「お腹は自分でできますよね?」
雅は当然のことのように聞いてきた。雅に拭いてもらうの心地良かったし、嬉しかったけど、流石にお腹は恥ずかしいな。・・・何?その目は?理想と現実は違うんだよッ!!
「そうだね、お腹は私がやるよ。でも、背中はお願い♪」
「それじゃあ、一旦起きましょうか」
私の前に肉が少ない為に骨ばり、血管の凹凸も見えているスベスベ肌の手が差し出された。
胸の奥から湧き上がる舐めたい衝動を抑え、差し出された手を掴む。
・・・・・・はぁぁ・・・・・・スベスベしてるな~・・・。
「・・・ししょー?僕の手を撫でてないで力入れて下さい」
言われた通り、手をギュッと強く握りしめる。
「痛い痛い。ししょーそういう僕はいいですから、起き上がれるように力を入れて下さい」
私は渋々、雅の手に引かれながら起き上がった。
そして、雅が拭きやすいようにと着ていたTシャツを脱ぎ捨てる。部屋の冷気が心地よい。
「ぅわっ!!?ちょっと、ししょー!?なんで急に脱ぐんですか!痴女なんですか!?変態さんですね!?」
凄い勢いで雅に罵られてしまった。・・・これは、気の利く私へのご褒美なのでしょうか!ありがとうございます!
相当恥ずかしいのだろう、雅は耳まで真っ赤にしてタオルで目を隠していた。
なにがそんなに恥ずかしいのだろう?下着は付けてる訳だし・・・?
それにしてもやっぱりTシャツない方が汗でベトベトしないし、風通しも良くって、乳首を擦る風が気持ちいいなぁ~。
ん?乳首?ブラしてるのになんで風が擦るの?
頭を駈けたある仮定が背筋を凍らせていくのを感じながら胸元を確認すると、案の定・・・。
ブラ、ないよ!?ノーブラだよ!
私は咄嗟に手で胸を隠し、さっき投げたTシャツを回収する。
Tシャツを取るために布団から這い出て気付いたけど、私、ノーパンだ!?
この状況はまさか、まさか!裸Tシャツというやつか!!
いや、待って。さっきTシャツ脱ぎ捨てた時ってタオルケット掛けてたから分かんなかっただけで、私、全裸?ぜんら?ZENRA?
乳首はセーフだとしても"具"はダメだろう!!
こんな姿見られたら、流石の雅でも良くてドン引き、最悪2人の仲は決裂、2度と会うことは出来なくなくなる。たとえどこかでばったり逢っても、私を見た雅は軽い嫌悪感を出しながら知らない人のふりしてすれ違う・・・。
いやだあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!
やだやだっ、大好きな雅が離れていったら私は何を支えに生きればいいの!?雅が居るからここに私が居るのに!!
・・・どうする!?どうしよ!?ええい、取り敢えず誤魔化せ!
Tシャツを着て、タオルケットをはだけないようにさりげなく太腿に巻きつける。これで少しの間はどうにかなるだろう。
「雅?」
「なんですか!?誘惑ですか!?美人局ですか!?引っかかりませんよ!?エッチな展開も×ですから!」
錯乱状態の雅はタオルで目を隠したまま、拒絶する。その拒絶にほんの少し、そう僅かだけ、僅かに衝撃を喰らって私の心は爆散し大破した。
「雅、ちょっと、落ち着いて」
「嫌です!そうやってすぐ裸を見せようとする!この、ビッチ!淫乱!変態!おっぱい星人!」
「大丈夫だから!もう服着たから!丸出しじゃないから!あと、おっぱい星人って私の胸のこと言ってる?言ってるよね!?」
「絶対嘘です!こういう時ししょーが本当のこと言ったことありません!おっぱいに精神支配された人!」
雅め・・・。おっぱい、おっぱい言うからさっきからTシャツにダイレクトに擦ってるおっぱいを意識してしまう。
「雅!早く見て!もう嫌いになるよ!」
雅は肩をビクッと震わせる。
やばい・・・嫌いになるって言っちゃった・・・。勢いだとはいえ、言っちゃ駄目な事もあるだろうに・・・。
この一言が原因で私と雅は離れ離れになってしまう・・・。
今にも泣きそうな顔をしながらタオルを退けた雅に全力で謝罪する。
「ごめん!雅!今のは嘘!嘘だから!」
そう弁解したものの、雅はショックが大きかったらしく青ざめた表情で固まっている。
「・・・ぁ・・・ぇ・・・?・・・ゃ、ぁ・・・」
ぽろぽろと目から涙をこぼし、持っていたタオルも落としてしまう。
「・・・ご、ごめ、ごめなさい・・・ししょー、ごめんなさい・・・ごめんなさい!ごめんなさい!」
「雅?落ち着いて、雅?ねえ?」
そうは言うも雅は涙でぐしゃぐしゃになった顔を両手で隠し、同じ言葉を繰り返した。
「・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい」
私が当ててしまった圧に雅はどんどん潰されていってしまう。とにかく落ち着かせなきゃ。
「・・・雅、ちょっとごめんね」
雅に一言断りを入れ、抱き寄せる。
「!?・・・ぁ、ぇ?・・・ぁ、ぁぁぁ。」
背中に腕を回し、泣き止まない雅の頭をポンポンと撫でてあげる。
「・・・や、ししょー・・・やめ・・・」
雅は私の肩を涙で濡らしながら、撫でられるのを拒絶しようとする。
「だめ。やめてあげない」
「・・・ぇ?・・・なん、で?」
「雅に嫌いになって欲しくないから」
「ししょ、さっき、雅嫌いって・・・?」
抱く力を弱め腕を伸ばして少し体を反らせる。涙で赤くなった目尻が痛々しい。
「ごめんね、それ、嘘なんだ・・・。雅がいうこと聞いてくれないから・・・」
「・・・っじゃあ、嫌いじゃ、ないんですね?」
「あたり前じゃん。世界一好きだよ、雅♡」
私がそこまでいうと雅ははわはわと赤面し、私の胸に顔を埋めた。
「僕も・・・好き・・・ですっ!」
感激だ。感涙だ。全私が泣いた。雅がここまでダイレクトにきてくれた事があっただろうか?嬉しすぎる。これは、恋人確定ルートですよね!?エッチもあるよね!?
「雅!」
「なんですか?」
顔を起こし、こちらを見上げる雅。目は真っ赤で鼻も赤みを帯びてきている。
「あ、っと。先に1回顔洗ってきた方が良いよ。顔がぐしょぐしょだ。」
「へっ!?あっ、はい!分かりました!」
雅は起き上がり、ふらふらと千鳥足で出て行った。
よしよし、めでたしめでたし。
・・・違う!ぱんつ!ぱんつ穿かなきゃ!
すすす、とベッドから雅に気づかれないように音をたてず移動してタンスからぱんつを取り出す。
「おぱんつ、おぱんつ~っと♪」
私がぱんつに片足を入れたその時、後ろからがちゃっと扉を開けながら雅が入ってきた。