ひとしきり、陽葵さんの話題で盛り上がった後。
「あ、そういえばさ、黒田ってどんな特性持ってるんだ?」
「はい?」
思いついたように、陽葵さんから話が振られる。
「黒田もアンナと付き合い長いんだから、特性見てもらってたりするんじゃないのか?」
「ええ……まあ、一応」
冒険者になった直後、見てもらってはいるが。
「せっかくだから教えてくれよ、それ」
「え、いや、それは……」
「いいだろー。
オレの特性はお前にばれちゃったんだからさー。
お前のも教えてくれって」
「私の特性はそう大したものではありませんよ?」
あと、人に言うには少々――こう、恥ずかしいというか。
「ケチケチすんにゃ、クロダちゃん。
教えてあげればいいじゃにゃいか。
なんなら、アチシが言ったげようか?」
「ちょ、ちょっと、アンナさん!?」
慌てる私をアンナさんは手で制し、
「クロダちゃんはあんまり自分のことを言おうとしないからにゃあ。
こういうのはちゃんと開示しておくべきだにゃ」
「そうだそうだー。
ささ、アンナ、語っちゃってくれよ」
陽葵さんがアンナさんを煽る。
……仕方がないか。
「まず一つ、<カリスマ>にゃ」
「お、なんか凄そう」
「……そうでもないですよ?」
名前は大それているんだけれど。
「男女や人種を問わず、人を惹きつけやすくなる特性にゃ。
魔力への補正分、人が好意的な対応をしてくれやすくなるにゃ」
「うわ、やっぱりスゲェ特性じゃんっ!
っていうか、オレの<魅了>の上位版?」
そこまでの説明であれば、確かにかなり便利なスキルだが。
「……但し、効果はクロダちゃんと同じ趣向の持ち主に限られる」
「――つまり、変態限定ってことか?」
「その通りだにゃ」
あっさり首肯するアンナさん。
「……私の趣向=変態という認識は如何なものでしょうか?」
「間違ってないだろ」
「間違っていないにゃ」
はい、その通り。
ぐうの音も出ない。
「……変態にやたらと気に入られるようになる特性か」
「男を惹き寄せるヒナタちゃんと、変態から気に入られるクロダちゃん。
こう考えると、クロダちゃんとヒナタちゃんが愛しあうのも当然な流れなのかにゃあ」
「愛し合ってねぇよっ!?
あと人を変態扱いすんなっ!」
………まあ、今はまだそういう認識なのだろう。
今はね。
「尻の穴であんあん喘ぐ男なんざ、変態以外の何物でもねぇっつーのっ!
さて、そんじゃ次の特性……<絶倫>にゃ」
「さらっと人を貶しやがってこの女……んでもって随分とそのものずばりな特性だな」
「体力への補正分、精力も増える特性で――ヒナタちゃんはもう経験済みだから、いちいち説明は必要なかったかにゃ?」
「うるせぇよっ!!
……でも、男としては結構憧れる特性かも」
小さく付け加える陽葵さん。
そう、私が一日に何度も何度もヤれるのは、この特性によるものだったのだ。
東京にいた時でも精力は多い方であったが、冒険者になってからはそれが加速した。
ただ、それが良いことなのかというとそうでもなく。
――実は、この特性のおかげで一度や二度出した程度では満足できなくなってしまったのだ。
必然、女性にかける負担がかなり増大し、少々迷惑をかける事態になることも少なくない。
相手を本気で壊しかけてしまったことも何回かある。
「そして、クロダちゃんの最後の特性は――」
「まだあんの?」
「数だけは多いんですよ。
どれも胸を張って言えるものではないのが辛いところですが」
通常、冒険者が持つ特性は一つか、多くて二つ。
三つ持っている私は、数の面では恵まれている。
これで、もう少し探索の役に立つ特性があれば良かったのだが。
「――クロダちゃんの最後の特性は、<社畜>にゃ」
「名前からして既にひでぇっ!?」
「本当に」
この名前を付けた人に文句を言いたい。
「効果は、
「それは………凄いのか?」
眉をひそめて、ヒナタさん。
「初めてやる作業や想定していなかった行為の成功率が大幅に減少するっていうデメリットもあるにゃ」
「デメリット付きかよ。
つーか、初めてやることは失敗しやすくて慣れてきたら成功しやすくなるって、当たり前のことじゃね?」
「クロダちゃんの場合、それがすっごく極端なのにゃ」
説明を加えるアンナさん。
「……どっちにせよ、なんかパッとしない特性だなー」
「所詮は私が持っているような特性ですからね」
私は肩をすくめる。
最初は私も自分の特性に少し期待していたのだが、世の中なんてこんなものだ。
「…………」
「………アンナ?」
ここで、アンナさんが私をじっと見つめながら黙りだす。
「………ここでちゃんと説明をしないところが、クロダちゃんの悪いところにゃ」
「へ?」
……………。
「ヒナタちゃん、この<社畜>は、クロダちゃんを化物たらしめている――アチシが知る限り最強クラスの特性にゃ」
「は?」
……………。
思ってもみなかった言葉に、陽葵さんが驚きの声をあげる。
「この特性のやばいところは、効果の内容じゃなくて、効果の量にゃ。
端的に言ってしまえば――クロダちゃんは繰り返し作業を、“何度も繰り返した行動”を、“絶対に”失敗しない」
「………うん?」
説明を受けても、陽葵さんはピンと来ないようだ。
「さらに恐ろしいのは、クロダちゃんが繰り返し作業と認識できる行為の“範囲”と、それを繰り返し作業と認識するまでに必要な“試行回数”にゃんだけど……」
ここで一旦言葉を切って、
「……ま、いいかにゃ。
クロダちゃんがどんだけなのかは、一緒に行動してればすぐ分かることだしにゃー。
今のヒナタちゃんが覚えておかなくちゃいけないのは、クロダちゃんが不意の事態や想定外の事態に滅法弱いってことだけだからにゃ」
軽い調子で続けてきた。
「そ、そうか。
……ん? 不意や想定外に弱いって、それ冒険者にとって致命的なんじゃ」
気づいてしまったか。
「ええ、致命的です。
だからこそ、私は慣れ親しんだ白色区域より先に足を踏み込めないのですよ」
「…………マジか」
マジなのです。
「…………本当に白色区域より先に行ったこと無いのかにゃあ?」
……………。
陽葵さんに聞こえないような声で、アンナさんが呟いた。
「にゃ、もう大分時間が経っちゃったにゃあ。
自己紹介しただけだったのに」
「自己紹介以外の部分のせいじゃねぇかな」
「無駄話が多かったですからねぇ」
前半部分とか丸々カットして問題無いのでなかろうか。
「アチシも仕事あるし、今日はここまでかにゃ」
「そうですね。
まあ、また何か入用になったら訪ねますよ」
「それがいいにゃ。
ヒナタちゃんも、気軽に来てくれると嬉しいにゃあ」
「ああ、ありがと」
「ふっふっふ、別にこれといった用事が無くても、溜まっちまったらここに来るといいにゃ。
ちんこが枯れちゃうまでヒナタちゃんのザーメンを吸い取ってやるにゃあ」
右手でモノを扱くような仕草をするアンナさん。
「い、いらねぇよそんなのっ!」
「……結構マジで言ってんだにゃ。
このままだとヒナタちゃんもう女の子相手にちんこ勃たない身体になっちまうにゃ?」
「そんな風になるわけねぇだろ!?」
全くだ、そんな身体に陽葵さんがなるわけがない。
……しかし未来は誰にも分からないものだから。
そんな言葉をかわしてから、応接室を出ようとすると、
「あ、そうだヒナタちゃん、最後に一つ言っておかなきゃいけないにゃ」
「ん?」
アンナさんの呼びかけに陽葵さんが振り返る。
私もつられて振り返る――そこには真剣な顔をしたアンナさんがいた。
「あのね、実のところ、キミ、もう大分“詰んでる”」
「………え?」
……………。
「二日目の選択が致命的だったにゃ……<勇者>じゃなくて、<盗賊>や<僧侶>なら――<暗殺士>でも良かったのに。
これでもう、キミは自分だけの力でこれからの事態を切り抜けることができなくなってしまった」
「………な、何言ってんだよ?」
アンナさんの真剣な口調に、陽葵さんは大分戸惑っている。
「キミが悪いってわけでもないんだけどにゃ。
こんな最初のところでデストラップが仕掛けられているなんて思いもしないだろうし、クロダちゃんも説明が全然足りてなかった。
戦犯は寧ろクロダちゃんといってもいい」
「………あの、アンナ?」
陽葵さんがアンナさんへ問いかけるが、アンナさんはそれに応えない。
「ムロサカ・ヒナタ」
代わりに、より真剣味を増した眼差しで陽葵さんを見据えた。
「あ、え?……はい」
「クロダちゃんを信じてあげて欲しい。
こいつは説明責任をまるで果たさないし、いざという時てんで役に立たなかったりするけど。
それでも、ヒナタちゃんを守る意思と、ヒナタちゃんを守る力を両方持っているのは、この町でクロダちゃんしかいないから」
アンナさんはずっと陽葵さんの目を見つめ続けていた。
そして話が終えるや、すっと視線を外し、またいつもの明るい口調で、
「……話はこれだけだにゃっ!
そんじゃにゃー♪」
言うだけ言って、アンナさんは応接室から去って行った。
「………なんだったんだ、今の」
呆然としている陽葵さん。
私は、咄嗟にかける言葉を思いつかなかった。
…………アンナさんは一つ勘違いをしている。
私も、実際のところいつまで陽葵さんの味方をしていられるか分かったものではない。
それとも――あの台詞は私への警告も含まれていたのか。
神妙な心持のまま、私はセレンソン商会を後にした。
さて、そんなことがあった後、私は陽葵さんと別れ――ちなみに彼はリアさんに会いに行った――先の約束通り、ローラさんのお店へ向かった。
「あっあっあっあっあっあっあっ!」
早速ではあるが、店の寝室にはローラさんの喘ぎ声が響いている。
展開が早いというなかれ。
「あっああっ! いいっいいっいい、ですっ! あぁあああっ!」
ベッドの上で全裸になり、四つん這いでバックから突かれて嬌声をあげるローラさん。
「おらおらっ! もっとけつを振るんだよっ! この淫乱女がっ!」
そしてこちらは、ローラさんに覆いかぶさって腰を振っている筋肉隆々の大男。
歳は4,50代程だろうか。
………はて、どちら様?
「はひぃいいっ! あっあっあっああああっ! んんんぅうううっ!」
「はは、本当に振りだしやがった! どうしようもねぇな、この女!」
ローラさんは男の命令通り、自ら腰を動かしだす。
豊満なおっぱいとお尻がぷるぷると揺れている。
……あの男、身体つきからして、<魔法使い>ではあるまい。
十中八九、<戦士>系の職業で間違いないはず。
「はっ! 澄ました面しておいて、ちょっと誘えばすぐこれかっ!
よっぽどの好きもんだなお前はっ!」
「んっはっああっ! ち、ちがっ、違い、ますっ!
私はそんなんじゃっ……あぁああああっ!」
とすると、お店の客ではなく、ローラさん狙い来訪してきたといったところだろうか。
まあ、あの身体を好きにできるとあれば、足の一つや二つ運ぶ気にもなるというものだ。
「まったく、こんないい肉してりゃあ男だって食い放題だろ?
くくく、恵まれた女だなぁっ!」
「はぁああああんっ! あっあぁああっあっあっあああっ!」
ちなみに私は今、私室にある窓の外側に立っている。
お店の入り口が開いていなかったので裏手に回ったのだが、そうしたらこの場面に遭遇したというわけだ。
「お前のまんこも男を食いたくて食いたくて仕方無いみたじゃねぇかっ!
さっきからぎゅうぎゅうと締め付けて、俺のちんこを離そうともしないぜっ!?」
「あぁぁぁああああっ! お、おぉおおおおおおっ!!」
この二人、さも派手にヤり合っているように見えるかもしれないが、そうではない。
ローラさんの部屋は防音がかなりしっかりしているので<感覚強化>が無ければ彼らの会話を聞き取ることは難しいし、カーテンも閉められているので<屈折視>が無ければ彼らの姿は外から見えない。
「おっと、そろそろイケそうだな。
へへ、お前のまんこに精液を注ぎ込んでやるぜっ!
どうだ、嬉しいだろうっ!?」
「あひぃいいいっ! はんっあんっあぁああんっ! んんんぅうううっ!!」
男が問いかけるも、ローラさんは喘ぐばかり。
それが気に入らないのか、男はローラさんのお尻をパァンと叩く。
「あぁあああああんっ!?」
「おいこらっ!
人が嬉しいかどうか聞いてるってのに何のんきに喘いでやがるんだっ!?
嬉しいのかっ! 嬉しくないのかっ! どっちなんだ、おいっ!!」
そのままパンパンとローラさんの尻を叩き、さらに激しく腰を振り出す男。
「はっあぁああっあぁあああああっ!
う、嬉しい、ですっ! んんぁあああああっ! 嬉しい、ですぅっ! あぁぁあああああっ!」
「嬉しいかっ! だったらお礼を言え!
まんこに精液を流し込んでありがとうございます、となぁっ!!」
手でローラさんの胸を揉みしだきながら、男は言う。
彼女は喘ぎをどうにか抑えながら、
「あっあっあぁああっ! あ、あり、がとうございます……あぁあああっ!
私の、まんこに、精液を下さって……はぁああああんっ! ありがとうございますっ! んんぅううううっ!」
「はんっ! たく、人から言われてねぇと満足に礼もできないとはなっ!
ろくな躾もされてこなかったみてぇだなぁっ!?」
男は腰をローラさんのお尻に打ち付けていく。
「ああああっあっあぁあああっ! んぃいいいいいっ!!」
「まあいいっ! これからは俺がきっちり躾けてやるっ!
男を悦ばせる雌犬にきっちる躾けてやるからなぁ!」
腰の動きがどんどん早くなる。
そろそろ絶頂だろう。
「よし、まずは一発目だっ!
ありがたく味わえっ!!」
男が自分のイチモツをローラさんの奥深くへ叩き込んだ。
そのままがっちりと彼女の腰を固定して、膣へ精液を注ぎ込んでいく。
「あぁあああああああああっ! あ、あぁあああ、あぁあああああああっ!」
喘ぎながら、がくがくと身体を揺らすローラさん。
彼女もまた、今のでイってしまったのだろう。
「……ふぅ、まあ、まずまずってところか」
そう言いながらも、男の顔には満足そうな笑みを浮かべている。
あんな台詞を吐きつつ、実のところ相当気持ち良かったに相違ない。
ツンデレという奴か。
「あっ……ああっ……はぁああっ……あぁぁ……」
荒く息をつくローラさん。
しかし彼女が休みをとる間も無く、男は動き出した。
「さて、第2ラウンドといこうかっ!」
「ま、待って下さ……あぁぁあああああああっ!!」
ローラさんは男を静止しようとするが、その言葉は彼女自身の喘ぎ声でかき消された。
「へへへ、あんだけやってもまだまだ締めてくるな。
こりゃ長く楽しめそうだっ!」
「ああぁああっあっあああっああっ! あぁあああんっ!」
腰を動かしながら、男は部屋を見渡した。
「しっかし、女一人で寝るにゃ、ちと広いなここは。
……ああ、そういやお前、昔は旦那がいたんだったか。
へへ、そいつが生きてた頃は、ここでヤリまくってたわけだなっ!?」
「ああっんんっんっおぉおおおっ!」
男の言葉に、しかしローラさんは嬌声しか返せない。
彼はいらいらした様子で、
「人のっ! 質問にはっ! ちゃんと答えろっつっただろうが!?
ここで旦那とヤったんだろうっ!?
朝から晩まで人目も気にせず、ヤリまくってたんだろうっ!!?」
言って、ローラさんの乳首を思い切り摘まむ。
「はひぃいいいいっ!? は、はいっ! んぁああああっ! ヤりましたっ!
あっあっあっあっ! あの人とっ! おぉおおっおっおおおっおっ! ヤリまくってましたぁっ!」
ローラさんは何とか答える。
もう目の焦点が合っていない。
意識も朦朧としているはずだ。
「最初からそう言えっ! たく、世話がかかる女だっ!
……で、旦那と俺、比べてどっちがいい?
どっちがちんこの方が気持ちいい!?」
「あ、あぁあ、あああっ! そ、それは……んぉおお、おっおぉおおおっ!!」
応えたくないのか、口を渋るローラさん。
しかし男がそれを許すはずも無く。
「どっちがいいんだっ!? 言えっ!!」
再び乳首を摘ままれる。
あのガタイの男があれだけ力を入れて摘まめば、ローラさんには相当の激痛が走っているはずだ。
……彼女にとっては、その痛みも全て快楽に変わってしまうのかもしれないが。
「い、いぃぃいいいいいいっ!?
あ、ああ、あなた、ですっ……おおっおっおぉおっおおっ! あなたのちんぽの方が、気持ちいいですっ!」
「はんっ! 愛した旦那より今日初めて会った俺の方がいいってか!?
最低の女だなお前っ!!」
男はローラさんを責めるが、ニヤニヤ笑いながら言っても説得力は無い。
まあ、あんなことを言われれば大抵の男は気分良くなってしまうだろう。
「へへ、じゃあ、今までやった男の中で、俺が一番いいんだなっ!?
旦那よりいいんだもんなぁっ!?
俺の、ちんこが、一番なんだろうっ!!」
一言放つたびに、自らの肉棒を深く突き挿す男。
ローラさんは彼の動きに合わせて艶声を出しながら、
「おっおっおっおっ! 一、番はっ……おぉおおおおっ! ち、違い、ますっ! おぉおお、おっおぉおおおっ!
気持ち、いい、のはっ……あぁあああっ! 一番、気持ち、いいのはぁっ! はぁあああんっ!
クロダ、さんっ……クロダさんですっ! あぁああああああっ!!」
そう、答えた。
「―――は?」
自分の想像と異なる答えに、男の動きが止まる。
だがそれも一瞬のこと。
より一層激しく腰を動かしながら、彼はローラさんを問い詰めた。
「クロダ、だぁっ!?
そいつが俺よりもイイってのかっ!?
俺よりも、旦那よりも、クロダって奴のちんこが欲しいってのかっ!?」
「あっあぁあっあっあっあっ……激、し……あぁぁぁああああっ!?
んんぅうううっ! そう、ですっ……私、は……んぃいいいいっ!!
クロダさん、のがっ……クロダさんのが欲しいんですっ! あぅううううっ!」
その言葉に、男は動揺しだしたようだ。
ローラさんの乳首を捏ね繰りまわしながら、再度彼女に問いかける。
「そんなに、そいつがいいのかっ!?
そんなにそいつとヤリたいのかっ!!?」
「あぃいいいいいっ!!? は、いっ……んんぉおおおおっ!? だ、だって、クロダさんっ……あぁぁああああっ!
クロダさん、大きいしっ……あっあっあっあっ! クロダさん、優しいしぃっ! あぁぁああああっ!」
男は口調を荒げ、さらに詰問する。
「だったら……だったらなんでお前は俺なんかの誘いに乗った!
クロダが好きなんだろう!?
なんで俺なんかに股を開いたぁっ!!?」
「あっあっあっあっあっ!? クロダ、さんっ……んぁぁあああああっ! クロダ、さぁんっ……あぁああぁあぁああっ!」
しかし彼女は明瞭な答えを返さず。
ただ、私の名前を何度も繰り返す。
……これまでの男の責めで、もうまともな思考ができなくなっているのだろう。
「くそっ、都合よく気をやりやがって!!
……お前が、ちゃんと拒めば、俺だってこんな……!!」
男の動きが目に見えて鈍ってきた。
彼女の反応に気を悪くしたのか、それとも……
「…………おらっ! こっち向けアバズレがっ!」
男はしばし思い詰めてから、ローラさんを無理やり振り返らせる。
「あっあっああっ…………んぐぅっ!?」
そして膣から男性器を抜き、今度はそれをローラさんの口に突き入れた。
「また俺の精液をくれてやるからなっ!!
しっかりと飲み込めっ!!」
「んぉおっんぐっんんんっんぶぅっごぼっ!?」
宣言の通り、ローラさんの口内へ大量の精液を流しいれる。
「……んんんっ! んっんっんっ! んむぅうっ!……ごほっごほっごほっ」
盛大にせき込むローラさん。
息を詰まらせながらも、彼女は精液を全て飲み込んだようだ。
「…………ふんっ」
男はそれを見てからつまらなそうに鼻を鳴らすと、ローラさんをベッドに投げ捨て、
「お前みたいな股ゆる女、二度と抱くかっ!!」
そう言って、部屋を後にした。
………っと、まずい、ここに居ては店から出る男と鉢合わせてしまう。
私は急いで通りの方へと取って返す。
少しの後。
店の裏手から、服を着た例の男が出てきた。
私はそれを適当にやり過ごし――
「…………なぁ、兄ちゃん」
「はい?」
――やり過ごそうとしたのだが、向こうから声をかけられてしまった。
――な、なんだろう?
まさかさっきまでの覗きがバレていたとか…!?
慌てる私をよそに、男は言葉を続ける。
「人違いだったらすまないんだが……ひょっとしてあんた、クロダさんかい?」
「あ、はい、そうですが…」
焦っていた私は、馬鹿正直に返事してしまった。
男は私の返答に少し顔をしかめた後に、
「……今、店の奥でローラさんがあんたを待っているんだ。
行ってやっちゃあ、くれないか」
そんな言葉を告げてきた。
「? は、はい、わかりました」
発現の意図を読み取れず、ほぼ反射的に肯定を返してしまう私。
「ああ、それを伝えたかっただけなんだ……じゃあな」
私の対応に満足したのか、男は歩き去って行く。
「……悪かったな、兄ちゃん」
人ごみに消える前、男は一度振り返り、そんな言葉を投げかけてきた。
その顔には、深い悔恨が刻まれていて――
………なんだろう。
おそらくだが、あの人はもう二度とローラさんの前に姿を現さない気がする。
あの男――私などより余程まともな人間であったか。
「あわわわわわ、く、クロダさんっ!?」
部屋に入ると、先程の行為を隠すためか、ローラさんは寝室整理の真っ最中だった。
服も急いで着たようで、いつもの黒ドレスはよく見ればところどころ着崩れしている。
なので、ところどころ肌を覗かせていたりして、実に色っぽい格好になっている。
「こんにちは、ローラさん。
お約束通り、お邪魔させて頂きました」
「すみません、みっともないところを見せて……
一声かけて下されば良かったのに」
「それは申し訳ありませんでした」
一応、挨拶はしたのだけれども。
ローラさんがそれどころでは無かったようだ。
「あの、今、お茶の用意しますね。
リビングの方で待っていて下さい」
「分かりました」
そう返事をして、私はローラさんの胸を触った。
「へ?」
いきなりの行動に、彼女は凍り付いてしまった。
そんなことにはお構いなく、私はローラさんの胸を揉む。
……やはりこの感触、私が考えていた通り、
「――下着、つけていませんね?」
「あぅっ……な、ちょっと、クロダさん?」
なおもローラさんのおっぱいを堪能する。
うむ、この柔らかさと手に返ってくる反発感、いいね。
「あ、ん、んんんっ……あの、あのですね、クロダさん」
私に声はかけてくるが、胸を揉むこと自体は一切拒まない。
これがローラさんのいいところだ。
そんな風におっぱいを楽しんでいた私に、ローラさんが改めて問いを投げかけてくる。
「……クロダさん、さっきの、見てました、か?」
―――むむ?
「気づいていたのですか?」
「いえ、そういうわけじゃないんです。
そういうわけじゃないんですけど……なんとなく、クロダさんは近くに居たんじゃないかなって……
……やっぱり、見てたんですね」
うーむ、だとすれば、お楽しみのところに水を差してしまったかもしれない。
「気を悪くさせてしまいましたかね――むおっ!?」
私が言い終わるよりも先に、ローラさんが抱きついてきた。
彼女の顔が、私の胸に押し付けられる。
こ、これはどうしたことだろうか。
「……ご、ごめっ……ごめん、なさい……私、あんな、あんなはしたないこと……!」
「……ローラさん?」
彼女は、泣いていた。
泣いて、私に謝罪してきたのだ。
――彼女が謝ることなど、何一つ無いというのに。
「……あんな、こと、しちゃ駄目だって分かってるのに……
いつも、止めようって思ってるのに……
なのに、私、は……」
「……ローラさん」
私から、ローラさんの顔は見えない。
<屈折視>……バカバカしい。
ただ、それでも、彼女が悲しんでいることは痛い程伝わってきた。
「……こんなこと、私に言う資格無いですけど……無いことは知ってるんですけどっ……」
そこで一旦途切れる。
少しして、苦しそうな口調でローラさんは続けた。
「クロダさん……私を嫌いになってもいいですから……私の前から、いなくならないで下さい。
……私、いくらでもクロダさんの都合のいい女になりますから、だから――」
「――ローラさん!」
言葉を遮る。
ローラさんの顔を無理やり上げ、彼女の目を――涙に潤んだ彼女の目を見つめながら、告げる。
「あれは、別にローラさんが悪いわけでは無いでしょう」
強いて言うなら、ローラさんをそんな身体にした人が悪い。
いや、その人ですら今となっては――
「……でも、でも、私……」
「ローラさん、前にも言ったはずですよね。
私はそんなことを気にしません。
幾ら貴女が他の男に抱かれようと、貴女を嫌いになることなんてありえないです」
今更な話ですらある。
これまでに何度、彼女が他の男に喘がされているところを見てきたことか。
……というか、むしろそういうプレイもまた興奮する。
「私が貴女の前からいなくなるとしたら、それは貴女がそれを望んだ時だけですよ」
「――そ、そんなこと!
そんなことこそ、絶対に無いですっ!
私がクロダさんを嫌いになるなんて――」
……そうだろうか。
割かし、愛想尽かされそうな気もするのだが。
ともあれ……
「なら、私はいなくなったりしませんよ。
大丈夫です」
「……クロダさん」
ローラさんは、少々ぎこちないものの、笑顔を浮かべる。
そして、
「……だったら、これからは、あの……クロダさんが好きなように私を抱いて下さい」
そんなお願いをされた。
「構いませんが……そんなことしたら、ローラさん、壊れてしまうかもしれませよ」
「……いいです」
冗談半分で言った台詞に、ローラさんは頷いた。
「……私、クロダさんに壊されるのなら、それでいいです」
ローラさんの言葉に、私は返事をしなかった。
その代わりに、彼女をベッドに押し倒す。
そして――彼女の望むままに、彼女の身体を味わい尽くしたのだった。
その日、ローラさんの店の前を通りかかった人は、途絶えることのない女性の叫び声を聞いたことだろう。
第9話 完――後日談へ