チェックメイトだよ。泣いても喚いてもお前の負けだ!ふふふ♪」
僕はまず、サマエルから分離して封じ込めている、堕天使ドラゴンを龍門より召還して匙の周りを周回させる。
「なんだ?この禍々しいドラゴンは?」
「龍喰者サマエル。ドラゴンキラーなドラゴンさ。僕が倒れるのが先か、君が死ぬのが先かの勝負だね」
「なんで、そんな危険なドラゴンを持っているんだ?」
「危険?おとなしい部類だよ。その子はねぇ」
次に龍門を開けるだけ開く。匙の目が恐怖にあふれ始めているのがわかる。龍門から出てきたのは、オーフィス、グレートレッド、ティアマット、リヴァイアサン、ホーリードラゴン、クロウ・クルワッハ、アジ・ダハーカ。僕のチームドラゴンズの面々だ。
「宿主よ、危険すぎるぞ。相手が悪すぎる。あいつはドラゴンマスターか?」
早速、ヴリトラが匙に弱音を吐き始めた。
「そうだ。ヴリトラよ。我の主はドラゴンマスターだ」
と、アポ。
「おぃおぃ、グレートレッドかぁ、えぇ~、オーフィスもいる」
ヴリトラの声は、弱々しかった。
「おい、ヴリトラよ、邪龍の下っ端のクセに龍王気取りかよ」
と、クロウがののしる。
「まさか、クロウ・クルワッハかぁ?あぁ、アジ・ダハーカもいるし…」
絶望感を感じるヴリトラの声からは、恐怖をも感じているのがわかる。
「おいヴリトラ、私のオーラを忘れたか?二天龍の赤いのと白いのは覚えてくれていたぞ?しばいたろうか?」
と、チームドラゴンのリーダーのリヴァさん。
「ま・さ・か…リヴァイアサン様ですか??」
ヴリトラの声がうわずっているような。
「龍王の末端のくせに、龍王の最上位の私は除け者か?二度と転生できないようにしてあげてもいいわよ」
と、ティアさん。
「ティアマットさん??」
ついにヴリトラは降参したのか、僕に吸い付いていた黒いラインは消滅した。
「おい、ヴリトラ!何している!!ラインを勝手に外すなよ!」
ヴリトラの心情を知らない匙は、強気な言い方をしている。
「はぁ?お前には、この恐怖がわからないのか?宿主よ」
「恐怖??」
「お前の相手はドラゴンマスターだぞ?それの怖さが、ドラゴンでは無い人間風情のお前などにわかるまい」
「五大龍王にして、邪龍のヴリトラに恐れるドラゴンはいないはずだろ?」
匙はヴリトラを、買いかぶりすぎだ。
「たいていの相手ならばな。だが、相手がドラゴンマスターで、使役しているのが龍神、真龍、龍喰者、聖龍、最強龍、最強龍王、邪龍の筆頭格2匹の8匹だそ?ドラゴンの中の最上位クラスが8匹もいるのに、俺1匹で勝てる訳が無いだろう?宿主よ、少しは勉強しておけ!!召喚された皆様方、すみませんでした。今後は刃向かわないように、宿主に注意しますので、今回は見逃してもらえませんか?」
心が折れて凹んだドライグ、アルビオンと違って、こいつは謝罪するとは。さすが邪龍、ハートが強いなぁ、と感心した僕であった。
「さて、どうする?匙くん!」
僕は匙を見下していた。
「てめぇ~、卑怯だぞ、こんなに強いドラゴンばかり呼び出しやがって」
何言っているんだ、コイツ…
「はぁ?僕にしてみれば、神器を持っている方が卑怯だと思うけど」
「僕は単なる人間だ。お前みたいな化け物では無い」
化け物?まぁ、人間を捨てて魔物に成りましたけど。化け物ってねぇ、酷くないかこの言い方…
「お前だって、ハンパもんの悪魔だろ?人間を装ってもダメダメ!」
僕はドラゴン達にお礼を言って帰ってもらった。さて、第二ラウンドだなぁ。次は聖なる門が出現させて、ガブを召喚。
「今度は天使だと???おい、どういうことだ??」
僕からのサプライズに、驚いてくれている匙君♪
「僕は化け物にして聖者だから、天使も眷属にしている。あぁ、天使よりも上の格位の熾天使(セラフ)だけどね。ドラゴンが反則って言われたから、聖なる力で君に灰と成ってもらおうと思ってね。ふふふ♪」
とってもいやらしく、粘っこく、イヂワルっぽく言う僕。化け物だもの、悪のラスボスっぽく行こうかな?そして僕は、静かに妖刀村雨を抜いた。
匙は引きつっていた。目の前のガブリエルにね。匙に気づかれないように村雨の水滴をアイツに向かって少しずつはじいた。当たった箇所から煙りが立ち上り始めて…
「痛い!あっ、消滅し始めているのか?煙が出ている…」
身体の至る所から煙が出て来て、痛みも感じているようで、アイツはパニックに陥り始めた。
僕はガブにお礼をいって帰した。そうだった、初めから村雨を使えば良かったんだ、って少し反省する僕。
「で、どうする?ここで消滅する?あ、そうそう。死んだ者でも、灰になって消滅したり、魂を喰われたりしたら、復活はできないからね。一応注意はしておくよ」
「……」
匙は嫌々そうに僕に土下座した。でも、謝罪の言葉はない。ポーズだけだな、こいつ…
「謝罪の言葉は??」
だんまりを決め込む匙。
「そういう態度に出るなら、もうソーナと逢えなくしてやるぞ!」
この脅しに屈して?いや、単に『もうソーナと逢えなく』に反応して
「ごめんなさい」
って…心は籠もっていない謝罪かぁ。