聖女(性女)様と一緒 ~悠々自適の一人旅が、波瀾とエロに満ちた珍道中に~ 作:ぐうたら怪人Z
セリーヌ夫人の家で、一夜が明けた。
日が昇って早々から、エルミアは部屋にこもり、祈りを捧げている。
凛とした顔で聖言と共に拝み続ける少女の姿は、とても魅力のある光景であったが、何時までも見ているわけにはいかない。
そんなわけで、ヴィルは居間へと顔を出すことにした。
「――あら、ヴィルさん、おはようございます」
入ると、セリーヌから挨拶が。
そちらの方を向き、ヴィルも挨拶を返す。
「おはようございます、セリーヌさっ――ん」
台詞の最後を、上手く言えなかった。
何故なら、婦人が昨日とはまるで違う出で立ちだったからだ。
ロールアップだった髪は下ろされ、ストレートロングへ。
鮮やかな黒い髪が、彼女の動きに合わせて流れている。
顔は薄く化粧が施され、表情も明るく、前に感じた陰鬱な雰囲気が無くなっていた。
(別人、とまでは言わないが……)
よく似ている違う人、と言われれば信じてしまうかもしれない。
それ程までにイメージが変わっていたのだ。
(それに――その、服も――)
変化は、顔だけでは無かった。
服装も、だ。
いや、服装こそ最も変化が激しかった。
キャミソールにロングスカートという格好なのだが、まず胸元が大きく開いている。
おっぱいの上半球が丸々見えてしまうくらいに。
セリーヌのたわわに実った2つの果実が、これ以上なくエロく強調されていた。
それと、生地。
白色をメインとした服なのだが――透けている。
結構な勢いで透けている。
流石にぱっとすぐに分かる程ではない。
しかし、目を凝らせば本来服に包まれているセリーヌ夫人の裸体を薄っすら見えてしまう。
(胸も尻も、エルミアより随分と大きいな――ああ、いやいや)
それでいて、形が崩れていない。
なかなかのプロポーションだった。
いや、エルミアはエルミアで均整の取れた身体つきであるのだが、単純なサイズでは婦人に軍配が上がる。
(し、下着は黒か――)
……別に、確認しようとしたわけではないのだ。
単に、見えてしまっただけ。
セリーヌが纏う、黒いレースの下着が。
(い、色合いの問題でだね)
意味も無く心の中で弁解を試みる。
肌色の中に黒というのは、コントラストの関係でよく映えてしまうのだ。
本当に。
他意は無い。
――と、こんな具合にヴィルが固まっていると、セリーヌが近づいてくる。
「ちょうど良かったですわ。
今、朝食の用意ができたんです。
どうぞ、食べていって下さいませ」
「あ、ああ。
ありがとう、ございます」
夫人に
少ししっとりとした肌が、暖かかった。
実際、朝食はすぐに用意された。
ただ――
「――あの」
「どうされました?
さあ、召し上がって下さいな」
「――はい」
一先ず、ヴィルは気にしないことにした。
セリーヌが、青年の
(ち、近すぎるだろう、これは……)
普通、対面辺りの席にするものじゃないのだろうか。
この辺りに伝わる風習か?
しかも、ただの隣ではない。
身体を少し横に揺らせば、
息遣いすら、聞こえてしまう。
(そ、それにこの位置からだと……見えてしまう……)
チラリと、視線を夫人の
大きな乳房のその先に、他とは色合いの異なる箇所が。
……乳輪が、一部顔を見せてしまっている。
ちょうど、キャミソールの内側を覗きやすい角度なのだ。
「あ、サラダを取り分けますわね」
「ど、どうも……」
セリーヌ本人はそれを知ってか知らずか、微笑みながら食事を勧めてくる。
……気のせいだとは思うのだが、こちらに見せつける姿勢を多く取っているようにも思えた。
(自意識過剰なせい。自意識過剰なせい)
ヴィルは自分に言い聞かせる。
まさか、彼女が自分を
旦那が死んでから、まだ1年しか経っていないのだ。
他の男に色目を使うようなことをしていると、そう考えるのは失礼に当たる。
――朝食は、つつがなく終了した。
途中、食べ物の一部がセリーヌの胸へと落ちることが
信じて欲しい。
何もない。
(…………す、少しだけ、ポロリもあったけれど)
胸の谷間に人参が入り、慌てたセリーヌがキャミソールの胸元をさらに広げて。
その時、彼女の“乳首”がはっきりと見えてしまった。
柔らかそうな、おっぱいの全体像も。
(す、すぐ他を向いたから)
一瞬だけだ。
ほんの一瞬だけ、見てしまっただけなのだ。
だから――不問として貰いたい。
誰に対するものか、ヴィル自身分かっていないが、ともかく彼は言い訳を続けていた。
無論、心の中で。
こんなこと口に出したら相当やばい。
「ヴィルさん、食後のお茶はどうですか?
うちの畑で採れたもので――自分で言うのもなんですが、良い味ですわよ」
「すいません、何から何まで」
「いえいえ。
ナニからナニまで、
「…………?」
今、ニュアンスが変だったような。
……まあ、些細なことだろう。
セリーヌはキッチンでお茶を淹れると、ヴィルの所まで持ってきてくれた。
青年の前にお茶入りのカップを置く、その時。
「あ、手が滑ってーー」
なんだか棒読みな台詞を口にしたかと思うと、夫人の手からカップが落とされた。
ヴィルの、腰辺りに向かって。
「おっと」
青年はそれを
無論、中身は一滴も零さない。
この程度の芸当、朝飯前だ。
ヴィルは改めてカップをテーブルに置くと、
「危なかったですね」
「………………ちっ」
「っ!?」
今の舌打ちは何だ。
しかし当のセリーヌは、何をするでもなくすぐ頭を下げてくる。
「あ、いいえ、すいません、
なんだか緊張しているのかも」
「緊張、ですか。
俺は聖女のお供に過ぎないので、そう畏まらなくとも――」
「――貴方みたいな、素敵な男性を前にして」
「っ!?」
ぼそっと、耳元で夫人が囁いてきた。
ぞくっとするような、色っぽい声で。
(お、お世辞、なのか――?
いや、お世辞だよな!?)
うん、そうだ。
そうに違いない。
ヴィルはそんな感じに自己完結すると、ちょっと震える手でお茶をすする。
言うだけあって、いい味ではあった。
それからしばし、2人で談笑する。
セリーヌは、ヴィルのことを色々と根掘り葉掘り聞いてきた。
青年は、当たり障りが無い程度にそれへ答える。
騎士らしい活動には
ただ、少々自分について聞きすぎなのではないか、という疑念も。
(……まあ、エルミアのことを聞かれるよりはマシなんだが)
何せ、ヴィルはお供の騎士などでは無いのだから。
下手なことを言って、それがバレてしまわないとも限らない。
(しかし、そんなことは今どうでもいい)
談笑の内容など、現在の青年にとって些細な事だった。
(今、問題なのは――)
意を決し、ヴィルはセリーヌに話しかける。
「……セリーヌさん。
流石に、近すぎじゃないだろうか?」
「あら、そうかしら?」
恍けた様子で、夫人。
だがもう、今の状態は誤魔化しの利くものではなかった。
――密着している。
2人は、普通に密着している。
セリーヌは、ヴィルの膝に手を、肩に顎を乗せてしな垂れかかってきていた。
そんなことをすれば、吐息が耳をくすぐる。
胸だって青年の身体に当たる。
柔軟な感触が、ヴィルの腕に押し付けられていた。
夫人は、不思議そうな顔で言葉を続ける。
「これ位、普通ですわよ」
「いや、普通じゃない。
いくらなんでも、普通じゃない」
気分が追い詰められ、丁寧語からいつもの口調に戻ってしまった。
セリーヌはさらに、ヴィルの腕へと抱き着いて、
「――仮に普通じゃないとして。
ヴィルさんに、何か不都合がありまして?」
肢体を、青年に擦りつけてくる。
体のあちこちで、夫人の“柔らかさ”を感じられた。
(ふ、不都合も何も!)
胸中で嘆く。
もう、いっぱいいっぱいだった。
ヴィルは、不能でも何でもない、健全な一般男子なのだ。
身体の“一部”が
正直なところ、ここで彼女を襲ったとしても“合意”なんじゃなかろうかという考えも浮かんできたが――
(エルミアが、居る――!)
彼の脳裏に少女の姿が浮かび、自制する。
誰かに褒めて欲しいくらいの、鋼の精神力であった。
「………………存外に手強いですわね」
またしても、小さくセリーヌが呟く。
何が手強いというのか。
そして、チラっと青年の股間を見たのは何故なのか。
「そうだ、美味しい茶菓子もありますのよ。
是非、ご賞味して欲しいですわ」
「そ、そうか。
じゃあ、貰おうかな」
セリーヌが茶菓子を持ってくる=ヴィルから身体が離れる。
頷かないわけにはいかなかった。
青年の目論見通り、夫人は席を立ち、すぐ近くにあるタンスを探り始める。
(――うっ!?)
そして、ヴィルは自分の甘さを痛感した。
セリーヌは、タンスの中に頭を入れるような姿勢をとりだしたのだ。
そうなると自然、前屈みになり――夫人のヒップが、ヴィルに向かって突き出される格好となった。
真っ直ぐ、青年へと尻が向けられる。
まるで、
(で、でかいな――しかも、柔らかそうだ――)
目が釘つけになった。
先述通り、セリーヌの履いたスカートは透けている。
なので、黒いレースの下着に包まれた丸くて大きいお尻を目の当たりにできた。
しかも黒ショーツは、尻の割れ目へ食い込んでいる。
「あらあら?
見つからないのか、セリーヌはなかなか顔を上げない。
未だ、引き出しの中を探している。
(……お、おいおい)
どういう探し方をしているのか、婦人は尻を左右に振り出した。
ふりふりと、大きなヒップが煽情的に揺れる。
(――お、おお)
ヴィルは、股間に血か集まってくるのを感じた。
むくむくと、イチモツが立ち上がっていく。
セリーヌの目が無い分、気が緩んでしまい、抑制が効かない。
(――ま、まずいぞ。
早く鎮めなければ!)
精神を集中し、心を落ち着かせる。
何とか昂りを消そうと、一心に煩悩を払おうとする――のだが。
「よいしょっと」
聞こえた、夫人の声。
ついつい、そちらを見てしまう。
(―――おいーーーっ!!!)
心で絶叫。
何を血迷ったか、セリーヌはスカートを捲り上げたのだ。
生地越しではない、生尻が姿を現す。
「うーん、こっちの方だったかしら?」
さらに、夫人は姿勢を微妙に変え――股を開いた。
尻だけではなく、恥丘まで丸見えだ。
そして――
(――ぬ、濡れてる……!?)
彼女の股が――ちょうど女性器がある部分が、じっとりと濡れていた。
セリーヌは、愛液を漏らしていたのだ。
おそらく、ヴィルと会話している最中、ずっと。
(あああああああああっ!!?)
青年の股間は、もう収まりが付かなくなっていた。
ギンギンに勃起した愚息は、ズボンを大きく隆起させる。
萎れる気配など、微塵も無い。
逆に、今すぐにでもあの女へぶち込んでやりたい、という衝動に駆られる始末。
(いかん、こんなところを見られては――)
何を言われるか、分かったものでは無い。
どうにかコレを隠そうとするヴィルではあったが、
「お待たせしました、ヴィルさん」
何ともタイミング悪く――
すぐ、青年の“変化”に気付いたらしく。
「ああっ!? ヴィルさん、あそこを、そんなに――!?」
「い、いや、これはその……」
いい弁解の言葉など思いつかず、あたふたとしていると。
夫人はヴィルに近づき、彼の股間を覗き込んでくる。
「こんな、勃起されているだなんて――」
「えー、これはだな、決してやましい気持ちからのものでは……」
一応言葉は口にしてみたものの、説得力がまるで無い。
セリーヌは、ヴィルの股をそっと手で触れてきた。
「――ああ、大きい――なんて、凄い――」
「ちょ、待った!!
セリーヌさん!?」
「――ヴィルさん、
「あーっ、その、なんだ――――――はい」
渋々、認める。
他に原因らしきものなどこの部屋にないのだから、認めざるを得ない。
「では――
うっとりとした、それでいて艶のある声で、夫人はそう宣言する。
ヴィルは仰天し、
「い、いやいや、結構!
その必要はない!
少しすれば、治るので!!」
「でも、苦しくは無いですか?
辛くは無いですか?
よろしいでしょう?」
「大丈夫! 大丈夫だから!!
放っておいて下さい!!
……そ、そうだ、稽古!!
そろそろ剣の稽古の時間なので!!
ちょっとそとで剣振ってこなければ!!
稽古してれば、すぐ気持ちは静まるから、な!?」
絡みついてくるセリーヌの肢体を、なんとか振りほどこうとするヴィル。
夫人は青年を潤んだ瞳で見つめ、
「
「そういう問題ではなくて!」
「……
「――っ!?」
一瞬、息が止まる。
心臓を鷲掴みにされたようだった。
「み、み、見ていた、のか?」
「はい、昨日の夜、お2人がまぐわっているのを、この目で見ました」
「…………」
何たる失態。
またしてもエルミアに夢中になり過ぎ、察することができなかった。
「あの――これは、問題のある行為、ですわよね?
清らかであることを求められる“聖女”が、殿方と淫行を重ねている、など」
「……脅すつもりか」
「いいえ、
でも――
それは、貴方も認めて下さるでしょう?」
「……ああ」
「でしたら。
多少なりとも、その“見返り”を頂いても、罰は当たらないと――そう、思うのです」
ここで言う“見返り”とは何か。
今までの彼女の言動を見れば、明らかだった。
どれだけ物好きなのか、セリーヌはヴィルの身体を求めている。
……頭に浮かぶのは、エルミアのこと。
ここで彼女の提案を受け入れるのは、簡単だ。
しかし、それは少女への裏切りになるのではないか。
(別に、俺とエルミアは恋人同士というわけではない、が――)
もう、これまでに何度も肌を重ねている。
そんな相手を“ただの他人”と、そう断じることは、ヴィルにはできなかった。
一方で、セリーヌの言っていることも分かる。
ヴィルとエルミアの関係が明るみになれば、彼女の立場が危うくなる可能性は非常に高かった。
(言われるまで余り気にしてなかったけれども)
その辺りは惚れた弱みということで許して欲しい。
ともあれ、夫人を抱けば全て水に流れる。
おそらく、彼女は嘘を言っていないだろう。
――ヴィルは、悩んだ末に答えを出した。
「分かった、貴女の言う通りにする。
但し、エルミアが戻るまでだからな」
その言葉を聞いた途端、セリーヌのにっこりと微笑む。
悦びに満ちた、そして官能的な笑み。
「ええ、承知しています」
夫人は、ヴィルへと深く頷いた。