エリア26
午後5時
妙高達がこのエリアにやって来てから、およそ1時間が経過しようとしていた。
「軽巡の2人をたったの一撃で……」
妙高は相手の実力に大きな不安を感じていた。
果たして自分達でこの化物を倒せるのか?
逃げる事を考えるべきではないのか?
しかし脱出するにはこのエリアを調べる必要がある……。
「考えたって仕方ないわ!脅威は目の前に迫ってい?のよ!!」
足柄が突っ掛けた!
足柄の支給武器は手斧である。
接近武器としてだけでは無く、投てき武器としても使う事が出来る。
「ぬるいぬるい!!」
比叡は自らの腕で手斧を防いた。
「そんな、傷一つ負わせられないの!?」
比叡は手斧の刃の部分を無造作に掴むと、まるで障子に穴を開ける様に握り潰してしまった。
「……」
足柄は青ざめて距離をとった。
「なあ、妙高姉さん?」
妙高は比叡から視線を外さずに那智の話を聞いている。
「このエリアに脱出用のトンネルが存在すると言うのは、誰に聞いたんだ?もしかしてこれは比叡の罠ではないのか?」
「……」
「貸して!」
足柄は那智から大刀を奪うと、再び比叡に向かって行った。
「それは無いと思うわ、アレは……望月さんに軽巡の那珂さんが教えていた事なのよ、那珂さんはこのゲームに参加するのは3回目だと言っていましたし……」
「……それは、その那珂が望月達を嵌めたんじゃないのか?」
「え?」
妙高は驚きを隠せなかった。
「例えば那珂が望月の他に、比叡にも同じ情報を渡していたとしたら?」
那智は考えうる最悪のシナリオを想定してみた。
「そう言えば、那珂はあの建物を出る直前に色んな奴に話しかけてたぞ?」
木曾が震える唇で言った。
「……そうでしたか……私達もその那珂さんにまんまとやられた者の一人だったという訳ですね?」
「ハァァー!!」
足柄の大刀が比叡の太股を捉える!
「うっ!?」
切り裂かれた比叡の左太腿から流血する。
「……行ける!!行けるわァ!!」
如何に強靭な肉体を持ってしても、重巡のパワーと本物の武器の威力が相手となると傷を負わせることも可能であった。
「確かに傷は負わせられたけど、あの武器で切り付けたのに只の切り傷程度……那智!私達は比叡の急所だけを狙うわよ!!」
妙高は柳刃包丁、那智は菜切包丁を構えて比叡に向かって行った。
「俺だって!!」
木曾は寸鉄を握り、妙高達に続いた。
「お姉様、私に力を……」
比叡が横一文字に手刀を振るうが、足柄は垂直跳びでさけつつ、比叡の側頭部目掛けて大刀を振るった!
「くっ!」
大刀は比叡の右腕で受けられたが、受けた右腕から出血する。
「足柄!援護します!」
「妙高姉さん!那智姉さん!」
妙高は柳刃包丁を比叡の右眼目掛けて突きを放つ!
「うあうういい!!」
すぐ様迎撃しようと右手を振り上げ、手刀を妙高に打ち込む!
「させないさ!」
那智が菜切包丁で手刀の軌道をずらす!
「くっ!!」
比叡は左手で柳刃包丁を掴んだ!
「ガラ空きよ!!」
足柄の大刀が比叡の脳天目掛けて振り下ろされる!
「ちっ!」
比叡は右腕で再び大刀を受ける!
「隙を見せたな?」
那智は球磨が地面に撒き散らした鶴嘴千本を拾い上げて、比叡の左目に突き刺す!!
「ひえぇええぇえぇぇえ!!!」
先程は瞼に止められた鶴嘴千本であったが、重巡の力によって直接打ち込まれた結果、瞼では止められずに左眼を貫通した。
「なんつうコンビ攻撃……」
そこに木曾が入り込む隙など存在しなかった。
「まだですよ?」
更に柳刃包丁から手を離した比叡に、駄目押しの一撃が加えられようとする。
「両眼とも失明して貰いますよ?」
妙高の柳刃包丁が比叡の右眼を襲う!?
待て次回!?
腹が……減った……。