※この作品はR-18です。

純情魔王の寝取られ勇者観察日記 ~間男死すべし、慈悲は無い~   作:ぐうたら怪人Z

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後編

 

 

 

 教会の扉を開けると、メイアの声がセリムを出迎える。

 

「あっああっ! あっあっあんっ! あ、あんっあっあぁあんっ!!」

 

 出迎え――――え?

 

「兄ちゃん遅ーい!

 どこまで歩いてたんだよ!」

 

「おそーい!」

 

「長いお散歩でしたな」

 

 子供達が勇者に次々と文句を言う。

 ……いや、そうじゃなくて!!

 

『ま、魔王様?

 な、な、何が起きているんですか?

 何なんですかこれ!?』

 

 ええい、落ち着け!

 魔王軍は慌てない!!

 

 い、今起こっていることは――!

 

「あぅ、あぁんっ! あっあっあっ!

 ああっ! おぉおっ! おっおっおっおっおっ!!」

 

 スカートを捲られ、服を開け。

 大きなおっぱいと、丸いお尻を丸出しにして、四つん這いになって喘いでいるメイア。

 

「おおおー! やっぱ姉ちゃんのまんこはいいなぁ!

 あったかくて、ぎゅっと締めてくれて!」

 

 彼女の下に潜り込み、膣内に自分の男性器を埋めているレブ。

 

「きもちいーっ!!」

 

 彼女の後ろに立ち、尻穴にペニスを突っ込んでいるワウル。

 

「いつやっても最高ですな」

 

 そして彼女の前に立ち、おっぱいでパイ擦りさせているジン。

 

 つまり――メイアは、3人の少年に囲まれ、輪姦されていた。

 

「――――?」

 

 勇者は、まだこの状況を理解できていない。

 それはそうだろう、なんなんだこれはいったい!?

 

「あっあっあっあ――――せ、セリム、さんっ!?

 ……あっあっあっ……ごめんなさい、夕飯の支度はまだで……あっあぁぁああっ……

 ちょ、ちょっと待ってて下さ――あっあっあっあぁぁあああっ!!」

 

 メイアがセリムに気付き、話しかけてくる。

 が、その最中にも少年達は動きを止めない。

 各自が、腰をかくかくと振ってメイアを責め立てている。

 彼女の乳がプルンプルンと揺れ、ムチムチの尻が跳ねる。

 

「うあっ!

 やべ、そろそろ出るっ!」

 

「あっあんっ! ま、待って下さいレブ君っ!

 出すなら外に――!」

 

「もう遅いよっ!

 ああああ、出るっ! 出るっ!!」

 

「あ、あぁぁああああっ!!」

 

 レブが、メイアの膣内に射精した……ようだ。

 

「はぁぁぁぁ……おしっこしてるみたいで気持ちいいなぁ……」

 

「あ、あ、あ、あ……だ、駄目ですよ、レブ君……中に赤ちゃんの種を出しちゃったら……」

 

「オレの赤ちゃんができるんだろ?

 いいじゃんいいじゃん、育ててよ。

 姉ちゃん、いつも寂しそうだし、子供作った方が楽しいって!」

 

 笑いながら、とんでもないことを口にするレブ。

 ……い、いいじゃんとか楽しいとか……女をなんだと思ってるんだこのガキ…!?

 

『ていうかですね、魔王様!

 このガキ共、なんか手つきがやたらと手慣れてるんですけど!

 これって、これってつまり――』

 

 ――今日のこれが初めてではないということなのか!?

 今までも、ずっとやり続けてきたっていうことなのか!?

 

「――――」

 

 勇者は未だに微動だにしない。

 ……村を出る前に起きた“あの事件”が、フラッシュバックしているのか。

 

「レブ君?

 出し終わったのなら交代して欲しいのですが?」

 

「お、悪い悪い!

 今交代するよ――っと」

 

 レブはメイアのまんこからちんこを引き抜く。

 

「―――あんっ!」

 

 抜くときの刺激で、メイアが小さく喘いだ。

 彼女の膣口からは、白濁した液体がとろりと流れた。

 

「いやー、出した出した!

 じゃ、ジン、代ろうぜ!」

 

「待ち遠しかったですよー」

 

 レブとジンが体勢を入れ替える。

 そして――

 

「あっ! あっあっあっあっあっ!!

 ジン君のが――あぁぁあああああっ!!」

 

「おお、おっぱいもいいですが、やはりこちらの方が絶品ですな」

 

 今度はジンが彼女の女性器へと肉棒を挿入する。

 なお、この間もワウルは、ずっと彼女の尻へと自分の股間をぶつけていた。

 

「うーん、おっぱいじゃなくて、口でして欲しいなぁ。

 姉ちゃん、俺のちんちん、しゃぶってよ!」

 

「んっんっんんっ! あ、はい、分かりまし――あぁぁああっ!」

 

「おい、ワウル、腰振り過ぎだぞ!

 姉ちゃんが俺のしゃぶれないじゃないか!!」

 

「だってー! きもちいーっ!」

 

 レブが文句を言うも、ワウルは変わらず腰を振り続ける。

 

「しょうがないなぁ。

 姉ちゃん、噛まないでよ?」

 

「あっあっあっ……んぶぅううううっ!?」

 

 レブが無理やり彼女の口内へイチモツを突っ込んだ。

 そのままメイアの頭を、金色の髪を掴み、無理やり前後に振る。

 イマラチオというプレイだ。

 

 ……って冷静に解説してどうする吾輩!?

 

『で、でも、どうしましょう!?

 どうすればいいんでしょう、魔王様!?』

 

 ざ、残念だが今吾輩達は手が出せぬ。

 勇者よ、いつまで呆けておるのだ!

 ガキ共を叱り飛ばせ!

 

「――――!」

 

 そんな吾輩の言葉が届いたわけでもあるまいが、勇者がはっと正気に戻る。

 

「――――!!」

 

「え、何、兄ちゃん?

 なんでこんなことって?

 だって気持ち良いじゃん、こんな気持ち良い“遊び”、他に知らないし」

 

「――――!!」

 

「そんなこと言われても。

 オレ達、ずっとこの“遊び”してるしなー。

 姉ちゃんだって、喜んでくれてるし。

 ……お、舌絡んできた!

 いいよー、姉ちゃん!!」

 

 勇者の質問に答えながらも、メイアへのイマラチオを止めないレブ。

 

「んぶぅっ! んんんぅうっ! んっんっんっんっ!! んぉおおおおっ!!」

 

 3穴を同時に責められて、嬌声を口から漏らすメイア。

 ……確かに、彼女には嫌がる素振りが無い。

 

「――――」

 

 セリムが、黙り込んだ。

 

『あ、諦めてしまったんでしょうか……?』

 

 そんな!?

 ……い、いや見ろ側近、奴の拳を!

 

『おお、ぶるぶると震えている!?』

 

 勇者の怒りが頂点に達しようとしているのだ!!

 

「――――!!」

 

「な、なんだよ、兄ちゃん――ぎゃあっ!?」

 

 レブに近づいた勇者が、彼を殴りつける!

 

『おお、やった!』

 

 生意気なガキめに一矢報いてやったな!

 

「い、てててて、何すんだよ、兄ちゃん!!」

 

 殴られ転がったレブが、すぐさまセリムに反論する。

 ……勇者め、手加減したか。

 奴が本気で殴って、子供がこの程度のダメージで済むはずがない。

 

『いくら頭に血が上っても、子供相手に本気にはなれない、ということですね』

 

 ……勇者として、いや、人として仕方ないことか。

 

「――――」

 

 セリムは倒れたレブに、なお説教をしようと歩み寄る。

 と、そこへ――

 

「何をしているんですか、セリムさん!!!!」

 

 ――“メイアからの平手打ち”が、勇者を叩いた。

 

「―――!?」

 

 信じられない、という顔をする勇者。

 ……吾輩も信じられない。

 

「こ、子供を殴るだなんて!

 なんて、なんて酷いことを!!」

 

 メイアが怒る。

 いつもニコニコとほほ笑んでいた彼女が。

 皆に優しく接していた彼女が。

 ……メイアを助けようとした、セリムを。

 

「子供は、純粋な存在なんです!

 何よりも、大事にしなければいけない相手なんです!!

 そんな、子供に対して――」

 

 興奮した彼女は、そこで一旦言葉を切る。

 呼吸を少し整えてから――

 

「――確かに、貴方は勇者ですよ?

 その魔王を倒すという使命は立派だと思います。

 だからって……だからって、何をしてもいいと思っているんですか!?

 “こんな横暴”が、許されると思っているんですか!?」

 

 ……お、横暴ってお前。

 吾輩、開いた口が塞がらぬ。

 

『……私もです、魔王様』

 

 何言ってんの、この女?

 本気で何言っちゃってるの?

 

「セリムさん、貴女のこと、尊敬していました。

 信頼できる人だって、思ってました。

 なのに……こんなことをする人だったなんて!」

 

 ――そっくりそのままその台詞を返すよ。

 吾輩、メイアのことをもっと清純な――そうでなくとも、まともな女だと思っていたのに。

 なんだ、この糞淫乱ぶりは。

 

「――――」

 

 勇者は弁明しようとするも、メイアは耳を貸さず。

 

「……今すぐ、出て行って下さい。

 貴女が、子供に暴力をふるったことは誰にも言いません。

 ですから――即刻、この教会から立ち去って下さい!!」

 

「―――!?」

 

 彼女からの明確な拒絶に、勇者の顔が歪む。

 ……メイアは気付いていないようだが、その表情は泣き顔のようであった。

 

「あーあ、バカだなぁ、兄ちゃん。

 せっかくオレらの仲間に入れてやろうと思ってたのにさ」

 

「ばーか、ばーか!」

 

「浅慮という他ありませんねー」

 

 追い打ちをかけるように、ガキ共が勇者を煽り立てる。

 

 そんな状況に勇者は――

 

「――――!!!」

 

 ――彼らに背を向けて、そこから走り去った。

 

「ばいばーい!!

 ……よし、じゃあ姉ちゃん!

 “邪魔者”もいなくなったから、続きやろうぜ!」

 

「やろー、やろー」

 

「今夜も頑張りますよ!」

 

「ああっ!? 急にそんなっ!!

 あぁぁぁあああああああっ!!」

 

 ……後ろから、そんな声を聞きながら。

 

 

 

 ――――――――

 

 

 

 …………ビッチ。

 

「魔王様?」

 

 ……ビッチ、ビッチ!

 

「魔王様!」

 

 ビッチビッチビッチビッチビッチビッチビッチビッチビッチ!!!!

 

「……お怒りですね」

 

 当たり前だぁ!!!

 なんだ、あの女!

 本気でなんなんだ!!

 

 教会のシスターだろうが!!

 神に仕える聖職者だろうが!!

 あの淫乱っぷりはなんなんだ!!

 あの勇者に対する態度はなんなんだ!!!

 

 勇者がお前のためにどんだけ頑張ったと思ってる!!

 勇者があの町の人々のために、どれだけ尽くしたと思ってる!!

 勇者がお前を――どれ程心の支えにしていたと思ってる!!

 

 ……あの糞女がぁ!!

 ……あの糞餓鬼共がぁ!!

 

「……魔王様」

 

 …………。

 

「……行かれますか」

 

 ……うむ。

 

 

 

 ――――――――

 

 

 

 時は深夜。

 彼らの“行為”は、終わりを迎えていた。

 

「あー、やったやった!

 すっきりしたー!!」

 

 レブが伸びをしながらそう言う。

 彼の足元には、精液塗れになったメイアが転がっている。

 

「おなかすいたー」

 

「確かに、小腹がすきました。

 そういえば夕飯を食べていませんでしたよ」

 

「そういや、そうだったなー。

 おい、姉ちゃん!

 さっさとご飯の用意してくれよ!

 オレら、それまで休んでるから!」

 

 身勝手な台詞をメイアに投げつけるレブ。

 だが彼女は――

 

「……は、はい、分かりました。

 ……ちょっと、時間かかってしまいますけど、待っていて下さい」

 

 幾度も絶頂したためか、恍惚とした表情のまま、そう答える。

 

「早くやれよなー?

 じゃ、行こうぜ、皆!」

 

 レブは他の2人を引き連れ、礼拝の間(チャペル)を出ようとする――が。

 

「あ、あれっ!?」

 

「どうしたのー?」

 

「何か不具合でも起きましたか?」

 

「ど、ドアが開かないんだよ!

 どうなってんだコレ!?」

 

 いくら扉を引こうと押そうと、開く気配はない。

 

「そ、そんな馬鹿なことが……」

 

 他のガキ達が試してみるも、結果は同じ。

 

「そうだ、他の扉なら!」

 

 一人がそう言いだすと、3人は手分けして部屋中の扉を開けようと試みる。

 しかし、外に出ることは叶わなかった。

 

「ど、どうなってるんだ、これ……?」

 

「!! み、みんな、あれー!!」

 

「どうしましたか、ワウル……ななっ!?」

 

 彼らは見た。

 教会内の影が、蠢いているのを。

 影一つ一つが意思を持つかのように、一つに集まろうとしているのを。

 

「な、何が起きているんですか…?」

 

 遅れて、メイアもまた異常に気付く。

 

 ――影が集まる。

 ――黒い球体が生まれる。

 ――そして。

 

「あ、ああ、ああああっ!?」

 

「……ば、化け物だぁ!!!」

 

 “吾輩”が現れた。

 

「な、何者です!」

 

 毅然とした態度で――精液に濡れ、衣服が開けた状態では威厳も何もあったものではないが――メイアが吾輩に問うてきた。

 

『……何物?

 何者とな?

 いかんな、教会に仕える者が吾輩を知らぬとは。

 吾輩はな――』

 

 ニヤリと邪悪に口元を歪める。

 

『――魔王だよ』

 

「……ひっ!?」

 

「……う、うそっ!?」

 

「……ま、魔王!?」

 

 吾輩の言葉に、ガキ共が怯える。

 しかし女はなお態度を崩さず。

 

「……そ、即刻に立ち去りなさい!

 ここは神聖なる間!

 魔の者が立ち入っていい場所ではありません」

 

『ほう……その神聖なる場所とやらで、お前達はいったいナニをしていた?』

 

「……うぐっ!?」

 

 口を詰まらせるメイア。

 一応、“そういう”意識はあったようだ。

 だからといって彼女が許されるわけがなかろうが。

 

『あんな“淫猥なこと”をしでかしておいて、神聖も糞もあったものではないわ。

 それとも、お前達の教義には神の御前で性交すべしとでも書いてあるのかな?』

 

「……だ、黙りなさい!

 立ち去らぬとあれば、強硬手段に出るまでです!」

 

 メイアは祈る姿勢で聖言を唱える。

 すると、彼女の身体から光が溢れてきた。

 神官が用いる、神聖魔法だ。

 通常の魔物であればひとたまりも無いだろう。

 だが――吾輩は魔王であるからして。

 

『……ふんっ!』

 

 鼻息一つで光をかき消してやる。

 彼女の顔が驚愕に染まった。

 

「……そ、そんな、神の加護が効かないなんて!?

 ――ほ、本当に、魔王なのですか……」

 

『そう言ったであろう。

 まさか信じていなかったとは――見抜けていなかったとはな!

 教会も地に落ちたものだ!!』

 

「あ、ああ、あああ―――」

 

 ぺたん、とメイアは尻もちをついた。

 彼女に代わって、レブが口を開く。

 

「ま、魔王が、オレ達に何のようなんだよ……?」

 

『何の用か、だと…?

 くっくっく、大人達から習っていないのか?

 魔王が現れる理由など、一つしかあるまい』

 

 吾輩はさらに醜悪に、笑みを深めていった。

 

『――お前達を、食べるためだよ』

 

「ひぁっ!?」

「ひぃっ!?」

「ひゃあっ!?」

 

 ガキ達が恐怖に染まる。

 

「や、やだ、オレ、食われたくないっ!?」

 

「やだー、やだー!!」

 

「え、遠慮願いたくっ!!

 ……ああ、そうだ、セリムさんっ!!」

 

 ジンが、勇者の名を口にした。

 

「セリムさんは勇者ですっ!

 彼なら魔王を倒せますっ!!」

 

「ああ、そうだー!!」

 

「そうだった!!

 兄ちゃんを呼べば!!」

 

 思いついた解決策に、顔をほころばせるガキ共。

 ……バカか、こいつら?

 

『勇者ならばとうに街を出たわ。

 ……お前達が追い出したのだろうが』

 

「――あ」

 

 一転、彼らの顔が絶望に染まる。

 そして、

 

「ね、姉ちゃんのバカ!!

 なんで兄ちゃんを追い出したりしたんだ!!」

 

「ばかー、ばかー!!」

 

「セリムさんが居れば、助かったというのに!!」

 

 メイアに対して、罵り出す3人。

 自分たちのことは棚にあげ、清々しいほどの屑っぷりだ。

 

「……え、あ……そんな……私、こんなことになるなんて……」

 

 ガキの言葉を真に受けて、弱々しく呟くメイア。

 ……このままでは埒が明かないので、吾輩は彼らに“提案”した。

 

『ガキ共を助けたいか、女』

 

「――は、はい、当然です!」

 

 メイアは頷き返す。

 吾輩は続けた。

 

『ならば――自ら命を絶て』

 

「――え?」

 

『分らぬのか?

 お前が死ねば、ガキ共の命を見逃してやると言ったのだ』

 

「――そ、そんな」

 

 口では立派なことを言う聖職者も、自分の命をすぐに差し出すことには抵抗があるらしい。

 ……こんな女を聖職者として扱うのは、他の聖職者達に対してあまりに失礼か。

 

 だが、そんな彼女と対照的に、レブは明るい声を出す。

 

「なーんだ、そんなことか!」

 

「――え?」

 

 彼の発言をメイアは聞き返した。

 レブは、彼女に喋りかけた。

 

「ほら、こう言ってることだしさ、姉ちゃん、死んでよ!」

 

「――何、言ってるんですか、レブ君?」

 

「え? だって、姉ちゃんが死ねばオレら助かるんだよ?

 姉ちゃんって、人を助ける仕事してるんでしょ?

 オレらを助けるためなんだから、早く死んでくれよ」

 

「――え、え、え?」

 

 レブが何を言ってるのか理解できないのか――あるいは、理解したくないのか。

 メイアはただ、戸惑うばかりであった。

 

「私、貴方達の世話を、いっぱい、しましたよね?

 貴方達のお願いを、全部、聞いてきましたよね?

 ――なのに――なのに――?」

 

「うんうん、感謝してるってば。

 だから最後のお願いを聞いてほしい、って言ってんの!」

 

「いってんのー!」

 

「そうですねー、メイアさんが死ねば3人助かるのですから、貴方が死ぬのが当然なんじゃないかとー」

 

 レブの発言に乗っかって、ワウルとジンも次々と彼女の死を要求し出す。

 メイアはガクガクと震えだした。

 

「――そんな――そんな――?」

 

「なあ、姉ちゃん。

 振るえてないで早く死んでくれよ!

 魔王の気が変わったらどうすんのさ!」

 

「しーね! しーね!」

 

「覚悟を決めて貰いたいものです」

 

 なおも躊躇する彼女に、ガキ共は次第に罵声を浴びせ始める。

 

「ほらっ!

 早く死ねって!!

 オレらを見殺しにする気かよ!!

 いざって時に使えない奴だな!!」

 

「!!」

 

 そのレブの一言がダメ押しになったのか――メイアから震えが消えた。

 

「お、やっとその気になったのか!

 じゃあ――」

 

「――黙りなさい」

 

「……え?」

 

 普段のメイアとは違う低い声色に、ガキ達の口が止まった。

 立ち上がり、彼女は冷たい目線を彼らに浴びせながら、告げた。

 

「……ようやく分かりました。

 貴方達は、悪魔だったのですね。

 ずっと、私を誑かしていたのでしょう!」

 

 おお、“純粋な存在”から一転して“悪魔”か。

 凄い発想の飛躍だ。

 

「ね、姉ちゃん、どうしちゃった――」

 

「黙れと言ったでしょう!

 よくも私をずっと騙してくれましたね!!

 悪魔を助けるために命を絶つ――?

 そんなこと、できるわけがない!!」

 

 彼女の中では“そういう風に”自己完結したらしい。

 よくもまあこんなんで、セリムにあんな暴言が吐けたものだ。

 ……こんなんだから、吐けたのか。

 

『残念だったな、ガキ共。

 お前達は、悪魔だったらしいぞ』

 

「あ、あひっ」

 

「ひ、やっ」

 

「ど、どうするんですか……」

 

『悪魔であれば――悪魔が居る場所に帰らなくちゃなぁ?』

 

 吾輩はパチンっと指を鳴らす。

 すると、3人の足元から黒い炎が立ち上った。

 

「ぎゃあああああっ!!?」

 

「あついー!! あついぃいいっ!!」

 

「うぁああああっ!!」

 

 三者三様に苦悶の声をあげるガキ共。

 

『くくく、それは地獄の業火。

 熱いには熱いが――死にはせん』

 

「ああああ、じ、地獄――?」

 

『そうだ。

 お前達の足元はな、今、地獄と繋がっておる。

 ほれ、自分達の脚を見ろ、ずぶずぶと沈んでおるであろう?』

 

「あああああ……」

 

「しずんでるぅ……!?」

 

「ど、どうなるんですか……?」

 

『決まっているだろう。

 これから地獄に行くんだよ、“生きたまま”でなっ!』

 

「「「――!!!?」」」

 

 3人の顔が、恐怖により引きつる。

 

「やだっ!! いやだぁああああっ!!!」

 

「たすけてー!! たすけてーーっ!!!」

 

「メイアさぁんっ!! メイアさぁんっ!!!」

 

 泣き喚くガキ達。

 そんな彼らを一瞥し、メイアは、

 

「……酷い演技ですね。

 自分達がいた場所に戻るんでしょう?

 好きにして下さい」

 

 さっくりと見捨てた。

 ……3人は、黒い炎の中に沈み続ける。

 

「あぁぁぁああぁぁぁ……助けてぇ……パパぁ……ママぁ……」

 

「いい子にするぅー……いい子にするからぁ、たすけてぇー……」

 

「嫌です……地獄になんか、行きたく――」

 

 ……そして、彼らの声は消える。

 同時に、地獄と繋がっていた黒い炎も消え去った。

 

 まあ、実際問題として地獄に落ちたところですぐ死ぬわけではない。

 散々足掻き、苦しみぬいて――いつか、地獄(そこ)に適合することもあるだろう。

 そうなれば……人間達への尖兵として扱ってやるのも一興。

 

 しばししてから、吾輩はメイアへ話しかけた。

 

『さてと、女よ。

 お前に言うことがある』

 

「……なんでしょうか」

 

 警戒をながら吾輩に向き直るメイア。

 

『あのガキ共はな。

 立派な人間だぞ?』

 

「――え?」

 

 メイアの動きが止まる。

 

『考えてみろ。

 あいつらが悪魔だったとして――何故魔王である吾輩が処分せねばならぬ?

 協力して、お前を殺すのが筋であろう?』

 

「……う、嘘です」

 

『嘘をつく理由などあるか?

 だいたいな、魔王である吾輩ならばともかく、ただの悪魔では教会の中に立ち入ることなどできぬ。

 シスターであるお前が知らぬはずがあるまい』

 

「あ……あ……で、でも、あの子達の言動は、人間のものとは……」

 

『あれが人間なのだよ。

 女、お前自身が言っていた言葉よな、“子供は純粋な存在”であると。

 全くもってその通りだ。

 子供は純粋な存在――それであるが故、教育によって、天使にも悪魔にもなる。

 奴らが悪魔に見えたというのならそれは――』

 

 メイアへと顔を近づけ、囁く。

 

『――お前が、あいつらを“悪魔”に育てたのだよ』

 

「――あ」

 

 彼女が震えだした。

 最初は唇、腕、肩――そして、全身へと震えが伝わっていく。

 

「う、嘘よぉおおおおおおおおおっ!!!」

 

 教会に、メイアの絶叫が木霊した。

 自分がしでかしたことに対する絶望と恐怖に満ちた叫び声だ。

 

 ……息のある限り叫び続けた彼女は、その場にへたり込む。

 

「……私を、どうするつもりですか……?」

 

『どうもせん』

 

「……え?」

 

 不思議そうにするメイア。

 なんだこの女、気づいていないのか。

 

 吾輩は彼女に説明してやることにした。

 

『“吾輩は”どうもせんよ。

 お前の処理は“人間が”やってくれる』

 

「……な、何を言っているのです…?」

 

『察しの悪い女だ。

 いいか、今宵起きたことを並べてやろう。

 血相を変えた勇者が教会から逃げ出し。

 邪悪な気配を放つ魔物が教会を襲来し。

 その場に居たはずの子供達の姿は消え。

 魔物を倒し、子供達を守らねばならぬお前だけが、無傷で残るのだ。

 ……さて、第三者がこれを見た場合、どう考えると思う?』

 

 ちなみに今回、街の連中にもわかるように、派手に教会へ舞い降りてやった。

 

『お前が魔物へと子供を捧げる、邪教徒だと考えるだろうよ。

 くくく、邪教徒に対する人間の仕打ち……聖職者のお前であればよく知っておるだろう?

 ――ガキ共は地獄で責め苦にあい、お前はこの世で地獄を味わうわけだ』

 

「そ、そ、そんな……

 そんなこと、ありません。

 皆さん、信じてくれます、魔王が全てやったんだって、皆さん、信じてくれるに決まってます――」

 

 そう言う割に、声は余りに弱々しい。

 まるで、“信じてくれない”と考えているかのように。

 

『まあ、好きにするがいいさ。

 もう吾輩はお前に用は無い故にな。

 くくく、はーっはっはっはっは!』

 

 高く笑い声をあげ、吾輩は教会かあら姿を消した。

 

「……大丈夫です、皆さん、信じてくれます……大丈夫、大丈夫……信じてくれますよ……」

 

 魔王の姿がなくなった後もなお、メイアはそう呟き続けた。

 

 

 

 ――――――――

 

 

 

 “魔王に仕える邪神官メイア。

 勇者セリムの冒険譚に出てくる登場人物の中で、最も忌まわしい者として後世に語られている。

 街に住む多くの子供達を誑かし、その魂を魔王へと捧げていたのだ、無理もないだろう。

 セリムにも数多くの罠を張り、彼を堕落させようと試みたが――勇者の強靭な精神は、その悉くを跳ね除けたという。

 

 彼女について特筆すべきは、その最期であろう。

 邪神官メイアを倒したのは、勇者ではなかった。

 彼女の正体を知った街の住人達の手によって、打倒されたのだ。

 メイアと住人達との戦いは、一か月にも及んだらしい。

 激しい戦いの末、住人達は彼女を街から追い払うことに成功したのである!

 

 当時に街の有識者達は、こう語る。

「勇者セリムの正義心に感銘を受けたからこそ、我々は立ち上がれたのだ」、と。

 セリムは、多くの者に己の正義を、勇気を、受け継がせていたのだ。

 

 ……と、凡百の英雄譚であれば、ここで話は終わっていただろう。

 邪神官メイアの話にはまだ続きがある。

 

 街から追放され、魔王からも見捨てられたメイアは、様々な地を放浪した。

 歳月が流れ、その命がとうとう朽ちようとした時……彼女は再び勇者セリムと相見えたのである。

 そして――おお、勇者のなんと寛大なことか!

 変わり果てた邪神官メイアの姿を見たセリムは、彼女を許し給うたのだ!

 メイアはその言葉に感謝の涙を流し、以降、生涯をかけて勇者のために祈ることを誓ったという。

 

 強き肉体、気高き魂に加え、深き度量まで兼ね備えた勇者セリム。

 現代を生きる我々が、彼から学ぶべきことは多い”

 

 

 後世の歴史家 ネトラ・レーダ・メイヨウ 著

「勇者セリムの冒険」より

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