1日8時間居ても文句一つ言わずに食器を片付けに来てくれる。
よく訓練されたウェイトレスだ。
エリア30が禁止エリアとなってから、かれこれ5時間が経過した。
マップの広さのわりに人数が少ない為か、睦月型数名の死亡が報じられて以降、1人の死亡も伝えられていない。
「ねぇ響?」
「なんだい?暁?」
エリア31の散策を終えた響達は例の真ん中の小屋に身を潜めている。
「もしかして、皆脱出に向けて協力しているんじゃないかしら?」
死亡の報告がないのは殺し合いをする者がいなくなったと思った様だ。
「それは違うよ暁……あの放送を聞いた人達の警戒が一層厳しくなった為、遭遇率が低くなっているんだ」
「まぁ、禁止エリアも分かってるんだし、無闇に動かないのは当然よね?」
雷が自慢げに言った。
「う……そ、そんな事!分かってるし!!」
「暁ちゃん!声が大きいのです!口縫い付けますか?」
「あうぅ」
辛辣な電の言葉に暁は涙目になって口を閉じる。
「だれ?そこに誰かいるの?」
「「「「……」」」」
突然外から声が聞こえてきて4人は押し黙った。
「わ!私達は川内型の那珂ちゃんと川内ちゃんと神通ちゃんだよー!!」
かなりの声量でにこやかに言い放つ那珂、後ろの2人は辺りを心配そうに見回している。
「那珂!声でかすぎ!」
「那珂ちゃん……今の状況を理解して頂戴……」
「ごっめーん!でもー、那珂ちゃんアイドルだからー!!」
反省の色など微塵も感じさせずに謝罪する那珂を、呆れた表情で見る姉2人……。
「ね、ねぇ響?」
「な、なんだい暁?」
「あの人達は……敵……なのかしら?」
暁の正直な質問に対して、響は答えを導き出す事が出来なかった。
「……罠……かも知れない……けど、そうじゃないのかも……」
響が自信なさげに言うと、雷が特大スパナを握り締めて扉へと向かう。
「雷!私も行くよ!」
匕首を右手に持って響も続く
「2人はここで待っていてくれ、何かあったらすぐに裏側から逃げるんだ」
「私達は逃げずにここで待っているわ!絶対に帰ってきなさいよぉ!」
「……スパシーバ暁」
2人は扉を開けて外に出た。
「あぁ!響ちゃんに雷ちゃん!艦隊のアイドルぅー!なっかちゃんだよぉー!!よっろしくぅー!!!」
「那珂!ホントにうるさいぞ!」
川内が那珂の口に猿轡を押し込んで後ろ頭で結んだ。
「……」
那珂は呻きながら涎を垂らす。
「あ、あの……貴女達は私達を殺しに来たのかい?」
「もしそうなら、相手になるわ!」
響達は武器を構える。
二人の手は震えている。
「待った待った!私達はこんな殺し合いに乗るつもりは無いよ!」
「既に数名の駆逐艦が殺されている現状、私達に対する恐怖心は理解してます、ですが信じて欲しい……」
川内と神通は自らの支給武器である、インパクトドライバーと釘打ち機を地面に置いた。
「……」
「……」
響達は川内達の表情を確認すると武器を降ろした。
「わかったよ……3人を信じる事にするよ」
「待って欲しいのです!」
響が川内に近付こうとした瞬間、電が小屋から飛び出した。
「本当に敵意が無いのなら、これは私達で預かるのです!」
電は釘打ち機を拾い上げ、農具倉庫で拾った木製のクワを放り投げた。
「電……幾ら何でもそれは……」
「いや、私達は構わないよ?もともと艦娘と殺し合いなんかごめんだしね?」
「それで私達を同行させてくれるなら、どうぞそれは貴女が使ってください」
神通はクワ拾い上げて響に近付いて右手を差し出した。
「……ハラショー、それじゃあこれからよろしく」
響は神通の右手を力強く握った。
「……」
那珂も涎を垂らしながら響に近付くが、響は敢えてスルーして小屋へ川内達を案内した。
待て次回!!
日に二話投稿という矛盾!!