くそっ!暁が出てから随分時間が経ってしまった……。
私が建物を出たのは暁が出てから15人目だった。
私は全力で走って建物を飛び出したが、すぐに冷静さを取り戻し、焦る必要が全く無いことに気が付いた。
「よく考えたらこんな馬鹿げた殺し合いを、進んでやる様な馬鹿な人はいなかった……」
恐らく皆この島から脱出する方法を考えている事だろう……。
乱れた呼吸を整えた私は、暁が待っているであろうエリア29へ向かって、再び歩を進めることにした。
地図によればエリア29は見通しの良い幅の広い道と畑があるだけ、暁もすぐに見つかるだろう。
「うっ!?」
突然後頭部に鈍痛が走る!
「無警戒で歩いてるなんて、駆逐艦としては二流だな?」
聞き覚えのある厨二臭い
言い回し……。
私は後頭部の痛みを我慢出来ずにその場でうずくまってしまった。
「ぐっ、木曽さん……だね?」
「いかにも、俺様が木曽だ!と言っても、これから冥府へ誘う相手に自己紹介は無意味だったか?」
そんな、こんな馬鹿げた殺し合いにノリノリだって?
「木曽さん、どうしてこんなことを?何故殺し合いなんか……」
「……艦娘と言っても所詮は弱肉強食の掟からは逃れられない、力無き正義など悪にも劣る無能……死ぬことだけが残された選択肢なんだよ?」
木曽さん……いや、木曽は両腕を大きく広げて空に向かって御託を並べている。
うぅ、まだ頭が痛む……。
木曽の手には血のついたポンチが握れていた。
ポンチとはドリルで穴を開けようとする場合に、穴の中心を決めることとドリルの先端が逃げないようにマーキングするための工具のことである。
民明書房 工具の全てより抜粋
あんな物で殴られたのか、通りでダメージが大きいはずだね
「喜べ!貴様がこの寸鉄の犠牲者第一号だ!!ただ殺せば良いだけのルール、俺自身こいつを上手くコントロールしきれない……くらえ!邪王炎殺黒龍波ぁあぁ!!」
「……」
くっ、不意打ちさえ喰らわなければ……。
こんな奴に殺されるのかと言う無念と暁を助けてやれなかった後悔を胸に、私は思い切り目を瞑り死を覚悟した。
「……」
しかし、数秒がたっても追撃が来ることはなかった。
「どうしたんだい……あ!」
目を開けると見慣れた人物達が木曽の両腕と頭にしがみついている。
「離さない!絶対に離さないんだから!!」
「木曽さん!正気に戻って!」
「このまま絞め殺すのです……」
「くっ!駆逐艦の癖に……貴様らの様な愚劣な者共が!この俺に触れていいと思っているのか!?」
「暁!雷!電!みんな無事だったのかい!?」
3人の姿を見た私は、頭の痛みも忘れて立ち上がった。
「響!大丈夫なの!?」
3人は木曽から離れて私の所へ集結した。
「スパシーバ、助かったよ……」
私達は木曽に対して戦闘態勢をとった。
いくら非武装の駆逐艦と言えど、不意打ちでもない限り軽巡相手に遅れは取らない、ましてや今は私の信頼なる姉妹達がいる。
「木曽さん、どうする?このまま続けるかい?」
負ける可能性など存在しないよ!
「……ふっ、良いだろう?此処は一旦退くとしよう、しかし俺等は最強の球磨型の四天王の中でも一番の小物……俺の姉に出会ったなら、その圧倒的な力差に怖気付いて跪くであろう!……さらばだ!哀れなる駆逐艦達よ!」
木曽は訳の分からない事を言いたいだけ言って、マントを翻してその場から立ち去って行った。
「一番の小物……自分で言うとはね……ダスビダーニャ」
「さぁ、間もなくこのエリアは禁止エリアとなるよ?早く隣のエリアへ向かおうか?」
私は再開の喜びを噛み締めながらも、冷静に姉妹達をエリア31へと連れだった。
待て次回!
シリアス中心で来てますが、いつエロやグロ中心にシフトチェンジするかわからないので、注意が必要