1日に3話の奇跡をご覧下さい。
ヘリの中……。
かれこれ1時間半程飛行している。
私は窓の外をぼんやりと眺めている。
白い雲と青い空、母なる海だけしか無い退屈な風景が続いている。
ぼんやりとしていると、今までの凄惨な出来事が脳裏に蘇るのが分かった。
金剛さんが殺され、木曾さんに襲われる。
あの時は暁達に助けてもらったんだった。
川内さん達との遭遇……。
「!?」
今思い出すと、あの時私達と出会ったのは偶然では無かったのか……あのタブレットを使って、那珂さんが川内さん達を誘導して……。
私はここで1つ疑問を抱く……。
何故私達を選んだのか?
偶然近場にいたから……これがもっとも可能性が高い答えだった。
もしそうでなかったら、例えば朝潮型や睦月型の娘達でも良かった筈……。
「わからない……やはりただの偶然で那珂さんは……」
「那珂?今那珂って言ったかい?」
「え?」
どうやら私は無意識に考えていた事を口に出してしまった様だ。
那珂という単語に、ヘリの操縦士が反応した。
「俺はこの艦娘の送り迎えの仕事を何年も続けているが、あの那珂は凄かったぜ?今回で3度目の参戦だからな?」
「え?3度目の参戦だって?」
私にはこの男の言っている言葉の意味を、到底理解する事は出来なかった。
3度目の参戦と言うことは……、那珂さんはこの戦場を2度も経験し、勝ち抜いたという事になる。
「そんな……馬鹿な事……」
2度の経験?勝ち抜く?
自分の脳内に訳も分からない言葉が、グルグルと廻るのがわかった。
それは決してあってはならないと思っていた。
「おっ!おい?大丈夫かよ?」
混乱の極みで頭痛がしてくる。
私は頭を抱えてうずくまってしまった。
操縦士の隣に座っている副操縦士が、心配そうに声を掛けてくる。
「……那珂さんはこの熾烈で残酷なゲームを何故2度も経験し……3度目の参戦など……」
自然と涙が流れる。
普段笑顔を絶やさない那珂さんの顔を思い出して、涙が止まらなかった。
「うぶぅ、えぅっ!えぇっく!ど、どうして那珂さんは……ずっと笑って……うっく……」
そう、那珂さんは自分が死ぬ時でさえ……。
「!?」
そう、那珂さんは自身の死に際、同じ艦娘の凶刃に倒れるその時、とても晴れやかな表情をしていた。
「あの、笑顔は……うっく、ひぐっ!」
枯れ果てたと思っていた涙が……鼻水が溢れ顔がクシャクシャになっても、私の涙は止まらなかった。
那珂さんは解放されたかったのかもしれない……自ら命を断つ勇気が無かった……だけどこの死の連鎖から……解放して貰いたかった?
「泣いてる所悪いけど……着いたぜ?」
気が付くとヘリは着陸していた。
周りの景色が滲んで見える。
古くなってそこら中に補修した後が見える鎮守府……。
軍港には訓練中の可愛らしい駆逐艦達……。
「それではこの娘が新しい艦娘の響ですので、書類にサインを……」
若くて温厚そうな司令官が操縦士の書類にサインしている。
「相変わらず汚い字ねぇ?司令官?」
「あ……暁……」
その司令官の隣には、秘書官の腕章を巻いた暁の姿があった。
「それでは……」
操縦士は私をヘリから下ろすと、再び離陸して来た道を引き返して行ってしまった。
「……あ、あの、響だよ。その活躍ぶりから不死鳥の通り名もあるよ……」
私は精一杯の思いを込めて自己紹介をした。
「……まぁーた響かぁ……」
司令官の表情は私の想像していたものと違っていた。
酷く落胆した様な、不機嫌ともとれる表情でため息を吐いている。
「え?どうしたんだい?司令官?」
私は意味も分からず司令官に駆け寄った。
「いや、来なくていいからね?おーい?ヴェル?」
司令官の声に反応したのか、建物から見知らぬ艦娘がやって来た。
真っ白な軍帽を被った私?そんな印象の艦娘……。
「ダー、どうかしたかい?司令官?……あぁ、またか……こればかりはいつになって慣れないね?」
声もそっくりだ。
「悪いな?取り敢えず工廠に行って解体して貰って来てくれるか?」
カイタイ?聞くだけで吐き気を催す単語……。
何やら胸の奥でざわつく……。
解体……?一体私はどうなってしまうのか?
私は救世主となる艦娘……では無かったのか?
「那珂は3度目の参戦だからな?」
あの操縦士の言葉が脳裏に過ぎる……。
3度目の参戦?
「い、嫌だ……司令官!カイタイ?だけは勘弁して欲しい!お願いだ!この鎮守府に置いてくれ!何でもする!頼む!」
その解体という単語は私の本能に響き、拒絶反応のように頭痛を引き起こす!
「は?お前……解体の意味分かってるのか?」
司令官が驚いている。
「……詳しくは……分からないけど、嫌な言葉だと言うことは分かるよ……頼む……解体だけは……」
私は必死に祈った、この願いを司令官が聞き入れてくる事を……。
「……司令官?どうするんだい?」
「いや、この鎮守府もう100人いて定員オーバーで限定海域に出撃出来ないから、可哀想だが解体してくれ」
「ダー、仕方ないね……それじゃあ」
私の意識はそこで途絶えてしまった。
………………
…………
……
「響!響起きて!?」
「あ!暁!?」
私は最愛の姉の声に目を覚ました。
目が覚めると、そこは見知らぬ場所だった。
コンクリが打ちっぱなしの床と壁、辛うじて明かりを灯している蛍光灯は、埃がかぶっているのか薄暗い光を放っている。
そ、そんな……。
「ねえ響?ここは何処なの?雷や電も向こうで寝てるわよ?」
馬鹿な……。
「響?ねぇ?どうしたのよ?ねぇったら!?」
那珂さん……も……優勝して……解体されて……それを繰り返して……。
そして、survivalゲーム優勝経験者、響の戦いの火蓋が切って落とされたのだ。
「これから皆さんには……殺し合いをして貰います!」
艦これsurvival 完!
to be continued?
これまでお気に入り登録して下さいました皆様。
そしてお気に入り登録まではしないまでも、ご愛読下さいました、皆々様方!!
本当に有難う御座いました!
作品の性質上そしてタグ……こいつはあまり読まれる事は無いのでは?初めはとおもっておりましたが、確実に増えていく閲覧数が励みとなり、完結まで書くことが出来ました。
この作品、読み始めは艦これでやる意味が薄いのでは?と思った方もいたと思います。
自分自身もバトルロワイヤル物を二次創作で書くのは、あまり意味無いなぁとおもっておりましたが、解体という艦これの負の部分に着目して、最後の展開に持って行くことにより、艦これでバトロワを書く意味を見出してみました。
本当は睦月・如月×大井っちや、羽黒自慰行為編なんかも書きたかったのですが、自身の経験上ダラダラと引き伸ばすと進まなくなることが判明しており、一気に終わりまで突き進もうと決意した次第で御座います。
この作品を観て頂き、デイリー任務消化時に響か那珂ちゃんの顔を思い出して頂けたら幸いです。
それではここら辺でお暇致します!
片栗虎の次回作にご期待下さい!
危険な提督「途中で止まってる奴を書き上げろ!」
朝潮「あの、私の話はまだ進まないのでしょうか……と言いますか、なんで私大井さんに殺されてるんですか!?」
待て次回作!?