聖女(性女)様と一緒 ~悠々自適の一人旅が、波瀾とエロに満ちた珍道中に~ 作:ぐうたら怪人Z
「……お恥ずかしいところをお見せしてしまいましたわね」
「いや本当に」
弁護など不可能だった。
しおらしくするその“女性”に、ヴィルはややジトっとした視線を送る。
彼女は、名をセリーヌという。
以前、ヴィルとエルミアが一泊お世話になった家の未亡人だ。
長く美しい黒髪に豊満な肢体を持つ、妙齢の美女。
泊まった際になんやかんや色々アレコレあって、ヴィルとはナニしてしまった間柄でもある。
今彼らの居るこのブライェド大洞窟は、彼女の家から大分離れた場所なのだが――
「まさか里帰りの最中だったとは」
「いつまでもあの家に閉じこもっている訳にもいかないと思いましたの」
ヴィル達が発った後、思い立って実家へ戻ろうとしたらしい。
この洞窟を抜けて少しの所に、故郷があるそうで。
向かう先が当面同じということで、現在彼女はヴィル達と同行しているわけである。
「どうして便利な迂回通路を使わず、不便な洞窟の方を通ったのかは――聞くだけ野暮か」
「うふふ、うふふのふ。
嫌ですわ、もう、ヴィルさんってば。
あんまりはしたない過去を蒸し返さないで下さいませ」
空笑いして誤魔化そうとする未亡人。
さらに顔を赤らめると、
「それに、ヴィルさんも悪いんですわよ?
「……む」
答えに窮してしまう。
向こうから誘ってきたこととはいえ、ヴィルがそれに応えたのは事実であるし、責任を追及されると弱い。
そんな彼を見かねて――というわけでもないのだろうが。
「でもすごい偶然ですよねー。
この広い王国の中、しかもこんな洞窟で偶然知り合いに会えるだなんて」
あっけらかんとした声で(つい先ほど正気に戻った)イーファが喋りかける。
「会い方に大分問題はあったがな」
「この人とも、先生は子作りしたんですよね?」
「イーファ、言葉は選びなさい」
余人に聞かれたら正気を疑われそうな台詞をヴィルは慌てて窘める。
単にまだこの少女が正気に戻っていなかっただけかもしれない。
が、そこにセリーヌが乗っかってしまった。
「あらあら、ヴィルさんは
でもごめんなさいね、あの一度だけでは身籠ることができませんでしたの。
女として情けない限りですわ」
「冗談を真顔で言わないで欲しい――いや、冗談だよな?」
そんな雑談をしながら歩を進める。
もう洞窟に入ってから相当の時間が経った。
恐らくだが、既に日が沈む刻限のはずだ。
しかし出口はまだまだ先。
そもそも1日で踏破できるような場所でなないのだ。
代わりと言っては何だが――
「――どうやら、あれが休憩場所のようですね」
エルミア(聖女ver.)の凛とした声。
彼女の指さす方向には、ちょっとした部屋のような空間が広がっていた。
中には小奇麗にされた簡易ベッドや毛布、テーブル等が並んでいる。
奥の棚には水や保存食まで置いてあるようだ。
「――思いのほか色々揃っているな。
下手すると街道の休憩所より整ってないか?」
「記念に洞窟を通る人も少なくないですからねー。
ちゃんと手が行き届いてるってことなんじゃないかと」
正しく記念のためだけにブライェド大洞窟に入ったイーファが言うと説得力が違う。
なお、この洞窟にはこういった休憩場所が幾つか点在しているそうだ。
(その全てがこれだけ整備されているとすれば――王国はなかなかこの洞窟に拘りがあるようだな。
“勇者”に対する思い入れは相当なわけか。
部外者の俺には理解しにくいが)
なんとはなしに裏事情を慮ってみる。
そんな彼の横ではエルミアが周囲をキョロキョロと見渡していた。
そして、一言。
「
「…………」
「…………」
「…………」
女性陣の目が、ギラリと光った。
洞窟に入って二日目。
順調にいけば今日中に出口へ到着する予定である。
ヴィル一行は足取り軽く洞窟を進んで――
「はひぃ……はひぃ……お腹がぁ、まだずきずきいってますぅ……」
「一晩中、だなんて……は、う……まだ子宮に精液残ってますわぁ……」
――進んでいなかった。
イーファとセリーヌが、恍惚とした顔で足元をふらつかせていた。
自然、ヴィルとエルミアの歩調も二人に合わせることとなり、遅々として進まない。
「だ、大丈夫か?」
「どう見ても大丈夫じゃなさそうよね」
心配そうに声をかけるヴィルだが、エルミアから突っ込みを入れられる。
「なんていうか――ヴィルってば基本的に受け身なのに、いざ行為が始まると止まんなくなるのよね。
治した方がいいんじゃない、それ?」
「……善処する」
苦々しい声で答える。
今までの人生でこれほどまで女性と交わることが無かったので気付かなかったのだが、どうにも自分はかなりの性豪であるらしい。
負けず嫌いな性格も少なからず悪影響を及ぼしているかもしれない。
「――いやしかし、お前は平気なんだな?」
エルミアとも彼女らと同じ位、いやそれ以上にヤりまくったのだ。
しかしこの少女は平然と歩いている。
「そりゃ勿論。
正妻の余裕ってやつよ。
言っちゃ悪いけど、あの二人と一緒にして欲しくないわね」
「言葉の使い方を間違えているように思うが」
と言いつつ、彼女に胸を張って正妻とか言われると嫌な気はしないヴィルであった。
「まあそれはそれとして、治すつもりなら私も手伝うわよ?
どうせ犯し尽くしちゃうんだから、最初からすぐ手を出すべきなのよ。
女性に会ったら即・挿・入、みたいな」
「ってそっちか!?」
相談相手が悪かった。
性女が穏便な手段を提示してくれるわけがなかったのだ。
「でも今のところ、旅で会った女性とは大体ヤってるじゃない?」
「いや、ほとんどの場合、原因はお前だろう!?」
言い訳になってしまうが、これまで女性を抱いたのは全てエルミアのお膳立てあってのものだ。
決してヴィルが好色だからなわけではない――と信じたい。
「それが駄目なの。
いつも私が準備してあげられるわけじゃないのよ?
ヴィルが自分だけの力で女の子を襲えるようにならないと」
「いや襲わないから」
「どうかしらねぇ?
目の前にエッチな女の子が居て、果たして今の貴方に自制が利くかどうか――」
「き、利くに決まってるだろ!?」
どもってしまったのは変なことを尋ねられたからであって、動揺したからではない(たぶん)。
「へー、じゃあ楽しみね、これからの旅。
私が何もしなかったら、イーファやセリーヌさんへ昨日みたいな真似しないってことだものね?」
「ぬ、ぬぅぅ――」
いやその二人は別枠だろうと言いたくなる気持ちをぐっと抑える。
だが確実に誘惑してくるであろうイーファとセリーヌへ欲情を堪えられるのか……
「ほらぁ、だから我慢なんかしないで、楽しみましょうよ♪
私がOK出してるんだから!」
「その奔放さは聖女としてというよりも女性としてどうなんだ……」
「ヴィルが絶倫超人のくせして奥手過ぎるのよ」
「奥手かなぁ……」
そんな話をしていると、エルミアはふとイーファ達二人を見て、
「まだ戻って来ないのね、二人とも」
「まあ最悪、俺が皆を抱えて走れば今日中に洞窟抜けられるだろ」
「……さらっと凄いことを」
ここから出口までざっと計算しておよそ10kmちょっと。
走れば
「もっとも、
無理やり3人担いで疾走するのだから、そこは仕方ない。
だからこそ、これは最終手段である。
「そうならないように少しペース上げた方がいいかもね。
流石に2日連続でここに泊まるのは少し嫌だし」
言って、エルミアは呆けている二人へと近寄り、
「ほらほら、そろそろ正気に戻りなさい。
少しは私を見習いなさい」
「別に俺との行為だけが原因じゃないと思うんだがなぁ」
得意げな顔をしつつイーファとセリーヌを揺さぶる少女を、軽くたしなめる。
彼女達がこうなってしまったのは、壁尻プレイのせいもあるだろう。
しかしエルミアは、
「えー、あんなの序の口でしょう?
これからもっと過激なのをしてくつもりなんだから、頑張って貰わないと」
全く反省の素振りが無い。
だが、ヴィルの方へと振り返っている彼女は気付かなかった。
「…………」
「…………」
イーファとセリーヌが、怪しげな視線を少女へ送っているということに。
そして二人はゆっくりとした動作でエルミアの腕を掴む。
「あ、あら? 実はもう正気に戻ってたりする?」
「…………」
「…………」
少し慌てた顔になって聖女は二人に確認を取るが、彼女らはそれに応じない。
代わりに、ヴィルへ向かって一つコクリと頷いた。
――合図だ。
「<
「え?」
ヴィルの唱えた魔法により見る見るうちに地面が――
「え? え? え?」
状況を理解できないエルミアの声。
その“壁”はエルミアを
ちょうど
「――――え?」
通路を完全に塞いだところで“壁”の動きは止まった。
今のエルミアは、腰を壁にがっちりとホールドされた――つまるところ、
スカートに覆われた小ぶりで形の美しい臀部を見ながら、ヴィルはくつくつと笑う。
「くっくっく、いい格好になったな、エルミア」
「ヴぃ、ヴィル?
これはどういうことなのでしょうか……?」
慌てたせいか、口調が変わっている。
おそらく、相当戸惑った顔をしていることだろう――ヴィルからは見えないが。
<岩障壁>とは文字通り、岩石や土を使って防壁を築く魔法である。
今回は応用して、エルミアを捉えるような形で壁を作ったのだ。
何故そんなことをしたかと言えば――
「うふふ、うふふふふ」
「ふふふふーん」
「セリーヌさん? イーファ?
どうしたのですか、そんなに怖い顔をして――」
――そう、これは“復讐”である。