※この作品はR-18です。

楽園は消えた   作:EKAWARI

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 ばんははろ、EKAWARIです。
 えー、IFパロルート後日談漸く今回で完成です。いやあ、無駄に長かったですね!
 次回はえろじゃなくてほのぼの幼少時代外伝アップすると思います。
 理由は、ほのぼのが書きたくなったから、なだけですが。
 まあ、どうぞ。


後日談その6

 

 

 

 月明かりが差し込む。

 浮かび上がった肢体とその光景にオレは知らず息を飲む。

「無理はするな」

 そう声をかけつつも、悦びは腹の中に澱み滲み回る。

 それに「……大丈夫」と言いながらも震えている体が愛おしかった。

「ん……く」

 自らオレの上に跨り、着乱れた赤い着物を黒レースの帯で止めたそんな酷く婀娜っぽい姿で、結い上げた黒髪を乱しながら、オレの陰茎を指に絡め、其の先を自分の秘部の入り口へと押し当て挿入準備を整えている姿や、赤い唇が色っぽい。

 しかしそうやって乱れた着物姿のままオレの上に跨る姿は淫靡でさえあるというのに、震える指やどことなく怯えた体は稚く、泣きそうな表情は嗜虐心を酷くそそるもので、そのまま虚飾を剥いで泣き縋らせたいような残酷な衝動が身の内から沸き上がる。

 ……無論、それを実行に移すわけにはいかないことは理解しているが。

 それでも、まさか彼女が、シスイがオレの上に跨ろうとするとは思わなかった。

 嬉しい誤算というべきなのだろう。

 勿論これがシスイの強がりであり、無理を通しての行動であることは理解している。

 そも、彼女が今までオレとのセックスを好意的に望んで応えたということも未だ無い。オレが望めば結局拒みきらない時点で肌を許してはいるのかもしれないが、それでもだからといってシスイがオレとのセックス自体を好いていると自惚れる気まではない。

 多分彼女の心は未だオレを受け入れ切れていないのだろう、とそう思う。

 けれど、それでもそうしてオレのために無理をしてでも受け入れようとしてくれているシスイの心が、オレには嬉しかった。

 そうやって無理をする姿を見る度、彼女の中で如何にオレが特別であるかを実感する。独占欲が満たされる。愛おしく思う。無理をしながら、震える姿が可愛らしい。

「く……ふぅ……う」

 ズルリと亀頭部分が柔肉に食まれ、ヌルヌルの女陰の中へと包まれる。震える彼女の手はオレの両腰へと回され、太ももはフルフルと震えている。赤い着物の隙間から見えるキスマークの痕がいくつもついた首もとや胸の谷間も色っぽく、彼女が動く度にシャラリシャラリと簪が涼しげな音を鳴らす。

 泣きそうに益々細められる瞳は健気で切なげで、婀娜めいた肢体に反してあどけなく、けれどだからこそ倒錯的な色香を強く醸し出している。

「ん……ッ、ふ、く」

 やがてオレの一物は全部彼女の中へと収まり、狭く柔らかでヌルヌルの膣肉へと包まれたそのことに強い興奮を覚える。下から見上げれば、シスイの全身がそこに映り、苦しげに息を吐く姿や、彼女の呼吸に合わせて上下に揺れる豊かな乳房に、着物や赤い唇とのギャップで益々浮き彫りになった健康的ながら白い肢体が艶っぽく、またそうやってオレに全てを晒し出すかのようなその体位に、男としての征服欲や支配欲も満たされ、ジワジワとしたあまり人に褒められたものではない種類の悦びも浸透していく。

「あ……ぅ……」

 ヘタリと、力なくオレの腹に手をついて、シスイはどうすればいいのか困ったかのように益々泣きそうな顔になりつつも、軽く左右に腰を揺すった後、呼吸を整えるように動きを止める。

 少し前倒しになったシスイの姿勢に合わせるように、彼女の身体サイズから考えると些か大きすぎるぐらいの胸がフヨンと揺れるのが目にも楽しく、つい意地の悪い問いかけを放つ。

「……動かないのか?」

 それに泣きそうな顔ながらも、カァァーと顔を赤らめ、「ぅ……」とこれまた泣きそうな声で小さく言葉を漏らしながら返事につまる姿が可愛らしくて、オレはそっと彼女の両手に自分の手を重ね、悪戯に下から彼女の体を突き上げた。

「ひゃう……!」

 ビクビクンとオレの行動に反応し、シスイの体が大げさな程に飛び跳ねる。そんな彼女が楽しくて、下から何度も突き上げ、シスイの良いところを幾度も擦り上げると、彼女は耐えきれなくなったように、上半身を支えきれなくなって、オレの胸の上へと落ちてきた。

 フニュフニュと柔らかく大きな胸がオレの動きに合わせて揺れながら擦れる感触がなんとも気持ちいい。陰茎が柔肉にキュウキュウと締め付けられる度に快楽が腰骨を通り抜け、もっと欲しいと望む気持ちがより一層強まっていく。

「ちょっと……待……ぁ、ぅあっ」

 ビクビクと体を揺らしながらも、引き留める言葉の合間に嬌声を漏らす彼女が愛おしくて、そんなシスイの声にもっと聞きたいと益々強い興奮を覚えていく。

 その感情のままに下から突き上げながら、上半身を起こし、騎乗位から対面座位へと体勢を移行させる。

「あっあ、ひ……ぁ、アっ」

 ペニスが奥深くまで入り込んだのを感じてか、彼女はハクハクと息をしながら、思わずといった感じで艶めいた声を漏らしながらオレの背へと両手を回ししがみつく。そんなところも愛おしく、オレもまた両手をシスイの背へと回し、数回背中を優しく撫でた後、柔らかくハリのある尻肉と引き締まった腰の辺りを掴み、彼女の体を僅かに浮かし、グラインドさせるように揺さぶった。

「ぅ、あ、ッ……あ! ひ、ぃタチ……ヤダ、あ、ぅアあ……!」

 強引に自分の体をオレの手で動かされ、何度も良い所にあてるように陰茎で掻き回され、摩擦でクリトリスも擦り上げられる感覚に身悶えするように、オレの背中を益々ギュウギュウと腕で締め付けながら、シスイはビクビクと体を揺らす。そのたび、揺れる柔らかな胸がヒタヒタとオレの胸板に当たって擦れる感触や、締め付け蠢く蜜壷の感覚が気持ち良く、オレは少しだけ詰めた息を吐きながら、すぐ身近にある柔らかそうで良い匂いのする首筋へと噛みつくように吸い付く。

「ひ……!? ぁ、あああっ、ぅあ」

 皮膚の内側にある血まで吸い尽くすかのようにチュウウと首筋を吸い上げると、ビクンと肩を跳ねさせ、益々シスイはオレの陰茎を痛いほどにギュウウと締め上げる。多少の痛みはあったが、それでもそうやってヌルヌルの肉に締め上げられることも、シスイの色気を帯びた声も愛おしくて心地良くて、オレは益々首元を吸い上げながら、跳ねるシスイの体を逃がさないように両腕で彼女の体を腕の中に抱き込み閉じ込めた。

「ぁああッ! ぃ、うあ、あ」

 ビクビクとシスイの体が跳ね、身悶えるように彼女のたっぷりとした弾力のある胸が、オレの胸板と密着しながらもタプタプと上下に擦れる。その感触に益々興奮を覚えながら、最後にオレはガリッと散々吸い上げた首筋を甘噛みし、うっすら血の滲んだそこを優しく舌で舐めた。

「ひぐっ!?」

 ビクンと一際大きく体を揺らし、強い膣肉の収縮の後、彼女の体から急に力が抜け、自分の体を支えきれずオレに寄りかかる。シスイは浅い息をハァハァと吐きながら、グッテリと脱力した体を預けるのみだった。

「シスイ……?」

 それにもしやと思い、オレはそれを指摘した。

「……絶頂(イった)のか?」

「…………ッ」

 図星だったのだろう。シスイはカァァーと耳まで紅く染めて、オレの体からなんとか離れようとした。だが、そんなもので逃す気もなく、オレは益々彼女の背にまわした腕に力を込めて、自分の体の中へと閉じ込め、背を触れるか触れないかの力で優しくツゥーと撫でながら、耳たぶの裏側に舌を這わし、軽く甘噛みしながら言った。

「イったんだな……?」

 思えば、彼女がクリトリス以外でイくのはこれが初めてではないだろうか。

 まさか首吸いと首噛みであそこまで感じるとは意外だったが、思えば元々被虐的な所もあった人だったし、もしかしたらやや痛いほうが感じるのかもしれない。まあ、なんにしろこの手で意中の相手をイかせられたというのは嬉しいものだ。こんな風に恥じらい、羞恥に身悶えている姿も愛らしい。

 そう思えば自然と笑みが浮かび上がる。そんなオレの姿を見て、シスイは羞恥で真っ赤になった顔のまま、泣きそうな恨めしそうな顔でオレを見上げ、「……ッ、馬鹿っ。聞くな」と泣きそうな弱々しい声で漏らし、顔を見られないようにだろう、オレにうなじを晒して、オレの胸板にグリッと額を押しつけた。シャラリと簪が音を立て揺れる。乱れた赤い着物の中浮かび上がった肢体は扇情的で、自分の行為が逆効果であることにシスイは気付いていないようだった。沸き立つ欲にズクリと彼女の内部に収まったままの陰茎が益々熱を帯び脈打つ。

「シスイ……」

 オレの声に籠もった熱に気付いたのだろう。シスイはゆっくりと顔を上げ、そんな彼女にオレは性急に指を伸ばして、頬から顎のラインを手に取り、人差し指で下唇の下をなぞりあげる。

「イタ……んッ、く」

 そのまま息を奪うように口付ける。

 逃げるように怯える舌を追い、絡め、吸い上げ、口蓋をなぞり、唾液も呼吸も啜り上げる。

「ん……ふ、ぁ…………はふ……」

 クチュクチュと濡れる水音と、鼻に抜けるような彼女の声に、シャラシャラと揺れる簪の音がなんとも耳に心地良くて、オレは接吻に酔いながら、シスイの背を指で何度も何度も浅く性感を与える動きでなぞりあげる。

「ふ…………んっ! ぁ…………ふ、ぁ…………は……」

 そのたびビクビクと揺れる彼女の反応が可愛らしくて、オレは左手を彼女の尻肉の辺りへと下げ、アナルのまわりを指でグルリと円周を描くようになぞり、尻肉に指を食い込ませた。

「ひゃぅ!? ぁ、や、イタチッ」

 驚く暇も与えず、そのままオレは片手で彼女の体を抱え繋がったまま立ち上がる。対面座位から駅弁への移行。それに、オレの支えだけで持ち上げられた彼女は落ちないようにだろう、オレの背中に益々縋り付くように両腕を回して、どことなく不安そうな声でオレの名を呼ぶ。

 そんなシスイの反応に酷く興奮を覚えている自分を自覚する。もっとそんな風に怯え縋る姿を見せて欲しいと願い、望む。

 その願いのままに彼女の両腰を掴み、些か乱暴にシスイの体を上下左右へと揺すった。

「ぁうっ、あっ、ひ、ぅ……あ、あ、ッ」

 思わずといったように目を瞑りながら、彼女の体が快楽に身悶えるようにビクビクと反応しながら甘やかな声を漏らしていく。そんな風に慣れぬように喘ぐ様や、縋るようにオレの首元にまわされた両腕の感触が、まるでシスイが縋る相手はこの世に自分しかいかいかのようで、自分の中の独占欲や支配欲、征服欲が次々と満たされていくのを感じる。それは精神的な充足で。

 けれど心だけというわけでもなく、それまでの体位と比べものにならない激しい動きを与える度に、ユサユサとシスイの大ぶりの胸も揺れる様や、快楽を持て余した泣きそうな顔が、視覚的にもオレの体を満たしていった。

「あ、っあ、ヤダァ、イタチィ……ッ」

 泣きじゃくる寸前のような声で、けれど明らかに苦痛とは違う色を帯びた声でオレの名を呼びながら、シスイは息苦しげに喘ぐ。

「それ、激し……ヤダッ、イく……から、も、や……あ、ぅああ!」

 グリッとシスイの入り口を擦り上げるようにしてから奥を突けば、益々ビクビクと体を揺らして身悶えながら、シスイはオレの体に自ら縋りグリグリと頬をオレの首筋に擦り寄せる。

 それは耐え、快楽を逃がすための行為だったのかもしれないが、オレに対しては逆効果で、彼女の吐息に混ざったシスイの香りに益々興奮を覚え、オレは激しく彼女の腰を動かしながら、シスイの内部を味わい尽くしていく。

 そんなオレに対して、遂にはボロボロと涙を流しながら、切羽詰まった声を漏らした。

「ひゃだ……ッ、イっちゃ……ぁ、う、ああっやめ……ッ」

 そんな声でそんな言葉を告げて本当に男が止まると思っているのだろうか。だとしたら、お前はあまりにオレを甘く見過ぎている。

 寧ろ、そんなものは興奮のスパイスにしかならない。

「ぁ、ア、あっ、ひっ……! ぅあ、あッ」

 彼女の制止の声を振り切り、逆にパンパンと音を立て腰を激しく打ち付ける。それに耐えきれないように彼女の両足がキュウウとオレの腰にまわされ纏わり付き、暖かな女陰に締め上げられて、オレは本日二度目の射精感のこみ上げを感じながら、シスイの腰を掴み、彼女自身の体重で奥まで一気に入るように調整すると、手を離すと同時に彼女の柔らかな胸にむしゃぶりついた。

「ひ、くぁ、ぁあアあっーーーッ!」

 次の瞬間、奥まで一気にペニスを受け入れた衝撃と、オレに乳首を強く吸い上げられた衝動に、彼女はビクビクンと一際大きく背を弓なりに反らして、体中を痙攣させ、一際強く陰茎を締め上げる。その感覚に一拍遅れてオレもまた絶頂に至り、シスイの胎内奥深くへと精子を吐きだした。

「ぁ……はぁ……ぁ、あ………ぁ……はぁ、ぁ」

 中出しされた感覚に惰性のように、シスイは呆けた態度ながらビクビクと体を揺らし、甘やかな吐息を漏らして、息も絶え絶えに喘ぐ。熱で潤んだような目元や赤い唇にオレが残した首の痕が色っぽくて、出したばかりにも関わらず劣情を覚えたが、シスイのほうにはもう余裕はないだろうと判断し、オレはペニスを引き抜くとどこか虚ろな彼女の体を抱えたまま、風呂場へと向かった。

「ん…………ふ、ぁ……はぁ……」

 身を清めるための行為だったが、オレの指に一々反応し、些か過敏な反応を返すシスイが可愛らしい。

 それに思わずふっと笑みを浮かべるオレに対し、シスイは漸く我を取り戻したのか、どことなくばつが悪そうな顔をして、「その…………なんかごめん……」と返した。

 その台詞と、オレにされるがままシスイらしくもなく抵抗もしようとしないことから、ひょっとすれば腰が抜けて力が出ない事を気にしての台詞かと思い、オレは「気にするな」と告げて、産まれたままの姿のシスイの体を洗っていく。

「ん……」

 たっぷりのシャンプーを付けて、髪を洗う段階に入ればシスイはゆるゆると気持ちよさそうに目を瞑った。

 普段はどちらかといえば犬っぽい印象のほうが強いシスイだったが、そんな姿はどことなく子猫を思わせて少しおかしくも可愛くもある。

「お前……結構上手いな……」

「誰かさんが昔オレによくしてくれたからな」

 そう頭皮をマッサージするように洗いながら答えれば、シスイは「お前が器用なんだろ」と苦笑した。

「というかな、いつもそんな感じだったら、お前と風呂入るのやぶさかじゃないんだけど……」

 その後の部分は口に出してはいないが、「なんでお前は風呂場で盛るのか」という批判の響きもあったので、オレは反論がてらにこう答えた。

「惚れた女の裸を見て興奮するのは当然のことだろう」

 そのオレの返答に、シスイは暫しの間言葉を失ったようだが、それからボソボソとした声でこんな風に呟いた。

「……それって盛りの付いた犬猫と大差ないんじゃ……というかもう少しぐらい恥じらいというものを覚えてくれ」

 ……失礼な奴だな。人を犬猫呼ばわりとは。

 大体今だって、半勃起状態のものを意志で抑え込みながらお前の面倒を見ているというのに、それはあまりな言いぐさじゃないか? 好きな女が裸で密着していてその気にならないとなれば機能不全の疑いもかけずにいられないのだから、オレは至って正常だ。

 それに、この手のことで恥じらうのはお前の役目だろう。オレが恥じらってどうする。

 とは思うが、その辺りはまあ言っても仕方のないことだ。なにせ、シスイだからな。それにそういう女だと知っていて好きになったのだから今更だ。

 とりあえず、一通り洗い終えたあと、自分も手早く体や髪を洗い、シスイの体を抱えて共に湯船に浸かる。

 暖かい湯が染みて気持ちよくなったのだろう。シスイはウットリとどこか眠たそうに目を細めながら、浴槽へと身を預ける。目尻や口元に引かれていた紅は既に洗顔した際に落ちており、顕れたのは蒸気で湿りを帯びた血色の良いプルンとした唇だ。

 この唇がオレのモノを銜え込んだのだと思えば、しゃぶられた時の感覚を思い出すと共に劣情も催す。舌のリアルな感触も想起すればすぐにでも完全に勃ち上がってしまいそうだったが、それを意志の力で抑え込み、オレは濡れて彼女の肌に纏わり付いている彼女の髪の毛を掻き上げた。

「……何?」

「いや……」

 パチリと目を開け、真っ直ぐに見返してくる彼女の目に、嗚呼シスイだと安堵を覚える。

「やはりお前はいつものほうが良いな……とそう思ってな」

「なんだそれ」

 そういってシスイは少しだけ困ったように笑う。

 確かに年頃の娘らしく化粧をし、美しい着物に身を包んだ姿もよく似合っていてそれはそれでよかったが、やはりいつもの飾らない姿のほうがいい。

 忍びという職業についている以上、いつ命を落とす身かはわからなくて当然のことだし、例え明日命を落とすとしても、自分もこれまで任務で幾人もの命を奪ってきた以上は文句を言う気はない。

 それはシスイもそうだろう。

 オレもシスイも木の葉の忍びで、そうであろうと生きてきたのだから、死んでもその時はその時だ。

 それでも……。

「シスイ……」

 公人としてのオレは里の為に捧げるが、それでも私人としてのオレはお前に捧げたい。いつか、どちらかが土に還る其の日まで、共に歩めたらいいとそう思う。

 父や母、祖父や祖母がそうしてきたように、夫婦として共に歩み、子を成し、育て、そうやって血脈を繋いで、歴史の中の歯車の1つとしてオレもお前と歩めたらいいとそう願う。

 命を捧げるなどとは言えない。言わない。

 オレの命は里のものだからだ。

 それでも、お前を守り、慈しみ生きていけたらいいとそう思う。

「オレはお前を幸せにしたい」

 それに戸惑うように視線を揺らしながらシスイは答える。

「……お前にそうしてもらわなくても、充分、私は幸せだよ」

 それはある意味想定済みの回答で、けれど、それをオレは受け入れる気はない。

「なら、お前はオレの前から勝手に姿を消さないと誓えるか?」

「……」

 それに対しシスイは答えなかった。

「何故答えない。答える言葉がないからか」

 オレはシスイの肩を掴みながら、そう問いかける。彼女は曖昧な笑みを浮かべたままだ。肌を重ねたばかりというのに、心は酷く遠い。それに苛立ちさえ覚える。

「オレは『お前』が欲しい」

 お前の本心が聞きたい。

 そんなオレに対し、ややあっての沈黙の後、まるで幼い子供を相手にするときのような……一方的な慈愛に満ちた笑みを浮かべ、シスイは言う。

「欲張りだなあ、イタチは」

 欲張りで何が悪いのか。恋愛とはそういうものなのだろう。

 そう思うオレに対し、シスイはザバッと音を立てオレに近寄り、オレの背をポンポンとまるで幼い子供をあやすように叩きながらこう言った。

「ただまぁ……どうしようもないことはどうしようもないけど、それでもお前はさ、充分私にこれまで幸せを運んでくれた。それは誓って本当だから、私を幸せにしたいっていうんならそれは叶っているよ」

 けれど、それは『女』としての幸せではないだろう。

 わかっているはずだ。オレの言う『幸せにしたい』の意味ぐらい。なのに何故そう……はぐらかす。

「お前が微笑ってくれてたら……幸せでいてくれるんなら、それでいい。私にとってはそれだけで充分だ」

 それはオレもそうなのだと、どうしてわからない。

「お前が望むように生きればいい。私の事は気にするな」

 何故オレの幸せに、お前がいると思わない。

 薄々気づいてはいた。それでもこうして話せば自覚する。

 嗚呼お前は……天性の人でなしだ、と。

 そんな風に甘えるように頭を擦りつけてくるのに。触れる体温は暖かいのに。掴めば触れるほど近いのに、どうしてこうもお前はいつだって遠い。

 お前を……愛しているのに。

「だから、微笑ってくれ」

 そうやって触れた指の温度は、熱くて(冷たくて)柔らかくて(硬くて)、いっそ泣きたいほどに優しく(残酷で)愛おしかった(憎らしかった)。

 

 それでも望まれたから、内心を押し隠しオレは微笑った。

 

 

 完

 

 

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