これからの準備のため、陽葵さんとリアさんが部屋を去った後。
残った人物は、神妙な顔をして互いに見合わせた。
そんな中、私が一番に口を開く。
「……大丈夫なんですかね、陽葵さん」
「大丈夫なわけが無いだろう、十中八九死ぬよ、彼は。
そう説明しただろう」
ミサキさんが冷酷にそう断言する。
それを聞いて、私は心臓が締め付けられた。
……分かっていたことだが、再度確認すると、かなり辛い。
「ケセドのところに辿りつく前に心が折れるかもしれない。
辿り着けたとしても碌な目に合わないだろう。
何せ、“自分の息子”に『あんな物』を渡す奴だ」
『あんな物』――ミサキさんが言っているのは、“魔物を発情させる”とかいうふざけた効果の呪符だろう。
「そう思うのであれば、何故渡したのですか」
「そういう『契約』だ。
ケセドの施した『契約』は、私でも逆らえない」
『契約』を司る青龍ケセド。
かの龍が結んだ契約は、絶対順守を強制されるという。
ミサキさんであっても――最強の勇者であっても、そこからは逃れられない。
「そしてケセドの力を手に入れたとしても、勇者がいる。
我々が勇者に負ければ、そこで御仕舞。
傀儡人形となる未来が彼を待っている。
まあ、負けるつもりなぞ欠片も無いが」
ミサキさんはそこで少し間を置いた。
「順当に我々が勝ったとしても。
今度は“私の目的”のために使い潰されることになる」
「…………」
「…………」
「…………」
ミサキさん以外の3人が押し黙った。
そうなのだ。
陽葵さんがどれだけ頑張って、どれ程順調に事が運んだとしても。
彼には、破滅の未来しかない。
――以前、アンナさんが陽葵さんに『詰んでいる』と言ったのは、この事だ。
「はっきり言ってやるが――彼にとっては、バール・レンシュタットのもとで短い期間とはいえ蜜月を過ごすことが最も幸せな結末だったろう。
少なくとも、これから彼の身に降り注ぐであろう苦難を思えば、遥かにマシな最期だ」
……だから、なのだろうか。
ミサキさんが、バール・レンシュタットの行動を見過ごしていたのは。
「……キョウヤ殿、今一度確認したいじゃがの」
今度はジェラルドさんが話し出した。
「貴方の目的は“魔王様をお救いすること”――それで相違ないんじゃな?」
「ああ、そうだ。
魔王といっても『巫女』の方だがな。
――そういう『約束』をした。
最後まで面倒をみてやるとも」
「……であるならば。
儂ら魔族は貴方に力添えしましょう」
……これもまた、陽葵さんを取り巻く悲運の一つ。
ミサキさんの目的は、自分を召喚した『巫女』を救うことなのだ。
ジェラルドさんにはそれをこの『説明会』の前に話してある。
そしてその目的にジェラルドさんが同調を示した以上――魔族ですら、陽葵さんの完全な味方ではなくなった。
彼を助けようと考えている者が、どこにもいないのである。
「――まあ、悲観するのはまだ早い。
私は別に、室坂陽葵を殺そうとしているわけでは無いからな。
彼が生き残ってくれる分には、それはそれで構わない」
「青龍ケセドのもとに辿り着き、勇者の魔の手から逃れ――“魔王を救うため六龍全ての力を行使”して。
それで陽葵さんが、彼の人格が生き残れる可能性はいか程でしょう?」
「0では無い。
0で無い以上、諦める必要は無い」
私の問いに、ミサキさんは何のこともないように答えた。
流石は世界を一度救った勇者である。
ミサキさんが陽葵さんのレベルアップを推し進めようとしているのは、それを見越した部分もあるのだろう。
「――<勇者>なんて職業になってなければ、もう少しは可能性が高かったんだがな」
「ぬぐっ!?」
そしてミサキさんの追撃に、私は呻きを漏らした。
確かに、陽葵さんを“短期間で”強化させることを考える場合、<勇者>という外れ職業に就いてしまったことはマイナスでしかない。
――ジェラルドさんに無理を言って、ランクの条件を無視して転職させてやればいい、とお思いの方もいるかもしれないが。
実は転職の際、かなり大きい負荷を身体と精神双方にかけることになるのだ。
その負荷に耐えられるまでレベルを上げていれば、大体ギルドで定めた冒険者ランクに到達している、という寸法である。
なのでギルド長に許可を得たとしても、結局はそのランク相当になるまで陽葵さんは強くならねばならない、というわけだ。
「そ、それを言ったら、何故ミサキさんはこんな職業作ったんですか!?」
「<勇者>なんて職を選ぶ“かっこつけ”を叩きのめしてやろうと思って設定したんだがな。
まさか室坂陽葵がその“かっこつけ”だったとは思いもしなかった」
悪びれもせず、ミサキさん。
根本的に、陽葵さんが<勇者>を選ぶことを止められなかった私が悪いのは間違いないのだが、何かこう、釈然としない。
「結局のところ、後はヒナタちゃん次第にゃ。
あちしらもできるだけバックアップするけど。
ギルド長も、ヒナタちゃんが生きていた方が嬉しいにゃ?」
「無論じゃ!
順位をつけるなら、確かに儂はヒナタ様よりも魔王様を上にしてしまうが――
決して、ヒナタ様を蔑ろにしたいわけではないわい!」
「私達は私達でやれるだけのことをやる。
上手くいったら全員で宴会でも開いてやればいい。
それだけのことだ」
「……前向きですね、皆さん」
そのポジティブさは見習いたいところだ。
私も心機一転、仕事に取り組まねばなるまい。
そんな私へ、ミサキさんが声をかけてくる。
「取り急ぎ、誠一、お前には任務がある」
「はい、なんでしょうか」
勇者の動向に関することだろうか?
前に、エゼルミア以外の勇者もそう遠くなくウィンガストに来ると言っていたが……
しかしそんな私の予想を裏切り、
「室坂陽葵の脱出装置係だ」
ミサキさんはそう言って、私に蒼い宝石――陽葵さんが渡された物とほぼ同じ――を渡してきた。
……ん?
状況が理解できないぞ。
「脱出装置係ってなんですか?」
「実は室坂陽葵に渡したアイテムに、緊急脱出機能なんて無い。
だからお前が代わりにやるんだ」
……何をもってして、『だから』なのだろうか?
「分からないのか?
室坂陽葵の後をついていき、いざ彼が倒れた際にはお前が彼を脱出させるんだ。
今渡した宝石は先程の宝石を私が複製した一品でな。
アレとほぼ同じ機能がついている」
「……あの、陽葵さんは一人で青龍のもとへ行かねばならないのでは?」
「本音と建て前というものを理解しろ。
万に一つ、室坂陽葵が死んでしまったら元も子もないだろう。
第一、魔物についてはあの胸糞悪い呪符があるからいいとして、罠の方はどうするんだ」
えー、纏めますと。
「私は陽葵さんに気付かれないよう後をついていき、魔物との戦いで彼が気を失ったら救助する。
また、致命的な罠にかかりそうになった際にも彼を助ける。
――と、こういうことなんでしょうか」
「正しくその通りだ。
勿論、勇者が来たらそっちの対応もして貰うが。
頑張れよ」
いや頑張れよって。
到底無理そうな感じなんですけど!?
「大丈夫だ、お前ならできる。
――それとも何か?
私の言うことを拒否するとでも?」
「ミサキさんの命令を私が拒むわけないでしょう。
まあ、全力で取り組んでみますが――そこまでの期待はしないで下さいよ」
「うむ、お前ならそう言ってくれると信じていた」
満面の笑みを浮かべるミサキさん。
信じてくれるのは嬉しいが、ちょっと難易度が尋常じゃない気がする。
陽葵さんが探索に向かうまでの間に、入念な計画を練っておく必要があるだろう。
私が頭の中で今後のプランを考えているところへ、ジェラルドさんが話しかけてくる。
「大変じゃのぅ。
――と、そういえばクロダよ。
お主、ランクは今のままでいいのかの?
今までは身分を隠すためにEランクにしていたのじゃろうが、もうそんな必要はあるまい。
ギルドの体裁も悪いし、さっさと高ランクに登録させて貰えるとありがたいんじゃが」
「ああ、それは無理です。
私、『冒険者』じゃありませんから」
「何?」
ここで言う『冒険者ではない』とは、広義的な意味のそれではなく、もっと狭義の、ウィンガストで運用されている『冒険者システム』に登録された人間ではない、ということだ。
「私はミサキさんによって『冒険者』と“同等の”能力を持っただけで、厳密に『冒険者』になったわけでは無いんですよ。
ここでの活動を円滑にするためギルドへ『登録』しましたが、それもアンナさんに色々“手配”して頂いたおかげというか。
ですので、再登録が必要なランクアップの手続きなどは行えません」
「――おい。
公的証書偽装じゃろ、それ」
「まあまあ。
こうして事情も説明したわけですし、見逃して下さいよ」
「ぬぬぅ……」
やや納得しかねるようだったが、ジェラルドさんはそれ以上追及してこなかった。
……その後、話す内容も無くなってきたため、私達は解散する流れとなった。
3人が去り、誰も居なくなった部屋で、私は独り呟く。
「――ところで、私はいつまで吊られているのでしょう?」
それに対する返答は、どこからも聞こえてこなかった。
第十四話 完
後日談。
どころかその日の夜。
話し合いは夕方まで行っていたので、下手したら数時間も経っていないというのに後日談とはこれ如何に。
どうにか足を縛っていた縄を自力で解いた私は自宅に帰り、明日から行われる陽葵さん尾行計画についてあれこれ考えを巡らせていた。
その時、玄関の扉をノックする音が聞こえた。
私は玄関へ向かい、ドアを開ける。
「どちら様ですか――おや、陽葵さん」
「おっす。
黒田、少しいいかな」
ドアの前には陽葵さんが立っていた。
「どうしました、こんな夜分に。
……ああ、とにかく中に入ってください。
立ち話もなんですから」
「うん、ありがと」
私は陽葵さんをリビングに通した。
彼に椅子を勧めると、適当に茶を用意する。
「それで、お話とは?」
自分も席について、陽葵さんに話を切り出した。
「いや、大したことないんだ。
ほら、明日からはもう、黒田とパーティー組めないわけだろ?
ひょっとしたらしばらく会えなくなるかもしれないし、挨拶しておこうかなって」
「……そうでしたか」
陽葵さんは私との別れを惜しんでくれているようだ。
これは実に嬉しい。
世話係冥利に尽きるというものだ。
……実のところ、これからも一緒に探索を進める(陽葵さんには気づかれないように)わけなのだが。
「黒田には色々よくして貰ったからな。
迷宮探索のイロハ教えてくれたり、装備を揃えてくれたり、オレの特性についても調べてくれたり」
「教育係として当然ですよ。
いや、装備品については結構な出費でしたけれども」
それと最後のは私ではなくアンナさんのおかげである。
「……それに、先生――バールから、助けてくれたり」
「それは――」
余り、感謝されたくはない。
私がもっとしっかり行動していれば、陽葵さんが辛い思いをしなくとも済んだのだから。
言い淀む私に、陽葵さんは明るい笑顔で、
「あの時の黒田、かっこ良かったよな!
あれ、どうやんの?
オレにもできたりする?」
「あの技はミサキさんに叩き込まれたものでして。
高熟練度の<射出>を必要とする技能ですから、<勇者>である陽葵さんが覚えるのはちょっと難しいですね」
<戦士>系の職業である陽葵さんは、態々<射出>を覚えずとも、もっとてっとり早く強くなる方法もあるだろう。
職業のことを言い出すと、なるべく早く<盗賊>か<僧侶>に転職した方がいいだろうとも思うが。
私の言葉に陽葵さんは落ち込む風もなく、話を続ける。
「そっかー。
そういや、クロダっていつ頃キョウヤに出会ったんだ?
魔王との戦いの後って言ってたけど」
「今から2年と少し前ですね。
私がウィンガストに来る一年前にお会いしましたから」
「……じゃあ、黒田ってキョウヤと会ってから一年でそんだけ強くなったってことか!?」
「まあ、そうなります」
自分の場合、少々条件が特殊なので、他の人に当てはめられるかは分からないが。
ミサキさんが、私の特性である『社畜』を十二分に生かした訓練を施してくれたことが大きい。
一度
射式格闘術は<射出>を絶妙な出力で調整しなければならない高難易度技術であるそうだが、『型』――つまりは
それでもなんやかんやで1年を要してしまったあたり、私の凡才っぷりが伺える。
「じゃあ、オレも強くなれるかな。
龍の力に耐えられる位に」
「ええ、大丈夫です。
陽葵さんならできますよ、きっと」
「おう、やってやるぜ!」
何の根拠もない鼓舞であるが、陽葵さんは喜んでくれた。
無責任な発言かもしれないが、彼を落ち込ませるよりずっといいだろう。
――しばしの時間談笑した後。
「……ところでさ、黒田」
「なんです?」
陽葵さんが話題を切り替えてきた。
気のせいか、少し目が泳いでいるように見える。
「せんせ――バールにさ、言われたんだよ。
オレ、男から見て……なんだ、結構魅力的なんだって?」
恥ずかし気にそういう陽葵さん。
私は力強く頷く。
「ええ、そうですよ。
陽葵さんは、凄く魅力的な容姿をしています」
きめ細かなショートカットのブロンズヘア、ぱっちりとした碧い瞳、潤んだ唇――顔だけ見ても、これ以上なく美しく整っている。
身体はどうかと言えば、こちらも最高峰。
染み一つない綺麗な肌、女性のような柔らかさの中に男のように力強い弾力まである肢体、お尻や太ももの曲線の描き方も神懸っている。
この美貌をして、彼を男性とみなせる人がいたならば、それはもうその人の目が腐っているとすら言えるだろう。
そんな至高の肢体を、今の陽葵さんは少しサイズが大きめのTシャツとショートパンツで包んでいた。
私の反応を受けて陽葵さんは、
「……じゃあ、こんなことしても、気味悪かったりしない、かな」
私に抱き着いてきた。
私の上半身に、陽葵さんの感触が押し付けられる。
「……ええ、気味悪がったりなどしませんとも。
最高の気分です」
「そ、そっか――そこまで言うのはちょっとどうなんだと思うけど」
若干引き気味になる陽葵さんだが、腕を離すことは無く。
逆に、私の胸に顔を埋めてくる。
「へへ、改めて触ると凄いな、お前の身体。
服の上からでも筋肉ついてるの分かるぞ」
「そうですかね。
前にも言った気がしますが、これ位普通でしょう」
「普通じゃねぇよ。
こんな肉体……」
言ってから、陽葵さんは顔を上げ、私の顔へと近づいてくる。
私はそれから逃げることなどせず――
「――ん、ちゅっ」
私達は口づけした。
陽葵さんの唇は見た目通りに柔らかく、そのプルプルとして触感が私の官能を刺激する。
「……んっ……んんっ?」
私は彼の口の中に舌を滑り込ませた。
そして、口内を蹂躙していく。
「んちゅっ……んむうっ……んんっ……ふむぅっ……んぁっ……れろっ……あぅっ……」
ぴちゃぴちゃと音を立てながら、私と陽葵さんは舌を絡ませ合った。
彼は最初こそ戸惑っていたようだが、すぐにノリノリで私に付き合っている。
「……はぅっ……んんんっ……んむっ……んーっ……んぁああっ!?」
キスをしながら陽葵さんの尻を撫で上げると、その途端に彼は嬌声を上げた。
陽葵さんは感度も抜群だ。
尻を触っただけでこんな反応をするなど、男でも女でもそういないだろう。
私は彼の尻を揉み続ける。
非常に柔軟な筋肉とでも表現したら良いか――陽葵さんの尻肉は、そんな独特の感触で私を楽しませる。
「あっ……あんっ……んぅうっ……はぅ、うぅっ……」
悶える彼を見ながら、私は彼のショートパンツを脱がそうとする。
……が、そんな私の手を陽葵さんが抑えた。
「……ま、待った、黒田」
「駄目ですか?」
「そ、そうじゃなくて……あの、その、べ、ベッドで、しようよ」
その発言に、私はにっこりと笑い。
「分かりました」
そう答えると、陽葵さんを抱え、寝室へと運ぶのだった。
そして、寝室。
「へへ、これが黒田のベッドか」
陽葵さんは私のベッドの上にのり、軽く飛び跳ねてその感触を楽しんでいるようだ。
彼は今ショートパンツを脱ぎ去り、ボクサーパンツとTシャツという格好になっている。
お尻の形が今まで以上にくっきり分かるその姿は、私の股間を興奮させて止まない。
「……な、なぁ。
早く、やろうぜ」
私を誘う陽葵さん。
ただ、その視線は私から外している。
まだ恥ずかしいのだろう。
「そうですね、始めましょう」
陽葵さんの言葉を受けて、私は彼を仰向けに押し倒した。
「うあ……んんっ!」
Tシャツを捲りあげ、陽葵さんの胸を露わにさせる。
膨らみこそないものの、その乳首は綺麗な桜色をしており、男を欲情させるに十分な魅力を持っていた。
そんな陽葵さんの乳首へ、私はむしゃぶりつく。
「あっ…あぅっ…はぅうっ…あっ…ああっ…あっ…」
胸の快感に、喘ぎだす陽葵さん。
私は手でもう片方の乳首をコリコリと弄ってやった。
「あ、ううぅっ…あぅっあっあっ…あんっあんっああぅっ…」
身を軽くもじりながら、悶える陽葵さん。
下の方を見やると、彼の股間は小さく盛り上がっていた。
与えられた刺激で勃起しだしたのだろう。
空いている手で、陽葵さんの男性器を擦ってやる。
「あっあっあっあっ…あぅうっあぅっあんんっ……はぅうう……」
やや小さめながらも、彼の“オトコ”は固く反り返っていた。
私の責めに、気持ちよくなって貰えているようだ。
股間を撫でるのを止め、その手で陽葵さんのボクサーパンツをずり下げていく。
下着の束縛から解放された彼のペニスがピンと跳ねた。
露出した陽葵さんの下半身。
そこに雄のシンボルがあるに関わらず、それでも彼の股間は、太ももは、足先は、麗しい美しさを誇っていた。
前にコナーさんが陽葵さんのイチモツを口に飲み込んでいたが、私でも彼のソレならばそう抵抗なくできそうな気すらしてくる。
手を陽葵さんのお尻の方へ潜り込ませ――指で彼の菊門を突いてやった。
「んっあっ…あっあっうあっ…お、おぉおっおっ…おっおっおおっおっ!」
陽葵さんの反応が変わる。
やはり彼にとって、一番の性感帯はココらしい。
「おっおおおっお、おっ…んぉおっあぅうっおっおおぅっ…おぅっおっおっおおっ!」
丁寧に肛門をなぞり、擦り、弄ってやる。
すると、だんだんと穴の入り口がほぐれていった。
……頃合いを見計らうと、指を一本、中へと突っ込む。
「おおっ! おおぅっおっおおおっ! おぉおおっ!」
嬌声が大きくなった。
陽葵さんの棒の先端部からは、先走り汁が垂れだしている。
私は乳首の弄りを継続しつつ、尻穴の中も搔き乱してやった。
「おぅうっ! おっおおっおっおっ! んぁ、ああぅっ! あうっあうっあうっあうっ!」
びくびくと、陽葵さんの身体が揺れる。
……そろそろ、絶頂間近か?
そう考えた私は、穴へ挿れる指を一本追加し、二本の指でさらに激しく責め立てた。
「お、おおぉおっ!? おぅっ! おっおっおっおっ!
んぉおおっ! お、おぉぉおおおおおおっ!!!」
陽葵さんは弓のように身体を反らせた。
同時に、彼の股間から白い液体が噴き出る。
……イったようだ。
「気持ち良かったですか、陽葵さん?」
「お、おぉ、お……あ、あ……ん、う、う……あ、ああ、気持ち、良かったぁ……」
息を乱しつつも、私の問いに答える陽葵さん。
うっとりとしたその表情は、男とはとても思えないほどに淫猥だった。
「それは良かった。
今度は、私も気持ちよくさせて下さいね」
そう言ってから、私は陽葵さんの両足を手で持ち上げ、そのまま頭の方に持って行く。
ちょうど、まんぐり返しの姿勢だ。
私の眼下には、陽葵さんの可愛らしい男根と、イったばかりでまだひくついている淫らな穴があった。
ギンギンに勃起したイチモツを取り出すと、陽葵さんの後ろの穴へと狙いを定める。
そして両手で陽葵さんの身体を掴み、ゆっくりと彼の尻に向かって腰を突き出した。
「おっ! おっおっおっおっ! おぉおおっ!!」
ずぶずぶと陽葵さんの中へ沈んでいく私の肉棒。
熱い感触が、私の股間を包んでいく。
「…おっ…おっ…おっ!……おおっ!」
……少しして、私の愚息は完全に陽葵さんへ収まった。
陽葵さんの直腸は、女性器なのかと勘違いを起こしてしまうほどに、挿入された棒を締め付けてくる。
いや、膣だとしても、ここまで『男』を気持ち良く絞りあげることなど早々無いだろう。
私はさらに快楽を得るべく、腰を前後に振り出す。
「おっ! おおっ! おっ! おっ! おっ! おおおっ!!」
そんな動きに合わせて、陽葵さんから喘ぎが漏れ出る。
この声もまた、雄の劣情を掻き立てる、卑猥な響きであった。
「おぅうっ! おぅっおぅっおおっ! おおぉおっ! んぉ、おおっおおぅっ!!」
腰の動きを保ちながら、私は陽葵さんに覆いかぶさった。
私の目前に、陽葵さんの顔が――いかがわしく歪んだ顔が近づく。
「――あ」
喘ぎ続ける陽葵さんと、目が合った。
一瞬、彼の嬌声が止まる。
「――あ、や、やだっ……あぅう、おっおっおおっ!
待って、黒田っ! あっああっあぅっ!
この姿勢、やだっ! だ、ダメ、これっ!!」
何故か急に拒み始める陽葵さん。
私は彼の顔をぺろぺろと舐めながら、尋ねる。
「おや、この体勢はお嫌いでしたか?」
「あぅううっ……ち、違うっ!
嫌いじゃないっ! 嫌いじゃないけどっ!
あっあっあっ! おぉおおっ! おおっおっおおっ!
近いからっ! お前の顔が近いからっ!!」
陽葵さんの言うことは要領を得ない。
彼の唇に一度吸い付いてから、再度質問した。
「顔が近い?
近いと、どうなるのですか?」
「こんなっ気持ち、いいときにっ! あぉっあっあっああっ!
お前の顔が、近くあったらっ! 近くで見ちゃったらっ!
んぉおっおっおおっおおおっ!!
オレ、好きになっちゃうっ!
お前のこと、好きになっちゃうぅっ!!」
おやおや。
何を言いたいのかと思えば、そういうことだったのか。
「いいじゃないですか。
私のことを好きになっても」
私は腰の動きをさらに激しくした。
「あっああっあっあああっ!
――え、えっ!?
いいのかよっ! おおっおおっおおおおっ!
好きになるぞっ! オレ、男なのにっ!
あぅうっあっあっあっ!
お前のこと、好きになっちゃうんだぞっ!」
「いいですよ、思う存分好きになって下さい」
会話の最中、陽葵さんが私を締め上げる力が強くなっていく。
どんどん昂っていっているようだ。
「い、言ったなっ! あうっあうっあぅうっ!
好きになるぞっ! オレ、お前のこと好きになるからなっ!
責任とれよっ! おお、おおぉおっ! おぉおおおおっ!」
「ええ、いいんですよ。
陽葵さんは、私を好きになっていいんです」
念を押すように、私は繰り返した。
「あ、ああ、あぁあっ! く、黒田っ!
好き、好き好き好きっ! 好きぃっ!
おっおっおおっおおおっ!
黒田、好き、好き、好きだからぁっ!」
腰の動きにスパートをかける。
そろそろ、私も絶頂が近い。
「好き、好き、好きぃっ!!
黒田、黒田黒田クロダくろだぁっ!!
おおぉおおっ! おぉぉおおおおおおっ!
好き好き好きっ! 好き好きすきすきぃいいいいいいっ!!」
陽葵さんの性器から、透明な潮が噴出した。
同じくして、私もまた彼の中へと精液を注ぎ込む。
「おっ……おっ……おっ……おおっ……
くろだ……好きぃ……おっ……おっ……すきぃ……」
絶頂の余韻でびくびくと痙攣しながらも、私への好意を口にする陽葵さん。
その想いに応えるべく、私はピストン運動を再開するのだった。
――行為の後。
幾度もイキ、射精し、乱れ続けた陽葵さんは今、私の腕の中で息を整えていた。
……実のところもう少しヤリたいのだが、彼には明日からの厳しい迷宮探索が待っている。
ほどほどにしておいた方がいいだろう。
「……お、おい、黒田」
私の胸に頭を預けながら、陽葵さんが話しかけてくる。
「さっきの、好きってやつだけどな。
か、勘違いするなよっ」
「――勘違いですか?」
陽葵さんは、私にすりすりと顔を擦りつけながら、言葉を続ける。
「す、好きっていうのは、お前に対してじゃなくて……
その、お前の“ちんこ”のことなんだからなっ」
「…………私の、ちんこを?」
「あ、当たり前だろ!
オレ、男なんだぞっ!?
同じ男のお前を、好きになんかなるわけないだろがっ!!」
……男性器を好きになるのはいいのだろうか。
そっちの方が余程重症のような気がするのだが。
「ま、まあ、私はそれで構いませんが」
「おう、そういうことなんだ。
……あと、話変わっちゃうんだけど」
私の身体に手を回して、抱きしめてくる陽葵さん。
「これからも、黒田に会いに来ていいかな…?」
少し不安そうに、彼は尋ねてきた。
どこに心配になる要素があると言うのか。
「全く問題ありません。
……陽葵さんは、私のイチモツが、大好きなんですものね」
「……そ、そうか……良かった。
いや、お前の、ちんこのためなんだけど」
顔を赤くして照れる陽葵さん。
私はそんな彼を抱きしめ返すと、
「……陽葵さん」
耳元で、囁く。
「頑張って下さい、明日から」
「……うん、頑張る」
そう答えると、陽葵さんは私にキスをしてきた。
――幸せそうに、私の腕を枕にして眠る陽葵さんを見て、思う。
彼は、生き残ることができるのだろうか。
私は、この子のために何ができるのだろうか。
後日談 完