ふらふらと、宛もなく歩いている内に、見慣れた景色に辿り着いた。真紅の床、それを照らす巨大なシャンデリア、広く短い階段。しばらく月日は経っていたが、アキの住処であることはすぐに理解した。
目の前に誰かが腰かけている。白く長く、艶のある髪を分けて、黒い角が二本伸びている。この人物もまた、アキの知る人物だ。
「…待っていた。」
あいも変わらず無表情で、リオスが口を開いた。顔色を伺うも、感情の読み取りにくい顔だ。スピカを陵辱したことに腹を立てている様子こそないかもしれないが、少なくと久々に帰って来たアキを見て喜んではいないことは確かであった。
「…あ…あの…!」
なんとか言葉を絞り出そうとしたアキを、リオスは手を差し出すのみで無言で制止した。刺し貫くような視線が、出鼻を挫かれたアキを見つめる。
「何も言わなくてもいい。その言葉は、私には必要ない。」
ようやく口を聞いたかと思えば、立ち上がって踵を返した。背後の階段を数歩登り、またアキを見る。
ついて来い、ということだろうか。また階段を登り出したリオスの後を、アキもまた無言で歩いていった。
少々回廊を歩いていく。相変わらず、全体的に暗い場所だ。見慣れた景色の筈なのだが、アキには全てが真新しく思えた。左右を交互に見渡すうちに、リオスとぶつかりそうになった。すんでのところで立ち止まる。
二人が立っていたのは扉の前。他の部屋よりも一回り大きく、厚い埃に覆われた扉だ。錠は掛かっていない。
「入れ。この先に、君を待つ人がいる。」
と、それだけ言い残したリオスは音もなく消えていた。夜闇に溶けたかのように思えた。
見送った後、扉を見返す。確かに、見覚えのある扉であった。そして、この先になにがあるのかも朧気ながら覚えていた。
扉に手をかけ、力をかける。分厚い板が大袈裟に軋み、ゆっくりと動く。開いた先に伸びていたのは、青白く照らされている螺旋階段に、ポツリと置かれた衣類籠。アキの記憶と寸分も違いのない光景が、そこにあった。
階段を登った先には、月夜を映す大きな窓を背景に、これまた大きなベッドが鎮座している。四隅に柱を伸ばし、天井からベールを垂らした、ベッド。王族の寝室に置かれていても不自然ではない造りだ。
そこに、セレネが座っていた。
「…セレネさん。」
「久しぶりね、アキ。私の知らない間に、随分と立派になったじゃない。嬉しいわ。」
こちらも普段と変わりのない、悪戯心が滲む微笑みでアキを見ている。過去の事は覚えていないのか、そこに怒りや呆れの色はない。
…いや、彼女のことだ。自分のことでなければどうでもいいといった心境なのだろう。たとえ自分のことでも、些細な事とでも感じそうだが。
「まずは、おめでとう。これでアキも完全な夢魔となった。私達と同じ、ね。」
「セレネさん…あの時は…」
「それは私に言うことじゃあない。そもそも、私よりも会いたい人がいるんじゃないの?」
またも、出かけた言葉を止められる。しかし、アキにとっては的を得た返答であった。
セレネの視線がアキから逸れた。つられて、アキをその先を見る。部屋の入口に、いつのまにか人影が一つ立っていた。
束ねられたブルネットの髪に、包帯を巻いた顔、背や顔つきに合わぬグラマラスな肉付き。彼女こそまさしく、アキが一番会いたがっていた人物だ。
顔に巻かれた包帯を、彼女はゆっくりと外した。その下は傷跡も残らず、硝子のような瞳が鈍く輝いている。
「…アキ様!」
歓喜の声を挙げ、眼に涙を浮かべたスピカがアキに駆け寄り、そのまま抱きついた。視力は完全に回復したようだ。
「スピカさん…ごめん…ごめんなさい…!僕、スピカさんに酷いことを…」
つられた訳でもないのだが、アキも溜めていた分が溢れたかの如く涙を流す。
「わたくしは良いのです…そんなことより…無事でよかった…!無事に帰って…本当に…!」
スピカの口から、次々と湧いてくる安堵の気持ちが漏れていく。そこに怨嗟も呪詛もなかった。純粋にこの一ヶ月間、アキの身を案じていたことが、彼にも察せられた。
少しの間、お互い抱きしめながら泣き続ける。それを眺めていたセレネであったが、突如として二人の間に入った。流れた涙を拭うこともなく、名残惜しげにこちらを見る二人が滑稽なのか、口元が釣り上がっていた。
「感動の再開は十分に楽しめたかしら?アキには、まだやってもらうことが残っている。」
セレネの言葉を聞いたアキが、怪訝そうに歪む。とはいえ、なんとなくだがこの後の展開が予想できた。以前この部屋に訪れた時の事を思い出せば、自然なことであった。
セレネがアキの頬を両手で触れ、やはり口付けをした。「あ…」と零すスピカを余所に、2・3度唇を触れ合わせたあと、舌を絡ませる。なんどもキスは経験しているのに、舌が触れると背筋に冷たい物が走ってしまう。
「…仕上げよ、アキ。しばらくお預けされて、寂しかったでしょう?久しぶりに遊びましょう。」
「…セレネ様、わたくしも…」
「もちろん、スピカも仲間外れにはしないわ。」
セレネの顔が離れた。息をつく間もなく、次はスピカが口を付けた。唇同士が触れるや否や、あちらから舌を侵入させ、アキの口内を舐め回す。唾液の交換ではなく、スピカが唾液を賞味しているようにも思えた。
顔が離れる。キスだけで蕩けた雌の顔が出来上がっていた。いつの間にか着崩れなくきちりと着こなしていたエプロンドレスのボタンが外れ、たわわに実った豊乳を二つ晒していた。
荒い呼吸を繰り返しながらアキの手を掴むと、躊躇いもなく自身の乳山に触れさせた。少年の幼い手では持ちきれぬサイズだが、喰い込む指先を押し返さんとする若々しい水々しさも兼ね備えた、魅惑的な媚肉だ。そこに耳元で婬靡な吐息が鼓膜をくすぐるのだ。油断していると、これだけで爆ぜてしまいそうになる。
「ほら、こっちも可愛がって…」
手隙のセレネがアキの顔をこちらに向かせると、その唇に薄く盛り上がった乳丘を優しく押し付けた。こちらはサイズこそスピカに劣るものの、触れた物に餅のように纏わりつくような、女中とはまた違った乳肉だ。これはこれで癖になる触り心地だ。
ふくよかな乳をこねる。薄い朱色の輪をなぞる。ピンと勃つ蕾を摘む。爪でかるく引っ掻く。
見かけだけは未熟な乳を舐める。吸う。唇で、前歯で甘噛する。歯で引っ掻く。
全てのアクションに対して、二人は肩を震わせ、身を捩らせて応えてくれた。
「あふっ…あっ、アキ様の手…あうぅっ…とても温かくて…気持ち…いい…んんんっ!」
「あん…アキ…んぅ…相変わらず、おっぱいを吸うの上手…んくっ…ん!…んふっ…」
「アキ様ぁ…わたくしのおっぱいも吸ってください…」
と、おねだりの言葉と共に、次はアキの顔を柔肉に押し付けた。キスの時点で顔を覗かせていたであろう芽が、アキの唇に当たる。
「あら…それなら私は…」
アキの頭を没収されたセレネの細長い指がズボンの中へと飛び込み、中の肉棒に触れた。二人の乳を愛でていただけであるのにも関わらず、充分過ぎるほどに血が周っていた。内蔵の分の血流すらソコに集まり、ドクドクと脈打つのが、アキ自身にも感じられた。
「凄い…ほとんど何もしていないのに、もうこんなにも硬くなってる…」
「ふあぁ…セレネ様だけズルいです…んぅっ!わたくしも…アキ様のおちんちん…奉仕させてください…」
「ダーメ。スピカにはお口があるでしょう?私から奪っておいて、今更交換なんて駄目じゃない。」
「そんなぁ…!」
些細な後悔に満ちた声を挙げるスピカに笑いかけながら、ゆっくりとズボンを下ろした。布による妨げを除かれた怒張が1度2度と縦に揺れ、すぐに天へと向き直す。
それをうっとりとした様子で見下ろしたセレネの手が、ちょうど亀首を手で覆うように擦り始めた。
「ぅっ…!!」
性感帯を撫でられ、次はアキが嬌声を漏らした。革手袋の独特な感触が、不思議と癖になる。分厚い生地が擦れる度に、臀部がムズムズするような感覚が走った。しかし、射精に至るまでではない。萎えさせず、暴発させず、絶妙な塩梅でアキを刺激した。
スピカの幼く豊満な乳にむしゃぶりつきながら、セレネの繊細な手つきでしごいて貰う。これ以上程贅沢なオナニーはないだろう。
「セレネ様…あぅ…やはりおっぱいだけでは物足りません…あん…わたくしにも…」
辛抱たまらなくなったスピカが懇願する。今にもまた泣き出してしまいそうな声だ。そんな彼女を見ても、慈愛のない表情をしている。
「私だって、もっと舐めてほしかったのに、我儘の多い女中ね…そんなに欲しいのかしら?」
「は、はいぃ…アキ様のおちんちん…欲しくて欲しくてぇ…っ!このままではどうにかなってしまいそうなのですぅうぅ…はうぅ!」
「はぁ…全く、世話の焼ける淫婦ね…」
セレネがアキから離れた。アキの一物に執着がない訳ではないのだろう。だがその言葉とは裏腹に、彼女の興味は男根よりもこれから起きることに向けられているような様子であった。
「そこまで駄々をこねるなら…いっその事二人で気持ちよくしましょう?」