先輩への異常な執着/またはぼくはいかにして心の痛みを忘れて性愛を求めるようになったか――というより、3ヶ月、2週と1日でぼくにはなにをなしえたのか 作:果肉ぬき
高校時代の憧れの先輩「雛里やよい」と偶然の再会を果たし肉体関係を結ぶも、「わたし、もうあといくらも生きていられないの」というやよいの言葉をどう受け止めるべきか思い悩む会社員「風見健一」。それどころか、自分にできることを模索していくなかでやよいの妹「雛里えな」と情事を重ねてしまう。9月27日にいなくなるとされているやよいにどんな顔で会えばいいのかわからず自暴自棄になった健一は、1ヶ月半の間ふたりと連絡も取らず灰色の日々を過ごしていた。しかし、自宅に押しかけてきたえなの誘惑に負け、えながずっと抱えてきた想いに応えることを決意した。
一度決めてしまえばあとは早かった。
「ぃ、ぃぃっ……これっ……んっ……んっ……」
なにも悩まなくていい。この決断が明るい未来をもたらすのだと妄信しろ! そう自分に暗示をかけるようなイメージで、えなさんの淫らで動的な蜜壺をふやけるくらい愛液に塗れっぱなしのペニスで貪る。
「健一さんっ……健一さんっ……私、ふわふわ、してるっ……んっ……」
快楽がすべてだった。自分のことを求めてくれている人がいる。そして自分はその人の気持ちに応えたい。シンプルな方程式は一つの答えにたどり着き、ぼくらに解放感と安心感をもたらしてくれる。いくら言葉を尽くしてもいっこうに姿を解法すら見えてこない難問がもたらす官能は儚く美しいかもしれないけれど、この本能的で圧倒的な快感回路を走り抜ける性の激流こそがいまのぼくの居場所だった。
「健一さんの、おち×ぽ……はぁ、はぁ……これまで、よりも、もっとっ……ゃ……もっと、えっちですっ……なに、これっ……ひゃんっ……んっん、んっん、んっ、んっ……」
もう何度絡めたかも思い出せないえなさんの指、ぼくの股間に密着している淫肉やパンティや汗ばんだ太もも、おなかのあたりで扇情的にゆらゆらと揺れているアーモンド色のミニのアシンメトリースカート、ぼくはそのすべてが入れ替わり立ち替わり投げかけてくる淫靡な愉悦のなかに浸りながら、仰向けのぼくに跨っているえなさんの膣奥を目指して腰ごと突き上げた。
「ん、ん……んっんっんっんっ……」
ときおりえなさんをこちらに倒し、突き上げの速度をナメクジが這うようなイメージで緩めてから口同士で犯しあう。純白のブラウス越しに伝わるえなさんの胸の温度が真冬のホットミルクのように優しかった。
腰が踊るテンポをつい上げてしまわないようにえなさんからだだ漏れになっている恥液と口内性交の艶美な音に耳を傾けながら、ブラウスのボタンを真ん中のあたりだけ外してブラジャーも外す。口を離して上体を起こさせてから、ぼくははだけたブラウスから見え隠れする小さなふくらみの可憐な二つの突端をつまんだ。
「ぁ、きたっ……健一さんっ……これっ、だめですっ……んっんっんっ……」
「えなさんの、ちくび……はぁ、はぁ……こりこり、してる……」
つまむタイミングと突き上げるタイミングが交互になるようリズミカルにえなさんを責める。
「ぁぁぁぁ、ぁ……んっ、け、健一、さん、のっ……ばかっ……こんなの、ぁ……んぁ……私っ……あたまっ……とろとろに、なっちゃうよ~っ……」
「えなさんっ……はぁ……はぁ……っ……えなさんっ、えなさんっ……」
「ひゃぁ……ぁあ……健一さんの、えっちおち×ぽで……おま×こ……はぁ、はぁ……ぐちょふわっ、ですっ……」
えなさんがだらしくなく垂らしているのは恥液だけではない。半開きになりっぱなしの口元からもつーっと唾液が漏れていた。ぼくの胸のあたりに落ちる雫は暖かく、はちみつのように甘かった。いまは口に入れてもいないし、唾液自体から甘い匂いがしているわけでもないはずだった。けれどたしかにぼくの脳はいままさにえなさんのこの無力透明なのに色欲に満ちた唾液を「甘い」と認識していた。これまで交わしてきたえなさんとの度重なる口づけの記憶が、いつでもえなさんの味を思い出させてくれた。
-----*-----
快楽の虜になることに負い目も惑いも感じなくなったぼくらの色狂いな日々はそれからどんどん加速していった。
「ぁ……んっ……マ、マイクが、汚れて……はぁ……はぁ、はぁ……しまいます、ご主人さま~っ…………お店の人に、怒られ、ちゃいっますっ……ぁ……でも、ごりごり、して……んっんっんっ……いけませんっ……これはっ……んっ……」
「えなの、おま×この、音……っ……大音量で、響いてるよ……っ……はぁ……えなは、大学にも、仕事にも、行かないで……っ……っ……こんな、変態メイドに、なりきって……とんだ淫乱、だねっ……っ……はぁ、はぁ……」
「ご、ごしゅじんしゃまがっ、っ……来てとおっしゃった、からっ……はぅん……」
何度重ねても色褪せないえなのあでやかな肉の味も、いつでも酔いを誘う艶美なフェロモンに満ちたえなの匂いも、どんなドラッグよりも強烈に飛ぶことができた。麻薬なんてやったこともなければ目にしたこともなかったけれど、重要なのはぼくにそう思わせていることは事実だということだった。
「ん……誰かに、見られたらっ……」
「この、公園はっ……はぁ、はぁ……大丈夫っ……」
「な、なにが、大丈夫……んっ……ん、ん……なん、ですか……っ……」
「ここ、木が、密集して……っ……るでしょ……っ……」
「でも、でもっ……ひゃんっ……んっ……ん、ん、ん、ひゃぁ――」
「見えないよ、こんな夜中じゃ……っ……でも、そんなに、声……っ……出したら……はぁ、はぁ……近所に……聞こえちゃう、かも、ねっ……」
「い、いじわる、ですぅ……健一さんっ……わかって、て……ぁ、ぁ、ぁ……こんなに突かれたらっ……ひんっ……んっ……でちゃい、ますっ……ん、ん、ん、んっ」
お互いがどんな人間なのか、人並みに会話を重ね、同じときに同じものを食べることの幸福を味わったりもした。
えなさんがぼくのアパートに泊まることもあれば、ふたりでホテルに泊まることもあった。ふたりで一つのベッドで寝ることの充足感を、初めて知った。
そんなふうに穏やかで理性的な時間もなかったわけではないけれど、ぼくらは気を抜くとすぐにお互いの愛欲を満たしあうことに没頭してしまった。
「私……ん、ん、ん……とうとう、こんな、とこでっ……んっ……」
「土曜、だしっ……この、時間ならっ……」
「でも、空いてる、教室って……ん、ぁ……みんな……けっこう、使うん、ですよ……はぁ、はぁ……ひゃぁ……」
「じゃあ……っ……っ……やめる……っ……?」
「や、やめないでっ、くださいっ……おま×こ……せつなく、なっちゃうっ……」
「えなっ……」
「健一さんっ……私、ここでイっちゃうっ……イっちゃい、ますっ……ん……ん、んっ……急にっ……激し……ぁ……んっんっんっんっんっんっ――んんぐぅっっ!!」
暦の上では夏も過ぎ去った頃になっても、オナニーを覚えたての子どものようにぼくらはお互いを求め続けていた。