※この作品はR-18です。

機動戦士ガンダムSEED ~キラくんのハーレム大作戦!!~   作:田 中太郎

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カガリと野外で

 

 鋭く輝く朝日。どこか人を寄せ付けない剣呑な陽光がモニターに浮かぶ。

ヘルメットを脱ぎ、キラは汗を拭った。

額に張り付いた前髪と、こもった熱気が不快感を呼び起こす。彼は機体を駆りながら、疲労に浸された身体を操縦席へと沈みこませた。

 

 地球での初戦闘は未明から始まり、つい先程ようやく終わりを告げたのだ。

慣れない環境での戦闘は彼の体力を予想以上に奪っている。あと少しでも不利な要素があれば、切り抜けられなかったに違いない。

 

 この状況を打破出来たのはマリューやナタル、そしてムウのお陰である。

キラは正規の軍人である三人へと感謝の念を抱いていた。事の発端はマリューがストライクの砂漠運用に疑念を呈した事からだ。

一応ヘリオポリス内での戦闘は経験していたが、砂漠と言う不整地での戦闘は未経験であった。

 

彼女は心身共に回復したキラを伴って、OSの書き換え作業を開始。

それと同時にナタルが対砂漠装備、特に防塵装備作成班を編成し作業に当たっている。

一方で、ムウは安全を確保する為に機種転換訓練を兼ねて、戦闘機での索敵を行ってくれた。

 

 彼女らの献身が無ければどうなっていた事やら。つい先程の激しい戦闘を思い出し、キラは肌を粟立たせる。

モニターに流れて行く砂の海を尻目に、彼は感謝の想いを深めていった。

 

 そんな中、コックピット内に軽やかなアラーム音が鳴り響く。

機体が目標地点に着いた事を知らせる合図だ。

その証拠に、複数の人影を巨人の双眸が捉えていた。

 

 キラから見て左右で向かい合い対峙する人影。

片方は見慣れた軍服を、もう片方は統合性の無い服装を着ている。

アークエンジェル首脳部と、加勢してくれたゲリラの代表者だ。

 

 遠方には巨大な白亜の軍艦が大地を睥睨し、彼方では武装集団と車両群が陣を構えていた。

前もって状況を知らせてくれてはいたが、果たしてどうなる事やら。

穏便に済めばいいな、とキラは願わずにいられない。

 

『キラ、聞こえる?』

 

「ミリィ?」

 

 通信機越しより、オペレーターのミリアリアが言葉を投げ掛けて来た。どこか緊張の色を滲ませる声に少年は思わず身構える。

何か不具合が生じたのだろうか。もしもの時は会談を行っているマリュー達を守らなくてはいけない。

 

 機体の状況を確認し、彼はいつでも動けるよう準備する。そんなキラへと再度向けられた少女の言葉は困惑で染まっていた。

 

『機体から降りて欲しいみたい……』

 

「……え?」

 

『相手はストライクを警戒してるようなの。あと話したい事もあるって』

 

 確かにモビルスーツは強力な兵器であり、警戒するのも頷ける話だ。

だが、本当に降りても良いものだろうか。キラは眉をひそめ、モニターへと視線を向ける。

そこには大きく手を振り、こちらに合図を送る士官の姿が映し出されていた。

背丈からムウのようだ、と彼は判断する。

 

 対峙するゲリラ達も気を利かせているのか、害意は無いと言わんばかりに両手を上げて上げていた。これなら大丈夫かな、僅かばかりに思案したキラは機体から降りる決断を下す。

疑いはしたものの、本心では危ない所を助けてくれたゲリラ達に感謝の言葉を告げたかったのだ。

 

「分かった。今、降りるってマリューさん達に伝えて」

 

『分かったわ。気を付けてね、キラ』

 

「うん」

 

 心配げな少女との通信を切った少年は、コンソールの上で指を滑らせる。それに応じ、ギシギシと嫌な音を立ててハッチが開いていった。

砂でも噛んだのだろうか、些か鈍い動きで外界との境界線を消して行く。

 

 隙間から入り込む鋭い日差しが、少年の目に襲い掛かった。眩い光にキラは目を細めるものの、肉体はすぐに順応して視界を確保する。

開ききったハッチから身を乗り出し、昇降ワイヤーで降りて行く。

 

 吹き掛かる風と、突き刺すような陽光。そして乾いた空気が彼を迎えた。

屈んだとはいえ二〇メートル近い機体だ。地面に到達するまで時間が掛かる。

そんな中で初めて肌で感じる地球にキラは圧倒されていた。

 

「凄いや……」

 

 どこまでも広がる砂の大洋。地平の彼方まで青い空と優雅に漂う雲。今までモニター越しに見る世界とは違う感動がそこにあった。

地球の雄姿に少年が見惚れる中、鋭い声が響き渡る。

 

 その声で一気に現実へと引き戻されたキラは、慌てて発生源を探す。

もしかしたら何か異常があったのかも知れない。しかし未だ高い位置にいる彼が見付けたのは、こちらへ向けて走り寄る人影だけだった。

 

 それはゲリラの代表者の中で一際小さな人影だ。陽光に反射し金色の髪が煌めく。

スラリとした脚を素早くうごめかし、圧倒言う間にこちらとの距離を詰める人物。少年の優秀な視覚が捉えたのは、どこか見覚えのある顔であった。

 

 おや、っとキラが首を傾げる中で迫り来る人物と視線が交わる。

意志の強い光が瞳には宿っていた。あどけなさが残るものの、整った容姿。

少年の脳裏から、その人物の記憶が引き出されようとした刹那、再び鋭い声が上がった。

 

「お前ッ、おまえぇぇぇぇッ!!」

 

「え、あっ、ちょっ、ちょっとッ」

 

 ようやく地面に着地したキラに突っ込む金髪。

まるでラグビーのタックルかの如く迫り来る。彼方ではゲリラ達が頭を抱えているように見えた。

 

 ドンッと衝撃がキラに襲い掛かって来た。

整っていない体勢と砂漠の不安定な足場が、この結果を彼に囁く。

そういえばこの声は加勢してくれたゲリラの声だ、と呑気な思いが少年の脳裏に過る。

 

 次いで背中から倒れ行くキラの身体。彼は胸に飛び込んで来た人物を抱き締める。

自分は頑丈だし、この子に怪我が無いようにと気遣った結果だ。

一方で突進をかました張本人も、キラの背中に腕を回して密着する。どうやら体勢を崩したことに驚いた様子。

 

 思わず、と言わんばかりに彼の背では細い腕が固く組まれていた。結局、勢いを殺しきれぬまま二人は勢い良く倒れ込んだ。砂がクッションになり想定以下の衝撃をキラの背中に、一方で想定外の衝撃が両者の口に発生する。

 

「んんッ!?」

 

「んむッ!?」

 

 キラの視界一杯に広がるは黄金色の瞳。その目は驚愕の色を映し出し、見開いていた。

同じくキラも想定外の事態に驚き、固まってしまう。

互いの鼻息が頬を撫で上げくすぐる。隙間無く密着した身体からは相手の体温が伝わってきた。

それと共に唇には柔らかな感触が押し付けられている。

 

 何で自分はキスされているのだろうか。

キラは目を白黒させてそんな思いを抱く。恐らく相手も同じであろう。互いに歯をぶつけなかった事は不幸中の幸いと言える筈だ。

目前に迫った艶やかな肌。仄かに漂う柑橘系に似た爽やかな香り。圧し掛かった胸が、目の前の人物は女性であるとキラに告げていた。

 

「なっ!?」

 

「おいおい……」

 

「はぁ……」

 

 風に運ばれ遠方から飛来する大人たちの声。驚き、呆れ、溜め息、それぞれの感情を乗せた言葉が響き渡る。

キラの聴覚はそんな声を捉えていた。しかし、少年の思考は聴覚から届く情報を受け止める事が出来ない。そんな驚きの余りに思考回路が停止する少年少女を周囲はどう受け止めるのか。

 

 未だ互いに抱き締めて、唇を合わせ続ける二人が知る由も無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 日は暮れ、辺りに満ちる暗闇を月光が照らす。パチパチと弾ける焚火の前で、キラは夜空にきらめく星々へと目を奪われていた。

遠くから聞こえるゲリラたちの喧騒をよそに、丁度良い大きさの岩へ座り、少年は星空観察にいそしむ。黒いキャンパスに散りばめられた輝きは、彼の心を掴んで離さない。

 

 そんな時、夜空を飽く事無く眺めるキラへと、一つの影が忍び寄る。ゆらゆら揺らめく焔に照らされ、黄金の頭髪が薄暗闇より姿を現した。

視界の端に映った金髪に少年は観賞を中断し、そちらへ視線を向ける。そこに佇むのはラフな姿――――赤いシャツにカーゴパンツといった姿の少女だ。

 

 彼女を認識した瞬間、昼間の記憶がキラの脳裏に蘇った。温かな少女の肢体と、柔らかな唇の感触。キラは自身の頬が熱くなっていくのを感じ取る。

相手も同じ思いなのだろうか、少女の顔へ朱色が差して行くように思えた。数度交わされる視線のやり取り、若干の気まずさを抱きながら少女が口を開く。

 

「……隣、いいか?」

 

「う、うん……」

 

「そ、そうか」

 

 少年は座っていた岩の脇へ寄り、空いた箇所へ少女が座った。ふわっと漂う甘い少女の香りに、キラはドキッとしてしまう。

 

 座りはしたものの彼女は喋らない。ただただ、眼前で燃え盛る薪に目を向けるだけだ。いや、時折こちらの様子を窺うようにして、視線が向けられている。どうしたものか、奇妙な沈黙の中で彼は思い悩み続けた。

 

 隠ぺいされたゲリラの拠点から奏でられる陽気な声。酒でも入ったのか、はたまたアークエンジェルとの共闘を喜んでいるのか。

遠方より響く野太い歌声が、遠方より飛来する。その声が後押しするかの如く二人の間にポツリポツリと会話が生まれていく。

 

「その、なんだ……悪かった」

 

「えっ……あ、いや、僕の方こそ」

 

 互いに謝罪から始めった会話は、若干のぎこちなさを醸し出しながら進んだ。距離感を窺うかのような言葉のキャッチボール。

主に彼女からの問いをキラが答え、そこへ更なる質問が続くという形式であった。そんな根掘り葉掘りと一方的な問い掛けではあるものの、少年は不満を覚えない。

 

 むしろ心地良さ――――いや、安心感と言った方が良かろうか。微妙な距離感から生まれる不思議な温もりに、彼は浸り続ける。

どれほどの時間が経っただろうか。ふと、少年は自身の鼻腔から疼きが湧き上がるのを自覚した。次いで、留める間も無く、くしゃみが飛び出してしまう。

 

 どうやら身体を冷やしてしまったらしい。日中の灼熱具合とは違い、夜の砂漠は意外と冷え込むのだ。焚火を前にしてもなお、この冷気。

宇宙の生活では味わえない自然現象に、心をときめきさせながらも少年は腕を擦る。そんな折にクスッと隣から小さな笑いが奏でられた。

 

 視線を向ければ、金色髪の少女が年相応の可愛らしい笑みを浮かべているではないか。クスクスッとささやかな笑い声を数度上げた後に、言葉を紡ぎ始める。

 

「ふふっ……あ、いや、すまん。えらく可愛いくしゃみだなぁと思って」

 

「そうかな?」

 

「あぁ、そうだ」

 

 子気味の良い会話が奏でられていく。その間にも少女は心底愉快そうに小さな笑い声を上げていた。可愛らしくも楽し気な姿に、傍から見ているキラも意図せずに声を上げて笑ってしまう。

 

 闇夜に響き合う少年少女の笑い。拠点の片隅で行われる小さな歓談は、確実に二人のわだかまりを溶かしてした。

一頻り笑いあった後に、再びくしゃみの音色が湧き起こった。おやっと少年は首を傾げる。

 

 自分ではない、ではこの可愛らしいくしゃみは。そんなキラの疑問はすぐに解き明かされる事となった。何せ彼の眼前では両手を口元に当て、頬を紅潮させている少女がいるのだから。

 

「あ……その」

 

「す、少し!……少し鼻がムズムズしただけだッ!」

 

「ふふっ。あ、ごめん、可愛らしいくしゃみだね」

 

「お、お前なぁッ!!」

 

 別に他意は無かったのだが、彼の物言いに少女は声を荒げて詰め寄って来た。少年の胸倉へと彼女の手が伸びる。しかし、二人の物理的な距離までは考えていなかったのだろう。

 

 上体を捻り、彼女へと相対させていたキラの胸に、暖かな物体が飛び込んだ。真横にいるにも関わらず、勢いを付けて迫った為である。

奇しくも抱き締め合う形となった二人。突然の出来事に身体が固まってしまうキラ。それは少女も同様のようで、彼の胸元で動きを見せない。

 

 遠くから聞こえる宴の声と、薪が弾ける音色が辺りを支配する。一体どうすれば、少年は胸中でそう呟いた。思考が停止してしまい対処策を練れないのだ。

 

 半ばパニック状態にあるキラは、よく考えずに彼女の背へと腕を回してしまう。彼の手が触れた瞬間、少女の身体がぶるっと震えた。

緊張の為に身体が引きつっているのか、それとも寒さに震えているのか。少年には原因の判別が付かなかった。

 

 だが、もし寒さで震えているのであれば暖めなければなるまい。そんな想いの中で、キラは彼女の背中をゆっくりと撫で擦り始める。

 

「あっ……」

 

 少女の口から声が漏れ出た。彼の手に驚いて上げた声なのだろうか。だが、それにしては酷く艶やかな色を滲ませた声である。

 

 想像以上に色気溢れる声に、キラは思わず手の動きを止めてしまう。もしかしたら不快にさせたのかも知れない。昼間、彼女の気性の荒さを垣間見た少年は謝罪するべく口を開いた。

 

「ご、ごめん」

 

「い、いや、別に構わない……むしろ、もっと――――」

 

「え?」

 

 徐々に小さくなっていく言の葉を、彼は最後まで聞き取る事が出来なかった。まるで借りてきた猫の如く、自身の胸内でおとなしくする少女前にキラは思案する。

 

 もしかして、撫でても大丈夫なのだろうか。少年は己の胸元へと視線を下げ、少女の様子を窺う。しかし、彼の視界には金色の髪が映るばかり。

 

 薄暗闇に焚火の明かりで照らされる髪は、キラキラと輝きを放つ。数瞬の間、キラの脳内では作戦会議が開かれた。採決の結果は『続行』、彼の細長い手が彼女の華奢な背を這っていく。

 

「んっ」

 

「もしかして、寒い?」

 

「ばかやろう……」

 

「ご、ごめん」

 

 不思議な一時であった。キラの言葉に対する返しは、どこか芯が無く辺りへと空虚に響き渡るのみ。今まで見せていた快活さはどこへ消えたのだろう。

 

 俯き加減に顔を胸へと押し付ける少女。キラの手が背中を撫でる度に、小さな鳴き声が発せられる。子猫が甘えるかのような声色は、何故だか無性に愛おしく感じられた。

 

 粗暴な言動、快活な性格、まるで少年のような少女。キラの中で出来上がっていた彼女の印象は徐々に崩れ去り、新た形へと作り変えられていく。

 

「あの、大丈夫?」

 

 彼はためらいがちに声を掛けた。手が背中の方面を行き来すればするほど、少女の呼吸が荒くなっている気がしたのだ。

はぁっ、と吐かれる息は湿り気を帯びて少年の皮膚へと浸透する。シャツに付着する残滓は、それ相応の熱を含んでおりキラの肌を暖めていた。

 

「カガリ……」

 

「えっ」

 

「カガリだ」

 

「か、カガリ?」

 

「私の名前だ」

 

 問いへの返答はいささか異なるものであった。彼は声に出さず口内で金髪の少女――――カガリの名を繰り返す。

 

 カガリ、その名は不思議なことにキラの心へ安らぎを与えていた。何故だろう、と少年は首を傾げる。疑問を抱く一方で、彼はもう一度ばかり少女の名を呼ぶ。

 

「カガリ……」

 

「んんっ」

 

 無意識の内に紡がれた名に、腕の中の少女は身じろぎをして反応した。次いで慈しみを込めて背を撫で擦れば、熱い吐息と甘えた鳴き声が彼女から溢れて出ていく。

 

 それはとても愛らしい姿であった。その姿はキラの心に鮮やかな感情の灯を抱かせる。自然と彼女の背を這う手付きにも熱が入った。

 

「カガリ」

 

「んっ」

 

「僕のことはキラって呼んでくれるかな」

 

「……キラ」

 

「うん、カガリ」

 

 彼の言葉に少女は押し付けていた顔を上げる。焚火の明かりと月の光の下で、今まで隠されていた彼女の表情が浮かび上がっていく。

それはとても艶やかな光景であった。秀麗な容姿は炎の色で照らし出される中にも関わらず、紅潮しているのが分かる。

 

 目尻は垂れ下がり、芯の通った目の光は蕩け切っていた。瞳に映る感情の色合いから、彼女が興奮状態にあることを指し示す。

整った鼻を可愛らしく鳴らす様子から、甘えたがりな子供を連想させる。半開きの唇は唾液でコーティングされているのか、艶美なきらめきを放って存在を知らしめていく。

 

 そして口の狭間より出入りする呼気は、香しき雌の香りを漂わせていた。少年のように活発的な少女の面影はどこにも無い。

ただ存在するのは、酷く淫らかに女の魅力を喧伝する少女の姿だ。少年は息を呑み、自然と喉を鳴らす。情欲の光を宿すカガリの瞳が、彼の心を捉えて離さない。

 

「か、カガリ……」

 

 キラは異様に乾いた口から掠れ声で少女の名を紡ぐ。その声に、カガリはビクッと肩を震わせた。何かを噛み締めるかのようにして、彼女は吐息を放つ。

 

 胸元に添えられた少女の手が、彼のシャツを握り締める。何故、こうなったのかキラには分からなかった。何故、カガリがここまで興奮しているのか。何故、自分はこれ程まで彼女の艶姿に胸を高鳴らせているのか。

 

 唯一理解出来たのは、自身が目の前の少女を欲していることのみ。だが早鐘に脈打つ己の心音が、少年の意識を現実へと引き戻す。

自分が欲していても相手が同じ想いであるとは限らない。キラはぎゅっと歯を食い縛り、性欲過多になりつつある自身の本能を押さえ込んだ。

 

 もし、彼女が少しでも嫌がるような素振りをしたのならすぐ離れよう。少年の理性が本能を押し込み、力強く決意を表明する。

 

「キラ……」

 

 そんな押し合い圧し合いの最中で、ポツンと名前が呼ばれた。漏れ出た声は非常に小さなものだ。囁きとも言える声は甘い響きを持って、彼の鼓膜を震わせていく。

 

 未だ茫然と見つめて来る少女が再度口を開く。キラ、と己の名を呼び続ける姿に彼は首を傾げた。どうしたの、と声を掛けるべく口を開けた瞬間、ソレは起きた。

 

「んんッ!?」

 

「んぁっ」

 

 ぐいっと身を乗り出したカガリが、キラへと迫ったのである。次いで唇に感じるは柔らかな感触。優しい弾力に満ちたソレは少年の口を深く咥え込んだ。

視界一杯に広がる少女の美貌にキラは目を白黒させた。シャツを握り締めた手が、皺が出来るほど彼の身を強く引き寄せていく。

 

 彼の鼻腔を満たし始めるカガリの匂い。それは甘酸っぱい汗と発情した雌の香りが入り混じり、少年の内側へと侵入する。ドクンッと己の心臓が、一際高く脈動するのをキラは感じ取った。

 

 貪るかのように激しく唇を擦り付けてくる少女の姿。どこか必死な様子にキラは思わず、背中へと回していた腕で彼女の身体を抱き留めてやった。

寄り添った身体がより一層密着し、服越しに互いの体温を感じ合う。早いリズムを刻む心音が重なり合い、一体となって協奏曲を演奏していく。

 

 身体を重ね合わせたお陰か彼女の必死さは収まりを見せ、徐々に落ち着きを取り戻しつつあった。少年の口内を蹂躙していた舌先も、ためらいがちにキラの舌先を突く仕草を見せている。

 

 そして水気を帯びたリップノイズと共に、長い長い口付けが終わりを告げた。離れた唇には唾液の橋が架かり、熱のこもったベーゼの残滓を匂わせていく。

陶然とした表情でこちらを見詰めるカガリ。だが潤んだ瞳が二度三度と瞬いた後、はっと我に返ったかのようにして叫び出す。

 

「これは、その……ち、違うからなッ!」

 

 のぼせたかの如く、真っ赤に染まる少女の顔。どもりながら飛び出た声が先程までの行為を必死に否定する。突如として理性を取り戻したかのように見える様子が、少年を困惑の坩堝へといざなう。

 

「いやっ、この……そうだ! お前が――――キラがキスして欲しそうな顔をするからだッ!!」

 

「えぇ……」

 

「だから、仕方無くなんだ! そんな表情で私を見詰めるお前が悪い!」

 

 拒絶の言葉と共に、彼女の首が何度も振られた。キラの返事を挟ませない怒涛の語りが、闇夜の砂漠にこだましていく。

自身を糾弾する少女を前にキラは何も出来ず、ただただ眉をひそめるばかり。しかし、時間が経つにつれて カガリの声は勢いを失っていった。

 

 元々、彼からしても照れ隠しのようにしか見えない言動ではあったのだ。だがそれでも万が一、本当に嫌がっている場合を考えて、少年は謝罪の言葉を口にした。

 

「ごめん、カガリ」

 

「うっ……ひ、卑怯だぞ……」

 

「……それじゃあ、ありがとう?」

 

「ばか……」

 

 こつんっとカガリの額がキラの胸元へと押し付けられた。同時に漏れ出た少女の言葉は、非常に切なげな響きを漂わせている。

 

 キラは一言も返さず、黙って彼女の背中へ回した腕に力を込めた。発熱したカガリの身体はとても温かく、寒空の下で彼の身体を優しく包み込んでいく。

 

「キラ……」

 

「なに?」

 

「お前が……お前がいけないんだからな……」

 

「えっ」

 

 何を、とキラが訊ねる前に彼の口は柔らかな感触によって再び塞がれた。先程の喰らい付くような貪欲たる接吻とは違い、ただただ深く相手との繋がりを求める甘い口付け。

 

 今にも涙を流さんばかりに蕩けた瞳が、少年の視線を釘付けにする。篝火によってキラキラ輝く色彩には、確かな情欲の焔が立ち昇っていた。

 

 唇同士の狭間より奏でられる水音。彼の口腔へとカガリの舌先が侵入を果たす。くちゅっと夜空の下に行き渡る残響は、卑猥な旋律を持ってしてキラの鼓膜に届けられていく。

 

 前歯を撫で上げて、歯茎を擦る感覚に少年の背筋が震えた。彼の口内を堪能する舌捌きはぎこちなく、稚拙としか言いようの無い動きだ。

しかし、そこに込められた少女の想いの丈が、何倍もの快感を引き出し煩雑なうごめきを愛撫へと昇華させる。

 

 しばらく目を見開き、驚きに身を固まらせていたキラは、口元から発する快感で我に返った。そして、その動きに呼応して舌先を伸ばす。

 

「んんっ!?」

 

 つんっとキラの舌先が歯茎を撫で続ける軟体に触れた。その瞬間、少女の甘い悲鳴が湧き上がる。驚きと悦びが入り混じった声は、すぐに収まり彼の舌を迎え入れていく。

 

 鮮やかな色合いの先端が互いに突き合う。まるで、相手の存在を確かめるかのように何度も丁寧に、そして執拗に。

一度目のキスは彼女の暴走のようなものであり、口内を蹂躙していた少女の舌を感じる暇すら無かった。

 

 だが、今回は違う。念入りにお互いを確かめる突き合いは大胆さを増していく。舌先で相手を弾き、中腹をうねらせ擦り、積極的に絡ませ始める。

真っ赤な粘膜が淫猥な音色を轟かせる度に、耐え難い快楽が二人の間に生まれた。んっんっ、という短い喘ぎが少女の喉元より奏でられ、そのいじらしさに少年は興奮度合を深めていく。

 

 口内で撹拌された唾液が結合部の隙間より溢れ出し、筋を作って顎から滴り落ちる。砂の地面上に出来た色濃い斑点は、すぐに吸収され消えていった。

それはまるで、ささやかな快楽を享受する二人を暗示しているようであった。唐突にシャツを掴む少女の手が離れる。

 

 するするとキラの胸元から降っていく美しい指先。裾を捉えた手が、シャツを半ばまくり上げて内部へと侵食していく。

両者から圧せられる熱気で、じんわりと汗を浮かばせた少年の肌を彼女の手が犯す。薄く浮かび上がる彼の腹筋を、手のひら全体で撫で回し揉み解していった。

 

「あぁ……キラっ、キラぁッ」

 

 堪らない、そう言わんばかりに紡がれたカガリの言葉。数瞬、離れた唇は勢いを増してキラの口元へと舞い戻り、口交を再開させた。

 

 少年の皮膚を、その下に息づく筋肉をまさぐるかのように彼女の手が動く。くすぐったさと同時に心地良い悦楽が、彼の芯を揺する。

 

「んぁっ……か、カガリっ」

 

 与えられる快感に、キラは思わずおとがいを反らして喘いだ。あぁ、と小さく少女の口から声が漏れ出た。名残惜しさに満ちた声色は、口での交わりを解かれた為に出たものだろうか。

代わりのつもりなのか、カガリは少年の首筋へと顔を埋めむしゃぶり付いた。甘く歯を立てて皮膚を噛み、その跡を鮮やかな軟体が厭らしく這う。

 

 それでも口元の寂しさは紛らわせないのか、彼女の腕を更に進ませ胸部へと至らせる。シャツから完全に姿を現した腹部は、ひんやりとする冷気が宛がわれた。

火照る身体に心地良さと清涼感を抱かせる中で、彼のシャツが巻き上げられて行く。カガリは、まろび出たキラの胸へと指を這わせ、丹念に揉みしだいていった。

 

 指圧された箇所から生まれる心地良さが、少年の身体の奥へと浸透を始める。繊細なマッサージの前に、彼は思わず声を漏らしてしまう。

胸の奥へ降り注ぐ快感が、キラに潜む獣欲を揺り動かす。ズグンッと震える陰茎が、徐々にその鎌首をもたげ始めていた。

 

「か、カガリぃ……」

 

 吸血鬼の如く執拗に首筋へむしゃぶり付く少女へ、キラは情けない喘ぎを零す。刹那、少年の腕中で彼女の身体が、ビクッと飛び跳ねた。

 

 次いで小刻みに震え始める華奢な肢体。まるで何かを我慢するかのような痙攣だ。時間が経つにつれ、その震えは酷くなり、そして――――

 

「あっ……くぅッ、き、キラッ!」

 

 彼の首筋から口を離し、勢い良く天を仰ぎ出す少女。汗で湿り気を帯びた金髪が宙を舞い、汗の水滴が空を駆ける。

一際大きく身体が飛び跳ね、くびれた腰は前後に揺れた。それは何かを求めているかのような動き。どこか挑発的に宙へと刻まれる卑猥なステップ。

 

 情欲に塗れた雌の咆哮と共に、少年の猛りを表へいざなう。いつの間にかキラのズボンでは、逞しい隆起が形成されていた。

 

「か、カガリ……だ、だいじょうぶ?」

 

「あぅ、んんぅ。き、キラ……わ、私……もう」

 

「ど、どうしたの?」

 

「もう……あぁっ、もう我慢出来ない!!」

 

 放たれたカガリの悲痛な叫び。それと共に、彼女の手が少年から素早く離れていく。片方の手は自身の、形の良い胸へと。もう片方の手は、彼女が履くカーゴパンツの内側へと消えて行った。

 

 双房に盛り上がった胸元が荒々しく形を変える。真紅のシャツが乱れ、襟から艶めかしい乳肌が垣間見えていく。幾重にも生成された生地のシワに、小さな隆起が形作られているようにも感じられた。

縦横無尽に姿形を変える乳房に、キラは目を離すことが出来ない。

 

「あぁッ! きもちっ、きもちいいッ!!」

 

 迸る少女の嬌声。理性を失ったもう一方の手が、性感に満ちた声の中に粘着きのある水音を掻き鳴らす。カーゴパンツの中がどんな惨状になっているのか、キラには窺い知ることが出来ない。

 

 しかし、その股間部から広がり始めている黒染みを見れば、おおよその検討は付くことが出来よう。陰部から内股を添って、足へと少しずつ伝染していく染みは、彼の本能を果てしなく誘惑していた。

 

「うぅんッ! お、お願いッ、キラもッ……キラも触ってくれッ!!」

 

 粗暴な口調は愛欲によって蕩け、しとどに濡れた瞳が切なげに訴えを上げる。淫靡な喘ぎと口角から滴る唾液が、彼女の陶然とした表情を鮮やかに彩っていく。

 

 少年の胸内で欲望の渦が吠える。抱け、目の前の雌を抱け、と。理性が霧散し、獣欲に突き動かされるまま、彼は発情する雌へ手を伸ばした。

 

「あぅッ」

 

 彼女自身の手によって卑猥に形を変える乳房。服の上から、もみくちゃにされる中でキラの手が接触を果たす。雄に触られた、ただそれだけの事実に少女は甘ったるい鳴き声を上げていた。

 

 汗を吸った為か、じんわりと湿り気を帯びる赤いシャツ。その上を少年の指が走り、果肉へと沈む。柔らかくも、芯はどこか固く感じられる。

それは未だ未成熟の青さを残す双房の実りだ。しかしそれでもなお、若さゆえの張りと柔らかさの絶妙な配合が、彼の手を楽しませていく。

 

 彼の爪が生地を這う度に少女は天を仰ぎ、指が沈めば首を左右に振った。堪らない、快感を享受する女肉がそう告げているかのようだ。

いつの間にかカガリの胸は、キラの両手に委ねられていた。先程までそこに存在した彼女の手は、行き先を変えて突き進む。

 

「うッ」

 

 今度はキラの口から唸り声が発せられた。ズボンの厚い生地越しに、彼の逸物が撫でられたのだ。痛々しいほど腫れ上がる股間部には、少女の華奢な指が添えられているではないか。

熱に浮かされたように、彼女はソコへと視線を注ぐ。雄の証に魅入られた雌は、その逞しさを味わうかの如く撫で上げ続けていた。

 

 背筋からゾクゾクとした快楽電流が少年に襲い掛かる。くぅっと息を漏らすキラは、お返しと言わんばかりにカガリの胸を揉んでいく。

そんな最中、真紅の繊維を押し上げる小さなしこりが目に入った。己の存在を主張するささやかな蕾だ。双山の頂点で勃起する恥部を、彼は手のひらで擦る。

 

「んぁッ! うんんぅッ!」

 

 ビクッビクッと弾け飛ぶ少女の肩。迸る雌獣の咆哮は、彼女の快楽の深さを物語っている。次いでキラは指先で、その二つの隆起を摘み上げた。刹那、カガリが見せた反応は劇的であった。

 

 ガクガクと腰を揺らし、吸収しきれなかったのであろう雌汁を、カーゴパンツの股間部より撒き散らす。浅ましくも空腰を使って、存在しない男根を咥え込もうとする女の痴態。

 

 カーゴパンツの分厚い生地から滴る淫水が、腰掛ける岩場に痕跡を残していく。濃厚な愛液の香りが立ち昇り、彼女がまとう発情臭と混ざって、少年の肺を一杯にしていった。

声も出さず喉奥から発せられる低い唸り声は、まさしく獣の声としか思えない。だがそんな彼女に、とてつもない愛おしさを感じてしまう。

 

 焦点の合わないカガリの目が、宙を行き来する。振り向かせたい、キミを愛しているのは自分なのだ。独占欲とも取れる想いに駆られたキラは、彼女の唇を優しく奪った。

チュッと鳴り響くリップノイズ。ぼんやりとしている少女の目が、こちらへと向けられた。予期せぬ頂きへと達してしまった為か、彼女の動きは酷く緩慢だ。

 

「カガリ」

 

「あぅ……キラぁ」

 

「僕、もっとカガリと愛し合いたい」

 

「あっ……わ、わたしも……わたしも、もっと一緒に……」

 

 ぼそぼそと紡がれる言葉。不明瞭な箇所もあるが、彼女も同じ思いであることは間違いない。先を促しているのか、はち切れんばかりに勃起した陰茎から痛みが放たれる。

己の本能に従い、キラはカガリの服へ手を掛けた。邪魔されぬまま、深紅のシャツが地面へと舞い落ちる。水気を吸った生地下から肌色が現れる。

 

 触っている際に勘付いてはいたが、彼女の上体を隠していたのは真っ赤なシャツ一枚だけであった。滑らかな肌は桜色に染め上げらえており、その上に汗の水滴を浮かばせている。

そして布に押し込めらえていた少女の匂いが、辺りへと蔓延していく。柑橘系を彷彿とさせる彼女本来の匂いと、濃厚な雌臭のブレンドが少年の興奮度合を深めさせた。

 

 形の整った乳房と、その先端で起立する乳首。鮮やかなピンクの突起は外界の冷気に晒されるも、健気に存在を主張し続けていた。

キラの喉が鳴る。眼前に露わとなった女肉に、獣欲が飢えを訴えていたのだ。襲い来る飢餓感に彼は耐え切れない。カガリの胸元へ吸い寄せられるようにして口が向けられる。

 

「あぁっ。そ、そんな……きら、そこは……そこは」

 

 カガリが怯えた仕草を見せる。しかし、震える声には明らかな期待の色が見え隠れしていた。それに加え、徐々に距離を詰めていく彼の唇に対し、決して顔を逸らさず凝視までしているのだ。

 

「だ、だめ……だめだ、きら。そ、そんな所を吸われたら私……わたしッ」

 

 興奮の色を隠せない少女の言葉。熱のこもった吐息が彼の額へ吹き掛けられる。とうとう淡い桃色に、唇が触れた。ぷるぷると震える突起は、心地良い弾力をキラに伝えた。

 

 咥え応えのありそうな感触に、キラの我慢も限界であった。唇が乳頭を挟む込み、一気に吸いこんだ。口腔へと引きずり込まれた先端を、彼は命一杯しゃぶっていく。

 

「ひぅッ!! うぅぅぅうッ!!」

 

 甲高い奇声が夜空に向かって放たれた。その瞬間、カガリの腕が少年の頭を抱え込む。そして、もっと先を求めるかのように胸へと強く引き寄せられた。

 

 そのように促されるまでもなく、彼は蕾を愛するつもりだ。頬がへこむほど吸い込み、乳首を果肉から完全に勃起させる。次いで、口内深くに入り込んだ乳頭を歯で優しく刺していった。

 

 耐え切れないほどの悦楽だったのか、ギュッと抱き締められたキラの頭部へ、カガリに顔が擦り付けられる。後頭部の辺りに鼻先を押し付け、子猫が甘えるかの如くスリスリと。

 

 その間にも、少女の口からはひっきりなしに甘い悲鳴が上がっている。徐々にボルテージを上げていく鳴き声は、キラの欲望に幾ばくかの満足感を与えていた。

 

「だ、だめッ! くるッ! くうぅぁぁぁぁッ!!」

 

 何度目かの甘噛みを行った際、カガリの悲鳴が一際大きく響き渡った。盛大に全身を痙攣させ、少年の頭を今までで一番強く掻き抱いていく。

視界が肌色に染まり、カガリの濃密な匂いに包まれる。恐らく達しているのだろう、ならば余韻を楽しませなければ。少女の悦びを少しでも長く続かせる為に、彼は慈しみを込めて愛撫を継続した。

 

 しばらくすると彼女の肢体がガクガクと異様な震えを発し始める。そしてキラの聴覚が、とある音を捉えた。それは水流の音色。

くぐもってはいるものの、勢い良く噴出する水音そのものだ。シャッ、シャッっとカガリの身体が飛び跳ねる動作に合わせて奏でられるせせらぎ。

 

 激しい拘束の最中、どうしか顔をズラして音源――――少女の下半身へと視線を向けた。そこには、ズボンの繊維を突き抜け噴出する水流が存在していた。

位置は丁度、彼女の雌しべがある箇所だ。潮吹きと呼ばれるものだろう。水浸しとなった生地は股間部に張り付き、薄っすらと肉唇の姿を浮かび上がらせている。

 

 果てしない絶頂感を享受し、その身を歓喜に打ち震わせる少女。未成熟な少女であるにも関わらず、浅ましくも淫らかなその姿は熟成した一人の女であった。

辺り一面を支配する濃厚な性臭が、キラの猛りを最高潮にまで煽っていく。辛抱堪らない少年は紅潮している乳房より顔を離す。そして、ぐしょぐしょに濡れたカーゴパンツへと手を伸ばした。

 

 水気を吸い過ぎて、黒ずんだズボンに指先が掛かる。その瞬間、彼女の身体が小さく跳ね上がった。未だ絶頂の尾が引いているのだろう。

荒々しい呼吸音と緩慢な動きが垣間見える。だが、少年の獣欲はもう待つことが出来ない。彼は視線を上げ、虚ろな瞳でこちらを見やる少女へと言葉を投げ掛けた。

 

「カガリ……」

 

「あうっ……あ、あぁっ」

 

 名を呼ばれたカガリは、ぶるっと震えた。次いでゆっくりと頷き、その虚ろな瞳に艶やかな感情の色を乗せる。雌としての本能、雄を追い求める貪欲な輝きだ。

 

 座り込んだ岩場より、彼女の腰が僅かに浮かび上がる。同時に吸い切れなかった水気が滴となって流れ落ちていく。少女が座っていた場所は、最早水溜まりすら出来上がっていた。

 

 キラはカガリの動きに呼応して手を動かす。ゆっくりと引き下ろされるズボン、徐々に露わとなるショーツと布越しに薄っすらと見える影。

 

 生地の向こう側で静かに息づく花弁は、雄の視線に晒されてヒクヒクとうごめく。布股からじわりと滲み出て来る新たな液体は、白く濁り凝縮された雌臭を撒き散らしている。

 

 えぐみすら感じられるほどの臭気。それにも関わらず彼はもっと嗅ぎたいと思っていた。無意識の内に喉が鳴る。渇きだ、飢えにも似た渇きが少年の胸中に生まれている。

 

 気を抜けば今にもカガリの股座へ顔を突っ込まんとする己を抑え、どうにか手に取る厚い布をはぎ取った。スラリとした脚にくびれた腰。そして、引き締まった腹部が月光の下で怪しくきらめく。

 

「カガリ、こっちも脱がすよ」

 

 興奮の余りに掠れた声がキラの口より飛び出す。それに対するカガリの返答は一つ頷くことであった。彼女の了承を得たキラは、ゆっくりと下着を脱がしに掛かる。

 

 薄い布地から顔を出す金色の草原。丁寧に整っている茂りは、水気によって恥丘へと撫で付けられていた。次いで、外界へと露わになるは肉貝。普段は閉じられているであろう陰唇は、度重なる悦楽の前に開け放たれているではないか。

 

 濃厚な雌臭いを放つソコは、外界の冷気に晒されて震えている。いや、もしくは雄の視線を直に感じて、期待しているやも知れない。

少年の手によってするすると降っていく下着。水分を吸って若干重みを感じられる布切れは、足首を通り去って完全に彼女の下から解き放たれる。

 

 満点の星空の下で彼女の裸体が晒される。紅潮した肌が月夜に映え、女の本性で彩られる素顔は一つの芸術として完成されていた。

 

「あぁっ、なんてことだ……わ、わたしは……外で裸なんかにッ」

 

「綺麗だよ、カガリ」

 

「そ、そんなこと言うなぁ……うぅっ、キラッ! は、はやくぅ」

 

「う、うんっ」

 

 野外で裸になっていると言う異様な状況が、カガリの精神を昂揚させているのだろう。今にも達しそうな切ない声でキラを求めている。彼は少女の要求に応えるべく、急いでズボンを下着ごと擦り降ろした。

 

 まろび出る逸物が勢い良く天を突く。痛々しいほど真っ赤に腫れ上がる男根は、少年の下腹部にまで反り返っていた。下着外との気温の差で肉棒が震えるさまを、カガリが凝視する。彼女の喉元が上下し、息を呑んでいるのが分かった。

 

「す、凄く……大きいな」

 

「その、カガリが……魅力的だから」

 

「うっ……ば、ばかッ」

 

 彼女の魅力を称える言葉がスラリと放たれた。本心ではあるのだが、簡単に言えてしまうのは今までの経験のお陰であろうか。カガリは恥ずかしそうに俯き加減でこちらを睨む。

 

 しかし、潤んだ瞳での上目遣いは彼の情欲に油を注ぐだけだ。少年は己の手を差し出して彼女を導いた。少女も抵抗することなく導かれるままに、彼の膝上へと誘われていく。

キラの脚を跨いで、カガリは腰を降ろす。腿上に、彼女の尻肉が触れる。皮膚を濡らす水分は冷たく、その向こう側の女肉が冷えた個所を温める。

 

 まだ女への成長途上な少女としての肉体は、鍛えられていることもあって張りに優れていた。しかし、その中に内包される柔軟性は、少女ではなく女を明確に感じさせている。

 

 うっ、とキラは思わず呻いた。触れているだけなのに達してしまいそうなのだ。ただ対面座位へ移ろうかという体勢なだけなのに。彼は奥歯が軋みをあげるほど命一杯噛み締めて、湧き上がる浮遊感を無理矢理抑え込んだ。

 

 そんな折、びゅッと急に逸物へと水気が掛かった。裏筋に噴き掛かる水しぶきの音は、少女の股座からだ。何が、と問うほど彼は鈍くはない。

 

「あっ、あぁっ、だめッ……だめだッ! イ、イクのがっ……止まらないッ」

 

 ガクンッガクンッと荒々しくカガリの腰が繰り出される。全く抑えが効かないのだろう、我慢出来ない絶頂に彼女はハラハラと涙を零していた。

キラはその華奢な女体へ腕を回して抱き締める。腕の中で一層飛び跳ねる少女をあやすように、抱き寄せて密着させた。

 

 肌と肌が重なる。二つの温もりが共有され、互いの匂いが入り混じる。綺麗なお椀型の双山が、自身の胸板に押し潰されていく感触を楽しみながら少年は言葉を紡ぐ。

 

「カガリ、気持ちいいんだね。嬉しいよ」

 

「うぁッ、うぅんッ! き、きらッ!! きらッ、はやく、はやくぅッ!!」

 

「うん、いくよッ」

 

 快楽に染まった叫びを聞きながら、キラは己の怒涛をカガリへと向ける。彼もまた限界であったのだ。穂先が雌肉に触れた。だらだらと湧き出る先走り汁と、噴き出る愛液が入り混じる。

 

 亀頭が、朱色の肉壺へと飲み込めまれていく。刹那、激しい締め付けが襲い掛かって来た。ドロドロに蕩け切っているにも関わらず不慣れなのか、鮮やかな淫肉は完全に収まり切る前に雄を求めて殺到する。

 

 歯の隙間から吐息が零れ落ちた。待ち望んだ刺激に劇的な反応を見せる肉壺は止めようが無い。おまけにその歓待を受ける雄槍も、絶頂目掛けて駆け出していた。

 

 瞼の奥で火花が散った。このままではいけない、キラはあらん限りの力を振り絞って自分の腰を跳ね上げた。ズンッと蜜壺を穿つ怒涛。幾重もの肉ひだが陰茎を弾く度に、頂きへの道が縮まっていく。

 

「あッ、あぅッ、ううぅぅああぁぁぁッ!!」

 

「くぅッ」

 

 限界を迎えようとした瞬間、亀頭が最奥に到達した。それと同時にべっとりと張り付いた先端が最奥の唇に咥え込まれる。熱のこもった口淫に少年の逸物は頂点に達していく。ほぼ同じくしてカガリも絶頂を迎えたようだ。

 

 迸る絶叫は、喉奥から迸る重々しい獣の咆哮。肉棒を押し潰さんばかりの膣圧が射精感をより一層深いモノに至らせる。噴出した精の奔流、脈動する度に腰が抜け落ちそうなほどの快楽がキラを掻き乱す。

 

 灼熱とも言える熱気を帯びた厭らしい泥濘は、黄色い悲鳴を上げて先を促そうと蠢動する。飛びそうになる意識を留め置く為に、腕の中の彼女を強く掻き抱いた。

 

 それはカガリも同じであったらしく、その身を強張らせ必死にキラの身体へ縋り付いていた。五感全てがショートしてしまったのか、何も感じ取れない中で唯一存在する他者の温もり。

 

 心身共に強く求め合ったが故に、境界線すら見失った両者は一つに収束する。全て入り混じる感覚は正気を失うほどの心地良さだった。

 

 どれだけの時間が経過したのかは分からない。しかし、遥か高みから降りれずにいる二人は、ただひたすら互いの存在を共有し合う。そこには確かな安心感が漂っていた。まるで元々二人は一つの存在であったかのような温もりに浸りながら、同じ時を過ごす。

 

「あぅッ……か、カガリぃ」

 

「んんッ……き、キラぁ」

 

 ようやく落ち着いた時、二人同時に目を開けていた。自然と絡み合う視線。互いに何を考えているのか言葉を交わさずに理解出来た。

 

 無言のまま、唇が重なった。舌を交えての熱いベーゼだ。渇きを癒す為に唾液が口腔を行き交っていく。正面から強く抱き合う二人は、どちらともなく動き出す。

 

 ゆらゆらと腰が揺れ、雄しべと雌しべが刺激を交わしていく。打ち付けられる腰にカガリがくぐもった鳴き声を上げれば、幾枚も迫る淫肉の按摩でキラが唸り声を放つ。

 

 ぬるま湯の如き性交は徐々に勢いを増していき、互いに快楽を共有しようとする苛烈な交尾に昇華していった。パンパンッと鳴り響く甲高い破裂音。

彼女の尻肉が少年の腿へ当たる度に、歓喜の嬌声が迸る。焚火の焔に照らされる裸体の二人は貪欲に肉欲を貪っていく。

 

「あっ、あっ、あぁッ! きらッ、またイクッ、イクからッ!!」

 

「うっ、くぅっ、カガリッ! ぼ、僕もッ……僕もイクよッ!!」

 

「あ、あんんぅッ、一緒にッ! 絶対一緒にだぞッ!!」

 

「うんッ、うんッ! 一緒にイこうッ!!」

 

「あッ! あぁッ!! き、きらぁぁあぁぁぁッ!!」

 

「うッ! ぐぅッ!! か、カガリぃぃッ!!」

 

 一つとなった影が不意に止まる。淫靡な絶叫が周囲にこだまし、互いを求めて一層強く抱き付く。静まり返った岩場に、二人の混合液の水溜まりが生まれていた。白く濁る両者のラヴジュースは当分生成され続けるであろう。

 

 現に、一寸の隙間も作らず重なる二人は、間も置かずに緩やかに動き始める。今まで埋められなかった溝を埋めるかのように。月光でライトアップされる中、男女の宴はまだまだ終わりを見せないのであった。

 

 

 

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