エリア26
ベンチと小さな滑り台、水飲み場とトイレしかない公園、公園を囲むように植えられた木々……。
そんなエリアへガヤガヤと騒ぎながらやって来たのは、睦月型駆逐艦の10名であった。
睦月、如月、弥生、卯月、皐月、望月、菊月、長月、三日月、文月
彼女達は建物を出る前に、響同様示し合わせて待ち合わせをしていたのである。
この機転を効かせたのは望月、普段のやる気ない言動からは想像出来ないが、彼女は睦月型の中で最も気を使う事が出来る艦娘なのだ。
「……睦月ちゃん、生き残るのは睦月ちゃんだから……最後は貴女の手で私を殺して……」
「にゃしぃ、如月ちゃんはやさしいねぇ?にゃししぃ」
お察しの通り、睦月はとうの昔に狂っていた。
「はぁ、めんどくせー……全員でここを出るんだろぅ?その方法もわかってるんだからさぁ、さっさと脱出しようぜぇ?」
望月は既にこの馬鹿げた殺し合いのシステムを完全に網羅しており、脱出の方法も確立していた。
「そうだな……この菊月……こんな所で滅びる駆逐艦では無い……」
「同感だな、我々には深海棲艦を倒すという使命がある……」
菊長月コンビも望月に同意して望月指示のもと、脱出の準備を進める。
「んもぅ、もうすこしこの雰囲気をたのしみましょうよぅ?」
如月が頬を膨らませて膨れっ面になる。
「にゃし、敵……敵……殺すにゃし」
突然睦月が腕を上げてブランコの方を指差す。
「ん〜?あれは……比叡さん?」
「……なんか、ヤバイぴょん……近寄らない方がいいぴょん……」
卯月は弥生の腕をとり、ブランコから離れる。
それもそのはず、比叡は金剛の首をブランコに乗せてニヤニヤと眺めている。
「うわ、ヤベェ……」
その光景を望月は青ざめた顔で見ている。
「貴女達……金剛お姉さまを見て可愛いと思った?」
突然比叡が呟いた。
この時望月は悟った、比叡は既に狂気に飲まれている。
ここで返答を間違えると間違いなく殺されると……。
「か……可愛いと……お、おもいま……」
望月が引き攣った笑顔で答えた瞬間、比叡は右腕を素早く動かした。
「お……おぼいばばばばばぼばばば……」
望月の命はそこで消えた、比叡の鋭い手刀の一太刀によって望月の首は胴から転げ落ちたのである。
望月が最後に見た光景は首の無い自らの身体が血に濡れていく所であった。
「お姉さまはぁ!可愛いんじゃなくて!美しいんですよぉおおぉおおおおおおおおお!!!!!」
比叡は咆哮をあげながら望月の頭部を踏み潰した。
「「アババババ!?」」
あまりにもショッキングな光景に、側で見ていた文月と三日月は心臓麻痺により絶命した。
次々と倒れる姉妹達を目の当たりした如月は固まり、卯月と弥生は泣きながら公園から脱出、睦月はゲラゲラと笑い転げている。
「くっ!如月!睦月!逃げろ!」
「ここは我々が!」
「「食い止める!!!」」
息の合った菊長月コンビは堰を切ったように飛び出して、比叡の前後に移動する。
「挟み撃ちの形になるな?」
「き、菊月!?長月!?」
2人の行動に驚いた如月が叫ぶ、妹である2人が命懸けで姉である私達を逃がそうとしている事が如月にとって驚愕せざるを得ない出来事であったのだ。
「あ、貴女達こそ!早く逃げなさい!」
「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
3人のやり取りを見ていた睦月が更に喧しく笑う。
「……睦月姉さんを任せられるのは、如月姉さんだけさ……私達には今の睦月姉さんはコイツ(比叡)より手に負えなさそうだ……」
「……ゴメンなさい2人とも……」
如月は2人の決意の固さを理解して、涙ながらに睦月を連れてその場を離れた。
「さぁて、長月?一撃で仕留めるとするか?」
「ふふっ、そうだな?それが良い……」
「金剛お姉さま金剛お姉さま金剛お姉さま金剛お姉さま金剛お姉さま金剛お姉さま金剛お姉さま金剛お姉さま」
………………
…………
……
「あー、提督だ!初の死亡者が出たぞー?睦月型の菊月と文月、長月と三日月だなー?この調子でガンガン殺ってくれよな!?バサラバサラー」
「…………望月も死んだ様だな?ピンポンパンポーン」
待て次回!!
……途中まで三日月と文月の存在を忘れていました。
気の弱い子達だったので、心臓麻痺くらい起こしそうですよね?
雑多な扱いという訳ではありません