正直、こんな方法でいいのかなという迷いは、ホテルの部屋のドアを開いてしまったいまでも消えていない。
すでにハジメくんが1年ぶりに外出してくれたとこまでは達成できているから、ここで「やっぱりこの先はまた今度」と言って手のひらを返したように断ることもできないわけじゃない。けれどそんなことをしたらハジメくんはまたあの四畳半の自室にこもってしまうどころか、これまで以上に塞ぎ込んでしまうかもしれない。
「ナナミさんとセックスできるなら、外出できるかもしれません」
私がハジメくんの訪問支援を始めたのはいまからちょうど2か月前で、ハジメくんが中学2年の夏からひきこもり始めて10カ月が経過していたときだった。
初めのころは私が大学生ということもあって完全に舐められていたのか、部屋にも入れてもらえなかった。それでも私は初めての訪問支援ということもあって、根気強く毎日通ってどうにか言葉を投げかけ続けた。そして1カ月後、ようやくハジメくんはドアを開けてくれた。ちょうどハジメくんの中学校が夏休みに入るころだっと思う。
ハジメくんはそれから毎日のように同じセリフで私の体を求めてきた。私はハジメくん――いや、ハジメくんに限らず支援をする以上は一人でも多くのひきこもりを社会復帰させたいと思っていたし、そのための支援は惜しまないつもりでいたけれど、さすがにこの要求に応じるのはちょっと違うよねと思って、やんわりとはぐらかしては拒んでいた。
ハジメくんの部屋がだんだんと栗の花のような匂いに包まれていったことには心苦しさと少しの気持ち悪さを覚えたけれど、私をオカズにしてくれることで毎日を生き抜いて(イキ抜いて?)くれるのならば、それもかまわないと思えた。
でも、きょうのハジメくんの目はいつもと少し違っていた。
「ナナミさんまでぼくを見捨てるんですね、じゃあ死にます」
そう言ってカッターナイフを取り出し左腕に刃を近づけようとしたとき、私は降参した。
「1回、だけだよ……?」
宛がおうとしていた刃の向きは腕に対して十字を切るような横方向だったからハジメくんが死ぬようなことにはならないとは思ったけれど、これまでハジメくんには自傷癖がなかったから結果はまったく予想できなかったし、こんなときは万が一を想定して動くのが誠実だと思った。
「ナナミさんっ!」
ドアを閉めるなきいきなりハジメくんに後ろから抱きつかれてバランスを失った私は、そのままベッドに倒れてしまった。
「ハ、ハジメくんっ……ちょっと……」
待って、と言うよりも先に仰向けにされた私の唇はハジメくんのそれに塞がれていた。真夏日が続く8月に数日間はお風呂に入っていないであろう中学男子の体臭に私は思わず顔をしかめてしまう。
だけど、同時に、淫部のあたりが微かに疼いたことに気づき動転する。
「んっ……いきなりっ……ぁ……舌……舌、入ってるっ……ん、ん、ん……」
ハジメくんの臭気とじっとりとした舌遣いに、脳髄まで弄ばれている感覚に陥る。
再びおま×こがびくっと脈動した。
「ナナミさんの甘い匂い……いつもより近くで嗅げて、ぼくいますごく多幸感に満ちてます……」
私はハジメくんの体臭に眉を寄せながらも、いつも不機嫌そうで口数も少ないハジメくんが饒舌になっている姿を見られたことには満足感を得ていた。
ただ、甘い匂いというのは自分ではよくわからなかった。訪問するときはなるべくフェミニンな印象を与えないよう必ずジーンズとユニセックスのチェックのシャツを着るようにしているし、嗅覚的にも下手に刺激しないよう香水やコロンはつけないようにしている。シャンプーやボディソープの匂いかな?
「ハジメくん、私、お風呂入ってきてからでもいいかな……?」
「いえ、このままがいいです。ナナミさんの汗の匂いもえっちな感じがして、ほら、ぼくもうこんなになってます」
それとなくハジメくんにもお風呂に入ってもらおうという計らいはあっけなく吹き飛ばされ、ハジメくんはもう全裸になっていた。
「ナナミさんも、脱いでください……あ、靴下とパンティだけは脱がないでほしいです」
「……う、うん……」
ここまで来たらもう躊躇っていられなかった。それに、私は戸惑っている自分を嘲笑うかのようにこの状況に興奮してきているもう一人の自分がいることにも気づいていた。心臓の鼓動もどんどん大きくなっていくのを感じる。私はまずジーンズから脱ぐことにした。
「……はぁ、はぁ……っ……はぁ……っ……」
「ハジメくん!?」
ハジメくんは私の声など聞こえていないかのように口を閉じたまま膝立ちになって、ペニスをものすごい勢いで扱いていた。
「っ……ぅ……はぁ……っ、っ……はぁ、はぁ……っ……っ」
いつもは亀のようにじっとして私にセックスの要求をしてばかりのハジメくんの変貌ぶりが嘘のようだった。
けれど、そのハジメくんの一生懸命な姿を見たときに私のなかでなにかが壊れた。
「……ハジメくん……私の体……どう……?」
「っ……はぁ、はぁ……ナナミさんっ……おっぱい大きくて……えろいですっ……ぅっ……はぁ……」
「うれしい……なんだか私の体、火照ってきちゃったよ……んっ……」
ハジメくんの言いつけどおりパンティと靴下だけを残して服を脱いだ私は、まずは自分の左手で胸を、右手でおま×こを弄ることにした。パンティの股布を横にずらし右手の中指を膣内に入れた瞬間、すでにじゅうぶん濡れていることに気づいて驚愕した。またふと恥じらう自分が首をもたげたけれど、1秒も経たないうちにどこかへ消え去った。
「……変態ですっ……ナナミさん……はぁ……っ……いつもはあんなに、真面目そうな、表情なのにっ……はぁ……はぁ……」
「ハ、ハジメくんこそっ……んっ……ぁ……ん、んっ……」
「ナナミさんっ……っ……ナナミさんっ、ナナミさんっ、ナナミさんっ!」
「んっ、んっ、んっ……だ、出して、いいよっ……ん……私に、かけてっ……はぁ、はぁ……ん……ひゃんっ――!」
いつから我慢していたのか、細切れのゼリーが混ざったような濃い精液が私の太ももやおなかに飛び散った。恥垢混じりのせいか、鼻をつんとつくような刺激臭もする。けれど、もはやそれもこの色欲のカーニバルを彩る演出の一つにすぎなかった。淫猥な行為に没しているという自意識が私を欲情させ、私はそんな情欲の激流に翻弄されていた。
「はむっ……んっ……ん……ん……」
私は射精してなお起ちっぱなしのハジメくんのペニスを咥え、必死になって扱いた。
「はぅっ……いきなりっ……ぼくっ……まだっ…………んっ……」
「ん……ん……はぁ、はぁ……ん、ん……」
自分がハジメくんのペニスをしゃぶる音が、異様に静かな室内にはよく響いた。淫らな音は、私の手を再び慰めの道具へと変えた。
家でオナニーをするときよりも確実に興奮していた。いつものおっぱいとおま×こが、なんだか自分のものではない浮遊感に包まれていく。
「ナナミさんっ……だめですっ……ぼく、また出ちゃうっ……」
「いいよ……んっんっんっんっ……はぁ、はぁ……わたひの、くひに……んっ……だひていいよ……わたひも、イっひゃうかもっ……クリちゃん切なくて……んっ……ぁ……イっひゃうよぉっ……」
「はぁ……はぁ、はぁ……っ……っ……っ……ぅ……ナナミさんっ、ナナミさんっ……イキますっ――っっっ!!」
「――んんっっ! んくっ……ん、ん、んくっ」
ハジメくんに盛大に口内射精されるのと包皮から出てきたクリトリスをつまみ倒して絶頂に達したのはほとんど同時だった。ハジメくんの気持ちに応えるため、1回目よりかは清澄になった精液を飲み下し、私は仰向けになってハジメくんを誘う。
「……ハジメくん……来て……ひぁんっ――!」
ハジメくんは備え付けのローションをわたしの体にどっぷりと塗し出した。
「ん……はぁ、はぁ……はぁ、はぁ……ん……ゃ……ぁ、んんっ――!」
パンティも靴下もぐしょぐしょのローション塗れになったかと思うと、ハジメくんはすかさず私のおま×こに2回も射精してるのに一向に衰えないペニスを突き刺してきた。
「ぼく、いま楽園にいるみたいです……」
「ハジメくん……」
「この世界って……こんなに素晴らしいものだったんですね……」
「ぁ……だめっ……んっんっんっんっんっ……」
しばし感慨に耽っていたハジメくんが突然動き出した。
「だめだよっ……そんなっ……は、激しぃっ……ひゃんっ――んっ、ん、ゃん……ちくびもっ……同時、なんてっ、ぁ、んっ、ん……おち×ぽ……元気よすぎっ……んっんっんっ……もっと、もっと突いてっ……」
「っ……っ……っ……ナナミさんの感じてる顔っ、かわ、いいっ、ですっ……んっ……っ……ぅ……っ……」
ハジメくんの獣のような突進が私の膣襞を蹂躙していた。
あまりの激しさに少し不安を感じたのもつかの間、それがバカげた杞憂だとすぐに気づく。私はいまハジメくんの引きこもりエキスに犯されきっていて、全身が性感帯のようになっていた。もっと触って、もっと突いて、もっと私を責めて、ハジメくん!
「なかに、出して、いい、ですかっ……はぁ、はぁ……ぼく、ナナミさんの、なかで、果てたい、ですっ……はぁ……ん……っ……ぅ……」
「いいよ、ハジメ、くんの、せ~えきっ……んっ、ちょ、ちょうだいっ……ぁ……私もうだめかもっ……なんかキてるっ……んっんっ……」
「ぅっ……はぁ、はぁ……出ますっ……はぁ、はぁ……ナナミさんの、なかで……はぁ、はぁはぁ――っっっっ!!」「ゃ、こっちも、イっちゃうっ、ハジメくんのおち×ぽで……んっんっんっんっ――ひゃんっ!!」
ふたりの声が重なった。
ハジメくんのザーメンが思いっきり子宮をノックするように放出されている感覚とずきゅんと体中を駆け巡るオーガズムの感覚で、意識がトリップしそうになる。
「ん……ハジメくんの精液……しっかり受け取ったよ……」
「イク瞬間のナナミさんもかわいかったです……それに、お漏らししたところも」
「え――!?」
ベッドはローションや尿やふたりの恥液で酷く汚れていたけれど、脳が蕩けきっていてうまく罪悪感を覚えることができなかった。
「ナナミさん、ぼく、明日もまた外出たいです」
「うん、私もがんばって『支援』するよっ」
私たちは翌日の予約を終え、ホテルを後にした。