エリア23
疲れきった顔をした駆逐艦が2人……。
「2人とも!?無事だったんだね?」
那珂がハイテンションで2人に抱きついた。
「那珂ちゃんに神通さんだぴょん!!助かったぴょん!!」
「……はぁ……あの、私達は艦娘同士で争ったり……しない……から……」
卯月と弥生はホッとしてその場に崩れるように座り込んだ。
「そうなんだー!私達もこれから皆で脱出する予定だよー?」
那珂が盛大に手の内をバラしてしまった。
「……もう、那珂ちゃんったら……まぁ、那珂ちゃんの言ったことは本当よ、この島のどこかにある公園があるエリアに脱出する為のトンネルがあるらしいの……」
「公園……」
いきなり弥生の目から滝のような涙が流れる。
無表情のまま泣く弥生、卯月は弥生の頭を抱き抱える。
「皆……そこで死んじゃったぴょん……」
卯月は悲しそうに呟いた。
「……そう、だったわね……望月さん達はもう……」
神通は眼に涙をためながら2人の頭に抱きついた。
「もっちー達の無念は私達が生き抜いて背負って行こう!!涙を笑顔に変えるんだよー!!」
那珂が大声を張り上げて天を仰いだ。
「那珂……ちゃん」
「……」
弥生は涙を拭いて無言で頷いた。
「那珂ちゃんもやっと四水戦旗艦らしくなってきましたね?」
「へへーん、当然だよぉ!!」
「……公園はエリア29だぴょん……でも、あそこには比叡がいたぴょん…… 」
「比叡……さんが……」
神通の背筋に冷たいものが走った。
神通は見てしまっていた。
比叡があの建物から出る時、遺体となった金剛の体と頭を担いでいる所を……。
「恐らく、比叡の精神は完全に破壊されてしまったのでしょう……駆逐艦の子達を手にかけるなんて……」
神通の心中は穏やかではなかった、遠い記憶の彼方で共に戦った記憶が残る睦月型は縁浅からぬ同胞、そしてこんな可愛らしい少女達を虫ケラのように殺していった比叡に対する怒りは最高潮に達し、怒りのメーターは振り切れる寸前であった。
「うーん、神通ちゃん少し落ち着いてぇ?多分比叡さんはもういないと思うよ?」
「……」
神通は那珂の顔をじっと見詰める。
「……そうですね?流石にいつまでも同じ場所に留まっているなんて事……無いですよね?」
「そうそう、公園には皆の休憩が終わってから行ってみよう?」
那珂はいつの間にか木陰で寝息をたてる4人を指さした。
「あ……」
弥生のお腹がなった。
「あー!弥生のお腹が可愛く鳴ったぴょん!?」
「……ち、ちが!これは……えと……」
「うんうん、腹が減ってはなんとやらだね?二人共ちょっと待っててね?すぐに美味しいお魚を取ってあげるからねー?サバイバル系アイドルの時代かなー?」
そう言うと那珂は再び魚を追い回し始めた。
その時であった……。
突然スピーカーのノイズ音が鳴った。
「……まさか」
神通の脳裏に嫌な予感が湧き上がる。
「おーい、やるじゃねーか?お前ら!いきなり5人も死んだぞー?」
「「「「……」」」」
その場の4人は凍り付いたように固まった。
「えーと、高雄と愛宕、摩耶と鳥海だな?」
「!?」
「え?凄い……もしかして川内ちゃんが?」
那珂の表情が明るくなる。
『……じん……つぅ……げぼぉっ……なか……うぼぼ………………わたし……頑張った……よね?』
「川内ちゃん!?」
「姉さん!?」
「おっと、悪い悪い、あと一人は川内だったな?今のは川内が拷問を受けてたからその音声の一部だ、気にするなよ?さぁ!この調子でバンバンやってくれよな?アデュー」
「……」
神通は自らの両腕を握り締めて震えている。
握られた腕からは血が流れ落ちていた。
「……」
那珂無表情のまま、魚捕りを再開したのだった。
待て次回!!
次回から川内ちゃん拷問編になります。
読み飛ばしていただいてもストーリーにはさほど影響はありません。