※この作品はR-18です。

聖女(性女)様と一緒 ~悠々自適の一人旅が、波瀾とエロに満ちた珍道中に~   作:ぐうたら怪人Z

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第6話 賢者の孫娘
① 賢者の学院※


 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

 

 

 順調に旅を続けるヴィル。

 隣にいるエルミアも、足取りはしっかりしている。

 

 しかし。

 ヴィルには、どうも気がかりなことがあった。

 ここ最近、ずっと感じている、なんとも拭えない不安。

 

「なあ、エルミア」

 

 思い切って、少女に聞いてみる。

 

「――俺達、本当に王都へ向かっているのか?」

 

「え?」

 

 ヴィルは、どうしても自分達が王都に近づいているとは思えなかったのだ。

 何故なら、王都という最も栄えているであろう街へ向かっているはずなのに、周囲はどんどん辺鄙になっていく。

 今歩いているのは、寂れた山道である。

 エルミアを信じていないわけでは無いが、ひょっとして道に迷ったのでは?

 

 そんな青年の不安をエルミアは笑い飛ばし、

 

「何言ってるのよ、ヴィル」

 

「あ、ああ、そうだよな。

 道は間違っていないはずだよな」

 

「今頃気付いたの、それ?」

 

「――――あ?」

 

 突然の告白。

 ヴィルは二の句が継げなくなる。

 

「今向かっているのは、賢者の学院よ」

 

「賢者の、学院――?」

 

 確か、“王国”における魔法使いの育成機関だったはず。

 国中の才能ある若者を集め、高度な教育を施す、名称通り巨大な“学校”のような街だ。

 魔法は機密の多い技術なので、人気の少ない場所に施設をつくること自体には疑問は無いが――

 

「な、なんで、そんなところへ行こうとしているんだ?」

 

「行ってみたかったから」

 

「え?」

 

「行ってみたかったからよ、悪いの?」

 

「え?」

 

 悪いに決まってる。

 “勇者の一団”へ参加するため、早く王都へ行かねばならないのではなかったか。

 

「ほら、魔法使いのエリート達が集まる街と来ればさ。

 最強の攻撃魔法の使い手を目指す私としては、避けて通れない道というか」

 

「……君、自分が聖女だってことを忘れてないか?」

 

 がっくり肩を落とした。

 今から引き返すのはもう無理だろう。

 前の宿場町から既に3日は歩いた。

 少女の思惑通り、先へ進むしかない。

 

「しかしだな。

 そういう場所は、普通部外者立ち入り禁止だろう」

 

「何言ってんの?

 私、聖女よ?

 顔パスに決まってんじゃない!」

 

「そうかぁ?」

 

 自信満々なエルミアに対し、半信半疑のままヴィルは“賢者の学院”へと歩を進めた。

 

 

 

 

 

 

「駄目です」

 

「……そ、そうですか」

 

 学院の入り口で、エルミアは素気無く入場を断られていた。

 隣に居たヴィルはどや顔で彼女に告げる。

 

「ほらみろ」

 

「――うぅ」

 

 しゅんと縮こまる少女。

 その姿を見て、心が痛んでしまうのは流石に甘すぎるか。

 

「その、少しだけでいいので、見学はさせて貰えませんでしょうか?」

 

「聖女様の頼みですし、こちらも考慮したくはありますが、規則なのです」

 

 受付の人は、エルミアの頼みをピシャリと断る。

 

(――凄いな)

 

 この態度、見習いたいものだ。

 自分は、なんだかんだで彼女に流されてしまうから。

 特に今のように、聖女モードで迫られると本当に弱い。

 

「さぁ、もう分かっただろう、エルミア。

 さっさと宿を探しに行くぞ。

 色々備品を買い足さなくちゃならないしな」

 

 “賢者の学院”にも、一般人が入れるエリアはある。

 そこに、宿や雑貨屋など、旅人に必要な施設は一通り揃っているのだ。

 立ち入りが禁止されているのは、魔法の教育が行われている施設のみである。

 ……“のみ”と言いつつ、この街の大部分がその施設なのだが。

 

「ま、待って下さい、もう少しだけっ!

 あの、上の方にお話だけでもして頂くわけには――」

 

「駄目ったら駄目です」

 

 受付は鉄板対応だ。

 しかし、ここまで粘るエルミアというのも珍しい。

 “賢者の学院”に来たかったというのは、彼女の偽らざる本音だったのだろう。

 聖女としてそれはどうか、というツッコミは置いておいて。

 

 とはいえ、流石にそろそろ迷惑に過ぎる。

 引っ張ってでも連れ出そうかと、ヴィルが考えた矢先。

 

「どうしたんじゃ、随分と慌ただしい様じゃが」

 

「――学長!?」

 

「――っ!!」

 

 受付の奥から、一人の老人。

 彼を見て、受付の人の目の色が変わった。

 そしてその様子を見て、エルミアの目も変わった。

 

(――っ!?)

 

 ついでに、ヴィルも顔色を変えた。

 この老人は――

 

「騒いでしまい申し訳ありません。

 その、聖女様がどうしてもこの学院を見学したいと言っておられまして――」

 

「聖女殿が?」

 

 受付の返答に、老人は目を大きく見開いた。

 そこへ、エルミアが割り込む。

 

「お初にお目にかかります。

 “賢者の学院”の学長様でしょうか。

 私、エルミア・ウォルストンと申します。

 恐れ多くも此度の聖女に選ばれた身です。

 この学院のことは前々から噂に聞いておりまして、是非一度訪れてみたく考えていました。

 規則で禁止されていることは重々承知しておりますが、どうか見学の許可を御一考頂けませんでしょうか」

 

 よくぞここまですらすらと台詞を出せるものだ。

 対する老人は、

 

「なるほどのぅ。

 なあ、聖女殿がこうまで言っておるのだ。

 規則に拘らんで、中に入れてもいいのではないかな?」

 

 意外なことに好感触。

 

「し、しかしですね、学長」

 

「ぬぅ、頭が固いのぅ、お前も」

 

 ただ、受付も譲らなかった。

 学長に抵抗する辺り、案外高い立場の人なのだろうか。

 エルミアは2人のやり取りをはらはらと見守っている。

 

「――――ん?」

 

 ふと。

 学長が、こちらに気付いた。

 

「――――――っ!!?」

 

 目を大きく見開く。

 そしてじぃっとヴィルの方を見てきた。

 次の瞬間、口を広げ――

 

「――ヴィ、ヴィルバ」

 

ヴィル(・・・)です。

 聖女の聖堂騎士をやっています」

 

 相手が最後まで言うより先に、台詞を被せる。

 

「――――――――」

 

「――――――――」

 

 見つめ合う2人。

 さて、どう対応すればいいものやら。

 そのまま数秒、見つめ合ってから、

 

「――――レンス君」

 

「なんでしょう?」

 

 受付に話しかける学長。

 どうも、受付の人はレンスという名らしい。

 

「このお2人を、すぐに応接室へ案内しなさい」

 

「――え?

 いや、しかし――」

 

「――これは学長命令じゃっ!!」

 

「は、はいっ!!」

 

 渋る受付を一喝。

 あれよあれよという間に、ヴィル達は学内へと通されることになった。

 

 

 

 

 

 

「――学長と知り合いだったなら、先に言ってよー」

 

「いや、“王国”に帰ったことは知っていたが、賢者の学院の学長になっているとは知らなかったんだ」

 

 学院の中を歩きながら、エルミアとヴィルは雑談を交わしていた。

 

 あの老人の名は、エゴール・カシジャスという。

 極めて優れた魔法使いであり、ヴィルとはかつて――3年程前に共に戦った仲(・・・・・・)だ。

 “王国”から派遣された軍隊の一人だった。

 優れた英知を持つ賢者で、随分と助けられたものだ。

 こんなところで再会するとは、露にも思っていなかったが。

 

「学院内を自由に見学していい、なんてねー。

 いや、学長ってば太っ腹だわ。

 持つべきものは、いい友人を持った恋人ね」

 

「そりゃ良かったな」

 

「お礼に――今夜は、貴方の言うこと、なんだって聞いてあげる♪」

 

「……お、おう」

 

 どもってしまった。

 エルミアの可憐な顔で、背中がざわつく程色っぽい囁きをされればそうもなる。

 

「でも、流石に“学院”って言われてるだけあるわね。

 若い子ばっかり」

 

 きょろきょろと周囲を見渡すエルミア。

 彼女の言う通りだった。

 学院の施設内では、すれ違う人のほとんどが学生風の若者なのだ。

 偶に見る大人は、教官だろうか。

 

「なんだか、修道院を思い出すわ。

 あそこは、女の子しかいなかったけど」

 

「俺も士官学校時代以来だな、こんな風景」

 

 少女の呟きに、なんとなく返事をする。

 そんな時、

 

「―――んんっ!?」

 

 エルミアが変な声を出した。

 視線がある方向へ固定されている。

 

「どうした?」

 

 彼女が見ている方へ目をやってみれば。

 そこには一人の学生服を着た女の子が歩いていた。

 

(……うーん?)

 

 何の変哲もない女性――に見えるのだが。

 いや、可愛らしい子ではある。

 肩まで伸ばしたセミショートの赤毛に、あどけない造りの顔。

 幼さを残す愛らしさだ。

 ただ、視線を下に移すとその幼稚性とは真逆な身体。

 歩く度にゆさゆさと揺れる巨乳が――

 

(待て待て。

 余りジロジロ見てはいかん。

 失礼だろう!)

 

 慌てて自戒する。

 思考を誤魔化すため、エルミアの方に顔を向ける。

 すると少女は何かを考え込んでいるような表情で、

 

「あの子――」

 

「彼女がどうかしたのか?」

 

 ヴィルには感じ取れない、“何か”があるのだろうか。

 魔力――なら、青年にも分かるので、“神の加護”とかそういうものが?

 疑問に思っているうちに、エルミアが口を開く。

 

「――おっぱい、おっきいわね」

 

「おい」

 

 何を言ってるんだこの女は。

 

「いや、だってアレはあり得ないでしょ!?

 私より年下っぽいのに、あんなたっぷんたっぷんさせて!」

 

「こ、声!

 エルミア、声を抑えて!」

 

 いきなり大声で女学生の肢体を品評し出す少女。

 抑制を試みるも、興奮しだした彼女は止まらない。

 

「ウェストもほっそいのよ!?

 信じらんない!

 しかも下の方見てみなさい!

 スカート短くて、太ももめっちゃ出てるし!

 お尻もなんかぷりっぷりしてそうじゃない!?」

 

「大きい!

 声、大きいから!」

 

 必死に押し留めようとするも、

 

「ヴィルはなんとも思わないの!?

 あんな、とんでもないスタイルの女の子を目にして!

 貴方、本当に男!?」

 

「む、無茶苦茶な論法をするなよ。

 まあ、確かに凄いとは思うが――俺は、エルミアの身体の方が好きだぞ?」

 

「…………あ。

 そ、そう?」

 

 一気にトーンダウンした。

 

「ヴィルは、私の方がいいんだ?」

 

「あ、当たり前だろう!?

 俺は、お前が一番好きなんだから!」

 

「ちょっ、そんなこと大声で言わないでよ!?」

 

 今度はエルミアが慌てる番だった。

 とはいえ、ヴィルも言ってから大分恥ずかしくなったが。

 

「…………」

「…………」

 

 二人して沈黙。

 例の女学生は、もうどこかへ行ってしまった。

 

「……その。

 さ、早速、学院の講義を見に行きましょうか!

 うん、どんな授業なのか、すごい楽しみ!」

 

「そ、そうだな!

 俺も、“王国”の魔法技術には興味あるし!」

 

 羞恥心をかき消すためか、多少大仰に会話をしてから。

 ヴィルとエルミアは、学院回りを開始した。

 

 

 

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