おまたせしました。以前ピクシブでやったアンケートで、小説と漫画形式どちらがいいかで「小説形式でハーメルンアップ」派が多かったので書きました、「しーたんがもしも清い体のまま育っていたら?」パロルート小説その1です。
因みにしーたん21歳(処女)、イタチさん15歳だよ。
ではどうぞ。
その1
正直に言えば、一瞬何を言われたのかわからなかったのではなく、わかりたくなかったのだろうと思う。
「え? イタチお前、なんて?」
なので、つい動揺しながら、オレ……うちはシスイは今そのことを告げてきたクールな美貌の少年、大好きな幼馴染みのうちはイタチに今言われた言葉について尋ね返した。
そんなオレの問いに対し、イタチはといえば、いつも通りの玲瓏たる麗しい面立ちに照れ1つ浮かべる事もなく、忍びとして訓練された淡々とした口調で、今オレに向けて放った言葉を繰り返した。
「オレはお前の事が好きだ、と言った」
(え……え?)
……オレは多分周囲が思っているほどは鈍くはない。
なのでこの場面で好きとわざわざ言うからには、なんとなくそういう意味なんだろうなあとは察してはいたのだが、それでも尚一抹の期待を捨てきれず、往生際悪くその意味を問うた。
「あの、それはどういう意味で……?」
「そういう意味で、だ」
真顔で告げられたそれは、勘違いでもなんでもなく、つまりはイタチはオレのことを恋愛対象として好きと今告白してきたことを意味していて……。
(え……ちょっとまて、イタチってオレのことが好きだったのか!?)
イタチと初めて出会った日から数えて早13年、初めて知った事実を前に、そうオレは激しく動揺していた。
そもそも、この現世でこそ「うちはシスイ」として女として育ったオレではあるが、その精神性別は前世の肉体性別同様の男である。
というのも、この世界で初めて目を覚ましたその時から、オレは所謂男であった前世の記憶と人格がしっかりそのまま残っていたもので、寧ろ女であるこの体のほうこそ信じられないくらいだった。あんなに毎日見てたのに、自分の体にちんこがないとか結構不気味な気分だったもんだ……。直、今の自分の体を直視出来なくなっていったのは言うまでもない。
しかもオレは前世で彼女と交際してた時代にやることまでやってた知識、記憶までそっくりそのまま残っていたもんで、だからより具体的に男女が年頃になったらナニすんのかとかはよーく知ってはいたんだが、自分が抱かれる立場とかぶっちゃけ考えたくもないし、思いたくもなかったので、とりあえず周囲が色づき初めていた頃くらいから気付いていて気付かないふりをしてきた。
だって考えたくないことについて追求するのは、オレの精神衛生上良くないし。
というかさ、ちんことか前世では見慣れすぎるくらい毎日見てたし。男のちんこ見ても悲鳴上げるような可愛らしい感性オレにはないし。朝勃ちみても、「あー、まあその歳ならよくあるよね」としか思えないし。いや、一応世間的に女のオレに知られるのは恥ずかしいだろうから気付いていないフリしててやるけど。つかそういう感性を含め、同性にしか見えない相手に恋愛感情抱けといわれても、どうやって? って感じだし、本気で男を異性とどうやって思えばいいのかさっぱりわからない。
男相手に欲情しろ? 男相手にドキッとしろ? いや、無理だろ。マジ、無い。同性にしか見えない相手にどうやってだよ。
そのことから結論するに、多分オレは所謂「性同一性障害」状態というやつになっているのだろう。
それでもこの体は女だし、一応女として育てられたので、世間的に見ておかしくないよう内心の一人称が「オレ」だとしても、一応外では「私」というくらいの分別はつけてきたし、正直女物の服も女物の下着も本当勘弁してくれな気持ちが抜けたことはなかったが、それでもこの体が女である以上男物の下着をつけるのは世間的に拙いだろうな精神の元、レースやフリルは断固拒否しても一応スポブラや無地のパンツとかくらいなら……まあ、頑張ってつけてます。
とはいえ、ノーブラで過ごすことも考えたことがないといったら嘘だが、一般的に見て良い年してノーブラの女なんて痴女もいいところだし、なにより家の中限定で試してみた所、おっぱいが揺れるわ擦れるわ痛いわで客観的に見てもかなり恥ずかしいことになっていたので諦めました……なんでオレの胸はこんなでかいんだろう? 因みにさらしも試してみたけど、胸締め付けられすぎて呼吸困難になるかと思いました。
ワンピースやらスカートを履くことは「いざというとき、動きが制限されるから」と理由づけて拒否ってきたし、実際世の中にはモノホンの女でもスカート一切履かないようなのもいるので、自分の服装はボーイッシュよりかもしれないが、そこまで女としておかしい服のチョイスでもないはずだ。多分。ぶっちゃけ、オレ以上に女っぽくない格好をした女なんて世間にいくらでもいるわけだし、だからこれ以上女らしい格好とかは勘弁してください。
というわけで、正直男気分が抜けたことが無い上に女心などさっぱりわからんオレではあるが、それでもオレは世間的には「女」なわけで、外野からみても女としておかしく思われないよう極力振る舞ってきたわけだ。
多分オレが性同一性状態になっていること、気付いている奴は誰もいないんじゃないかなー……というか、どう考えてもいないんだろうなあ。なんかやたら告白されやすいし、観察眼に優れているはずのイタチでさえこうなわけだし。
なので精神性別はともかく、世間的にはオレは女で、そして、イタチは男なわけだ。
……そうなんだよなあ。うん。
あんまり考えてなかったというか、考えることを放棄してきたけど、いくら可愛くても、6つも年下でも、それでもイタチも現在思春期盛りの青少年なのである。
今年で15歳なんだもんなあ……イタチ。殆ど忘れかけてたけど、確か前世でのオレの初恋もそれくらいだったよ。童貞捨てたのだって16の時だったから、あの時のオレとこいつ、1つくらいしか離れてないんだよなあ……ははは。
それを思えば、まあ……若い男が身近な「女」相手にそういう感情を持つのはとても自然なわけで。
そのこと自体は、元男としても、心情的にわからんでもないものなわけで。
そもそも前世でのオレの初恋の相手って近所の大学生のおねえさんだったわけで、当然オレより年上で、だからイタチくらいの年齢の人間が年上に惚れることも別におかしなことでもなく、よくあることとして知っているわけで。
だから、正直同性に愛の告白をされたような気分で内心とても複雑じゃああるんだけど、イタチがオレにそういう感情を抱いていたとしても、こういうのは自然の成り行きであって、それを否定する資格はオレにもないわけなんだけど……。
だけど……!
「あの、その悪いんだけど、オ……私はお前のこと、そういう風に見た事なくて、だからその……」
いや、本当わからんでもないんだよ? 年上の身近な女に惹かれる気持ちとかは。だけどさ、やっぱり、オレにとってイタチというのは可愛い弟分兼幼馴染みの、名ばかりの婚約者だったわけでさ。こういう態度はイタチに対しても失礼だとはわかっているんだけど、それでも異性として意識しろといわれても、そもそもその前提がオレには「無理」なわけで、だったら正直な気持ちを告白するしかなくね?
そう混乱交じりに思ってのオレの言葉は、意外なイタチの言葉に止められた。
「知っている」
「え」
え? 知っているってイタチさん? 何をですか? オレの精神が実は男なことですか? それとも男を異性には見られないことですか?
あ、1番可能性高いのは、オレがお前の気持ちに全く気付いていなかったことと、異性として見ていないってこと? まあ、同性にしか見えないから見れてないのはある意味当たり前なんだけど。そういうこと?
「だが、お前は言わなければわからないだろう」
いや、うん、まあ、わかりませんでしたよ?
というか、お前がオレに惚れているなんて考えたくもなかったデスよ?
……冗談だったとか言ってくれないかなーとか、ちょっとだけ期待しているヨ?
まあ、イタチなんだから本気なんだろうなあとも思ってるけど。
そして、そんな現実逃避じみたことを考えるオレの前で、イタチは真面目な顔をして真剣な声音で、厳かにこう告げた。
「オレはお前と伴侶としてこれからの先を歩みたいと思っている。そのことをよく考えておいてほしい」
そう言うなり、イタチは去っていった。
(……とか言われても)
イタチに言われた言葉を頭に、オレははぁとため息を漏らしながら街道をとぼとぼ歩く。
(そもそもオレはお前だからダメとかじゃなくて、男自体をそういう対象に見れないんだよな……)
そう、問題はそこなのである。
(つか、男とか同性にしか見えないし)
同性にしか見えない相手に恋愛感情を抱けと言われても、無茶な話だ。最初っからそっちの気があるのならばまた別なのだろうが、生憎オレはそうではない。
(だからといって、体が女なのに、女相手にそういうのも抵抗あるし、どうしろっていうんだよ)
オレには同性愛嗜好はない。
それは、色んな意味で無いのだ。
創作物でも「まあ、そういうのもあるんじゃない?」とは思うが好んで読みたいとは思わないし、現実においても、「オレには理解出来ないが、そういう趣味の奴もいるんだろう」とは思うがお近づきにはなりたくない。まあ、本人らが良いのであれば否定する気もないが、どちらにせよ巻き込まれたくはないな。
そして、現在オレは精神は男なのに、肉体は女……という状態のまま、この世界で自我を目覚めさせた3歳の頃より18年の人生を生きている。
つまりあれだ。男に恋をしたら精神的に同性愛だし、女に恋をしたら肉体的に同性愛という状況にあるわけだ。そのせいか知らないが、この世界で女として生きてきての18年間、オレが誰かに恋心を抱く事もなければ、誰かと肉体関係を結ぶ事もまたなかった。
まあ、とはいってもオレの立場は仮にもくノ一の身ではあるので、アカデミーでそういう授業がなかったとは言わないが、情報収集のためのハニートラップなんぞ幻術を用いれば簡単に済むものなのだから、わざわざ体を汚すまでもないことだし、自分を対象にされるのが嫌なだけで、別にエロ自体は嫌いじゃないから、そういう幻を見せることにも抵抗はない。あんなのAVやエロ本の派生みたいなもんだしな。
というか、オレは貴重なうちは一族の人間でもあるわけなので、いくら任務のためとはいえ、何処の馬の骨ともわからぬ輩とそういう関係になるほうが一族的に損失であるため、多分体を使ったら寧ろ怒られると思う。大体オレの立場ってのはそういうもんだ。
あと、そもそも色仕掛けに頼らねば任務を達成出来ないほど、オレは弱くはないし。まあ、強くもないんだけどさ。
まあ、以上の諸々の理由からオレは体感的に18年、肉体的に21年間自分の貞操を守ってきたわけである。
……が、だからといって一生守れるかどうかはまた別問題だ。
一応オレはこれでも忍びとしてはそう無能ではないと自負している。だからこそ、オレとしては己の貞操を一生守りたいほうが本音ではあるが、世の中そう簡単なものじゃないものくらい一応理解はしていた。
あれだけ露骨な視線を浴びてて自分に求められている役目に、気付いていないはずがないだろう。
そして、自分の婚約者となっている少年の事を想う。
あいつは、『オレはお前と伴侶としてこれからの先を歩みたいと思っている』とそう言った。
それはつまり、自分と夫婦となることを望んでいるということだ。
婚約者なのだから、よく考えなくても普通ならそのまま何事もなく進めば結婚するはずなのだから、イタチとしてはある意味当たり前のことを言っただけなのだろう。けれど、オレにとってはそうではなかった。
いや、そうではないと見抜いていたからこそ、イタチはオレにわざわざそれを言ったんだろう。
ちゃんとオレの心を自分の意志で整理させるために。
そして其のもくろみはほぼ成功だったと言えた。
だからこそ、今オレはこうして悩んでいるわけだし、結婚、伴侶……その言葉の意味が急にずっしりと現実感の重みをもってオレへとのし掛かっている。
イタチのことが嫌いなわけではない。
寧ろ、好きと言えるだろう。
だけど、その好きは弟分に対する親愛の好きだということくらい、他者に指摘されずともよく自分で理解していた。
イタチとはこれまでも婚約者だったけれど、それでもイタチといずれ結婚せねばならないということを、無意識に今まで思考からは外してきた。
けれど、あいつにああまではっきりと気持ちを言われた以上、考えないままでいるわけにはいかないだろう。言われても考えないなんて、それこそあいつに失礼だ。だから考える。けれど……。
イタチのことは、好きだ。
イタチのことは可愛い。多分この世界で1番大切だと思ってる。
それもまた本音ではある。だけど……伴侶として先を歩みたいと言ってきたということは、其の先の関係にも進みたいとイタチは考えていると見ていいのだろう。
夫婦となりたいということは、子作りを行うということと同義でもあるので。
つまりは、あいつは……己を抱きたいと、そう思っているということだろうか。
(オレとイタチがそういう関係に? 想像もつかねえ)
ぶっちゃけ、自分が抱かれるというイメージすらイマイチつかないが、相手がイタチとなると余計もやもやしてわからない。そもそも、あいつ伴侶になりたいとか言ってきたってことは、オレなんかにチンコ勃つってことなのか、と思えばかなり複雑な気分だ。
というか、イタチ自身相当涼しげな美貌の持ち主で、なんというか性的なものと無縁そうな感じの外見と雰囲気持っているから余計想像つかないんだよなあ。なんかエロ本読まなさそうというか。
いや、いくらお綺麗な見目と空気持ってようと、なんだかんだであいつも男なんだから、男の生理現象が無いなんて夢見た考えはそれこそ元・男として持っちゃいないし、15歳といえばヤりたい盛りなわけだが、やっぱあいつも自慰くらいしてんだよなーとかそっち系の思考は、含む部分は殆どなくてもなんだかイタチを汚すようで申し訳ない気分にもなった。
(だけど、オレに告白してきたってことは、やっぱ夜のオカズはオレだったりするんだろうか……)
思春期の男子が、好きな子やエロ本をオカズに抜くのはよくあることなので、もし本当にしてたとしても潔癖な乙女みたいに非難する気になれないし、寧ろ健康な証拠なのでそのことについて否定するのはいかんとは思うが、それでももし本当に自分をオカズにされてたりしたら、なんかこう……もにょるな。
というか、オレなんかで本当に抜けるのか?
だってオレだぞ?
が、伴侶として先歩みたいとか言っている以上、抱きたいとは思ってるんだろうからそれは愚問だろう。
……なんだかなあ。
(そもそも、あいつなんでオレなんかが好きなんだ? かっこいいのに)
その辺もちょっと納得いかないんだよなあ。
だって、イタチはかっこいい。
顔だって涼しげな美形で、母親のミコトさんに似た睫も長い凄く中性的な面立ちをしている。が、若くしてほうれい線が入った深い彫りがそこはかとなく渋みを醸し出していて、体格もしゅっとしていて、雰囲気も落ち着きがあるので、とてもじゃないが実年齢通りに見えない大人びた魅力があったし、仕草もなんか優雅だ。
が、イタチが本当にかっこいいのは中身だ。
冷静沈着で視野が広く、1を聞いて10を知るを体現する聡さ賢さ。けれど、そんな優秀さを鼻に掛けるでもなく、自分のするべきことをするというその物腰。一流であることを自負し、実際にそうであろうとして実行しているその姿勢、我欲に走らず里や人を想う優しさにストイックさ。
この世に完璧なんてものはなくても、それでも人がイタチを完璧と呼んだなら納得出来るもの、それがあいつにはあった。まあ、つまりイタチはかっこいいってことだ。強くて人格者とか文句付けようないだろ。
ていうか、こんだけかっこいいんだから、モテないほうがおかしいだろうなと思ってたし、恋人とかこいつ作らないんかなーとかオレはこれまで思ってきたわけなんですが、どうやら本日の告白からして、好きな人というか、オレが好きだったからそういう相手作らなかっただけというのが真相のようです。……なんて勿体ないことしてんだ。お前ならもっと良い相手いくらでも捕まえられるだろ! と思うのはオレだけか。
いや、だってさ、イタチだぜ?
イタチと付き合いたいって女の子いくらでもいると思うよ? なのに本当なんでオレ? 婚約者だから? 婚約者だからなの? いや、でもイタチだし、親の決めた婚約者とかそれだけだけで相手好きになったりするのかね? わからん。というか、オレのどこが良かったのさ……。本気でわからん。
もっと美人で可愛い子にすりゃいいのに。オレみたいな女の紛い物じゃなくてさ。イタチに似合いの優しくて可愛い女の子。探せばいくらでもいるんじゃないかなー。
そしたらオレ、絶対応援するのに。祝福したのに。
なのに、なんであいつオレなんかが好きなんだろ。つか、オレなんかのどこに惚れるようなところがあったんだろう……わからん。
わからんけど……多分それで終わっちゃいけないんだろう。
だって、あいつが告白してきたのは、オレになんだから。
………………。
「よぉ、シスイ。どうしたんだ?」
話しかけられて顔を上げると、そこには顎ヒゲが立派な今日もヘビースモーカーな三代目火影の息子、猿飛アスマが立っていた。
「……先輩」
「やたら暗い顔してやがるが、なにかあったのか?」
そういってちょっと心配そうに片眉を寄せながら訊ねてくるアスマ先輩は今日もイイ人だった。
面倒見いいんだよなあ……この人。いかにも兄貴分って感じで一緒にいてほっとするというか。
紅さんがいるからか、オレに対して露骨に性的な目で見てこないというか。
今も、あくまでも妹分的な後輩に対してというスタンスを崩してないし、本当良い人だ。
ああ、そうだ……。
(……アスマ先輩なら少しくらい話して大丈夫かな)
だから、思い付いたオレはそれを言った。
「あの、アスマ先輩、今お時間大丈夫ですか?」
「ああ? 大丈夫だが」
「じゃあ、あの、飲みに付き合ってくれませんか?」
そういってオレはアスマ先輩と共に居酒屋に向かったのだった。
続く