3周年記念アサギ?
あんなの無理に決まってるだろ!!
「……で、仕事は完了したんだな」
「問題ありません。既に悪は滅しました」
ここは東京キングダムのとある娼館。
ノマドの支配下にあり、そこそこの大きさを持つ。
東京キングダムにある娼館としては、時に副作用のない媚薬と娼婦が元一般人や魔族が多めというで厄さが足りない温さが特徴。
しかし、それを補って、この店が持つノマドがバックについているというアドバンテージとそれとは別の安全性の高さはこの店の大きい長所である。
「流石、【紙気使い】。
ビルが倒壊して生死不明ときたが、どうやらそれは杞憂だったようだな」
そして、今このビルのオーナー室。
そこには【紙気使い】と恐れられる対魔忍とこの建物の支配人である魔族、この2人が同じ部屋で話し合っていたのであった。
魔を討つ者と魔そのもの、これらは本来交わるべきでないのは明白だ。
……しかし、悲しいかな。
別にこれは珍しいことではないのだ。
そもそも対魔忍は国の退魔組織ではあるが、それでもその情報網は虚弱の一言。
それゆえに彼らは蛇の道は蛇ということで、対魔忍は魔族の情報を得るために魔族内に内通者を作りその情報を得ているのであった。
そして、今七瀬舞が対峙している相手もそういう情報源の一人。
ノマド所属の娼館のオーナーでありながら、同時に魔族の動き、特にこの東京キングダムの最新情報及び倒すべき邪悪な魔族を対魔忍に教えてくれる。
そういう対魔忍という組織にとってまさにこれというほどに都合のいい相手であったのだ。
色々おかしい気もするがこれがデフォなのが対魔忍と言う組織である。
「(……ま、もっとも今回の情報も真実ではないがね)」
まぁ、当然その情報には裏があるのだが。
実はこの魔族の男は先日、キーの勧誘に失敗した魔族の男、その本人(本魔?)である。
そもそもこの魔族、淫魔の一族ゆえそこそこの美貌を誇るが、それも淫魔の中では少し首をかしげてしまう程度の貌の良さ。
さらに魔力や戦闘力も今一つなこの男がこの娼館のトップを務めているのは、この様に対魔忍と内通しているというこの1点のみなのである。
彼にとって都合の悪い相手を『邪悪な魔族』として対魔忍の情報網にリークすることで始末してもらう。
自分にとって都合のいい相手は『ほかの魔族のせい』と偽ってその凶刃からうまく逃れるように手配する。
そのように対魔忍を利用しきったからこそ、彼はこのノマドで建物1つを任されるほどに成り上がることができたのだ
「(そうだ、俺はうまくやっている)」
そう、先日しでかした魔族キーのスカウトの失敗は決して小さい失敗で済まされるものではない。
なぜか上から注目されていた彼女を確保できず、さらには以降の契約更新すらできなくなった。
このことが上にばれれば、彼の順風満帆な経歴に傷がついてしまうことは確かである。
だからこそ彼は、彼女を殺すことに決めたのであった。
彼女が不慮の事故で死んでしまえばそもそもの話をなかったことにできるからだ
「ところで、少しいいでしょうか?
今回仕留めた魔族ですが、その後いくらかの情報や言動と照らし合わせたところ、あなたの言う情報と彼女の実態に齟齬があるようなのですが。
本当に彼女は、我々対魔忍を誘拐調教した凶悪な魔族なのですよね?」
……どうやら、今回は生意気にもこの対魔忍、自分が流した情報を疑っているようだ。
流した情報が嘘であることは確かだが、今回に限って疑われるとは。
魔族の男は死んでなお自分をいらだだせるキーにむかつきを感じつつ、用意してあった保険をとりだす。
「ほれ、これが貴様が仕留めてくれた魔族が行った数々の悪事だ。
写真や証言付きで貴様ら馬鹿な人間……いや、対魔忍にもわかりやすく書いてある。
わかったら、さっさとそれを読んで帰るんだな」
無論、これらの書類は偽装書類である。
書いている証拠はどれもでたらめだし、証言も自分の部下からとったでっち上げ。
そもそも今回キーが行ったとしている悪事は全部彼と彼の部下が行ったものだ
が、それでも彼は自分の嘘が対魔忍にばれるという心配は微塵もしてなかった。
そもそも自分たちが提示した情報が嘘だと見抜けるくらいなら、そもそも対魔忍は自分たち魔族相手に魔族の情報を求めるというあほな行為をしないはずである。
このガバガバすぎる対魔忍の情報収集能力は、おそらく戦闘力の高さゆえに慢心なのであろう。
さもあらん。
「……ふむ、どうやらこの書類を見た限り問題なさそうですね。
あの魔族キーが悪事を行った、その証拠がびっしりここに記載されてます」
ほら、やっぱり気が付かなかった。
彼は知っている、我らのような対魔忍に内通している魔族がたとえ裏切ったとしても、その裏切りがばれることはめったにないことを。
仮にその裏切りがばれるときは、書類の偽装がばれた時ではない。
内通者自身が欲を出して相手の対魔忍を犯そうとした時ぐらいなものだ。
「わかったらさっさとその書類を持って帰れ。
私も忙しいのでな、これからやらなければならないことが沢山ある」
そうして、その魔族が話を切り上げる。
席から腰を上げ、部屋から出て行こうとした。
「……奇遇だな。
私もちょっとやらなきゃいけないことがあるんだ」
……が、部屋の外に立っていたのは獣耳の生えた修羅であった。
「あひぃぃぃぃぃ♡♡♡植物チンポ♡♡♡触手チンポすごいのほぉぉぉぉ♡♡♡
お願い!お願い!!イカせてくらひゃいぃぃぃぃ♡♡♡♡♡♡
言う通りに、命令通りにやりまひたから、ご褒美を、出させてくらひゃいぃぃぃぃ♡♡♡」
「あが、アガガガガ‥‥!!
タスケ、助けて‥‥ダズゲ‥‥デ‥‥!!」
やぁ!皆さんご機嫌いかがかな?
先日対魔忍の調教中にラスボス系吸血鬼と遭遇した邪悪な魔族キー(非魔族・本名鈴谷清姫)だよ!
現在私は、元ノマド経営の娼館にお邪魔しています。
用事?自分との約束を破った魔族さんへの仕返し。
件の魔族は魔界性寄生植物の植え付け実験台。
協力してくれた対魔忍の七瀬舞ちゃんには先日エンシェイさんからもらったエロ植物によるご褒美を実行中です。
「うわぁ、【一般人の人身売買】に【魔薬の製作】
【魔界式調教道具の下取り】……あんた、なかなかにえげつないことやってるわね。
これからはちょっと付き合い方を考えたほうがいいかしら?」
「あほ、自分がそんなことするわけないだろ」
いつもの狐耳の娼婦こと、天華さんが自分の冤罪偽装書類を見ながらそんなことを言ってきた。
今回の襲撃にはマッドな植物学者魔族のエンシェイさんに、いつの間にかすっかりマブダチ狐耳娼婦こと天華さんが同行してくれました。
襲撃そのものは完全調教しきった対魔忍七瀬舞1人いれば余裕ではあった。
が、今回は敵のボスを倒しても終わりではなく、書類整理や資産管理なんかもしなければならない。
なぜなら、今この建物の所有者は自分となってしまったからだ。
「へぇ、なかなかいい物件じゃない。
部屋もたくさんあるし、地下も広く、別荘もありと。
ちょうどよかったわ、私ももう一つ研究所がほしかったところだったのよ」
「にしても、あなた運がいいわねぇ。
まさか、あのエドウィンブラックに出会って5体満足で生き残るだけではなく、お詫びに物件1つ丸侭もらえるなんて。
噂の恐るべき吸血鬼も意外と親切なところがあるんだねぇ」
「……ソッスネ」
そう、前回いきなりあのエドウィンブラックが自分のところに乗り込んできたのはこれが原因だ。
ブラックさん曰く、今回自分が急に命を狙われたのはあのスカウト拒否した魔族が逆恨みして、そのまま対魔忍に暗殺依頼をしたからだそうだ。
だからそのお詫びとして、この建物とそいつの持っているもの全てをくれてやるとのいう話であった。
しかし、その受け取り方法は自力で乗り込み殺人してこい&受取拒否を認めないというもの。
お詫びとは名ばかりの、暗殺依頼及び不良在庫押し付け強盗みたいなものであった。
「で、結局自分の注目度はどの位だった?」
「取り敢えず、あなたが気付いているがどうかは知らないけど、いくらかノマドの方で貴方に監視が付いていたようね。
下手にゲートに向かったらあなたの本拠地まで追跡されてたんじゃないかしら?
幸いまだ貴方がどこ出身の魔族かまでは分かってないみたいだけど」
まじか〜ー‥‥あっぶね〜な〜‥‥
対魔忍に速やかに襲われた時点で嫌な予感はしていたが、どうやら既にノマドは自分の監視を開始していたようだ。
もしこのまま、何も考えず実家に帰っていたらあっという間に実家ばれ。
そのまま家族が人質に取られ【たいまにんアサギ!!】されるところであった。
流石に転生チートな自分と違って今世の家族は一般人だ。
もし自分のせいで家族が酷い目にあったら悔やむに悔やみきれないところであった。
幸い、まだ自分が元一般人のそもそも人間であることすらばれてないようだ。
なお、ぶっちぎりで一番やばいやつ事ブラックさんには初見で人間だと見抜かれた模様。
ファッキン。
「取り敢えず今日から私もここに引っ越すわ。
今いる拠点は部屋数足りなくて、育てたい植物を育てられなかったのよ。
そう言うわけで、いくつか部屋を借りるつもりだからよろしく」
「あ、私も私も!!
雇い料はいつもの分ときつねうどん一日一食でOKよ!」
運がいいやら悪いやら、どうやら今回付いてきてくれた魔族のご両人はここに居つくつもりのようだ。
内心、この物件を売って何処かに雲隠れする作戦も考えていたがそれを取りやめることにした。
まあ、仮に物件売り払っておさらばしても既に監視がつくほどに注目されているっぽいので色々と無駄だろうが。
にしても監視かぁ〜、何で自分なんかの地味な八百屋が注目されたか微塵も検討つかない。
ぱっと思いつく今回の事態の解決法は①監視されても家族を人質に取られても大丈夫なほどの実力を持つ②元凶のエドウィンブラックをぶっ殺す③頼れる正義の対魔忍になんとかしてもらう。と、どれも現実的でないものばかりだ。
特に③。
時間さえあればいくらでも金を貯めることはできる自信はあるが、それだけで解決できる段階は超えてしまっているのは明白だろう。
どうやら、自分の運命はあのエドウィンブラックに睨まれた時点である程度固まってしまったようだ。
とりあえず、当初の目的である東京キングダム脱出はいったん後に置いておく。
代わりに自分についてしまっている無数の監視注目とエドウェンブラックをなんとかするのを新たな目標にする。
で、それまでは仕方ないのでこの東京キングダムでしばらく定住することにしよう。
この清純派処女一般人である自分がこんな魔窟で悪意溢れるここ東京キングダムに馴染むとは思えないが。
「い゛く゛うううぅぅぅ♡♡♡ごわれるぅぅぅぅ♡♡♡
植物赤ちゃんでイグゥゥゥゥ♡♡♡出産アクメぎめじゃうのおぉぉぉぉぉぉ♡♡♡」
「嫌だ!嫌だ!
俺はこんなところで死にたくない!やめ……やめ……エボバッ!!」
そんなこと思いながら、後ろで体内に植え付けられた果実をゴロゴロしている対魔忍の少女と寄生植物がとうとう頭蓋内まで浸透し、そのまま頭を内側から破裂させられた魔族を眺めるのであった。