エリア26
エリア内に血腥い悪臭が漂う……。
先日の睦月型、そして球磨型の2人……さらにもう一つ物言わぬ骸が増えてしまった。
「妙高姉さん!?」
「あれ?どうして?…………」
妙高は何が起こっているのか理解出来なかった、否、理解する前に事切れてしまったのだ。
妙高の後頭部には大きめの鉈がめり込んでおり、そこから真っ赤な鮮血と、テラテラとした薄い赤色の脳みそがはみ出ていた。
「比叡お姉さま!ご無事でしたか!?」
その場にいる誰もが動けなかった。
「全く、ようやく見つけたと思ったら、ギリギリもいいとこじゃないですか?少しはこの艦隊の頭脳である霧島を頼って下さいよ?」
「そうですよ!霧島ちゃんと榛名を置いていかないで下さい!」
榛名は妙高の頭に刺さった鉈を引き抜いて、比叡に駆け寄る。
金剛型戦艦が3人、那智達にとって最悪の事態となってしまった。
「お、おい!アンタら!」
木曾が振り絞るように声を上げる、かなり裏返ってしまっていた。
「ひ、比叡は金剛が死んで、おかしくなっちまったんだ!何人もの艦娘を惨殺して……お前らはそんな奴に付いて行くつもりかよ?」
「……」
霧島と榛名はお互いを見つめ合った。
「……」
木曾は密かな希望を持っていた。
改二では無いとは言え、戦艦が2人いれば比叡を倒す事も出来るはずだと……。
「俺達はこの島の脱出の方法を知ってる!」
「アハハハハ!!」
木曾の言葉を聞いた霧島と榛名は大声で笑った。
「それは、公園にあるトンネルが〜って奴ですか?」
霧島は何故か馬鹿にしたように鼻で笑っている。
「アレは確か那珂ちゃんが言いふらしてましたね?」
「……」
「そんな事をしなくても、最後に此処を出るのは比叡お姉様ただ1人ですから、邪魔な扶桑姉妹もいない、残るは軽巡と駆逐艦……そして貴女達妙高型の重巡だけ……リーダーの妙高がいない貴女達は烏合の衆ですし」
「お前達は……どうするんだ?」
そう言った那智は、武器を捨ててその場に座り込んだ。
「私達は最後にお姉様に殺してもらうわ、榛名もそのつもりよ?」
「くっ、妙高姉さんがいない以上……私達が戦う理由は無いわね?」
足柄も武器を捨てた。
「っおい!二人共しっかりしろよ!妙高の仇を打たないのかよ!」
「すまないな、お前の姉の仇も取れそうもない……」
那智と足柄はこの圧倒的な戦力差と、精神的主柱である妙高の死によって、完全に戦意が失われてしまった。
「畜生……なんで、何でなんだよぉー!!」
「………………」
「…………」
「……」
「えーとぉ、球磨、多磨、木曾、妙高、那智、足柄……それに……霧島と榛名かぁ、凄いな?この調子で頼むぜー?」
死亡報告の放送が終わる……。
血の惨劇が繰り広げられたエリア26……。
「あは、あひひ、あぁーはっはっはっはーー!!!」
両手に脈打つ心臓を持った比叡が狂ったように笑う、足元には胸のあたりから大出血をしながら息絶える、霧島と榛名の姿があった。
2人の死に顔は驚きを隠せないと言った様な、苦痛で歪んだ苦悶の表情をしていた。
待て次回!?
板橋花火大会は見に行こう……