エリア22
平に整備された広い土地に、数台の軽トラと原付バイクが並んでいる。
「おらおらー!まっちやがれー!!」
「姉さん、叫びながら走って疲れませんか?」
高雄と別れた摩耶と鳥海は偶然響達と遭遇し、追いかけっこが始まってしまった。
摩耶と鳥海は共に両手に鉄製の釘抜きを持っている。
「2対6……勝てる気もするわね?」
「ダメだよ暁、仮にこっちが勝ったとしても私達4人が全員無事だとは限らない……それに、暁はあの2人を攻撃できるのかい?」
「え?……そ、そんなの」
「これは演習じゃないんだよ?本気で殺しにいかないと、こちらが殺されるんだ……」
「……う、それは……そう、だけど……」
「ふたりとも、今は逃げる事に集中して」
ぶつぶつと喋りながら走る2人に神通が窘める。
「おーっしゃー!!まずは1人目ぇ!!」
摩耶は釘抜きを大きく振り上げる。
「えぇ!?それってもしかして那珂ちゃーん?」
摩耶達は一番後方を走る那珂に追い付きそうになる。
「えーん!皆待ってよー!」
「那珂さん!荷物!荷物を捨てるんだ!」
響が叫ぶ!
「あっ!で、でもぉ」
「今は命が大事なんだ!人が住んでいる島である以上、食料や水は確実に何処かで手に入る!」
響の言ったことは当たっていた。
実際この島の85%は森や河川等の自然物であり、魚や動植物を食料として食べる事もできる。
水に関しては島民用の井戸や山等には飲める地下水が湧く湖等も存在するのだ。
そして、武器はそれぞれが手に持っていたので、身を守ることはできる。
「わ、わかったよ!えーいぃ!」
那珂は背中に背負っている自分の荷物を除く、全ての荷物を投げ捨てた!!
「おわっ!?」
唐突な那珂の行動に面食らうも、摩耶自慢の動体視力によって、全ての荷物をキャッチしてしまった。
「おっ?」
「姉さん?どうかしたの?」
突然走るのをやめた摩耶は鞄の中を探っている。
「姉さん?標的が逃げるわよ?」
「ばーか、それどころじゃねーってば!水と食料が殆ど手付かずで入ってるぜ?」
嬉々とした表情で缶詰めを取り出す摩耶、それを呆れた顔で見ながらため息を吐く鳥海……。
「もう、仕方ないわね、兎に角エリア50へ戻りましょう、そろそろ9時になるし」
9時には禁止エリアの放送が入るため、聞き逃すわけにはいかないのである。
「お?もうそんな時間かよ?随分追っかけっこしてたんだな?あたしら……」
水と食料以外は全て捨てて身軽になった摩耶は、鳥海と共に拠点としているエリア50へ向かって踵を返すのであった。
待て次回!!
今回は摩耶達から響達が逃げる話でした。