①! いつものように黒の焔亭※
夜。
一仕事終えた私は、毎度のごとく黒の焔亭で食事をしていた。
今のところ陽葵さんの迷宮攻略は順調そのもの。
もう少しで黄色区域に到達できる見込みだ。
私も安心して尾行ができるというものだ。
――そろそろリアさんだけでは陽葵さんのカバーを仕切れなくなる強さの魔物が出始める階層になるので、ここからが正念場と言える。
「ひっ……あっ!……あっ……あぅっ!」
美味しい定食を食べている私の耳に、リアさんの声が聞こえてきた。
「あっ……ん、んんっ……あ、うっ!」
彼女もまたいつもの通り、ウェイトレスの仕事をしている。
――いつもの通り、乳首がギリギリ隠れる程度に胸元が開き、少し動けば下着が見える程スカートの短い、煽情的なウェイトレス制服を着ながら。
ちょうど今は、ある男性客から注文を受けている最中であり――その客からスカートに手を突っ込まれ、股を弄られている最中でもある。
男の注文を聞き逃さないよう、彼女は健気に股間への愛撫に耐えている。
「うぅ……んあっ……あっ!……あぁっ!」
――いや、あれは注文をちゃんと取れているのか?
喘ぎ声はどうにか抑えようとしているようだが、ほのかに赤くなった顔は快楽に蕩けかけている。
時折、セミショートの茶色髪を振り乱しながら快感に身を捩る様は、実に妖艶。
とてもではないが、客が話している内容が聞こえているようには見えなかった。
「あ、あぁっ!……くぅぅ……んぁっ!……あぁぁ」
もっとも、男の方もそれは承知しているように見える。
注文よりも、リアさんを責めることの方を優先しているようだ。
彼女が淫らに悶える様子を、いやらしい顔で見つめていた。
この光景もだんだんと見慣れたモノになっている。
彼女が肉便器であることは、この店の常連達には既に公然の秘密となったのだ。
なので、客達は気軽にリアさんへ手を出していた。
「ん、んんん……あ、うぅぅ――――そ、それで、全部、ね?」
声を乱しながらも、客の注文に返事をするリアさん。
とりあえず注文は完了したようだ。
ふらつく足取りで厨房へ伝えにいこうとしたところで、
「リアちゃーん! ちょっとこっち来てー!」
別の客が彼女を呼んだ。
「はいはい、何の用?」
あんなことをされた直後だというのに、リアさんはすぐ客の方へ向かった。
彼女を呼んだ男性客は、床を指さしながら話しかける。
「いや、ビールを床にこぼしちゃってね。
これ、片付けてくんない?」
「……何してくれてんのよ。
ちょっと待ってなさい、今拭くから」
だが、布巾を取りに行こうとするリアさんの腕を客の男が掴む。
「ダメだよ、リアちゃん」
「は? 何がダメだってのよ」
「布巾なんて使わずにさ、舌で舐めとればいいだろう?」
「!? あ、あんた何言って――」
流石にその言葉に面食らったのか、リアさんは抗議した。
男の手を振りほどこうとするが、
「んんぅっ!? あ、あぁぁあっ!」
その前に、客の手が無造作に彼女の胸元へ伸び、乳首を捻りあげた。
「あっ! やっ! 痛っ!!
乳首、ちぎれるっ!! あぁあああっ!!」
綺麗なピンク色の乳首を爪が食い込む程の力で抓まれ、リアさんが悲鳴を上げる。
いや、正確には悲鳴を上げたつもりだったのだろう、彼女は。
しかしその声色は艶を帯び、顔は気持ち良さそうな緩い笑みを浮かべていた。
とても、“痛がっている”ようには見えない。
男性客は乳首を引っ張って彼女を自分の近くに寄せると、耳元でがなり立てる。
「おい、肉便器風情が人間様に反論しようとすんじゃねぇよ!
俺が舐めろっつったんだから、便器はただ床を舐めりゃいいんだっ!!」
「あ、あ、あっ!―――う、うぅぅ」
その言葉にリアさんは涙目になりながら頷く。
反応に満足した男が乳首を離すと、彼女はゆっくりと四つん這いになり、自分の舌で床にこぼれた液体を舐めだした。
「ははっ! やっぱ肉便器は人間とは違うんだな!
普通、どんだけ金積まれたってやれねぇぜ、こんなこと!
プライドってもんがねぇよっ!」
自ら命じたというのに、客の男はリアさんの無様な姿を見てせせら笑った。
他のテーブルに居る客も、床に舌を這わせる彼女をにやにやとした笑みを浮かべて鑑賞している。
「……んっ……んんっ……ぺろ……れろ……んっ……」
そんな視線に耐えながら、リアさんは床を舐め続けた。
なお、ただでさえ丈の短い彼女のスカートは四つん這いになることで完全に捲り上がっている。
つまるところ、白いショーツに覆われたお尻丸出し。
リアさんの程よく肉のついたプリプリの尻が衆目に曝されていた。
男達の目は、そこにも集中している。
「あんだけあっちこっち露出した過激な服着てるくせに、下着は地味だなぁ」
「もっと派手なヤツ履けよ」
「いやいや、アレがいいんだよ、お子様っぽくて」
観衆達が好き勝手台詞を吐く。
一方、リアさんに床を舐めさせるよう命じた当人は、突き出された彼女の尻をまさぐりだしていた。
「あぅっ!……んんっ……は、あぁぁ……」
「おいおいリアちゃん、まんこから愛液が溢れ出てるぜ!?
こんだけ屈辱的なことされて、感じてるのかよ!!
なぁっ! 気持ちいいのか、リアちゃんよぉっ!!?」
「んぅぅうううっ!……あぁ、あぁぁああっ……
う、うん、あたし、気持ちいい……あ、あ、あ、あ、あっ!
気持ち良く、なっちゃってるっ!……はあぁぁぁぁぁ」
男の言葉に、喜びの声を返す。
床を舐めながら股を弄られ――そんな行為でリアさんは感じていた。
周囲がどっと笑いだす。
「やっばいな、なんだこの子っ!」
「変態だ変態だとは思ってたけど、まさかここまでとはねぇ」
「人の皮被った雌犬だなっ!」
「そりゃ雌犬に対して失礼だろう!
犬にだってもう少し理性がある!」
口々にリアさんの醜態を嘲笑する男達。
彼女の尻を揉む男性客は、さらに続けた。
「愛液のせいでショーツがべったりまんこに張り付いちゃってるな。
おかげでリアちゃんのまんこの形がくっきり分かるぜ。
はは、色んな男のちんこ突っ込まれたってのに、まだ綺麗な形してるじゃないか!」
「んんっ!! あっあっあっあっあっあっ!!」
股にある2つの穴を同時に穿られ、リアさんは淫らな声を吐き出した。
「これ、下着を履く意味あるのかね?
ここ最近、リアちゃんの股が渇いた試しがないし。
よし決定、明日からリアちゃんはパンツを履かないこと!
その方が洗濯の手間も省けるからね!」
「お、そいつはいいな!」
「いや待て!
あのショーツはいいモノだろう!
なくしちゃダメだっ!」
「ああ、あの地味なパンツも揃ってのリアちゃんだよ!!」
リアさんの尻を弄っている男性の言葉に、観衆が賛否両論をあげる。
喧々囂々とした議論の中、手にビール瓶を持った一人の客がリアさんに近寄っていった。
「……おっと、手が滑った」
そしておもむろに、手に持った瓶を逆さまにし、
「――ぷはっ!? な、何すんのよっ!!」
頭からビールをかけられ、男を睨み付けるリアさん。
「いやぁ、すまんかったすまんかった。
面白い出し物につい見惚れちまってねぇ。
……しかしまあ、大分“汚れ”ちまったなぁ、リアちゃん。
こりゃ、しっかり“綺麗にして”やらねぇと」
ビールをかけた男が下卑た笑みを浮かべる。
その意図に気付いた他の客達が、次々にリアさんへ詰め寄っていった。
「おお、そうだそうだ。
アルコールで全身濡れちまったからな」
「ええ、これは“お掃除”してあげませんと」
「身体の隅から隅まで、ぜーんぶ綺麗にしてやらんとのぅ」
男達はリアさんの肢体に手を伸ばし、彼女を担ぎ上げる。
「ちょ、ちょっと、あんた達――!?」
リアさんは叫び声を上げるものの、男達の動作は止まらない。
「確か、この店倉庫の一つ空いてたよな」
「ああ、あそこは当分使う予定がないって店長言ってたぜ」
「じゃあ、そこでリアちゃんを“綺麗に”してやろうか。
俺達が責任持って」
「それがいい。
あそこならナニやっても店には迷惑かからないだろうからな」
男性客の集団は、リアさんを抱えながら店の奥へと動き出した。
そこで一体何をするつもりなのか――想像に難くない。
「へ、やだ、ちょっと!?
いや、いやぁあああああっ!!!!」
リアさんの絶叫は、店の奥へと消えていく。
……さて、私はどうしようか。
股間は既に勃起している。
当然だ、リアさんの痴態をずっと眺めていたのだから。
倉庫の方へ向かった一団に混ぜて貰い、一緒にリアさんを責めようか?
多人数プレイというのはそこまで好きではないのだが、しかしあれはあれで絶妙な味がある。
或いは、同じウェイトレスであるシエラさんやジェーンさんに付き合って貰う?
彼女らも今のリアさんの様子は見ていたようで、平然と仕事をこなすフリをしているものの、顔を赤らめていたり股をもじもじとしていたり――つまりは、発情している。
互いの欲情を発散させるのもいいだろう。
それとも、まだ誰も手を付けていないカマルさんへ行ってみようか?
店長が目をかけている以上、彼女も相当淫乱な素質を持っているはずだ。
そんな風に私が悩んでいると、
「相席、いいかね?」
横から声をかけられる。
この声は――
「――セドリックさん。
どうされました?」
「いや、ちょっと君と話がしたくてね」
私に話しかけてきたのは、壮年の男性、セドリックさんだった。
彼は私のすぐ隣の席に座ると、口を開いた。
「クロダ君、何か飲みたいものはあるかな?」
「いえ、先程食事を終えたばかりですので」
「遠慮しないで欲しい。
今日はちょっと――しっかりと話をしたいのでね」
セドリックさんは真剣な眼差しで私を見つめた。
いつもと違うその表情に、私も襟元を正す。
「そうですか、分かりました。
……では、エールを一杯」
「うん、奢らせてもらおう」
程なくして、黒髪ボブカットのウェイトレス――シエラさんが2人分の飲み物が運んでくる。
私達はそれを受け取り、乾杯してから話を始めた。
「……単刀直入に聞かせて貰うんだが――ローラさんと付き合い始めたというのは本当かい?」
「はっ!?」
いきなりセドリックさんはぶっ込んできた。
あやうく飲んでいたエールを噴き出しそうになる。
「な、何を言い出すんですか、いきなり!?」
「ふむ、その反応を見るに、どうやら本当のようだね」
したり顔でセドリックさんは頷く。
いや、私とローラさんが付き合っているという事実は無い――いや、無い、はず。
「ローラさんがね、もう君以外の男には抱かれないと宣言したって耳にしてね。
ああ、これはとうとうクロダ君も覚悟を決めたのかと――」
「い、いや、あのですね」
弁解しようとするが、予想だにしていなかった展開に舌が上手く回らない。
……セドリックさんの、本当に嬉しそうな笑顔も、それを加速させた。
「良かった――夢のようだよ。
あのローラさんが、とうとう普通の――といっては失礼かもしれないが――ともかく世間一般的な女性の幸せを追い求めだしてくれたとは。
うんうん、これでローラさんに手を出す不埒な輩を何の遠慮も無く制裁できるな」
「え、制裁?」
いきなり凄い単語が飛び出してきた。
制裁ってなんだ。
「そりゃ勿論、ローラさんに手を出した奴らを叩き潰してやるのさ、社会的に。
今までは彼女がそういう連中を“受け入れて”しまっていたからね、余り大手を振ってやることはできなかったが。
ま、実を言えばそれでも“特に性質の悪い男共”は秘密裏に始末してきたんだけどね」
「そ、そうだったんですか」
そんなことしてたのか、この人。
言われてみれば、ローラさんを抱いた後すぐに街を去った人が何人かいたような気がする。
……よく私、それで制裁されなかったな。
「ん、ああ、クロダ君にそんなことはしないよ?
するわけがないだろう。
君はローラさんを、一度としてぞんざいに扱わなかったじゃないか」
「それは、勿論そうですけれど」
……多分。
「私が葬ったのは、ローラさんの日常生活すらぶち壊そうとしてきた馬鹿共さ。
奴隷として売り飛ばそうとしたり、薬漬けにして娼婦に仕立てようとしたり、監禁して性処理道具にしようとしたり。
そういうヤツが結構いるのさ」
「……な、なるほど」
最後のは最近聞いたことがある気がする。
そうか、ローラさんを監禁しようとしていたあの方々はつまるところ、ミサキさんに助けられたとも言えるわけか。
相当ボコボコに絞られたようだが、抹殺されるよりかは遥かに上等であろう。
……セドリックさんが、嘘を言っているようにはとても見えない。
「ははは、しかしそれも今日までだ。
ローラさんが君に対して一途になろうとしている以上――近寄る奴らは皆殺しにしてやる」
彼の目は
「ほ、程ほどにして下さいね?」
「ああ、大丈夫だよ。
クロダ君やローラさんに迷惑はかけないさ」
微妙に答えがずれている。
だがそれを指摘する気にはなれなかった。
セドリックさんは空になったコップをシエラさんに渡し、また同じ酒を注文した。
なみなみと注がれたお酒をぐいっと飲んで。
「――――ああそうだ、クロダ君?」
「は、はい、なんでしょう?」
セドリックさんの改まった口調に、私は少し返答がどもってしまった。
「式はいつ挙げるんだい?」
「ぶっほっ!?」
再度、噴き出す。
次から次へと凄い質問を突っ込んでくるセドリックさんの言動に、私はろくに返事すらできない。
「式って、式ってそんな――」
「おや、トーキョーでも結婚の際に式を挙げると聞いたが――クロダ君のところは違ったかな?」
「いえ、私のところでも結婚式はありますが……」
「ああそうか、それなら良かった。
是非盛大な式を挙げてくれないか。
資金が足りないというのなら、私が幾らでも出そう。
そうだ、いっそこの街じゃなくて聖都の教会はどうだい?
あそこはいいぞ、この街の教会が馬小屋に見える程の荘厳さだ。
なんなら今から予約をしておこうか」
「い、いや、そこまでして頂くわけには――」
セドリックさんのマシンガントークに、私が返せたのはその程度の言葉だった。
よく見れば、彼の顔は大分赤くなっている。
アルコールがかなり回っているのだろう。
「遠慮なんてしないでくれ――本当に、しないでくれ。
私は、ローラさんのためなら全財産を費やしても惜しくは無いんだ。
……前にローラさんへそう言ったら、きっぱり“いらない”と突っ返されてしまったがね」
彼は急に神妙な顔つきになる。
酔っているせいか、今日のセドリックさんは何時に増して饒舌だった。
「これは私の贖罪なんだ――いや、ローラさんが私を許す訳がないのだから、ただの我が儘か。
クロダ君には前にも話しただろう、馬鹿で愚かな男の話を」
「……ローラさんを調教したことですか」
私の言葉に、セドリックさんは首肯する。
「そうだ。
当時の私はどうしようもない屑でね――まあ、今の私が屑じゃないというわけでもないのだが。
世の恋人同士だとか、夫婦だとか、そういう存在が憎くて憎くて仕方なかった。
幸せな男女を見ると、その仲をあらゆる手段を使って引き裂いやってたんだ」
「奥方に裏切られたから、でしたね
ある日、別の男と一緒に失踪されたとか」
「まあね、今更言い訳にもならないが、それがきっかけではあった。
そして馬鹿な私は当時幸せな結婚生活を送っていたローラさんに目をつけてしまったわけだ」
そう言うと、彼はコップの中身を飲み干す。
またシエラさんに頼んで酒を注いで貰うと、
「どれだけ私が金や宝石をチラつかせても、ローラさんは相手にもしなかった。
彼女が愛していたのは、夫であるウィリス君だけだったからね。
そこで諦めればよかったんだが――私は無理やり彼女の身体を奪ってしまった」
今も当時も、セドリックさんはこの街で最大規模の資産家だ。
彼がその気になって、手に入らないものなどこの街に無かっただろう。
勿論、ローラさんの身体であっても。
「私は何度もローラさんを犯した。
彼女の家でも、私の家でも、路地裏でも、この街の至るところで。
時にはウィリス君の前でさえも。
何度も何度も何度も――ね」
ここで、セドリックさんは酒に口をつける。
「それでもローラさんは夫への愛を貫き通した。
私が手に入れられたのは身体だけで、彼女の心を微塵も揺るがせなかったんだ。
……ここで終われば、まだ良かった」
そうだ。
セドリックさんは、ここまでしてまだ彼女を諦められなかった。
より正確には、ローラさんと旦那さんの愛を否定することを諦められなかった。
「馬鹿で屑な私は、とうとう最終手段にでた――薬だ。
人を従順にさせる、つまるところ奴隷にする薬を――いやもういっそ毒と言った方がいいか――私は彼女に打ち込んだ。
ローラさんが私に愛を囁くようになるまで、幾度となく打ってやった。
……そして、彼女は壊れた」
「…………」
私は黙って彼の話を聞く。
下手な合いの手は、野暮になる。
「だがねクロダ君、ローラさんは心が壊れても、それでも夫への愛を口にしたんだ。
身体はもうウィリス君とのセックスでは我慢できないようになり、心もまた私に服従したというのに。
それでも、夫を愛していると言ってのけたんだ。
……今度は、私が壊れる番だった」
酒を飲み干し、また注ぐ。
「それまで縋っていた価値観が全て崩壊する気分だった。
馬鹿で屑だった私は、そこでようやく自分が馬鹿で屑だったことに気付いたのさ。
……すぐにローラさんからは手を引いた。
彼女が普通の生活ができるよう、四方八方手を尽くして薬から立ち直る手段を模索した。
そして少しずつだが彼女の心と体が快方に向かいだした頃に……ウィリス君がこの世から去った」
空になったコップを、力なくテーブルに置くセドリックさん。
「これだけは誓わせてもらいたいのだが、私はその件に関して決して手を出していない。
誓って――誓ってだ!
彼が死んでしまったのは、私にとっても青天の霹靂だった。
そして、それまで順調に治療が進んでいたローラさんは――完全に気力を無くしてしまった。
酷いモノだったよ、毎日毎日、朝から晩まで幾人もの男性と関係を結び、快楽に耽り。
見かねた私が止めても聞く耳持たなかった――まあ、全ての元凶である私がどの口でほざくのかという話だ、当然の反応だな」
セドリックさんは視線を私に向けた。
真摯な瞳で見つめてくる。
「そんな時に現れたのが、君なんだ。
君と会ってから、ローラさんは変わった。
日々の生活に活力が湧き出し、しっかりと生活を送るようになった。
男に求められれば拒めないという体質は治っていないが――しかし君はそんな彼女も受け入れてくれた」
……そう言われるとなんともこそばゆい。
私がそこまでのことを彼女にしたとは思えないのだが。
「クロダ君。
頼む、彼女を幸せにしてやってはくれないだろうか。
そのためなら私は何でもしよう。
金も、地位も、命だって投げ出したっていい」
セドリックさんが両手で私の手を握ってくる。
彼は涙まで流しながら、私に懇願してきた。
「君ならできるはずだ。
それだけの男だと、私は見込んでいる。
私は地獄に落ちるべき人間だが、彼女は違う。
ローラさんは、幸せにならなければいけない人なんだ。
どうか、どうか、私の我が儘を聞いてはくれないか」
見ているこちらが恐縮してしまう勢いで、頭を下げてくる。
「頭を上げて下さい、セドリックさん。
私にどれだけのことができるか分かりませんが、決してローラさんの悪いようにはしません」
「……そうか。
ありがとう、クロダ君」
私の言葉に、彼が顔を上げる。
「大分、話し込んでしまったな。
すまないね」
「いえ、そんなことは」
「そう言ってくれると有難いよ。
さて、私はそろそろ帰るとしよう。
――シエラちゃん、行くよ」
セドリックさんはシエラさんを呼ぶと、彼女の肩に手を回した。
そのまま席を立ち、シエラさんと一緒に出口へ向かおうとする。
「おや、今日はシエラさんとご一緒なんですか?」
「ああ、ちょっと前に魔族の騒ぎがあっただろう。
その時に彼女、かなり酷い傷を負ってしまってね。
私がその治療に必要なお金の手助けをしたんだが――その代わり、彼女に私の子を孕んでもらうことになったんだ。
子宮が潰れちゃってたから、それがちゃんと治っているかどうかの確認も兼ねて」
「なるほど、そうでしたか」
それでシエラさんに種付けするため、家に連れ帰るわけか。
確かに店にいるときだけの行為では、確実に孕ますことができるかどうか怪しい。
「……あのー」
私の疑問が解けたところで、シエラさんが私達に話しかけてくる。
「ああいうお話の後で、私に“こういうこと”をするのに対して、お二人は何か思うところないのでしょうか……?」
「? いえ、別に何も?」
「何かおかしいところでもあったかね?
……まあ、私は別に改心したわけでも何でもないからね。
言っただろう、今でも私は屑だって」
私達の反応に、シエラさんは大きくため息を吐くと、
「分かりました……クロダさんの方が重症だったんですね」
なんだろう、そこはかとなく批判されているような。
でも反論できる気もしない。
「では、失礼するよ、クロダ君」
「はい、お疲れ様です。
セドリックさん、シエラさん」
私達は短く挨拶をする。
「それじゃ、今夜も頑張ろう、シエラちゃん。
元気な赤ちゃんを産めるように」
そういうと、セドリックさんはシエラさんの胸を揉みだす。
「んんっ! あ、あぁぁ……は、はい、しっかり孕めるよう、努力します」
2人は密着したまま、黒の焔亭から去っていった。
時折、シエラさんの口から艶めかしい喘ぎが漏れるのがなんとも色っぽかった。
「――と、そういえば。
リアさんはどうなったでしょうか?」
気付けば、辺りから自分以外の客の姿が消えている。
そろそろ店じまいの時間のようだ。
股間の疼きを解消するため、私はリアさんを探すことにした。
確か、倉庫の方へと連れられて行ったはずだが――
「……うわ」
思わずそんな声を出してしまう。
リアさんは、予想通り倉庫に居た。
部屋の真ん中で、うつ伏せになって倒れている。
ただ、その姿は――
「あへぇ――あー、あー――えへ、えへへ――はひぃ――」
壊れたように笑っているリアさん。
その身体には、くまなく白く濁った液体が塗られていた。
茶色の髪にも、可愛い顔にも、形の良いおっぱいにも、きめ細やかな背中にも、綺麗な曲線のお尻にも、健康的な太ももにも、全てだ。
いや、それだけでなく――
「――この臭い。
尿もかけられてますか」
部屋にはアンモニア臭も漂っている。
どうやら彼女、小便もかけられていたようだ。
その上。
「……見事に刺さってますねぇ」
リアさんの尻穴にはビール瓶が口の方から突き刺さっていた。
彼女が身体を揺らすと、ビール瓶もゆらゆら揺れる。
とりあえず、私は瓶を抜いてやることにする。
「――あひぃっ!?」
きゅぽんと音を立て、瓶が抜けた。
その衝撃で、リアさんは苦悶とも喘ぎともつかないなんともヘンテコな声を出した。
「……って中身入ってるじゃないですか!」
瓶の中にはまだアルコールが入っていた。
リアさんは、後ろの穴から直接酒を注がれていたらしい。
これは危険である。
良い子は決して真似してはいけない。
直腸から直接アルコールを摂取すると、死に至ることすらあるのだ。
まあ、リアさんは魔族なんでその辺大丈夫だとは思うが。
……今度私もやってみよう。
「ちょっと叱る必要がありますね」
何せここは食事の店である。
幾らリアさんが肉便器だからと言って、本当に小便をかけるのは衛生上よろしくない。
ちゃんと便所に持って行った上でやるように注意してやらねば。
「店長も怒るでしょうし――っと、おや?」
そこで私は気付いた。
汚れていない場所などないといった様子のリアさんだが、一か所だけ綺麗なところがあった。
――女性器である。
「律儀な方々だ」
思わず感心してしまう。
最初に店長によって取り決めた、“リアさんに中出ししない”というルールを、彼らはしっかりと守っていたらしい。
多少弄られた形跡はあるものの、精液は膣の中に一滴も入っていないようだ。
「それでは、ヤらせて貰いますか」
せっかく皆が残しておいてくれたのだ。
有り難く頂いておこう。
……正直なところ、私のイチモツはもうガチガチに勃起している。
私は色々な液体で汚れたリアさんの身体を躊躇いなく掴むと、彼女の膣口へと肉棒をぶち込んだ。
「あひぁあああああああああっ!!!!」
まるで断末魔のような嬌声がリアさんの口から飛び出す。
意識も定かではないという状態にも拘らず、彼女の膣は私の男根を強く締め付けてきた。
「流石はリアさん、相変わらずの名器です」
彼女への称賛を口にしてから、私は股間の滾りを鎮めるべく腰を動かしだした。
「おほぉおっ!! おほぉおおっ!! おほぉおおおおおおおっ!!!」
狂ったようなリアさんの叫びが、倉庫の中に木霊した。
第十九話②へ続く