※この作品はR-18です。

夢魔に、そして人外に輪舞曲を   作:redStrange

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23話 吐き出しの悪意(前編)※

「アキ様…?一体、何を言っているのですか?」

 

 心無しか震えた声で、スピカが尋ねた。

 彼女にアキが浮かべる笑みは見えない。それでも、普段の言動からは考えられぬ発言、声色は、普段の冷静さを失わせるのには十分過ぎるほどであった。

 

「だからさぁ、ヤらせてよって言ったんだよ。意味、分かるよね?」

 

「…え…?あ…いっ、いけません、ダメです!今、アキ様と夜伽をする訳にはいかないのです!」

 

「はぁ?」

 

 パニックに陥ったこともあり、強く拒否するスピカに対して、アキは眉間に皺を作る。それはまるで、"当たり前のことを拒否された"ような反応、ひいては彼女を性の捌け口としか思っていないともとれる反応だ。

 彼女への怒りが、手首を握る手の力となって表れる。キシキシと手根骨を軋ませるその力は、以前押し倒された時、スピカの力の強さに困惑していたことが嘘のような力で、腕の動きを封じていた。

 

「それはないでしょう?スピカさん。言ったのはそっちじゃあないですか。"わたくしは、いつでもお待ちしてます。気が向いたなら、いつでもおいでませ"ってさ。あれ、誘ってたんでしょ?」

 

 その発言は、いつ頃のことであったか。確か、スピカが眠ろうとしていたアキへと襲いかかってきた夜の、翌朝のことだ。

 あの夜は、アキが一方的に抑えつけられていた。今の状況は、まさにその逆だ。体力も、筋力も劣る少年が、スピカを羽交い締めにしている。彼女もアキから逃れようと抵抗するが、ただ身動ぎするだけで体力を消耗するだけであった。

 

「ダメっ!ダメです!イヤ!離して下さい!」

 

「僕とヤることなんて、初めてじゃあないじゃん。なんで今さら嫌がるの?」

 

「それはセレネ様が…」

 

「あんなのの言うことなんて聞くの?僕の為とか何とか言って、現に僕はこんなに元気じゃないか。」

 

「し、しかし…」

 

 今まで以上に否定するスピカに対し、次第に眉間の皺が深くなった。焦れや苛立ちからくる胸糞の悪さを舌打ちと共に吐き出す。

 

「あぁ…もう!うるさいなぁ!!」

 

 声を荒くしたアキが、掌を振り下ろした。それは少女の白い頬を捉え、乾いた音を大きく鳴らした。

 館で暮らして以来、初めてあのアキが手を上げたのだ。まるで、生前を含む今までのストレスを吐き出したかのように。

 スピカが何か言う前に、もう一度頬を叩く。

 

 間髪を入れず、また頬を叩く。

 

 また頬を叩く。

 

 叩く。

 

 掌で、手の甲で、交互に叩く。片腕が解放されたのにも関わらず、彼女は固まったかのように動くことはなかった。

 

「大人しくしてよ!僕を怒らせないで!スピカさんはただ、黙って股を開けばいいんだよ!」

 

 数発殴った後で、肩で息をしながら叫ぶ。それでも、スピカは包帯を滲ませながら、掠れた声で"やめて"と繰り返すだけだ。

 折れたかのように、深い溜め息をついた。暴行は終わったが、その顔からは邪険な表情は払われていない。

 不意に、アキの視線がスピカから逸れた。傍らには、倒れこんだ拍子に戸棚から落ちた雑貨が散乱している。

 

 薬瓶 ガーゼ ピンセット テープ

 

 どれも、簡単な手当てに使用するものばかりだ。今はどうでもいい。

 …いや、一つだけ、好都合のものがあった。たまたま見つけた"それ"に注目したまま、狂気をより強く含ませた笑みを浮かべる。

 ちょうど手が届く範囲に転がっていた"それ"を拾い、立ち上がった。拘束が解けたスピカだが、混乱や恐怖のあまり、身動き一つとらない。そんな彼女をベッドに放り投げ、拾った物を見せびらかしながら言い放った。

 

「もういいや…僕は好きにさせてもらうから。」

 

* * *

 

「ほら、これで大人しくなった。」

 

 額を拭いながら、ご満悦の様子のアキがスピカを見下ろした。

 たまたま、手が届く範囲に包帯が転がっていたことが、彼女にとって運の尽きであった。

 今、スピカは、その包帯で手首を強く戒められ、ベッドに固定されている。脚も同様だ。膝を曲げられ、股を大きく開いた状態で、拘束された。

 これでは、どう足掻こうと抜け出すことなど到底不可能だ。

 

「お願い…します…もう…やめて下さい…!」

 

「まだ言うの?分からないかなぁ…スピカさんに、拒否権なんてないんだよ。いつやめるかは、僕の気分次第なの。」

 

 憂いに満ちた懇願を軽く流したアキは、エプロンドレスの胸元に手をかけ、勢いよく引き裂く。

 音をたてながら破れた衣類から、見事に膨らんだ乳房が弾みながら露となった。

 

「アハッ。スピカさんのおっぱい、面白いことになってる。」

 

 スピカの胸と対面した第一声が、これだ。

 乳房の先についているはずの乳首が、埋もれている。思えば、興奮していない状態でスピカの裸体を見るのは、これが初めてだ。彼にとっては、珍しいのかもしれない。

 

「スピカさんって、おっぱい弄ると凄く反応するよね?普段こうして埋まっちゃっているからなの?」

 

「イヤ…!言わないでください…そんなこと…!」

 

「恥ずかしがることないじゃん。もう、何回も見てるんだから。」

 

 そこまで言ったアキの唇が、スピカの胸に喰らいついた。

 口を付けるなり、痛いほど強く、埋まっている乳首を吸いだす。反対の乳房にも、指でほじるように、集中的に愛撫を始めた。

 

「いやあああっ!ぁひっ…い…たい…!ひゃうぅ…!」

 

 快感よりも、乱暴に胸を愛撫される痛みが、スピカを襲う。肢体を震わす度に、包帯を通してベッドの支柱が軋み、ギシギシと大きな音を立てる。まるで、彼女の悲痛な声が外に漏れぬよう、ただの支柱さえもアキの凌辱に協力しているようだ。

 抵抗できない状態であるのをいいことに、舌で、指で、乳頭だけを集中的に愛撫する。するとすぐに、アキは固いものが舌を弱々しく押し返す様子を感じた。

 顔が、乳房から離れる。

 やはり、土から芽を出したかのように、強い桜色に染まり上がった蕾が、痛いほど張り出していた。

 

「あれぇ?さっきまで隠れていたところ、出てきたよ?嫌がってる割には、感じているんだね。」

 

 顔を出した隆起を、指先でこねながら笑う。心無しか、埋没したままの時よりも、スピカの跳ね具合が強く見えた。

 

「違います…それは…アキ様が弄る…から…あうぅっ!」

 

 吹き出物を潰すのと同じ強さで乳首をつねると同時に、腰が浮いた。痛みよりも、悦楽が支配を始めた合図(サイン)だ。畏怖や拒絶にまみれた声にも、官能の色が帯びだしている。

 

「こうやって、少しつねるだけでそんなに動くなんて、大袈裟だなぁ。やっぱりね。普段隠れているから、こんなに敏感になるんだ。」

 

「もぅ…もう止めてぇ!これ以上されたら…わたくし…わた…くしは…!」

 

「わたくし、は?」

 

 挟み込む指が強くなった。刺すような声が、アキの鼓膜を貫く。

 

「わたくしは、何?スピカさん、どうなっちゃうのかなぁ!?見せてよ!」

 

 金庫のダイヤルを回すような手つきで、充血しきった乳頭を捻りだした。それと同時に、一方の空いた乳房にまた口をつけて、唇をすぼめて吸い付く。もちろん、時より舌を用いて上から、下から、左右から刺激していくことも忘れない。

 

「ひぃん!あうぅ!ううぅ…あんんっ!」

 

 執拗に乳頭だけ責めているうちに拒絶の声は止み、その代わりに鋭い喘ぎが絶え間なく部屋の大気を揺らす。包帯のせいで表情は分からない。しかし、露出している部分は鮮やかな朱で彩られ、体の火照りを見せた。

 アキには分かっていた。口では頑なに拒むスピカだが、その躯は、既に絶頂の手前に立っていることを。

 手を子招いて戸惑い、迷う背中を押してやる。それが、今の欲求であった。

 

「ぃああっ!ぅんっ!ん…んっ!んはぁ!あぁん!!」

 

 声のボリュームが大きくなり、痙攣のペースも早くなった。あと少し、あと一押しで到達させられるのだが、少女の意識は、必死に抗う。

 

ー抵抗するな、早くイけ。

 

 軽い苛立ちが咀嚼筋にまで伝わり、下顎に力が籠る。硬い歯が、弾力に富んだ乳首を強く挟んだ。

 

「あはあぁ!んああぁぁぁぁあ!!」

 

 絶叫。時同じくして、強固なダムが、ようやく決壊した。しなやかな背が反り返り、股ぐらから蜜を吹き、まだ手をつけられていないエプロンドレスを濡らす。

 直に潮は収まったものの、細く狭い体躯はビクビクと昇り詰めている。何日かぶりの絶頂は、今までよりも長い時間をかけて身体のコントロールを奪った。

 

「やったあ。おっぱいだけでイっちゃったね、スピカさん。」

 

 達成感に満ちた笑顔を、闇だけしか見えないスピカに向けた。もう、彼女の顔は涙なのか汗なのか、涎、鼻水のどれかも分からない液体でドロドロに濡れ、泣いているのかすらも判別できない。

 

「…あ…ぁはあん…あひぃ…ひい…」

 

 胸回りの筋だけでは追い付かず、肩、首の筋も動員して、ただ呼吸だけしている。もはやこの時点で、彼女には余裕が一切なかった。

 

「案外早くイくんだね。あんなに嫌がってたのに…やっぱり、スピカさんも、こんな事されたくて仕方がなかったんだね。」

 

 返事は帰ってこない。そんなことは、アキには関係なかった。

 指先で、ジトりと汗ばんだ鳩尾に触れ、そこからゆっくりと下っていく。絶頂こそは迎えさせたが、まだ肝心な部位を確認していない。

 汗や潮で染みを作ったドレスの裾を摘まむと、腕をUターンさせて、ゆっくりとたくし上げていった。

 

「おっぱいだけじゃあ、物足りないでしょ?大丈夫、こっちも可愛がってあげるからね。」

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