さて、衝撃の事実&強制東京キングダムへの移動から早1か月
当初は馴れない地理や初見殺しのようなエロトラップの数々に困惑したが、何とか処女のまま生き残ることができた。
で、1か月も過ごせば多少なりともここでの過ごし方や身の振る舞い方がわかってくるものだ。
例えば、エロい衣装より普通の衣装の方が目立つから襲われやすくなる。
例えば、どんな飲食店だろうとカモと認識されれば、出されたものには高確率で媚薬が混ぜられる。
例えば、東京キングダムからの脱出は1本だけある大橋を通る必要があり、それ以外からの侵入経路は素人にはお勧めできない。
などなど、基本的に嫌な情報ばかりであり、もし自分がただの脳筋チートであったならあっという間に裏路地に連れていかれ、そのまま奴隷娼婦でもなっていただろう。
でもまぁ、何とか今日まて無事で生きて来られた。
残念ながらまだこの町からの脱出の目途はたっていないものの、曰くここは『金さえあれば何とかなる』の無法地帯。
なのでひとまずは金をためて、脱出できる下準備をしておく事にした。
そしてここ1か月、現在自分はあるところにて、商いをしている。
ここ東京キングダムは呪われた孤島で欲望の中心街。
そんなところで売れるものは決まっており、そして、今自分の目の前には新たなる客がいる。
ヒトならざるものであり欲望の権化ともいえるオークが3体もだ。
彼らは皆飢えた目つきでこちらを見て、薄汚い笑みを浮かべながらこう言い放つのであった。
「ぐっふっふ。
今日もきてやったぞ!感謝しろよぉ?」
「っくっくっく!
あいかわらず、うまそうな見た目しやがって!
これは味わい尽くしがいがありそうだぜ!!」
「げっへっへ!
こちとら金ならある!だからもしほしければたっぷりサービスしろ!
……わかるな?」
そして、オークどもはその欲望を隠そうともせず、舌舐めずりしながらそう言い放つのだ。
その豊満で醜悪、巨体な体を震わせながらこちらに近づく。
「はい!本日もおすすめ果物詰め合わせをご購入ありがとうございま~~す♪
お代は1つ3000円です!
今回も果物の簡単な試食分を用意していますが、食べていかれますか?」
「「「おおお~~~~~!!よっしゃ~~!!
キーさん、今日も太っ腹~~~!!」」」
そして、今日も彼らオーク労働者に【ゴミを木に変える能力】で作った無数の果実を安い値段で売りつけるのであった。
ここ東京キングダムは欲望の溜まり場、もちろん食欲に飢えてる奴らも多いのだ。
だから私はここ東京キングダムで露店果物屋を運営して生計を立てるのでした。
元手が0円経営って素晴らしいよね!
「ぶふー!ぶふー!んん~~♪
やっぱり俺は梨が好きだな!
洋ナシじゃなくてこう、丸い奴!
シャキシャキしてねぇと、食べてる感じがしねぇ!」
「サクランボっていいよな!
食べてよし、プレゼントに良し!」
「はぁ~~?
サクランボって食いにくくねぇか?
種とか、めんどくさいだろ」
「おまえ、男たるもの種ごといけや!わざわざ種を取り出して食べるとか、人間か!
……でも、娼婦にサクランボプレゼントすると、サービスいいところだと舌だけでサクランボの茎でハートマークとか作ってくれるあれ。
なんかエロくていいよな」
「「わかる~~~!!」」
元手が0円だからいいものの、会話を弾ませながら、試食なのに無制限で果物をぼりぼり食べていくのはやめていただきたい。
しかも肉食系オーク男子を自称してるくせに、甘いものは別腹とかいう。
乙女か!
なお、唯一残った肉食系要素は梨を皮も剥かずに丸ごと齧るワイルドさぐらいである。
ここ東京アリーナは基本無政府の世紀末地帯。
それゆえ、売るものさえあれば資格がなくてもどこでも商売を始めることができるのは素晴らしい利点といえるだろう。
まぁ、それでも力無きものがいきなり商売を始めようものならそれはただの獲物と変わらない。
強盗され、拉致られ、娼婦にされ、タイマニン!!されてしまうのが眼に見えている。
それでも、この町で最もポピュラーなチンピラ魔族であるオークをどうにかできる程度の実力と、ほんの少しの愛嬌さえあれば割と誰でも商売することができるということに最近気づいたのであった。
「いや~~、相変わらずすまんね、キーさん!
俺たちの上司はかなりけちんぼで、おちおちまともに飯も食えねぇんだ!」
存分に試食と言いながら、腹いっぱい果物を食べ終えたオークたちが笑顔でこうこちらに告げてくる。
だったら娼館行かずに我慢し、節約しろ!
……なんて言いたいが、そのセリフをぐっと抑え我慢するのが大人の証。
魂年齢、おじいちゃんは伊達ではないのだ。
「いえいえ、ここ東京キングダムはやや食品系の物価が高いですからね。
たくさん食べられるオークの方々には過ごしにくいのかもしれませんね」
「そうそう!人間界なら手軽に女を抱けるっていうから来たのに!
いざ来てみれば、日々の仕事は安月給のただの荷物運びに、妊娠させてくれない安い娼館巡り!!
セックスできる分だけ魔界のころよりましとは言うけどさ~セックスできるだけで全てが許されるんなら、魔界の頃と変わらんってのによ!
飯だって魔界よりこっちの方がうまいって聞いたけど、俺たちの口に入るのなんて、基本米連方面や魔界から流れてくるゴミみたいな食事だ!
向こうにいた頃と変わらん!!寧ろもっと悪いのが大半だ!!」
「ぶっぶ!
何が雇用条件で3色昼寝付きで~~すだ!
酒もねぇ、肉もねぇ、甘味すらねぇでその次は肉体労働しろだぁ?
ふざけんな!こちとら、お前らの奴隷になるために来たんじゃね~~っつぅの!」
オークは基本、この世界では下劣で卑怯で臆病な種族と言われている。
確かにその生態がどんな生き物でも孕ませようとして、基本的に精子脳。
3大欲求に素直で魔族のくせに得意なことが女を犯すことと魔族の中では下の方な怪力。
それなのに、別にセックスのテクがあるわけではなく、ただ精液が媚薬なだけ。
肉棒はでかく半端な怪力なせいで多くの種族の女性をボコォさせること間違いなし。
自分本位のセックスしかできず、別にイケメンでもなければむしろその匂いが臭すぎてオーク臭として悪臭の代表にされるレベル。
魔族界のカメムシやGといわれているのはわからないでもない。
が、それでも割かし話せる奴であると自分は思う。
そもそも、自分は元男なのでブサメンイケメンそこまで関係なくどちらにしろ性欲がわかない。
単純ゆえに会話をしていても向こうが望むものがわかりやすい。
それに基本性欲まみれなのはこの東京キングダムにおいて、どんな魔族もオークも基本一緒だ。
おっぴろげているか隠しているかの違いしかない。
なら、まだわかりやすいオークの方がましだ。
それに基本、エロゲザーメン以外の不思議能力を持ってないのもいいな!
「にしても、キーさん。
こんなにやさしいんじゃ、魔界にいた頃も苦労しただろう?
俺たちオークにこんなにやさしいんじゃ、ほかにはどんだけだって感じだし!」
「だよなぁ!
きっと、キーさんはインキュバスどもに騙されて、媚薬酒を飲まされて……うっ!!」
媚薬ザーメンの無断放出はやめていただきたい。
なお、自分は今は【魔界から人間界に観光に来た魔族の女性 キー】と身分を偽っている。
なぜって?【元表世界出身の元女学生、東京キングダム脱出のため日々あがいている女性】と【魔界出身で人間界に知的興味のために訪れた魔族】。
どっちの方がオークが犯したいと考えるだろうか?
なお、オークは基本【弱きをくじき、強きに従う】の蛮族脳とする。
でもまさか、適当に頭に猫耳をつけるだけでごまかせるとは予想していなかったが。
「そうだ!キーさんどうせここを観光したいなら、俺たちのところに住んでみないか?」
「今なら、その股を開かせるだけで、ただで宿代が……」
おもむろに、店頭に置いておいたココナッツを一つ取り上げる。
その繊維層たっぷりの本来なら刃物が必要なそれを、腕力のみでごしゃりと壊して見せる。
「あらあら、皆さんにココナッツミルクを上げようと思ったのですが……
で、何か言った?」
「「「いえ、なんでもありません!!」」」
オークどもだけではなく、周りの露店の男たちまで思わず股間を抑えている。
うむうむ、オークはすぐ発情するが、その分力を示せばすぐに引っ込んでくれていい。
逃げるように駆け出すオークをしりめに次のお客さんを相手する。
「……あいかわらず、下劣なオークにもきちんと対応しているのね。
あきれるわ」
そして、もう一人のこの客の常連である【エンシェイ(HR)】さんがこの店にやってくる。
この人(魔族)は基本人嫌いのようだが、それでも自分の商品目当てでわざわざこの店にやってきてくれる。
しかも、わざと高めに設定している果物にもいい値段を払ってくれる。
ぶっちゃけ上客だ。
「それよりも、件のものはちゃんと仕入れてくれた?」
「はいはい、これでよろしいですね?」
そうして差し出すは、1本の苗木。
苗木の状態を色々と観察しながら、満足いったようだ。
札束がたくさん入った封筒をポンと渡してくれた。
「どうやら、異能の類を使って作った植物のようね。
それでもほぼ本物と変わらず、罠も仕掛けられてないようだしかまわないわ。
いいわ、今回も買ってあげる」
「……あいかわらず、鋭いことで」
「ふふふ、声を聴けば一発でわかるわよ、この子が通常でない手段で生まれたことくらい。
でも、あなたも似た能力を持っているようだから、いつかはこの子達の声が聞こえるようになるんじゃない?」
このエンシェイさんは魔族であり、さらには【植物使役】という異能を持っている。
彼女は植物学者であり、基本的に植物の生態を調べることしか興味がないようだ。
だから、彼女は自分が果物屋を開いてしばらくのちに、珍しく状態のいい果実を出すこの店に興味を持つようになったというわけだ。
「でも、この東京キングダムでこうも簡単にマンゴーの苗を手に入れられた事は素直に感謝するわ♪
あ、それと次回も別の果物の苗を仕入れてくださる?
1週間後に取りに来るから」
「はいはい、了解です。
どんな植物の苗がお好みで?」
「そうねぇ、リンゴやミカン程度ならあなた抜きでも何とか手に入るから……。
バナナあたりをお願いできるかしら?」
エンシェイさんみたいな美人魔族が、バナナやらマンゴーやらつぶやいてるせいで周りの男性陣の股間がやばい。
なお、途中馬鹿なオークの一人がエンシェイさんに突っ込んでいったが、普通にミンチにされた。
店前で殺人、いや、殺オークがおきても誰も気に留めない当たり流石東京キングダムである。
まぁ、それ以降も無数の客(主にオーク&娼婦)をさばきつつ、夕方になるまで店を続ける。
そして、この町の闇本番になる夜が始まる前にさっさと拠点へと帰るのであった。
「というわけで、今回も一泊風呂ありエッチなしでお願いしま~~す♪」
「帰れっ!!」
なお、拠点とは安全に寝泊りできるという意味でそこそこの値段の娼館にエッチなしオプションで寝泊まりしていることを言う。
相手の嬢はちゃんと頭脳チートでノンケ(レズでない)を選んでいるから、夜中に襲われる心配もなし。
東京キングダムゆえ、しかたないよね☆
「まあまあ、そこはほら。
キッチンさえ貸してくれれば美味しいいなり寿司作ってあげるから」
「‥‥ねえ、あなた。
まさか、私が妖狐だからと言って本当に稲荷が好きとか信じてるわけ?」
「じゃあ嫌いなの?」
「……別に嫌いとは言ってないし!」
やや頬を染めながら、狐系の獣人魔族である彼女はそう答えた。
妖狐は油揚げが好き、キー覚えた!
とまあ、そんな風に過ごしてきて1か月。
安全な寝泊り代が高いゆえ、すぐさま脱出とはいかないが、それでも遠く無いうちにに脱出のめどは立ちそうだ。
……なんて、またまた油断していたからいけないのだろう。
「へえぇ!
ここが噂の【水蜜】ね!
噂通り、美味しそうな桃があるじゃない!
店長さん、桃を2つほどく〜ださい♡」
「ここの果物さえ買って行けば、嬢が割引してくれるんだ!
と言うわけで、取り敢えず、適当にオススメを頼む。
後、お前自身をテイクアウトできるか?」
「げっへっへ!ようやく見つけたぞ!!
貴様が【水蜜】のキーか!
我らがノマドが貴様に用がある!
もし逆らったら……わかるな?」
どうや少々商売がうまくいきすぎたようだ。
謎の2つ名が着いてしまった上、めんどくさい因縁がつけられたようだ。
突然のラスボス組織からの誘いに嫌な予感しか感じないのであった
オークっていつも死んでるかザーメン出してるかの印象しかない