@
夏休みに入ってから母さんは残業のある日は九時を回って帰宅し、家で食事をとらなくなった。仕事の合間に食べてしまうのだという。さすがに疲れているのかスーパーで買った総菜が増えた。
暑さと仕事の多忙があわさって、母さんは帰ってきたときには汗が浮かんでいる。肌には真珠のように艶があった。そばを通ると芳醇な女の匂いを醸していて、僕のオスを発情させるフェロモンのようなものを振りまいていた。
涼しげな顔の中で、そこだけぷっくりと柔らかそうな唇が、物憂げにうすく開かれている様に、僕は見惚れる。
僕は完全に母さんに情欲を抱いていた。
食器を洗う後ろ姿、ほんの少し前かがみになって突き出たお尻を犯す妄想で、もう何度もオナニーをしていた。
死んでしまった父さんのかわりに、僕が母さんを支えてあげないと。子供のころから思い続けてきたことだ。父さんのかわりに……。二度も出したのに勃起する。母さんにバレないように、そっと体で隠した。
皿洗いを終えた母さんが、シンクの水気をとりながら言った。
「お母さん、先にお風呂入っていい?」
毎日のことなのに、必ずそう質問する。
「うん。母さん、汗かいてるもんね」
「え、ええ。そうね。お仕事が大変で……」
ぴくっと背筋を反らすような動きをすると、後片付けを切り上げるような慌ただしさで、ぱたぱたと脱衣所に向かった。ぴっちりとシルエットを出すズボンが、むにむにとお尻の形にゆがむ。
強烈な欲求が金玉から滲みだす。じわじわと先端へと登っていく。
そっと廊下に出て、脱衣所から漏れる衣擦れに耳を澄ませる。小さな声を出して、髪の擦れ合う音。シャツを脱いだ。今日のブラはなんだろう。洗濯をしているのは僕だ。すべて知っている。ベージュの無地だろうか。それとも薄いエメラルドの、刺繍のはいったものだろうか。想像は膨張する。欲望は加速する。荒くなりそうな呼吸を必死に抑える。
足踏みが二度。浴室を閉める音。シャワーが流れ始める。
脱衣所のドアをわざと普通に開ける。自分の洗濯物を置いておくふうに動きながら、母の脱いだ衣服を確認。残り香が頭をくらくらさせる。
汗の染みたシャツをどけると、ぱんつがあった。
生唾を飲み込む音が、いやに大きく響いた。
欲望は加速する。僕は母さんの脱ぎたての下着が、どうしても気になった。どうせ洗うのは僕だ。大丈夫。バレやしない。
心臓がはちきれそうだ。
掴んだその下着は、妙な冷たさがあった。
ぬるり、と滑る。
持ち上げて、目の前に広げる。ぱんつの裏側、クロッチの部分に、白濁した液体がついている。見覚えのある――最近は特によく目にする、精液……ザーメン。
子種。
それが母さんの割れ目が触れる部分についている。
痛いほどの勃起。ズボンの圧力でさえ快感。
遅れて意味を理解する。
母さん……僕の……母さんが……僕だけの……。
腰が抜けたように倒れ込んで、僕は手も触れずに射精した。今日一番の濃さと量であると、尿道の感触でわかる。
「大丈夫?」
母さんがシャワーを止めた。まずい。
「だ、大丈夫! 転んだだけだから!」
なんとか立ち上がり、下着を元に戻して、僕は逃げるように自室に逃げ込んだ。
激しい怒りと嫉妬と、喪失感が胸に渦巻いて、精液で気持ち悪いぱんつに擦れた萎えはじめのペニスからの快感に、頭が狂いそうだった。
@
「じゅるっ……じゅるぅ……んっ、むばぁ……はぁ、ん、あー……えろぉ……」
私と和彦の家……私の部屋、ベッドにテウン君が座っている。その足元に跪いて、彼のおちんぽを丹念に舐め上げる。日常に非日常が侵食する背徳。処女を失った日のような淫靡な慄き。喉奥まで咥え込むたび、息継ぎをするたびに濃くなる、性臭と唾液のまざったかおり。私のまんこは蕩けきっていた。
彼と初めて交わった温泉旅行から一ヵ月――私はすっかり、テウン君の色に染められてしまった。「おちんぽ」とか「まんこ」とか、露骨な表現を好む彼にあわせて、私はすっかりそういう言葉遣いが身についた。
最初は和彦に申し訳なくて、すべてを話してしまいそうになりながら、普段通りを取り繕っていたけれど、二日もしないうちに私は飢えた獣ように、浅ましくオスを求めた。出迎えるテウン君の優しいキスに、スイッチを入れられてしまった。亡夫を……息子を裏切るような気がして、テウン君にいじめられながら私は、歓喜と悔悟の涙を流していた。躰が彼に馴染むほどにそういう気持ちは、悦楽に蝕まれていった。
テウン君は悦んでくれているだろうか。おちんぽを咥えながら視線を向けると、彼は私の頭を鷲掴みにしながら、顔は部屋を見まわしていた。
嫉妬が胸を焦がす。
「じゅろろっ……! んぼ、むぐっ、れおォ……じゅぽッ、じゅぽっ、む、ばぁ……。あん、む……ひもひい……?」
「ああ、気持ちいいよ、和美」
頭を撫でるように手が動く。私は嬉しくなって、より激しく、いやらしく、ねちっこく、彼のおちんぽに奉仕する。涎と我慢汁とが口のまわりを汚して、顎を伝って、ぼたりぼたりと床に落ちる。
私の大切なものをテウン君に汚される。そんなことが快感に変わる。和彦を思い出して申し訳なく思うのも、もはや私の興奮のためと言っても、きっと過言ではないだろう。
だって彼のおちんぽは、顎が外れそうなほど立派なんだから……。
「ずっと家に入れてくれなかったけど、いい家に住んでるんだな」
テウン君は独り言のようにいった。
そう……母親としての最後の砦だった我が家を、私は守っていた。干していたはずの下着が盗まれることが続いて、彼との会話でそのことを漏らすと、「カメラでもつけようか」と言ってくれた。和彦が友達と遊びに行く日を狙ったみたいに連れ込んで、作業が終わると当たり前のように、お礼でもするように、彼を部屋に招き入れてフェラチオをしていた。夫にはしたことのないこと。テウン君に教えられて、身についた性技。
私のにおい以外しなかった寝室に、テウン君のオス臭が広がっていく。私を……メスを発情させるにおい。臭くて、いやらしくて、たくましくて、獣みたいで、圧倒的なかおり。どうして人間に発情期がないのか、わかったような気がする。彼のように立派なオスと出会えたとき、いつでも抱かれるためなんだ。
ガチャリ――と鍵を回す音。
一瞬、正気の自分が返ってくる。まずい。そんな私を嘲笑うように、テウン君はいじわるな声で囁いた。
「息子か。ならオレは帰ったほうがいいな」
「おごぉッ……!」
私の頭を無理やりに押さえつけて、立派なおちんぽを根元まで咥えさせる。喉を突かれて絶頂する。身動ぎして擦れる勃起したクリトリスがさらに私を追い込む。テウン君は頭を固定して腰を振る。まるで物扱い。オナホールにされたようだ。
水風船がはじけるように、苦い液体があふれ出す。。飲み下しきれない精液が、ぼたぼた床に零れる。
そのまま頭を撫でられた。彼の手が「ありがとう、お疲れ様」と言っているみたいで、乱暴な行為の余韻にさえ甘さを見出してしまう。