今回も終わらなかった後日談。次回こそ終わる……筈。
長くなりすぎましたので途中で切りましたが、切る場所に困ったのでわりと中途なところで終わった今回、なんかすみません。
因みにこの後日談考えた時に一番書きたかったシーンは「女らしい」とか「可愛い」といわれてグサグサ心にダメージ負いまくるしーたんのシーンだったり。
ではどうぞ。
……最近イタチがおかしい。
「あの、それぐらい自分で運べるって」
「オレが持ちたいだけだ」
とかいって、悪戯気に口元に笑み浮かべつつオレの買い物袋持ってったり。
「あのさ、イタチ……なんで抱き締めてんの?」
「気にするな」
とかって、以前はオレがハグしたら寧ろ「お前も年頃なんだから節度を持て」「もうオレも子供じゃないんだ」とか説教してきてたくせに、逆になんか突然後ろから抱き締めてくるようになったし。しかも、なんか触り方がエロいし。……というかお前気のせいじゃなけりゃあ、オレの匂い嗅いでないか?
「あの、イタチさん? どうして一緒に入っているのでしょうか?」
「昔もよく入っただろう」
とか言いながら、この前なんか一緒に風呂入ってきたし。背中から抱き締めて素肌ピタってくっつけて膝の上にオレ乗せてさぁ……なんなのお前、いやほんと。
しかも昔洗ってくれた礼だとか言って珍しい笑顔付きで洗ってくるんだけど……触り方も洗い方も明らかにエロいじゃねえか、そっち目的丸出しじゃねえか。
泡立てた指先で乳首の先端サワサワしながら脇下撫で上げてきたり、どさくざ紛れにアソコに指這わして、滑りがよくなっているのを良い事にか、軽く差し込んできたり……! オレが太もも弱いの知ってて、太ももの内側を指の腹でツゥーと撫で上げたりとか、おまけにクリまで弄りやがって、ふざけんな、テメエ。どこのソープランドプレイだ。風呂場は体綺麗にするところであって、エロイことするための所じゃねえぞ。確かに昔はよく一緒に風呂入ったし、お前のこと洗ってやってたけど、オレはんなエロい洗い方なんて一切してなかっただろうが! そんな礼なんていらねえよ!
つか、尻、尻に当たってるからな!? ぼ、勃起させるくらいなら初めから一緒の風呂になんか入ってくるな、阿呆ーっ! ちょ、ほんともういい加減にしろよ、風呂なんかで盛んな、イタチのバカ野郎。いや、結局立ちバック素股で抜いてやったオレもオレだけど……なんで風呂場でわざわざオレ抱こうとするの。
しかも、あ、あいつ、なんか見た目によらず結構絶倫というか、いや、射精回数自体は若けりゃ出来なくもない回数の範疇じゃあるんだけど、持続時間長いし、おまけになんつうか最近の趣味はオレの性感帯開発だったりすんのか? ってぐらいひたすら人喘がせて楽しんでくるし。楽しみ方がオヤジくさいんだよ!
つか微妙にS入ってないか、あいつ……イタチがあんなエロガキとは思わなかった……って、いや、15歳の男子なんて殆どみんなエロガキだけど。寧ろあの年齢でエロ興味ないってほうが頭おかしいぐらいだけど。女が恋愛にキャーキャー熱上げるのと同じぐらい、男はエロに熱あげるのが当然なんだけど。
だけど、なんていうか、エロガキの種類があいつはまた違うっつうか、普通……15歳ってもっと不慣れじゃね? エロ本の知識鵜呑みにして激しい指マンとかかまして女に痛がられたりとかそういう失敗重ねたりする時期じゃね? 初体験となるとマンコの正しい位置とかもよくわかってなくて、ついでに緊張のしすぎでチンコ上手く勃たなかったりして、悪戦苦闘して挿入失敗したりとかしちまうもんじゃね?
オレの場合は初めての時は初カノにリードしてもらったからそれでなんとかなったし、処女だった人生二度目の大学時代の彼女相手とも初カノとの経験があったからこそ落ち着いて対処出来たわけだけど、全くの未経験だとこう……なんていうか上手く出来ないのが当たり前っていうかそんなんじゃないの?
なのに、なんであいつ無駄に上手いの……要領良いっていうかさ。つか、一々丁寧な上に執拗なぐらい愛撫してくるんですけど!? 普通はあそこまで出来ないだろ。あの年頃っつったら、突っ込んで腰振ってさっさと出したいとかで頭いっぱいになったりするもんじゃないかよ。
とりあえず激しくすりゃあ女は喜ぶとか誤解している奴も多い年代だろうし、自分本位なセックスに走りがちで女気遣う余裕無くす奴のが多いんじゃないの。なのになんであいつの場合はセックスの中心が自分じゃなくてオレなの。オレ感じさせることに何故にあそこまで情熱注いでくるの。
もー、やめろよ。本当そういうのやめろよ。同じエロガキでももっと自分本位でいけよ。どうせ追求するんなら自分の快楽でも追求しとけよ。別にオレは快楽なんて欲しくないんだよ。気持ちよくなりたいなんていつオレが思ったよ。お前はオレを「自分の女」として大事にしているだけのつもりかもしれないけど、お前にそういう扱いされればされるほど、オレは精神的に辛いんだよ、畜生。
……どうせなら生きたダッチワイフ扱いされているほうがまだマシかもしんない。
…………というか、過剰な女扱いはマジ止めて、本当それが何よりきついから。
いやまあね? 肉体的にも世間的にもそりゃオレは女ですよ。女ですけど……お前、以前そこまでじゃなかったじゃん。いきなり抱き上げてきたり、ナチュラルにお姫様抱っこしてきたり、手の甲に口付けたりとかエトセトラ、以前はしなかったじゃん。やらなかったじゃん。何故肉体関係持つようになるなりしてくるよ……。
つか、重くもない荷物、代わりに持たなくていいし! いや、重くてもそれも修行と思えば有りなんだから、手助けとかいらないし。なんつうか、そういうことされるとオレがまるで非力に見えるみたいでへこむだろ。いや、お前は善意でしてるんだろうけど! 別にバカにしたり見下してしてるわけじゃないんだろうけど、でもこう……そういうことされると、元男としてのプライド的ななにかが傷つくんです……。
生憎オレには「荷物を持ってくれたわ。嬉しい。優しいのね、ポッ」とかそういう乙女思考回路は備わってないんだよ……普通に非力扱いされているみたいで悔しいんだよ……。
確かに今のオレは肉体的には女だし、身長は154㎝しかないし、体重も46㎏がせいぜいだし、肩幅狭いし、手足も平均より小さめなくせに乳と尻だけでかい女を強調したような体型してるけど(この前下着注文する為胸計ったらGカップもあったんですけど!? アンダーは63㎝しかないのになんでだよ)、つか見た目童顔小柄系だし普通に弱そうなんだけど、これでも男だった前世よりも今のほうが体力も腕力も膂力もあるんだぞ……いや、前世のオレが男としてはヘボスペックだったってのもあるんだけど。
でも男としては底辺な運動神経や能力しか無くても、男として産まれた以上は、男としての役割である力仕事とか他を何かと求められるほうが普通で、能力が足りて無くても女みたいに助けられたりとかもなく、オレ自身もそのことについては特に不満とか抱く事もなく、まぁ当然だよなと受け止めて生きて死んだわけで、確かに今のオレは世間的に女かもしれんが、心まで女になりきった覚えもなけりゃあ、前世より今のほうが身体スペック上なんで余計に、こう誰かに頼ろうかなーとか助けられたいなーとかは微塵も思えねえわけだわ。
女は非力でか弱いから守るものとか言われても、其れを言ったら男だった前世のオレのほうが色んな意味で弱かったわけでして。確実に体女の現世のオレよりも、男だった前世オレのほうが非力でか弱く体力も無かったわけだから、なんか本当今の体で非力扱いを受けると納得いかないんだよなあ……。だって今のほうがガチで強いわけだしさ……。
背中を預け合ったりとか、助け合うことについては、チームプレイが大切である以上必要だと思っているし、互いの命もかかっている以上、任務だったら出来ない事は出来ないでちゃんと得意な奴に任せたりはするけど、それでもなあ、自分でなんとか出来る事は自分でなんとかするもんだろ。それが大人のマナーって奴だし、助けて貰う事前提に動くって「それなんて甘え?」って感じだし、こう一方的に助けられたり守られたりとかはな、本当無いわ。
お互い様の上の関係なら別にオレだっていいんだけどねえ。でもなあ……イタチのあれはなあ、明らかにこう……オレをなんていうか、守るべき女の子扱いしてるだろ?
本来はさ、それって喜ぶべきなのかもしれないし、多分喜んだほうがあいつも嬉しいのかなあとは思うんだけど、でも本当あいつには悪いけど、あいつのお姫様扱いには悔しさと気持ち悪さしか感じません……。なけなしのプライドがゴリゴリと削られていきます。
だからなんつうか……しんどい。
あと、あいつと一線越えてから今日で3週間になるわけだけど、その間セックスやそれに類する行為(一方的にイかされたりとか、手コキや素股で抜いてやったりとか含む)に発展した回数が13回にもなるんだけど、オレもあいつも現役の忍びだし、内何日かはこう任務で里離れていた期間とかあったりしたわけですよ?
だからその辺の事情鑑みれば、実質あいつ毎日オレに欲情してるも同然じゃないのか、この現状。っていうか、何? なんでお前そんなにしたがんの、触わんの、だからエロガキなの。一回したらちょっとは満足しろよ、本当。せめて発情は3日に1度に減らせ!
つか、次の日非番なのを良い事に抜かずの3発とかお前この前かましやがったけど、普通に考えてあれ男側も疲れるだろ!? しんどいだろ、なんでしんどくないんだよ! オレなんか昔連続2回抜くの試しただけでもしんどかったわ! 射精した後は体だるくて動きたくなくなるというか、疲労感で眠くなるっつうか、チンコ過敏になっているから弄って欲しくないっていうか。てか一度イったらそんな簡単に復活出来ないだろ、なんでお前本当そんなに復活早いの。体力どんだけ有り余ってるのさ。
いや、知ってたけどね。昔からイタチが見た目と違って身体能力クソ高いことぐらい。運動神経良いだけじゃなく体の動かし方1つとっても常人と違うし、要領滅茶苦茶良いし。そりゃ体力だってそこらの奴には負けないよね。でも性関係でまでそんなの発揮しなくてもいいだろうに……。
ていうか、そんな連続で抱きたいと思うほどの魅力をお前は一体オレのどこに感じているっていうの?
そんな大事にしようとしてきてさ、オレなんかの一体どこに惚れ込んだというんだ……。
認めたくないことだが、ルックスだけならオレは結構男受け良いプロポーションしているから、体目的での好意ならまだわからんでもないけど、中身込みでオレが好きとか悪趣味だろ、お前。
なんてのはまあ、イタチに告白された時からオレがあいつに対して抱いている疑問や感情でもあるわけなんだけど、自分1人で考えていても仕方ないので、とりあえず客観的な意見を聞こうと相談してみようと思ったのが、オレが処女喪失をした日の翌々日。うん……まあ、つまり最初に思い付いた時から早3週間弱経ったわけだけど、未だに誰にも相談出来ていません。
が、イタチも任務で昨日から2週間ほどの長期任務についたことだし、相談先である先方の都合もついたので、とうとう呼び出してみることにしました。
待ち合わせ場所は、木の葉の里内にある女性受けの良さそうなちょっとオシャレなカフェだ。
デートスポットに最適そうなそこに入る客層は殆ど若い女性客かカップル達となっている。内装も落ち着いているけどピンクと白が基調でいかにも女性が好きそうな感じだ。そんな普段のオレならまず足を踏み入れないような店の最奥の席を陣取り、オレは彼女を待っていた。
(うう……こういうカフェ、オレ一人で来る事まずねぇから落ち着かねえ……)
いや、ミコトさんに連れられてここには以前一度来た事あるんだけど、この手の女性受け良い店は前世でも妹か彼女連れでもないとまず入店することなかったから、こう尻の辺りがモゾモゾするっていうか、本当落ち着かないんだよ……。オレ場違いじゃない? おかしくない? 浮いてたりしない?
でもなあ、待ち合わせ相手は年頃の娘っ子だしなぁ。アスマ先輩みたいに庶民的な居酒屋でとかで済ますわけにもいかないだろうしな……。
と、そう思っていたら待ち人が漸く来たらしい。
「先生久しぶり」
そういって半年ほど前に中忍に昇格してオレの下を離れた、オレの元担当下忍だった黒髪ポニーテールの少女は、そういってサッパリした声でオレに声をかけ手前の席へと座った。
さて、何故イタチと同年代のこの少女に相談を持ちかけたかについてだが、なんていうかオレが一番相談しやすい相手はアスマ先輩だったりするわけだけど、ほら、一応世間的にはオレとアスマ先輩は異性同士なわけだし、アスマ先輩も普通にオレの事は女の後輩と認識してるわけなんだよね。
だからこう、あんまアスマ先輩ばっか頼ってると、紅さんや世間がオレと先輩に対し要らぬ疑いとかかけてきそうだし、あとは女が男に対し魅力があるのかどうかの類の質問をするのって、普通その相手が好きか気になっているからこそのアピールと思うわけじゃない? オレの場合は実際違うけど。でもこう多分聞かれたら先輩も困ると思うんだよなあ、本音と建て前とか色々あるだろうし、あの人良い人だから。というわけで、相談相手候補からはアスマ先輩は外さざるを得なかったわけだ。
なら、あとは肉体的に同性相手に聞くしかないんだけど、ぶっちゃけオレって女に嫌われてるんだよね……。
オレとしては特別なんかした覚えないんだけど、昔から嫌われているもんは嫌われているから仕方ねえのよ……ていうか外見フツメンド真ん中だった前世のほうがまだ女友達とかいたレベルの、こう現世での女性との相性の悪さですよ? どうしてここまで嫌われてんのかオレが教えて欲しいくらいだよ。畜生。
つかアカデミー時代とかは露骨にくノ一クラスではいびられ、嫌がらせされるのが日常茶飯事だったりして。オレ自身は女の子は普通に好きだったから、水ぶっかけられたり、教科書破り捨てられたりとか、他色々と女の子達にされた仕打ちは結構ショックだったもんだよ……。
まあ、彼女達曰くオレは「ぶっているからムカツク」らしいんだけど……オレがいつブリッ子などしたというのか……頼まれてもしねえよ、畜生。それにオレがいつ男に媚び売ったよ。身に覚えがなさ過ぎて泣きそう。あと胸でかいのも鼻につくらしいけど、それこそオレにどうしろというんだ……別にオレだって要らんわこんなの。オレの好みのタイプは指の綺麗な黒髪落ち着いた娘だよ。デカチチ興味ねえ。
そんなわけで一般女子に嫌われまくっている現状、世間的に同性といえる相手でオレと一番仲が良いのが誰かっていったら、そりゃイタチの母親であるミコトさんだったりするわけなんだけど、でもね、オレが持ちかけようとしている相談内容的にミコトさんって一番NGな相手なんだよね。
だって、あれだぜ? つまりオレの相談内容って、「オタクの息子さんはなんで私みたいなのに惚れてるんですかね? 悪趣味だと思うんですが。あと息子さんの愛が重くて辛いです」ってことでもあるわけで……そんなの口が裂けてもミコトさんに言えるか。っていうか、言ったら絶対あの人悲しむわ。
つか、オレがあいつのことそういう意味で愛していなかったくせに肉体関係結んだとか、多分あの人が知ったらショックで倒れるんじゃ……ミコトさん、オレがイタチのことを恋愛的な意味では全く愛していないこと気付いていないっぽいし……。
……イタチの奴の場合は、オレのあいつに対する感情に恋愛感情は含まれていないことは理解した上で、けどオレにとってイタチ以上に特別な相手も大切な相手もいないことも同時に見抜いているから、なんだかんだで自信家のあいつとしてはライバルもいないことだし、既成事実を積み重ねていってたら、そのうち自分に靡いてくれるだろうから、今は自分を異性として愛してくれてなくても問題無いとかそういう考え持ってるっぽいんだよね。まあ、そりゃ確かにイタチ以上にオレにとって大切な奴はいないのは事実だけどさ。
だからオレがあいつをそういう意味で愛していないこと自体は気にしてないっていうか、愛するようになるまで時間の問題とか高を括ってやがるからあの余裕の態度でこっちを恋人扱いしてきやがるわけだけど、ミコトさんはそうもいかないだろうからなあ。
ていうか、料理教えてもらったり、初潮来て泣きそうになった時に対処法教えて貰ったり、髪切ってもらってたりとか、昔からオレにとってもミコトさんはもう1人の母親みたいなもんだったし、あの人にあんま心配かけたくないから、やっぱ相談相手にミコトさんははじめっから却下だな、うん。
となるとそれ以外になるわけだけど、現状オレに親友と呼べるような女はいないし、女で親しい相手も極端に少ないので、割と消去法でこういった関係の相談とか出来そうな子というば、彼女ぐらいしかいなかったんだな……。
いや、彼女も別にオレと凄い親しいとかはないんだけど、それでもなんていうか彼女はオレを無視したりはしないし、言いたい事ははっきり言ってくるタイプだから、こそこそ陰口とか叩いてきたりはしないし。
それに、ほら? 恋愛って基本女の専売特許じゃん? 精神的にも大概女の子のほうがませてたりするわけだし、この子も昔から敵に突撃かますような武闘派くノ一っ子でお転婆なタイプではあったんだけど、意外とガサツって程でもなかったし、なんだかんだでませてたり女の子らしいところもあったから、この手のことについては頼りになるんじゃないかなあ、なんて思ったり。
それに、イタチと同年代だしな……。
「それでシスイ先生、相談したいことって何?」
と、そんな風にオレが自らの思考に嵌っているうちにしっかり店員に注文も終わっていたらしい。イタチと同年代の少女は抹茶白玉パフェと紅茶を注文しつつ、ポニーテールを揺らしながらさっぱりとした声でそうオレに尋ねた。
相談したいこと、か。
えーと……自分で相談持ちかけておいてなんだけど、これどう説明したらいいんだろな?
「あ、うん……」
なんて言いづらくオレが口ごもっていると、彼女は眉をへの字に曲げながら、こんな風に言う。
「ていうか、珍しいよね。あたしに相談持ちかけるとか。シスイ先生が任務関係であたしに相談するわけないしさ……となると、何? 例の婚約者の彼となんか進展あったとか?」
……おう、中々鋭いな、おい。
というかそんな風にニヤニヤして聞いてくる辺り、マジで女の子って恋愛話好きなんだな。元男としては他人の恋愛でそこまで盛り上がれる女子の気持ちがよくわかりません。
いや、当たらずとも遠からずなんだけどね、相談内容……。
「いや、あ、うん……まあ、そのイタチのことも関係してるんだけど……」
「へぇ? カマかけただけなのに当たってたんだ? シスイ先生が恋愛の話とか珍し~……で、何? ちゃんと聞いてあげるから言いなよ」
とか、釣り目がちのサーモンピンクの瞳を細めて、ニヤニヤしながら頬杖ついて聞いてくる少女に、嗚呼面白がっているなあこいつ、となんとも微妙な気分になりつつも恥を忍んでオレはポツリと呟くような声で言葉を押し出した。
「いや、その……3週間ほど前に、私、あいつに告白……されたんだけど」
「へえー……てっきりとっくに付き合ってると思ってたんだけど、そうじゃなかったんだ? どういう風にどんなシチュエーションで告白されたのか気になるとこだけど、それで?」
「あ……うん。それで約2ヶ月後に結婚することに決まったんだけど……」
「進展早っ!?」
それはオレも思ってる。
「それでなんかこう……結婚決まってからこれ以上なくあいつベタベタしてきて……な、なんかやたらと私のこと求めてきたり、お姫様扱いまでしてくるし、でもなんであいつが私なんかに惚れてるのかわからないっていうか、いくら結婚決まったからってなんでこんな態度取ってくるのっていうか……私なんかに女の魅力なんてもんがあるのか? みたいな……」
「それ本気で言ってる?」
そうオレがしどろもどろに悩みの一端を吐露すると、武闘派くノ一っ娘は口元をヒクヒクと引き攣らせながら、なんだかえらく冷たい声でそう訊ねてきた。
……なんかこういう視線すっげーデジャブあるんだけど。あるぇ?
そう思いつつも、動揺しつつオレは言葉を続ける。
「いやだってさ、イタチはかっこいいし可愛いし、強いし、美形だし、自慢の弟分だったし、あいつが私なんかに惚れている意味がわからないし。というか、そりゃ同族だし兄弟同然に育ったけど、あいつと私じゃ全然釣り合ってないよね?」
「客観的に見たら、お似合いにしか見えなかったけど?」
と、元担当下忍だった黒髪ポニーテールっ娘は、更に冷たい声でそうオレに言葉返してきたんだけど。あれ?
……それより客観的に見たらオレとイタチがお似合いにしか見えなかっただと? そんなバカな!?
「で、でもさ、ほら、私こんなんだし!? 他の娘みたいにオシャレにも化粧にも興味ないし、結構我が儘だし自己中だし、私に女らしさなんてもんがあるとも思えないし、ぶっちゃけあいつに大事にされる価値とか全くないと思うんだけど!」
「こんなもん胸にぶら下げといて何を抜かすかーーー!!」
「いでぇっ!」
そう怒鳴るように叫ぶなり、彼女はムギュッと机の上に乗っかっているオレの胸を容赦のない力で鷲掴んだ。
「そんなことを言うのはこの胸か! この胸が言うのか、この、この!」
そういうなり、なんかどっかのAVで見た事ある気がするぞこれってぐらい、乱暴な仕草で荒々しくオレの胸をモミュモミュモミュと高速で揉みしだいてくるんだけど、容赦も遠慮の欠片もないそれはちょっと、想像以上に痛くて、ちょっぴり涙目になりながらオレはギブアップを要請する。
「ちょ、痛い、痛い。それマジで痛い! もげるからやめれ!」
「くそぉ、弾力あるのに柔らかいな、これ! 指が沈んでマジプニプニ気持ちいいんですけど! こんなもんぶら下げといて何が女らしさなんてないだよ、ムカツク。ちょっとはわけなさいよね、本当」
とか、プンプン怒っているけど、だから痛いよ!?
「ちょ、本当それやめてってば、痛いから!」
「ええい、この巨乳が! おっぱい星人が! 無い者の気持ちを少しは知れっ!」
「ひゃう!?」
そういうと今度は指から力を抜いて、指先で先端を掠めるように擦り上げ、手加減して揉んできやがったので、不意打ちで思わず変な声……というか明らかに嬌声? を漏らしてしまい、それに吃驚して手の動きを止めた少女を前に、思わずオレはカァーと耳まで真っ赤に染め上げて、口元を自分の手で塞いだ。
(な、なにやっとんじゃ、オレはーーー!?)
ていうか、さっきまで力任せに揉んできてたくせに、いきなりソフトに触れるもんだから、最近のイタチの執拗なあれもあって変な声、変な声出たんだけど。ちょ、ここ喫茶店! こんなところでなんつう声出してんだ、オレは。っていうか、お前も揉むな、阿呆ッ!
「せ、先生……?」
「…………ッ」
案の定、このお転婆娘も固まってやがりますよ!? いや、そりゃそうですよね。こんなところであんな声出すなんて誰も思いませんよね!? 嗚呼、くそ恥ずかしい。穴あったら入りたい。凄い恥ずかしい。うう……。
なんて赤面したまま顔を塞いで俯き、羞恥に身悶えていると、この黒髪ポニーテール娘っ子は何を思ったのか、再びそろりとオレの胸に指を這わせて、ムニムニと人の胸を揉んできた。
「ひ、ん……ッ、ぁちょ、やめろって……揉むなーッ」
「へー、先生、胸弱いんだ?」
そういいながらやたらとニヤニヤしているけど、お前は何か、いじめっ子か!? なんでそんなに楽しそうなんだよ。そう思いながらちょっぴり涙目になって羞恥で真っ赤になった顔のまま睨んでくるオレを前に、彼女はなにやら満足したのか「あははは」と朗らかに笑うと指を放して、楽しそうな声でこう言った。
「シスイ先生、かわいー」
う、嬉しくねえっ。
……とそんなことを思っている内にオレが注文した品がやってきた。因みに抹茶オレと白玉餡蜜だ。
とりあえず、抹茶オレを一口口付けて、気持ちを切り替える。
ふぅ……甘い。ぶっちゃけオレは抹茶オレより普通の抹茶のほうが好きなんだが、メニューにない以上贅沢も言えないか。
そんなオレを見ながら、武闘派くノ一っ子はうーんと軽く考えるような仕草をしつつ、首を傾げると、先ほどの勢いはなんだったんだってぐらいサッパリした声でこう言った。
「しかしねえ、シスイ先生。昔からモテてよく告白されてたくせに、なんで自分は女らしくないとか大事にされる価値ないとか思ってたっていうのよ。先生だから違うんだろうなーってわかってても、嫌味にしか聞こえなかったわよ」
うぐ……男に告白されやすいこれまでについては正直忘れていたかったりするのに、突いてきやがった。
いや、まあ確かによくされたけどね、告白。だけど……。
「あのな、私に告白してきた奴の大半はただの体目当てだぞ?」
……そうなんだよ。オレに告白してきた奴らの8割ぐらいはただの体目当てであって、別に『オレ』に興味があったわけじゃないんだよ。その辺は元男だったからこそ、余計によくわかるんだよ。嗚呼、こいつオレの体にしか興味ねえんだろうなー……って。胸とか尻とかに露骨に視線が集まりまくってたし……。
まあ、確かに時々本気っぽいのも居たけど、多分それも付き合いが浅くてオレのことを表面的にしか見てなかったからなんだろうし、本気の場合は振った途端豹変し、無理強いして唇奪おうとしてきたりとかはしないしな……。
「要するに、ヤりやすそうな、遊びやすい女なんだろうと思われてたってだけだよ。使い捨ての玩具と同じだ。別に私自身を見てどうこうってわけじゃない」
そう吐き捨てるように言い捨てる。
つまり、なんだ……オレは簡単に股開いてくれそうなビッチだと思われてた&男から見ると見えてたってだけの話だ。処女崇拝嗜好こそないけど……オレ、ビッチとか寧ろ嫌いなんですけど。
そんなに隙が多くヤりやすそうに見えたのかと思えばへこむポイントになりはしても、一部の「私ってモテるのね!」って勘違い女子のように喜ぶポイントにはなり得ない。そもそも、真っ当な彼女候補ではなくヤり捨て対象として見られるって、体だけしか取り柄がないと、馬鹿にされ見下されているようなもんだしな。
「えーと……そんなことも、ないんじゃないのかなー?」
「事実だよ。あの手の奴らは一発ヤれたらそれで満足して、私なんかには興味無くすだろうからな。まぁ……させないけどさ」
多分男に対して思春期の女の子らしく幻想も持っているだろう彼女は、そう困ったような声でオレをフォローしようとするかのような台詞を吐いたが、それに対しオレはそんな風に淡々とオレの分析した男の心理について語った。
それに対し、複雑そうな顔をして、ポニーテールが可愛らしい少女は言う。
「先生ってさ……子どもっぽいかと思えば、時々妙に悟っているというか、達観してるとこあるよねぇ……。でもこう、自分に近づいてくる男を体目当て扱いってのもどうなのかなーっていうか、もしかしたらその後ロマンスもあるかもしれないじゃない。それとヤるとかヤらないとか結構お下品だよ? 先生も女なんだからそういう物言いはどうかと思う」
「む……悪かったな。口悪くて。それと女が思っている以上に男は恋愛には興味ないやつのほうが多いぞ」
……実際、前世では高校バンドしている時、バンド仲間でヤリチンだったやつ何人かいたけどそいつら見事に恋愛には興味なかったからな。オレは好きでもない娘は抱きたくない派だったから、乱交の誘い断ったけど。
「……」
とか思ってたらなんか微妙そうな顔で見られた。
「何?」
「いや、やっぱシスイ先生は変わってるわ、と思って」
変わってて悪かったな、と思いつつ白玉餡蜜を口に運んだ。あ、結構甘さ控えめであっさりしてて美味いなこれ。とか思っているうちに彼女の注文したパフェや紅茶もきたらしい。彼女はホットの紅茶に角砂糖1つ入れてかき混ぜ口付けると、ふうと一息入れてそれから言った。
「本当はさ、こういうことはっきり言うのはこっちとしてもあんまり気分良くないんだよね。悔しいというか、ムカツクというか、同じ女として嫉妬もあるし。あまりにもあまりすぎて嫌味か! って思うけど、先生の場合は天然入っている上にどうにも自分を過小評価しているみたいだから、この際はっきり言っておくわ」
「う、うん?」
そういうと彼女はキッと眦をつり上げて、半分睨むような顔でオレを見ると言った。
「あのね、先生。先生は自分の事女らしくないとか可愛くない、体だけみたいに思ってるっぽいけど、あたしの目から見ても充分シスイ先生は可愛いから!」
……え?
「というか、なんで自分のこと女らしくないとか思い込んじゃってるわけ!? 確かに時々妙に口悪いなーというか、其の発言は女としてどうなの? って思う事もあるけど、それ差し引いても先生は充分女らしいよ!」
お、女らしいだと!? そんな馬鹿な……っていうか痛い! 胸にグサッと、なんか胸にグサッと突き刺さった!
「家庭的だし、仕草とか結構上品だし、気遣いも出来てさー。料理も美味しいし、綺麗好きで清潔好きだし、笑顔可愛いし、任務中はしっかりしていて格好いいくせに、普段はちょっと抜けてて天然入ってるし」
ヤバイ。グサグサささる。何これ痛い。
「上目遣いと泣きそうな顔のコンボが嫌味かわざとやってんのかってくらい可愛いし、おっぱいおっきいし、恥ずかしがりだし。ちょっと純情っぽいとことかいじめてみたいなーってぐらい可愛いよ!」
か、か、か、可愛いとか連呼するなーーー! うわああ、泣くぞ、ごら。胸がいてえええ!
「悔しいけど、そりゃモテるだろうなーっていうか、見た目からして先生は守ってあげちゃいたい系女子でしょ。男が放っておかない気持ちあたしにだってわかるもん。なのにさ、なんで自分は大事にされる価値なんてないとか思っちゃっているわけ?」
もう、それ以上言うのやめてくれませんかね? へこむよ……。元男としてのプライドがガタガタですよ? ほんと泣きたい……。
いや、悪気ない言葉だとわかってるんだけどね。そもそも女にとっては褒め言葉だろう言葉並べられてダメージ受けるオレのほうが世間的にはおかしいわけだし。でも女らしいだの可愛いだのと言われても全く嬉しくないもんは嬉しくないんだよ……。
……あと、オレがイタチに大事にされるような価値ない屑なのは事実なんだけどな……。
「っていうか、求められたり、大事にされたりそれって、イタチさんにシスイ先生が愛されているってことでしょ? それの何が不満なわけ?」
そう心底わからないという顔をしながら、パクリと彼女はパフェを口に運んだ。
何が不満だ……といわれたら、なにもかもだ、と言いたいところだけど、強いて言うなら……。
とりあえずしどろもどろに白玉餡蜜をつつきながらもオレも答える。
「ほら、なんていうか私は愛されるより愛したい派というか……守られるより守りたい派っていうか…………こう、一方的に守られるみたいなのはちょっと……」
「先生、女はね、愛されてこそ綺麗になるものなんだよ?」
いや、別にオレ綺麗になんてなりたくないし。
「というか、先生はイタチさんのこと嫌なの?」
「嫌というか…………その……」
嫌いじゃないけど、恋愛対象には見えていないんだな……。
そうやって口ごもるオレを前に何を考えたのか、黒髪ポニーテールっ娘は紅茶を飲み干してから言った。
「わかった、質問を変える。シスイ先生はさ、イタチさんが別の人好きになって、別の女の人に求婚したりしたらどう思うの?」
「イタチが? そりゃ祝福するよ」
そう即答すると、何故か彼女は絶句して口元を手で覆った。あれ?
「えと、嫌じゃないの?」
「なんで? 嫌なわけないだろ。寧ろ喜ばしいことだよ。イタチが好きになるんだからきっと良い娘だろうし、私なんかを娶るよりそのほうがずっと良い。誰が反対しても私は応援する。障害は私が取り除く」
まあ、一族以外の女とだったら、多分一族は反対するんだろうが、それぐらいオレがなんとかするし、あいつが本当に惚れた相手と一緒になれるためなら、ぶっちゃけ恐いし嫌ではあるんだけど、あいつの分も一族の『義務』ぐらいオレが其の分請け負ってやるし、文句は言わせない。
あいつが幸福であってくれるなら、それぐらい全然かまわない。
そう思うオレに対し、イタチと同年代の少女は「参った……」なんて言いながら、痛そうに頭を抱え込んでいるんだが、オレは何か変なことを言ったのだろうか?
「先生がここまで自分がどうでもいい人だったとは思ってなかった……」
「?」
「あーもう、逆に聞く。先生は好きな人いないの!? 好きな人が本当はいて、だからイタチさんの想いを受け止めきれないとかそういうのだったりはしないの!?」
なんでかやけくそ気味に言われたんだが、一体なんでお前は怒ってるんだ? 年頃の娘ってよくわからんな……。
「LIKEの好きだったら沢山いるけど、異性としてなら居ないな」
「なら、どうしてイタチさんに応えたの」
それは……。
あいつがオレのことを好きだといい、あいつを悲しませたくなかったから。
それでもきっとオレは一族の義務さえなければあいつを受け入れようとは思わなかった。だから。
「…………大人には色々と事情があるんだよ」
そう答えると、彼女は悲しそうに目を細めて、呟くような声で言う。
「それじゃあ先生の気持ちはどうなるの?」
「…………」
それに答える言葉をオレは持っていなかった。
「シスイ先生、女は恋をすることによって美しくもなり強くもなるんだよ。もしイタチさんの想いを受けるのが義務とかそんなんだと思ってたらそんなのイタチさんにとっても失礼だよ」
「……だが、あいつは私に惚れている」
オレにはその理由が理解出来ないけれど。
「あいつを傷つけたくないんだ」
「ならもう受け入れたらいいじゃない」
「受け入れているじゃないか」
そうオレが答えると、彼女は呆れたような声でこう言った。
「それ本気で言ってるの? 受け入れれてないでしょ。だからなんで自分なんかに惚れているんだ? とか言ってるんでしょ。愛されて守られて大切にされて、いいじゃない。女の子の憧れだよ。手を伸ばせばすぐ届くところにあるのに、自ら女の幸せを捨てるなんて不器用通りこしているよ。なんでもっと楽に生きられないのかなあ?」
……悪かったな、そもそもオレにとっては『女の幸せ』は別に幸せじゃないんだよ。
「価値がないとか自分を卑下するのも無し。幸せは自分で掴むものだよ、だからいっそ悩むのは止めて楽しみなよ」
「楽しむって……?」
そう訊ねると彼女はいたずらっ子のように笑って、こう言った。
「そりゃ恋の駆け引きをだよ」
……ごめん、この子が何を言っているのかわからない。
え? なんでなにをどうすればそうなるの? 女の子ってよくわからない。
「確かに今の時点ではシスイ先生はイタチさんに惚れてはいないのかもしれない。それは話聞いててよーくあたしも理解したけど、これからもないなんて言い切れないよね? だから自分はまず「イタチさんに恋をしている」と思い込んでみるの」
「は、はぁ……?」
そうはしゃぐような声で言われるけど、いやいやお前何言ってんの? という気分です。
「そうやって恋の駆け引きを想定してゲームを自分に課しているうちに、もしかしたら本当にイタチさんのことを好きになっているかもしれないでしょ? 要するに自分を騙すの。それが大事」
自分を騙すねえ……それで恋の駆け引きゲームって発想が出るあたり、マジ思春期の女の子って恋愛好きなんだな……。恋ってのは、こう一緒にいてドキドキしたりして初めて産まれるもんだと思うんだけど。
「たとえ偽装恋愛だとしても、そうと思って行動してたらそのうち脳が本当だと錯覚するかもでしょ? それに元々シスイ先生はイタチさんのこと好意的に思っていたわけだし、そんなに難しいことでもないと思うけど」
なんか自信満々に語っているけど、いや本当にそうか?
とは思いつつ、水を差すのも悪いかなと考え余計な口出しをしない程度にオレは訊ねる。
「と言われても、具体的にどうしろと?」
「そうね、まずはイタチさんが帰ってきたら今までと違う行動に出てやきもきさせてみたり? 気まぐれで翻弄させるのってまさに魔性の女って感じよね!」
とか言いながらキャーとかいう辺り本当お前乙女ね!?
……やきもきしているイタチとかイマイチ想像つかねえんだけど、オレ。
「あと嫉妬心煽るってのもどう? たとえば別の男の人に気があるように見せて、ヤキモチ妬かせるとか」
その言葉にピクリと反応し、仏頂面でオレはこう言った。
「あのな、男に対してそういうのは最悪の悪手だぞ」
続く