※この作品はR-18です。

感度3000倍の世界で非モテは吠える   作:Re鯖

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物語がゴリゴリ進みます。
アスカがでなくて若干しょんぼりしてます。



第3話 日常と非日常の境界線

 この世界の東京湾には、とある人工島がある。

 東京キングダム・シティ。

 政府の主導によって建設されたその人工島は、今や当初の目的からは大きく外れ、魔族と人が入り混じった闇社会が形成された無法地帯となった。

 薬物、人身売買が当たり前のように行われ、一度路地裏に入れば強姦が行われているのが日常茶飯事。そんな、魔都とすら呼ばれるようになった無法地帯に、最近1つの噂が流れるようになった。

 曰く、屋外で対魔忍を犯すとその者は必ず惨殺され、文字通り骨と皮だけになるという。

 ある者はその噂を信じ、ある者は下らない噂に過ぎないと笑った。

対魔忍という組織は、かなり個人主義の傾向が強い組織だ。というのも、対魔忍達はその戦闘能力の大半を能力に依存しているため、下手に連携をしようとしてもそれがかえって命取りになるケースも少なくないのだ。だが、単独行動が多いということは救助が困難になるというデメリットも有る。

 そんな理由から、対魔忍が堕ちて奴隷娼婦となっていることは何ら珍しいことではない。道端で犯されている少女が元対魔忍だったという話もよく聞く話だし、彼女達が任務で使っていた対魔忍スーツを着た状態のまま犯されていることも多いため、見分けもつきやすい。

 故に、それが殺すべき対象を間違えるということはあり得ない。

 

「んほおおおお!! おちちゃう、おちちゃうからああああ!! ちんぽぬいてえええええ!!」

「うるせえよメスガキがぁ! 恨むなら俺の山に手ぇ出した自分を恨むんだな!」

「ひっぎぃ!? いや、いやああああ!!」

 

 東京キングダムのどことも知れない路地裏で、まだまだ駆け出しだった対魔忍の少女が魔族の中でも階級が低いとされているオークに犯されていた。精液に媚薬効果があるというまさしく性交するためだけに生まれてきたような生命体は、恐怖の表情を隠そうともしない少女を見て下品な笑みをより深め、腰を振る速度をより加速していった。

 

「オラァ! 中に出すぞ!」

「おごぉっ!? な、中は、中はだめええええ!!」

 

 オークのピストンの勢いに耐えきれずに膣が切れたのか、性器から少量ではあるものの血を流しながら少女は泣き叫ぶが、そんなものをオークが聞き入れるはずもなく、オークが少女の膣内に射精しようとした次の瞬間。

 

「がっ!? ごっ!?」

「……え?」

 

 オークの全身の至る所を、赤黒い血のような色をした杭が貫いていた。脳と五臓六腑をぶち抜かれたという事を知覚する暇も無く、オークは即死した。対魔忍の少女は何が起こったのか理解できないのか、呆然と一瞬で亡骸となったオークを見つめていた。

 次の瞬間、オークは何かが潰れるような音と同時に、骨と皮を残してそれ以外が全て杭に吸い込まれてしまった。当然、身体を支える筋肉も吸い出され、何かのスーツと言われる方がしっくり来るような薄っぺらい何かになったオークは倒れ、その後ろにいた白髪の少年が対魔忍の少女の視界に入った。

 その顔は下半分が赤いマフラーで覆われており、少女からは彼がどんな顔をしているかは分からなかった。だが、元はオークのものだったであろう内臓の破片がその手にこびりついていることから、先程のあれをこの少年がやったことは明白だった。

 

「…………」

「ひっ!?」

 

 彼はその手にこびりついている内臓の破片をなんでもないことのように払った後、少女に歩み寄った。先程の一撃(?)を見るだけでも、少年が途方もない実力を有していることはわかった。そして何より、少女は彼の何の感情も宿していないかのような空虚な瞳が怖かった。自分もあのオークと同じようにされるのでは無いのだろうかと、ギュッと目を瞑った。

 

「……無事?」

「……え?」

 

 少女の肩に手を置き、少年が発したその言葉が少女の無事を確認するものだと理解するまでの、少女は若干の時間を要した後、ゆっくりと1つ頷いた。

 

「……帰ろう」

「は、はい……」

 

 少女が着ていた対魔忍スーツは、至る所を破かれ、胸や性器などが露出していたため、少年がどこからともなく取り出したマントで少女の身体を包み、少女を背負った。

 

「あの、あなたは……?」

「……名前はない」

 

 少女を背負った白い髪の少年は、そう答えたのを最後に何も喋らなくなった。

 

――――――――――――――――

 

「…………」

 

 表向きは普通の何処にでもある高校だが、その実態は対魔忍達を育てるための学園、五車学園。その職員室にて、アサギは1つの資料を睨んでいた。その顔は、お世辞にも穏やかとはいえなかった。

 アサギの見ている書類に書かれていたのは、ここ最近で五車町に戻ってきた対魔忍のリストだった。一度行方不明になった対魔忍が戻ってくるのは珍しいことではない。彼らも一通りの訓練を終え、ある程度の実力はあると認められた上で任務についているのだから自力で戻ってくるということも普通に有り得る。

 

(だが、いくら何でも多すぎる)

 

 そう、多すぎるのだ。それ自体は非常に喜ばしいことではあるが、帰還した彼女達が言っていたことにある共通点があるのが気にかかった。

 

(白い髪の少年か……)

 

 心あたりがないわけではない。いや、アサギの知る限りの人物の中では、彼以外にはあり得ない。

 

「水城、京士郎……」

 

 人の身でありながら、完全な吸血鬼となった人物。水城京士郎。聞けば、おそらく誰かの差し金で凶暴化していた忍熊をたった一人で、しかも万全ではない状態で無力化させたという。精神に干渉できる忍術を使った調査でも、彼女達の記憶の中での少年は彼の外見と一致していたため、彼と見て間違いないはずだ。

 

(けど、どうやって……?) 

 

 それがわからない限り、上層部の者達が京士郎を消したがっている以上下手に追求する訳にはいかない。東京キングダムと五車町にはそこそこの距離がある。彼が五車学園を欠席したという情報もないから、活動時間は必然的に夜となる。だが、それだけの距離を往復し、おそらくオークに襲われているであろう対魔忍を助ける事が可能なのだろうか?

 確かに彼は五車学園の中では成績的な面で言えばかなり優秀な方だ。だが、それはあくまで五車学園の中では、の話だ。五車学園で教師も勤めているアサギではあるが、その立場上多忙であり、あまり京士郎の様子を見ているとはいえない。とはいえ、成績表などを見る限りでは彼には一晩の内に五車町と東京キングダムを往復出来るような能力はないはずだった。

 謎は、深まるばかりだった。

 

――――――――――――――――――――――――

 

 病院内で熊に襲撃されてから約半年、俺の周りではいろいろなことがあった。俺を襲った熊は、治療中で精神状態が不安定だった熊が俺という刺激に耐えきれずに暴走した。ということになったらしい。なんか、さらっとフラフラしていた俺のせいにされたが、特に罰もなかったため、まぁ仕方ないかということで俺は受けいれていた。不知火さんは笑顔のままありえないくらいキレていたけど。

 

「…………はぁ」

 

 俺は個人的にやっていたリハビリの結果、まだまだ喋る事はできないが単語を1つ2つ発することくらいなら出来るようになった。まだまだそれだけでは会話の効率が悪いから本格的な会話をしたいときはノートとシャーペンが欠かせないけどね。

 

「京士郎、どうかしたのか?」

「……大丈夫」

 

 そして現在、俺はこの町の学校、五車学園に通っている。最初その話を聞いたときには俺の肉体年齢はゆきかぜより少し上くらいだと思っていたのだが、なんでも五車学園に年齢はあまり関係ないそうだ。

 というのも、五車学園というのは通常の教育機関を装ってはいるものの、その実体は対魔忍を育成するための訓練施設で、近年増加している魔族による被害に対抗するために設立された施設らしい。つまり、ここに通っている生徒達は見習い対魔忍といったところだ。

 

「早く次の授業に行かないと遅れるぞ?」

「……わかった」

 

 というわけで、五車学園の中では俺は同い年のはずの凜子の後輩となる。入院生活を送っていた最中は出来る限りゆきかぜの前では理想のお兄ちゃんであることを心がけていた俺としては若干微妙な気分になるが、こればっかりはどうしようもないため諦めることにした。

 

―・―・―・―

 

「―――であるから、こういった状況において最も優先すべきことは」

「…………」

 

 この学園での授業は、座学よりも実技を重視している場合が多い。まぁ、見習いの段階でも実力さえあれば任務への参加も許可される徹底的な実力主義らしいから対魔忍という組織としてもできるだけ規模を増やしたいのだろう。座学では地理的な知識や、緊急事態での対処法などを学ぶ。それ自体は別にいいし、俺もこんな状況に生まれてしまった以上ゆくゆくは対魔忍となることは分かっているから授業を真面目に受けなければならないのは分かっているのだが、

 

(……眠い)

 

 眠い。凄まじく眠い。瞼がとんでもない引力で引っ張られる。しんどいなんて次元じゃない。理由がないわけじゃないけど、能力と一緒に夜行性までゲットしてしまったのではないのだろうか。

 眠たい瞼を必死にこすってノートを文字で埋めていくが、段々と異世界語の比率が増えてきている。意識が覚醒するたびにノートがミミズと文字の中間の何かで埋まっているのを見て憂鬱になるのも最近ではもう慣れっこだ。

 

「……水城くん、水城くん」

「っ……ありがとう」

「ひっ……ど、どういたしまして」

 

 どうやらまた知らないうちに意識が何処かへ旅立っていたのか、隣の席に居る前園桃子さんにまた起こされてしまった。寝ていたためか、若干気だるげな声でとっさに礼を言うが、桃子さんを怖がらせてしまった。いや、確かに目つき悪いけども。まだ年相応の可愛げがあるのに寝起きとかだと確実に5人は殺ってる目つきしてるけども、結構起こされてるのだからいい加減慣れて欲しいのだが……表面上は無表情でも結構傷ついてるのよ?

 

 さて、夜行性であることを考慮に入れても何故俺がここまで睡魔に悩まされているのか、それには理由があった。

 

―・―・―・―

 

「…………」

 

 その日の夜。不知火さんもゆきかぜも寝たことを確認し、俺は自分の部屋の窓から外に出る。素人なりに気配を消して移動し、自宅から十分に離れたことを確認した後、足元から杭を飛び出させることで歩幅を大幅に増大させて駆け抜ける。分かりやすくいえば、足をめっちゃ長くすれば走る速度もめっちゃ速くなるはずだよね? という脳筋理論だ。

 普通だったらバランス取れずに倒れる所なのかもしれないが、あいにくとこの体のバランス感覚は抜群で、普通に走っているときと殆ど変わらずにスムーズに駆け抜けていく。

 そんじょそこらの車やバイクよりも余程早い速度で五車町を出て、目指す先は東京湾に建設された人工島。東京キングダムだ。

 

「…………っ」

 

 東京キングダムに到着した俺は、出来る限り気配を消して移動する。この島にとっての夜というのは、寝静まる時間ではない。むしろ逆。魔族の中でもカースト的に低い立場に存在するオークはヒャッハーして普段こき使われてるストレスを発散するかのようにそこら辺で身体を売っている娼婦やら薬物中毒者やらをレイプしたり、吸血鬼や貴族などの上流階級の人間はおおよそ公にすることは出来ない賭け事に興じている。

 うん、端的に言ってしまえば世紀末。

 正直なことを言ってしまえば、俺だってこんな所来たくない。けど、これは俺のためでもあるから、仕方ないのだと割り切って行動するようにしている。

 とりあえず高い建物の上に登った俺はそこから周囲を見回してある人を探す。探しているのはこう言ってしまうとあれだが、任務に失敗し、オークとかにレイプされている元対魔忍だ。対魔忍スーツという非常にわかりやすい目印があるから、探すのには苦労しない。

 

「…………いた」

 

 2秒とせずに、目標の人物は見つかった。いや、いくら何でも簡単に見つかりすぎだろう。黒髪が精液であろう白い液体で所々固まってしまっている女の子はその身体に纏った対魔忍スーツをビリッビリに破かれ、もうほとんど裸なんじゃないかっていう状態で複数人のオークにレイプされていた。

 ……男として何も思わないわけじゃないが、あいにくと俺に無理矢理やる趣味なんて無いし、どっちかというと俺の目的はオーク達の方にある。

 

「…………いくよ」

 

 さぁ、燃料集めの時間だ。

 

―・―・―・―

 

「ゆ、許してくれ! 女ならやぎゃああああああああ!!」

「……ふぅ」

 

 以前よりも明らかにその色を濃くしている赤黒い血の杭達が最後の1人であるオークの全身を貫いた。次の瞬間、骨と皮以外の全てを血の杭が吸い込んだ。俺の身体の中に異物が入り込むような感覚が一瞬あった後に、ほのかな暖かさと力が貯められたという本の少しの充実感が俺を包む。

 最初の頃は、何かが一瞬つっかえた後にそれすらも貫いていく感触と目の前で広げられるそれまで生きていた奴が真空パック機の如く薄っぺらい何かになる光景に不快感も覚えたが、今となっては慣れっこだ。

 そして、いくら数で圧倒的に勝っているとしても、ただ鈍器で殴るか銃で撃つしか出来ない奴らにいい加減戦いにも慣れてきた俺が負ける道理はない。

 

「…………」

 

 俺がこんな事をしている理由は至極単純で、俺の能力の強化のためだ。

 俺の能力である『闇の賜物(と思われるもの)』は、単純に杭を生成するという能力ではなく、これで刺した敵から魂や血を吸収し、それを俺の力にするという能力がある。前の熊との戦いでは、それがあまりにも不足しすぎていたせいでいくら鍛えられているとはいっても熊の身体を貫通することが出来ない程度の出力しか出なかったんだ。

 成果はあった。以前は赤い染料を雑に混ぜたガラスのようだった杭が、今となっては全体的に赤黒くなっている。俺の記憶の中にある闇の賜物が生成する杭にもかなり近くなってきている。

 

「あ……う……」

「…………はぁ」

 

 レイプがあまりにも激しすぎたからだろうか、意識を失っている対魔忍の女の子をお姫様抱っこの要領で持ち上げ、来たときと同じ方法で足早に東京キングダムから引き上げる。

 俺も、俺自身の意志で命を殺めることに何も思わないことがないわけではない。自分たちとは違う生き物だから。同じ対魔忍の仲間を救うためだから。こいつは嫌がる女を平然と犯す奴等だから。俺自身の身を守るためだから。そんな免罪符を並べても、俺は腹の底にずっしりとのしかかる罪悪感を感じていた。

 虫とか、家畜とか、そういうのを殺すのとは訳が違う。オークはいくら種族が違うとはいっても、俺達と同じ言語を喋り、喜怒哀楽もはっきりと分かる。死にたくないという思いもひしひしと感じるし、命乞いだって嫌というほどにされた。

 

 でも、俺だって理不尽な理由で何も出来ずに殺されたくない。

 

 自分の中に芽生えているひどく自分勝手な理由に心底嫌気を感じつつ、俺は五車町に戻ってきた。




一番最初は思いっきり形成してたからいけんだろって? それはまぁ……ねぇ?
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