※この作品はR-18です。

聖女(性女)様と一緒 ~悠々自適の一人旅が、波瀾とエロに満ちた珍道中に~   作:ぐうたら怪人Z

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第一部 第1話 聖女エルミア
① 出会い


 

 

 青々と茂る森の中、腰に剣を携えた一人の青年が街道を歩いていた。

 背は高く、黒い髪は手入れされずぼさぼさで、瞳はやや鋭いが――それ以外に目を引く特徴は無い。

 身に着けているものも典型的な旅人の装いだった。

 

 “王国”の外れに位置する辺鄙な場所であるためか、他に行く旅人はほとんど見られなかった。

 そのことに青年は少々の寂しさを感じる。

 行き交う人々との他愛無い触れ合いも、旅の醍醐味と考えているからだ。

 

(……天候に恵まれているのが救いだな)

 

 昨日から天気は快晴だった。絶好の旅行日和だ。

 青年は、舗装されていない道を、力強い足取りで歩き続ける。

 

(この分なら、明日には宿場町に辿り着けそうだ)

 

 悪天候による足止めが少なく、思ったよりも旅程が早く消化できそうだ。そのことが、青年の脚をさらに軽くさせていた。

 

「――ん?」

 

 そこで気付く。前方から、黒い煙が立ち上っていた。

 

「……きな臭いな」

 

 地図によれば、この一帯は全て森林。

 木が燃えたところで、“黒い”煙などそうそう上がらない。

 アレは、油が燃える色だからだ。

 

 ということは、あの辺りで油などが燃えているということであり、そこに高確率で人がいるということも想像に難くない。

 そして、真昼間から油を燃やす事態というのは、程度の差や方向性の違いはあれ、緊急時である場合が多い。

 

「少し急ぐか」

 

 その考えに思い至ってしまった以上、見過ごすのは寝覚めが悪い。青年は、街道を駆け出した。

 

 

 

(――“当たり”だ!)

 

 現場は青年の想像通りの有様だった。

 馬車が――かなり高級そうな馬車だ――横たわり、黒煙を上げて燃えている。

 御者らしき人物が口から血を流して倒れており、その近くで乗客と思しき人物も胸を抑えて蹲っている。

 

 そして、その周りを覆面で顔を隠した集団が取り囲んでいた。

 人数は7、各々が短剣などで武装している。

 

(様子見の時間は無い!)

 

 青年は、一気にその場へ飛び出した。

 

「待てっ!!」

 

 集団の注意を向けるべく、大きな声で叫ぶ。

 思惑通り、覆面達は一斉に青年の方を向いた。

 青年は彼らに向かい、言葉を投げつけた。

 

「多勢に無勢。

 勝手だが馬車の御仁に義があるとみなすぞ。

 異論があるなら言ってくれ」

 

 返答はすぐに来た。

 一斉にナイフを投げつけられる、という形で。

 

(刃に何か塗ってあるな)

 

 跳んでくる短剣を見て、思う。

 金属の光沢とは少々異なった。

 

(十中八九、毒か)

 

 彼らの装備から見ても、その予想は妥当なものと思われた。

 だとすれば、掠るだけでも致命傷となりうる。

 青年は腰の剣を抜き放つと、一振りで7つのナイフ全てを叩き落とした。

 

 

 「――っ!?」

 

 

 その様を見て、覆面達に一瞬動揺が走る。

 青年は彼らに告げる。

 

「それが返事か。

 では、こちらも相応の(・・・)対応をさせて貰おう」

 

 抜き身の剣を構え、集団へと斬りかかっていった。

 

 

 

 

 

 

「――ぐっ!?」

 

 小さな悲鳴と共に、覆面の一人が倒れた。これで6人(・・)

 

「お前で最後だな。

 そろそろ降伏したらどうだ?」

 

「………くっ」

 

 青年の勧告に、最後の覆面は僅かにたじろぐ。しかし、降参をする様子はなく――

 

「む?」

 

 ――ナイフを投げてきた。

 全部で6つ。

 だがそれは、青年を狙ったものでは無く。

 

 くぐもった呻きが6つ聞こえる。

 

「仲間をやったのか」

 

 それは、倒れた覆面達に止めを刺すものであった。

 そして。

 

「――ふっ!」

 

 覆面は、自身の喉元にもナイフを刺した。

 力なく、倒れる。

 

(……自害したか。

 見事な手際だ)

 

 死ぬことに何の躊躇いも無かった。

 尋問を受けることを危惧してのものだろう。

 余程訓練された者達のようだ。

 

「まあ、仕方ない。

 それよりも――」

 

 青年は生存者である乗客の下へ向かう。

 

「おい、大丈夫――じゃ、ないな」

 

 後半の台詞は、尻すぼみ。

 改めて見た乗客らしき壮年の男性は、どう見ても“手遅れ”だった。

 

 覆面達に切りつけられたであろう胸の傷は毒でどす黒く変色し、おそらく臓腑に至っている。

 最早、解毒も間に合うまい。

 

 男は苦し気に表情を歪ませながら、口を開いた。

 

「……た、助かりました、旅の方」

 

「いや、すまない――到着が遅れてしまったようだ」

 

 青年は頭を下げる。

 もう少し早ければ、彼を助けられたかもしれないのだ。

 

「気に……なさらず。

 それよりも……エルミア様は、エルミア様は、無事、ですか――?」

 

「エルミア?」

 

 響きからすると、女性だろうか。

 軽く周囲を見渡す。

 見える範囲に、そのような女性の姿は見られない、が。

 

「……安心しろ。

 無事だとも」

 

 嘘をついた。

 この男の命は、あと数分も保たないだろう。

 死ぬ間際に、敢えて不安にさせる言葉を告げなくともいいはずだ。

 

「ああ――それは、良かった。

 本当に、良かっ、た……がはっ! げほっ、げほっ!」

 

 男が大量の血を吐いた。

 

「おいっ! しっかりしろ!」

 

「はぁっ、はぁっ――旅の方、勝手を――申し上げます。

 どうか……エルミア様を、王都へ……王都へ、お連れ下さい……」

 

 掠れる声で、そう紡いだ。

 青年は男の手を握り、強く頷く。

 

「承知した。

 俺で良いのなら、力になろう」

 

「あ、あり、がとう……

 どうか、エルミア様を、お願い、します……お願――――」

 

 ……息が絶える。

 どこの何者かも分からないその男は、最期まで自分以外の誰かの身を案じ、死んでいった。

 青年は、彼の瞼をそっと閉ざす。

 数秒、冥福を祈ってから、

 

「……エルミア、か」

 

 もう死んだ人物との約束である。

 無視したところで、誰からも咎められない。

 しかし青年は、故人との約束だからこそ、できる限りのことはしたいと考えた。

 

 馬車の反対側――森の奥を見る。

 

「もし、馬車が転倒する際に投げ出されたなら――」

 

 例えば、襲撃者に気付いた目の前の男が、そのエルミアという人物を馬車から脱出させたなら。

 

「そう遠くない場所にいるかもしれないな」

 

 呟いてから、そちらへ足を踏み入れた。

 

 

 

 またもや青年の想像は的中する。

 少し進んだところの木の陰に小柄な少女が倒れていた。

 すぐに容態を確認する必要があるのだが――

 

「――綺麗だ」

 

 少女をじっと見つめたまま、青年は思わずそんな言葉を零してしまった。

 こんな時に不謹慎であることは分かっている。

 だが、思わずにはいられなかった。

 それ程その少女は美しかったのだ。

 

 さらさらと流れる長い銀色の髪。

 芸術品のように整った容貌は、まだ幼さを残しながらも楚々とした印象を見る者に与え。

 纏っているのは簡素な、しかし上品さを感じさせるドレス。

 そこから垣間見える肌は染み一つなく、白磁にさえ例えられる。

 服の上から見ただけだが、プロポーションも――

 

(いや、それは失礼だろう!)

 

 青年はかぶりを振って、自らの邪な視線を止める。

 頭を切り替え少女へと駆け寄った。

 顔を覗き込み、息を確認する。

 

「……っ!」

 

 鼓動が、どくんと高鳴った。

 やはり、美しい。

 可憐だ。

 このままずっと眺めていたい欲求に駆られる。

 

「だから!

 そういう場合ではないと言ってるだろうが!!」

 

 声に出して、自分に言い聞かせた。

 己が高潔な人物だと考えていたわけでは無いが、ここまで卑俗な男だとも思わなかった。

 湧き上がる劣情に蓋をし、再度少女を見やる。

 

「――すぅ――すぅ――すぅ」

 

 小さな呼吸音。

 

「これは……」

 

 ほっと胸を撫で下ろした。

 少女は生きている。

 身体の方も見るが、外傷も無い様だ。

 馬車から落ちた、或いは何者かに襲われたショックで、気絶したというところだろうか。

 念のため頭部の傷が無いかもう一度確認してから、青年は少女を揺さぶる。

 

「おい、大丈夫か?

 目を覚ませ」

 

「―――――ん」

 

 程なくして、彼女は目を開いた。

 そのガラスのように澄んだ瞳を見て青年は、

 

「……っ!」

 

 感嘆の声が出そうになるのを、どうにか押し殺す。

 ただでさえ幻想的だった美貌に双眸が揃うことで、心臓を射貫かれる程の衝撃を受けたのだ。

 そんな青年を戸惑いを少女が知るはずもなく、

 

「貴方、は――?」

 

 耳に心地よいソプラノの声。

 少女が一つ動く度に、青年の心は搔き乱される。

 

「あ、ああ。

 怪しい者じゃない――と言って、信じられないかもしれないが。

 決して、君に害を与える気はない。

 その、なんだ。

 今の状況を、説明すると、だな――」

 

 動揺を隠しながら(多少漏れていたが)、青年は少女へと語り始めた。

 

 

 

「……ギリー」

 

 先程、青年と約束を交わした男の遺体を前にして、少女はぽつりと呟いた。

 彼の名前なのだろう。

 事情を説明してから――とはいえ、青年も大したことを分かっていないのだが――少女の頼みで、この男性のもとへと彼女を連れてきたのだ。

 

「この人は、君の――」

 

「私を育ててくれた者です。

 幼い頃から、ずっと一緒でした」

 

「……そうか」

 

 教育係だったのだろう。

 少女の身元はまだ分からないものの、とてもではないが平民だとは思えなかった。

 高貴な身分なのだろうと、青年は勝手に予想している。

 

「――あの」

 

 少女が話しかけてきた。

 

「なんだ?」

 

「私の事情をお話する前に、まず彼を弔わせて頂けないでしょうか?」

 

 断る理由などあるはずもない。

 青年も、墓ぐらいは作ってやろうと考えていたのだ。

 “この国”の作法で送られるならば、それに越したことは無い。

 

「ああ、勿論だ。

 俺も手伝おう」

 

 青年は、彼女の言葉に頷いた。

 

 

 

 

 

 

 ……そして。

 

「天におられる我らが父よ――

 地におられる我らが母よ――

 この者の魂を――」

 

 青年が作った墓の前で、祈りを捧げる少女。

 実に堂に入った振舞だった。

 

(教会の修道女なのだろうか)

 

 彼女くらいの歳で、これだけの所作を身に着けているのならば、そうとしか考えられない。

 もっとも、ただの(・・・)修道女に教育係などつくわけが無いが。

 

(詳しくは、彼女に聞くしかないな。

 話してくれれば、だが)

 

 少女が“訳アリ”であるのは明白だ。

 いきなり現れた、自分のような男にどこまで事情を説明するか――怪しいところである。

 青年としても、無理に話を聞くつもりはないが。

 

「――お待たせしました」

 

 そんな考え事をしていると、少女から声がかかった。

 弔いが終わったらしい。

 

「改めて、私のことをお話させて頂きます。

 私は、エルミア・ウォルストンと申します。

 “聖女”として『勇者の一団』に参加するため、王都を目指していました」

 

「――聖女?」

 

 単語を反芻した。

 

 聞いたことがある。

 かつて、“王国”が、その南に隣接する“魔王領”と戦争をしていた頃の話だ。

 長きに渡る戦いだったが、神の加護を受けた一人の“勇者”が“魔王”を倒し、戦争を集結させた。

 その“勇者”の仲間の一人――卓越した治癒魔法の使い手が、聖女と呼ばれていたはず。

 

「待ってくれ。

 “王国”と“魔王領”との戦争はとっくの昔に終わっているだろう。

 何故、また勇者の話が出てくるんだ?」

 

「……貴方は、“帝国”出身なのですか?」

 

 エルミアが尋ねてくる。

 

 “帝国”。

 この“王国”の西隣に位置する国。

 国同士の仲が悪いわけではないのだが、国境に険しい“中央山脈”がそびえているため、交流は少ない。

 青年は、そこの産まれだった。

 

「ああ、そうだ。

 そういうわけで、こっちの知識は余り無い」

 

「分かりました。

 では、その事情も説明いたしましょう。

 かつて“勇者”の活躍で“王国”と“魔王領”の戦争は終結しました。

 しかし、決して友好的な関係が築けたわけではないのです」

 

 ――エルミアは語る。

 

 戦争が終わった後も、“王国”と“魔王領”は小さな諍いを繰り返していた。

 永い時間をかけて出来上がった両国の溝は、そう簡単に埋まるものではなかったのだ。

 しかし、戦いを拒む声、平和を求める声も、決して少なくはなかった。

 戦うだけでは、いたずらに国力が消耗されるだけなのだから。

 

 そこで考え出されたのが、“勇者の戦い”の再現(・・)だった。

 “王国”は、国中から代表を選別し、『勇者の一団』を結成する。

 “魔王領”もまた精鋭を集め、かつて魔王に付き従っていたという『四天王』を揃える。

 『勇者の一団』と『四天王』の戦いを、“王国”と“魔王領”の代理戦争としたのである。

 

「戦いは5年に一度行われます。

 勝った国は、次の戦いが始まるまで負けた国に対し有利な条件で国交を行える、という条件で」

 

「それはまた――」

 

 ある意味、合理的だ。

 戦争という大量消費を行わずに互いの優劣を決めるのだから。

 ただ、停戦してから数十年が経つというのに、未だ原始的な手段をもとに交流しているというのが、時代錯誤のように感じたが。

 

「ということは、君が襲われた理由は」

 

「はい、私が聖女となるのを疎んだ者の仕業でしょう」

 

「なるほど」

 

 聖女とはつまり国の代表者。

 当然、戦いに勝利した暁には、莫大な名誉を得られるだろう。

 そして古今東西、名誉には権力と金が付随する。

 それを狙う者達もまた、後を絶たない。

 その中に、エルミアが聖女となることに不都合を感じる連中がいた、ということだ。

 

「君の事情は大よそ把握した。

 それで、この後のことなのだが――」

 

「はい。

 そのことに関して、一つお願いがあります。

 どうか旅にご一緒頂けませんでしょうか?

 私は聖女に選ばれておきながら――まだ、このようなことに不慣れでして。

 貴方のような方がいれば、心強いです。

 勿論、お礼はいたします。

 ……その、手持ちの関係で今すぐには無理なのですが」

 

 その申し出は、願ったり叶ったりだった。

 これで、つい先ほど亡くなった男との約束を果たすことができる。

 だが――

 

「いいのか?

 今さっき出会ったばかりの男を信用するなんて。

 俺が、君を襲った奴らの仲間だとは考えないのか?」

 

「これでも、人を見る目には自信があります。

 それに、貴方が私を殺すつもりであったのなら、とっくに私は主の元へと旅立っていたことでしょう」

 

「……それもそうか」

 

 いや、別に狙われるのは命とは限らない。

 女性であれば、その肢体を狙われることだってあるのだ。

 ましてやエルミアは人並み外れて端麗な容姿の持ち主。

 寧ろ、命の危機より貞操の危機に晒されることを警戒した方がよいだろう。

 

(藪蛇なので、指摘はしないけれども)

 

 青年にそのつもりは全く無いので、この場においては問題ない。

 女性を無理やり手籠めにするなど、男として最も唾棄されるべき行為だ。

 ……絶世の美少女と共に旅をしたいという下心が、無いとは言い切れないが。

 

「君が良いと言うのなら、俺から異論はない。

 実のところ、ギリーという男からも君のことを頼まれていてね」

 

「本当ですか!?

 ありがとうございます!」

 

 満面の笑みを浮かべるエルミア。

 

(――っ!!!)

 

 青年は、危うく卒倒しそうになった。

 これまでの仕草でも大分頭をくらくらにやられてきたのだが、エルミアの笑顔の愛おしさと来たら!

 彼女の華奢な体を抱きしめたい欲求に駆られるが――

 

(止めろ!!

 何を考えているんだ、俺は!!

 情けないにも程がある!!)

 

 精神力で、卑しい欲望を吹き飛ばした。

 その葛藤の中、エルミアが話しかけてくる。

 

「そういえば。

 貴方のお名前を、教えて頂けませんか?」

 

「え?

 あ、そうか、まだ名乗っていなかったな」

 

 とんだ失態だった。

 これだけ相手のことを聞いたというのに、まだ自分の名前も教えていなかったとは。

 

「俺は、ヴィル。

 家名は特にない。

 ただの、ヴィルだ」

 

「……ヴィル」

 

 エルミアは目を閉じ、青年の名を繰り返した。

 

「では、ヴィル様――」

 

「様付けはよしてくれ。

 そんな柄じゃない。

 ヴィルと呼んでくれればいい」

 

「……分かりました、ヴィル。

 貴方も、私のことはエルミアと呼んで下さいね」

 

「ああ、そうさせて貰おう。

 じゃあ、早速出発しようと思うが――準備はいいか、エルミア?」

 

「――はい!」

 

 エルミアの元気な返事を受け、ヴィルは街道を歩きだした。

 その後を少女が――

 

「――ん?」

 

 着いてきていなかった。

 エルミアは動くことなく、先程と同じ場所に居る。

 

「どうした?

 身体でも悪いのか?」

 

「いえ、そんなことはありません」

 

 心配になって聞いてみたが、ニコニコと笑みを浮かべてエルミアは否定した。

 

「そ、そうか、それならいいんだ。

 じゃあ、改めて行こうか」

 

 再び、ヴィルは出立する。

 ――が、十歩ほど歩いたところで踵を返した。

 少女はまたしてもじっとしている。

 

「なんだ?

 本当に、大丈夫か?

 まだここに何か用があるのか?」

 

「いいえ?」

 

 少女はまたしても否定する。

 否定はするが、しかし動かない。

 

「…………」

「…………」

 

 じっと見つめ合う。

 ヴィルは怪訝な顔で。

 エルミアは、微笑んで。

 

 そのまましばし。

 少女はようやく笑顔を消し、きょとんと不思議そうな表情をして、呟いた。

 

「――あれ?

 ひょっとして私、自分で歩かなくちゃいけないわけ?」

 

「はぁ?」

 

 突然の豹変に、ヴィルは素っ頓狂な声を出してしまう。

 

 

 

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