① ここ最近の朝の日課※
「おっおっおっおっおっ! んぉおおおっ!」
のっけからで恐縮だが、今私は陽葵さんの尻穴に指を突っ込んでいる。
「んおっおお、おぉおっおぅっおっおっ!」
連日に渡る私の弄りが実を結び、彼の穴は大分柔らかくなってきていた。
もうそろそろ、私の息子の世話もイケるかもしれない。
「んんぅううっおっおおおっおぅっおぅっおうっ!」
今私が居るのは陽葵さんに寝室。
サンドバックを片づけてから朝食を準備していたのだが、いつまで経っても陽葵さんが起きてこないので様子を見に来たのだ。
……普通に寝坊しているだけだったわけだけれども。
彼のこのルーズさは直していかねばなるまい。
まあ、おかげで毎朝こうやって陽葵さんの尻穴を弄れているので、もう少しこのままでもいいかもしれない。
ちなみに余り気にしている人はいないと思うが、セドリックさんは両手両足をはめ込んでからポーションをがぶ飲みさせたら目を覚まし、そのまま治療院に歩いて行った。
冒険者というわけでもないのに、タフな人である。
「んぉおお、おっおおっ! おっおっおっおっおぅうっ!」
うつ伏せに眠ったまま、私の指で感じてしまっている陽葵さん。
最初は指を少し挿れただけで絶頂していたが、今はしっかり尻穴への弄りで快楽を貪れるようになっている。
彼の成長に、私も笑みを隠せない。
彼と会ってからというもの毎日毎日、朝彼が起きる前と冒険の休憩中にイカせ続けた甲斐があったというものだ。
「おおぉっおっおっ! んんぅう、んんっ! あっあぅっあっあっ!」
しかしなんだ、もう何度も陽葵さんの身体を見ているが、未だに彼の性別には疑問を抱いてしまう。
顔はこれ以上なく美少女然として整っており、髪もサラサラの金髪ショートヘア。
身体の肉付きも実に柔らかく、腰からお尻、太ももにかけた曲線は芸術品と言ってもいい程に美しい。
胸は流石に無いが、乳首の色合いは鮮やかで、男心をくすぐってくる。
彼が発する喘ぎ声も女性の声と聞き違える程に艶があり、聴いているだけで勃起を促す。
結構身体のラインが出やすい服装を好んでいるのだが、そんな服を着ているのに陽葵さんが男だと分かる人物はまず存在しないだろう。
毎日のように裸を見ている――彼の男性器を見ている私ですら、気を抜くと彼が女性だと思ってしまうのだから。
というか、Tシャツにショートパンツルックとか、陽葵さんの女性的魅力を強調するだけなんですが!
「あぁっ! あっあっあっあっあっ! あぅうっ! お、おぉおおっ!」
さて、名残惜しいがそろそろ終わらそうか。
私は尻穴にねじ込んだ指で陽葵さんの中を思い切りかき混ぜてやった。
「んぉおおおおおっ!? おお、おおぉおおおおっ!!」
絶叫にも近い嬌声を上げ、陽葵さんは身をのけ反らしながら射精した。
「お、おぉお……ああぁあぁ……んんぅう……お、おぉ……」
全身を震わせて余韻を味わった後、陽葵さんは気を失ってしまった。
余程、絶頂によって得られる快感が凄まじいのだろう。
統計をとったわけでは無いが、一般的な男性が感じるそれをはるかに上回っているのではないだろうか。
この点に関しては、彼を羨ましくも思う。
「……朝食の準備を終わらせようか」
失神してしまっては仕方ない。
朝食を用意して、陽葵さんが起きるのを待つことにしよう。
「あれ、ヒナタまだ起きてこないの?」
リビングに戻った私を待っていたのは、リアさんのそんな言葉だった。
「ええ。ぐっすり寝ていますね」
「起こしに行っても目が覚めないとか相当ね。
ちょっとぐうたらが過ぎるんじゃない?」
少し眉をひそめてリアさん。
そんな彼女に私は弁解する。
「彼がこちらに来てまだ5日しか経っていませんからね。
新しい生活に慣れないのでしょう」
「ふーん、そんなもの?」
「ウィンガストと東京では生活様式が大分変りますから。
一人だけでこの世界に来たという心細さもあるでしょうし」
「そっか…」
一般的に想像できるファンタジー世界よりも大分現代人に優しいウィンガストだが、それでも勝手は大分違う。
親しい友人達と会えなくなったというのも大きいだろう。
……私が毎朝陽葵さんを絶頂させているというのも、多少は理由にあるかもしれないけれども。
「あんまりそういう顔は見せないんだけどなぁ」
「会ってすぐの人に自分の弱さは見せたくないものですよ。
男の子ならなおさらです」
逆に言えば、私達に心を開ききっていないということでもある。
少し寂しくもあるが、しかし当然のことともいえる。
……単に私がイカせ過ぎているだけ、という可能性も僅か乍らにあるとはいえ。
「……もっと色々、ヒナタの話聞いてあげないとかな」
「そうですね、そうして頂けると助かります。
勿論、私も努力しますが」
少し深刻そうな顔をして俯くリアさんの言葉に、私も頷く。
ところで今のリアさん、シャワーを浴びたばかりなので自慢のセミショートの茶髪はしっとり濡れ、顔も上気している。
服はTシャツとハーフパンツに着替えているが、相変わらず胸やお尻の形が分かるフィット感を持った装いだ。
この身体を昨夜セドリックさんは弄っていたわけか。
「……変なとこ見てない?」
「はい?」
「………う~ん、気のせいか」
リアさんが私の視線に感づいたようだが、きっちりすっ呆ける。
彼女の疑惑をかわすのも、大分慣れてきた。
――疑惑と言えば、実は私も彼女に対して一つ、疑念を抱いている。
こうしてリアさんと話していても、その疑問は深まるばかり。
「どうしたの?
難しい顔しちゃってるけど」
「今日行う陽葵さんへの教育内容について思案中なのです」
「へぇ……教育係も大変ね」
「まあ、そうですね」
実のところ、微塵も考えていない。
誤解しないで頂きたいが、教育に関しては事前にしっかり内容を考えてあるのである。
では何を考えているかと言えばつまり――セドリックさんは本当に『無駄死に』だったのかということだ(死んでない)。
変態度数で言えば黒の焔亭店長に勝るとも劣らない彼が一晩を費やした調教に、リアさんは何も感じ入ることは無かったというのか。
「……よし」
「ヒナタへ教えること、決まった?」
「……えぇ、そんなところです」
すみません、全然違うことを考えています。
『覚悟を決めた』という意味では当たらずとも遠からずではあるが。
「っと、失礼します」
私は大股を開いて椅子に座る。
私の股間が――先程の陽葵さんの痴態で、ギンギンに勃起した股間が、リアさんによく見えるように。
こんなことをしてリアさんの機嫌を損ねたら、ただでは済むまい。
だとしても、私は試さずにはいられなかった。
彼女に何の変化も起きていないのかどうか―――
「……!?」
――はたして。
リアさんは私のイチモツに気づいたようだが、特に何の反応も示さない……ような振りをしている。
よく観察するまでも無く、彼女はチラチラと私の股間に視線を向けている。
気になって仕方がない、という様子で。
「あ、あの、クロダ?」
「何か?」
「……何でもない」
ぷいっと横を向くリアさん。
しかし、瞳は私の下半身を見続けている。
……どうやら、セドリックさんの死は無駄でなかったようだ(だから死んでないって)。
彼が施した調教は、間違いなく彼女の心に痕を残している。
「……これが気になりますか」
ぼそっと、彼女に聞こえるような大きさで呟く。
「なっなんのこと!?」
「いえいえ、何でもありませんよ?」
一つ前の会話を真似る形で、リアさんの言葉をはぐらかした。
露骨に慌てる姿が可愛らしい。
私は彼女にもよく見えるように、腰を上下に動かしてやった。
「―――!」
ごくり、とリアさんが唾を飲む。
そこまで私のモノが気になるか。
素直に求めてくればいいのに――と思わないでもないが、そこで強情になってしまうのがリアさんらしさなのだろう。
ここは一つ、私の方から歩み寄らねば。
「ねぇ、リアさん」
「………ん、うん!? な、何か用!?」
「私だけ座っているのも心苦しいので……私の上に座りませんか?」
「――――え」
私からの提案に唖然とするリアさん。
すぐに私を睨みつけてくる――が、期待にそわそわする様子をまるで隠せていない。
「い、いきなり変なこと言い出して! な、殴られたいの!?」
「……座って下さらないんですか?」
私は露骨に肩を落とす。
同時に、隆起した股間をリアさんの方へ突き出した。
「――あ、いや」
「座ってほしいんですけどねぇ。どうしても駄目でしょうか?」
腰をグラインドしながら動かす。
セクハラで訴えられても文句の言えない状況だが――リアさんは、私の勃起から目が離せないようだ。
とうとう耐えきれなくなったか、こう告げてくる。
「……そ、そこまで言うなら……す、座ってあげる」
私はにっこりと笑った。
リアさんは私に近寄ってくると、
「そ、それじゃ……座るからね」
私に背を向けて――特に指定したわけでも無いが、私の股間の上に、勃起したイチモツの上に腰を下ろした。
背面座位の姿勢と言えば伝わりやすいであろうか。
「……ん、んんっ」
小さく喘ぎを漏らす。
当然、聞き逃す私ではない。
「……お、重くない?」
「まさか。軽いですよ、リアさん」
緊張をほぐそうとしているのか、軽口を言ってくるリアさん。
まあ、実際彼女はそう重くはないのだけれども。
さて、割とすんなりここまでことを運ぶことができた。
次はどう責めようか……そう考えていた矢先。
「……んんん……あぁ……うぅん……」
リアさんが自分の股を私の股間に擦り付けてきた。
まるで、私の突起を使って自慰をするかのように。
決して私が強制させたわけではない。
彼女自身の意思で、この行為を始めたのだ。
「……どうですか、リアさん。
私の座り心地は」
「……はぁぁあ……う、ん…まあ、悪くない、かな……んぅう……あぁん……」
気持ち良さそうに私に脚の付け根を押し付けてくる。
だがその返事には、少々不満があった。
「……悪くないだけですかね。
結構、自信があったのですが」
リアさんの女性器と思われるハーフパンツの箇所に、ズボンの隆起を突き上げた。
「あ、あぁぁあああ…」
嬉しそうに喘ぎ声を漏らすリアさん。
「どうです、まだ『悪くない』程度ですかね?」
「はぁぁあん……き、気持ち、いい……んんぅうう……」
「それは良かったです」
満足のいく返答が得られた私はにっこりと微笑む。
彼女の動きに合わせて腰を動かしていく。
「あぁああ……クロダ……あぅうう……気持ちいいよ……あんん……」
「もっと、動いてあげましょうか?」
「んぅぅう……うん……あんっ……もっと大きく動いて……あああぁ……」
リアさんのリクエスト通り、股間を大きくグラインドしてやる。
「ああぁぁあああ……うん、そんな、感じ……はぁああぁぁ……」
布越しに、互いの性器が強く触れ合っていく。
こんな刺激もまたいいものだ。
――しばらく楽しんでから、私はリアさんに告げる。
「……大した肉便器っぷりですね、リアさん」
「―――へ?」
リアさんの動きが止まった。
ゆっくりと私へ振り返ってくる。
「……く、クロダ、今、なんて…?」
「リアさんは素晴らしい肉便器だと言ったんですよ」
リアさんに沈黙が訪れた。
思いもよらない言葉だったのであろう。
少しして、ようやく彼女が口を開く。
「……み、見てたの?」
「ええ。リアさんがセドリックさんのモノを、上の口でも下の口でも堪能していた様子をずっと眺めていました」
語った内容に、再び絶句する彼女。
覗かれていたというのは、やはりショックだったようだ。
「見てたのに、どうして…?」
「どうしても何も……あんなに楽しんでいるところへ口出し何てできませんよ」
リアさんは本当に美味しそうに肉棒をしゃぶり、肉棒に喘いでいた。
止めに入るなど、失礼というものだ。
「ち、違っ! あたしはあんなの――」
「望んでいなかったと?」
彼女の台詞を先読みして、割り込む。
「――そうよ。あたしはあいつに無理やり……」
「リアさんなら、いつだって力づくで抜け出せたんじゃないんですかね?」
「そ、それは――」
三度、言葉に詰まる。
実際問題、リアさんは冒険者すら殴り飛ばせる豪腕の持ち主。
対してセドリックさんは、言っては何だがただの中年オヤジである。
本気で嫌がっていたなら、簡単に抵抗できたはずなのだ。
セドリックさんだけではない。
店長だってそうだ。
黒の焔亭で散々セクハラを受けてきたというのに、彼女はそこで働き続けた。
ウェイトレスを辞めるという選択肢があったはずなのに。
それをしない、してこなかったということはつまり――
「――とはいえ、結局はリアさんの心持次第ですからね。
貴女がどうしても肉便器になりたくないというのであれば、私が何とかしましょう」
「え?」
リアさんにとって思いがけない提案だったのか、彼女の表情が変わった。
「はい、私が店長達を説得しますよ。
二度とリアさんに手を出さないように、とね」
「……え、あ、うん」
リアからの返答はどうも歯切れが悪い。
――彼女の言葉が真実だったとすれば、迷うことなど無いはずなのに。
私は彼女の迷いを払拭するため、次のような言葉をかける。
「……でも、いいのでしょうか?
そうしたならば、リアさんはもう二度と男を味わえないことに」
言って、私はリアさんを後ろから抱き締め、彼女の股の間へ股間を強く擦り付ける。
「あ、あぅぅっ…」
ズボンとパンツを間に挟んでいるとはいえ、互いの性器が強く触れ合うその刺激に、リアさんはまた甘い声を漏らした。
「昨日のセドリックさんの肉棒も、店長のモノも――二度と」
「あ、あぁあっ…んんんぅうっ…」
腰を動かすと同時に、彼女の身体も上下に動かしてやる。
二重の刺激が重なり、リアさんの喘ぎはだんだんと大きくなっていった。
「その二人だけじゃありません。
黒の焔亭に通っている男性客全てが、リアさんの膣に自分のモノを突き入れたいと思っているのですよ」
「あっあぁぁああっ……あぅぅっ……あぁんっ……」
リアさんは腰をくねらせて私から与えられる快楽を貪っている。
よほど興奮してきているようで、彼女のハーフパンツには愛液で染みができ始めた。
――果たして私の言葉は彼女の耳に届いているのか?
そんな不安もよぎったが、彼女はしっかり返事をしてくれた。
「……みんな……思ってるの?……あぁああっ……私を……犯したいって……はぁああんっ……思って、るの…?」
「ええ、皆そう思っています。
リアさんを孕ませてやりたいと。
肉便器にしてやりたいと」
これはお店の客に限った話ですらない。
リアさん程の美少女を見れば、男なら誰しも関係を持ちたいという欲求を抱くはずだ。
服越しの性器の触れ合いによって、ぴちょぴちょと音が立ち始めた。
腰を動かすたびに、話をするたびに、リアさんの膣から液体が流れ出ているようだ。
「リアさんはどうなんですか。
欲しくないんですか、味わいたくないんですか?」
「あぁあああっ……あたし……あぅうっ……あたし、は……」
艶声をあげながら、私の言葉を否定できないでいるリアさん。
「どうしたいんです?
これが欲しいんでしょう?
今すぐ挿れられたいんでしょう?」
「あっあぁあっあぁああああ……あたし……あぁあああぁぁ……あたしぃ……」
リアさんの股間を責め続けながら、彼女からの答えを求める。
自分の気持ちを受け入れてしまえば、お互い楽しめるようになると思うのだが…
「……あぅぅう……クロダは……あたしが他の男に、その……抱かれて、も……あっあっ……
あたしのこと……あぁああ……嫌いに、ならないの…?」
……ふむ。
私のことを気遣ってくれているのか。
「あぁああっ……あたしの中に他の男のちんこが突っ込まれても……あぅうっ……あたしが他の男の子供妊娠しちゃっても……あんんっ」
「……嫌いになるわけないじゃないですか。
肉便器になったリアさんは、きっと凄く魅力的ですよ」
「―――!!」
聞くや否や、びくんっとリアさんの身体がのけ反った。
「あっ…あっあっあっあっあっあっ! あぁああああっ!!」
そのまま身体を震わせながら絶頂するリアさん。
ハーフパンツにできた愛液の染みがみるみる広がっていく。
――今の一言で、イってしまったようだ。
「はっ…はっ…はっ…はっ…」
荒く息をつきながら放心している。
言葉責めでここまで感じてくれると、なかなかいい気分である。
「……っと、そろそろ朝食を用意しなくては」
リアさんと話し始めてから、結構長い時間が経過してしまった。
陽葵さんも起きてくる頃合いだろう。
彼女を私の上から降ろし、キッチンへ向かおうとしたのだが…
「……おや?」
リアさんが私の腕を掴んでいる。
その目は、未だに勃起している私の股間を見つめていた。
「クロダ……あんた、まだイってないよね?」
「……ええ、そうですね」
瞳を潤ませて、彼女はこう言った。
「あ、あのさ……ここに便器があるんだけど。
つ、使っていかない?」
「………」
断る理由など、あるはずも無かった。
「ふーん、魔族って他の種族と子供作らないんだな」
「はい、その通りです」
陽葵さんの言葉に、私が頷き返す。
所変わってここは<次元迷宮>。
あの後、陽葵さんと朝食をとり(リアさんは疲れてしまったようなので、寝かせておいた)、早速今日の教育を始めた次第だ。
「正確には全く子供ができないというわけでは無いようですが。
魔族同士ですら出生率は低く、他種族との混血はそれをさらに下回ると」
「そうなのかー」
今は迷宮を歩きながら、魔族についての講義。
……講義というより雑談が正しいか。
ちょうど魔物が少ない階層なので、雑談ができる程度の余裕があるのだ。
ちなみにこの混血の話、当の魔族自身よく知らなかったりすることもあるらしい。
「……あれ、なんでオレ達こんな話してるんだっけ?」
「どうして人は魔族と戦ってこれたのか、という話からですよ」
「ああ、そうだったそうだった」
前に話した通り、魔族は人に対して圧倒的といってもいい戦力を有している。
であるにも関わらず、魔族は人を完全に制圧下に収めることはできなかった。
人と魔族が戦いだしてから勇者が現れるまで、かなり年月があったにも関わらず、だ。
これは一体どういうことなのか。
この疑問に対して、人によって様々な理由が挙げられるだろう。
ただ、私は繁殖力の違いこそが最も有力な解答だと考えている。
一般的に、魔族一人に対して最低でも兵士5人で挑まなければ勝ち目がないとされている。
単純に考えれば、この時点で人に勝ち目はないのだが――魔族は繁殖力が低いという弱点を抱えているわけだ。
繁殖力の低さは魔族の数の少なさに繋がり、さらには補充も難しいということになる。
簡単に言えば、いくら魔族1人で兵士5人を相手取れるといっても、魔族と人の人口比が1:5であるならば総合的な戦力は余り変わらないということ。
人が皆兵士になるわけでは無いし、人にしろ魔族にしろ戦力の個人差はかなりばらつきがあるので、そう一概に言えたものではないけれども。
「しっかし、こういうのの定番とはいえ、どうして魔族は人に喧嘩売ってきたんだ?」
「一応、魔族ではなく魔王が仕掛けてきた、とされています。
魔族達はあくまで魔王の命令に従っただけだと」
「あ、そうなんだ」
実情はともかくとして建前上、魔王に全ての責任を押し付ける形で人と魔族の間には和平が現在は結ばれている。
ギルド長の話から考えるに、戦いのシコリは今なお根深く残っているようだが。
……その辺り、地球でも似たようなものか。
「じゃあ、魔王はどうして人を襲いだしたんだろうな?」
「………さて。
まあ、人同士でもちょっとしたきっかけで戦争を起こすのですよ。
種族が違えばさらに軋轢が産まれやすいでしょう。
しかも個人で見れば、魔族は明らかに人よりも強いのですから」
「そういうもんか」
「そういうものです。
陽葵さんも、自分では思いもよらぬところから悪意を抱かれたことはあったでしょう?」
私の問いに陽葵さんはうーんと唸ってから(うわ可愛いな)、
「……あんまりそういうことは無かったかな」
「陽葵さんは周囲の方々に恵まれていたのですね」
「改めて言われると、そうだったかも」
こんな美貌を持ちながら、どこかガードが弱いのもそういうところに関係しているのかもしれない。
「……こちらに1人で来て、寂しくはないですか」
良い仲間が多かったというのならば、尚のことウィンガストの生活に寂しさを募らせてしまっているかもしれない。
今朝のリアさんとの会話もあって、私生活を探るような真似は失礼かとも思いながらも、私はその辺りを尋ねてみた。
「……寂しくないと言えば嘘になるけど。
まあ、実際のとこそんなでも無いよ。
……ここだけの話、そこまで親しい友達もいなかったからさ」
「そうなのですか?」
先程の話しぶりからして、友人は多そうだったが。
「いやいや、もちろん仲良い連中もいるよ?
ただそういう奴らでも、一緒に遊びに行こうとすると、なんか引かれちゃうことあるんだよなぁ。
泊まりの旅行とかだともうムリ。
『絶対ダメだ』とか言われちゃってさ…」
寂しそうに俯く陽葵さん。
……まあ、そのご友人方の気持ちも分からなくもない。
間違いを犯してしまうのが怖かったのだろう。
私としては、陽葵さんとなら幾らでも間違いを犯せるが。
寧ろ犯したいが。
「部活の合宿でも他の部員、オレと一緒に風呂入ろうとしねぇし」
「……それはそれは」
そのご友人達は本当に自制心の強い、良い人達だったのだろう。
陽葵さんとの友情を守るべく、一線を超えないように必死で努力していたに違いない。
私にはまずそんなことはできない。
陽葵さんはそのご友人達のことを誇りに思うべきだ。
とはいえこの話、彼にとっては余り楽しい内容ではない模様。
私は少し強引に話題の方向修正を図る。
「……まあ、それでもご家族のことは心配になってしまいますかね?」
「いやぁ、オレ家族いないんだわ。
孤児院で育ったから」
「…………すみません」
方向転換した先はさらなる地雷であった。
陽葵さんの“事情”を鑑みれば容易に想像つくものだったろうに。
私の頭の巡りの悪さを露呈してしまった。
「別に気にすんなよ、オレは気にしてないから。
孤児院は孤児院で住み心地良かったからな。
先生も優しかったし」
「……そうでしたか」
そうは言ってくれるものの、流石に少し意気消沈してしまう私。
そんな私に気づいたのか、今度は陽葵さんの方から話を振ってきてくれた。
「黒田の方はどうなんだ?」
「……私の方、とおっしゃいますと?」
「ほら、お前だって家族とか友達とかいんだろ」
「私の場合はそれ程でも無いですね。
仕事ばかりの生活を送っていたので、余り私生活で人と関わっていなかったんですよ」
「………それはそれでどうなんだ」
ジト目で私を見つめる陽葵さん。
その眼差しがお美しい。
「会社生活はかなり充実していましたよ?」
「……自分でそう言うんだったらオレがどうこう言うこた無いけどさ」
一つため息をついてから、
「――と、それじゃ会社の方が心配だったりするのか?
急に居なくなっちゃったから、仕事がちゃんとできてるのかなぁ、とか」
「ああ、会社ならちゃんと辞めてから来たから大丈夫ですよ」
「――――へ?」
…………あ。
「いやいやいやいや、私はそんな大した仕事はしていませんでしたから!
居なくなったところでそんな影響は無いかなとかそういう感じなんですよ!?」
「……そ、そうなのか?」
「そうなんです!
もう私なんていなくても社会は回っていくというか私なんてただの社会の歯車の一つに過ぎないというか!」
「……わ、分かった!
分かったから!
顔が近い! 顔が!」
思い切り詰め寄ってからの勢いで無理やり納得頂いた――はず。
いつもと違うノリに引かれただけとも言う。
うーむ、陽葵さんに変なこと聞いてしまった焦りがまだ抜け切れていなかった模様。
油断も、あったかもしれない。
今後はこんなことが無いように気を付けなければ。
……近づいて見ると、本当に可憐な顔立ちだな、陽葵さん。
私の色んな意味で熱い視線に耐えきれなくなったか、彼がまた喋り出す。
「え、えーと、そうだ、恋人!
黒田、恋人とか向こうにいなかったのか?」
「………恋人?」
「そう、恋人」
突然の別方向からの質問に、思考が停止する。
「…………………………………………………………………………………………………………………いませんよ?」
「ほう、いるのか」
陽葵さんがニヤリと悪い笑みを浮かべた。
「お前、東京に恋人いるのにローラさんに手出してたんだなぁ?」
「な、ななななななな何を!?」
話題に頭がついていけない。
これ以上無い程どもってしまった。
「……いませんから。私に東京の恋人なんていませんから」
「よし分かった。
東京に帰れた暁には、お前の恋人にしっかりその台詞とこっちでのことを報告してやる」
「止めて下さい!!
いや、私に恋人はいないんですけどね!?
いないんですけれども、もし万に一つ陽葵さんがそういう人と出会ったとしてもそういうことはやってほしくないわけですよ!」
「はいはい……まあ、いくら恋人がいるっつってもローラさんみたいな美人に会ったら口説きたくもなっちゃうよなー。
今はその恋人に会えないわけだし。
お前の気持ちも分かるよ」
「ご理解頂けて何よりです」
良かった。
身体はほとんど女性でも、陽葵さんの心は男で本当に良かった。
「さぁて、じゃあ地球に戻る手段を早いとこ見つけないと!」
「……ん? 今のその返し、何か含みがありませんか?」
ただ元の世界に戻りたいという以上の意思をその言葉から感じ取ってしまう。
ナニかに怯える私に対し、陽葵さんは小首をかしげて(いちいち仕草が可愛いんだけど何なんだこの生物)、
「えー? オレは地球に帰る手段を探そうって言っただけだろー?」
「そ、そうですか……そうですよね?」
本当にそれだけなのですか?
「うんうん……帰ったら恋人紹介しろよ」
「………だからいませんって。
――約束、破らないで下さいよ?」
「はっはっはっは」
何だろう、その朗らかな笑いが私を不安にする。
しかしその一方、陽葵さんの笑顔を見れて元気になる私もいた。
なんか、もう、可愛いなぁこの子。
まあ、今現在地球への帰還方法は判明していないのだが、ウィンガストにいる訪問者達のほとんどがその手段を模索している。
そう遠くない内に、東京へ戻れるようになるのではないだろうか。
………他力本願とか言わないでほしい。
第八話②へ続く