冷たい手 作:返事はするが屍です
ぴちゃぴちゃという水音が教室に響く。
いつもなら生徒の喧騒に包まれている教室も、放課後となれば静けさに満たされてしまう。
が、それはこの二人が居なければの話だ。
「んっ、ちゅ……くるみ……ん」
「……ん、りーさん……んっ、ん……」
背中まで伸ばした艶やかな茶髪の少女と、黒髪をツインテールに結った少女は、普段使っている教室でひっそりと逢瀬を重ねていた。
唇を合わせ、舌を絡ませて身体を寄せる姿は、同性同士でありながらも"恋人"のような関係に見える。
茶髪の少女──若狭悠里は、より一層思い人である恵飛須沢胡桃に唇を押し付け、激しいキスをせがんだ。
胡桃もそれに応えて熱い口付けを交わしていく。
「んっ、ん……ちゅ、ん……んぁ……ん」
「……ん、ん……っ、ちゅ……ん、ん」
幸い、この教室に誰かがやって来るということはない。
生徒なんてほとんど帰ってしまっているし、唯一学校に留まっている二人は今頃夢の中にいるだろう。
だから、二人は人目を気にせずに行為を続けていく。
誘ったのは悠里からだというのに、胡桃もそれを一切拒んだりしない。
「はぁ……ぁ……っ、はぁ……く、くるみ……その……」
「わかってるよ、りーさん。早く続きを、だろ?」
「ッ! そ、それは……んぁ……っ!」
羞恥から否定の声を上げようとした悠里だが、その声は胡桃の愛撫によって掻き消されてしまう。
彼女の身体を窓際に押し付け、胡桃は豊かに成長している悠里の胸に手を伸ばす。
"そういうこと"を期待していたのだろう。悠里は普段着ているカーディガンはもちろん、ブラすら着けていなかった。
「やっぱり期待してた?」
「……っ、ち、ちが……んっ、あ……っ、ん……や……っ、んぁ……っ!」
「ほんとに? 明日出発して、二人きりになれる時間が減るとか考えてなかった?」
「ん……っ! やぁ……ん、んぁ……っ、そんな……こと、っ……あんっ!」
制服越しに乳首を擦ってやると、悠里は顎を反らし、ハッキリとした喘ぎ声を上げた。
これではいくら否定しようが意味はない。
言葉以上に身体の方が雄弁に答えを返しているのだから。
胡桃は悠里の胸を優しく揉みながら、膝を彼女の足と足の間に割り込ませ、振動で秘所を刺激してやる。
「んんっ! っぅ……そこ、ダメ……っ! んぁあ! っ、や、あんっ!」
「りーさん、すごい顔してるな……」
間近で悠里の蕩けた顔を見つめつつ、胡桃は彼女の硬く尖った乳首を指で何度も擦り付ける。
柔らかい双丘の頂きは、もう既に一目見ただけで分かるほど勃起していた。
が、そこで胡桃は一度胸と秘所への愛撫をやめてしまう。
もっと悠里の淫らによがる姿を見ていたい。その気持ちはあるのだが、それ以上に彼女からの"おねだり"を聞かせて欲しかったのだ。
「どうする? 明日も早いし、この辺でやめにしとくか?」
「……っ! で、でも……こ、こんな……」
中途半端では終われない。その思いは悠里も同じだ。
けれど、自分から胡桃にお願いするのは恥ずかしいものがある。
これまで何度交わしてきた行為でも、改めて口にするのは躊躇ってしまう。
が、きっと言わなければ胡桃はすぐに手を止めて帰ってしまうだろう。
それは……嫌だ。
「くるみ、お願い……続き、もっとして……お願い、します……」
「もう、仕方ないな。じゃあ、自分でスカートめくってみせてくれよ」
「う、うん……」
小さく頷き、赤くなった顔を胡桃から逸らしながら僅かにスカートを捲りあげる。
だが、それでは足りない。
「もっと」
「……こ、これでいい……?」
「うん、それでいいよ。じゃあ、触るぞ」
胡桃は悠里の前で屈み込み、彼女の露にされたショーツに触れようとして──あまりの濡れ方に驚かされた。
「あはは、もうこんなに濡れてる。りーさん、いつから期待してたんだ?」
「だ、だから、別に期待してなんて……っ! ああんっ!」
悠里の言葉を遮り、胡桃が彼女の秘所を指でなぞった。
ひんやりとした手が、すっかりシミを作ってしまっている秘裂にいやらしく触れ、何度も何度も悠里の身体と心を責め立てる。
ぐちゅぐちゅ、と淫らな音が響き、羞恥でますます頬が赤らんでしまう。
「やぁ……! ん、あん……っ! そこ……そこ……っ! ん、ああんっ!」
「まだ入り口しか弄ってないんだけどなぁ」
「だ、だって……! んぁああ! や、っ……ん、あん!」
意地悪そうに笑う胡桃は、悠里の膣口だけを何度も愛撫し続けると、今度はショーツを膝下まで脱がせる。
そして、目の前に晒されている秘所に人差し指を挿入させた。
「んく……っ、や……ぁ、ん……ああんっ!」
「はは、すごい糸ひいてる。それに声も大きいし……ゆきたちに聞かれちゃうぞ?」
「だ、って……! こんな、つよく……っ、されたら……んぁあ! や、っ、ん……ああん、んぁああ!」
人差し指の第二関節の辺りまで挿入し、膣内を抉るように掻き回す。
まだ指を一本しか、それも最奥まで進ませている訳でもないのに、悠里の秘所からは蜜が止めどなく溢れてくる。
もう胡桃の指をべとべとに汚してしまうほど濡れてしまっていた。
「ん……っ、ああんっ! や、っ……もう、だめ……っ! あん、つよ、くて……!」
「もうイッちゃうのか?」
ニヤニヤと笑いながら、さらに指を奥へ奥へと進ませていく。
同時に膣壁も擦って刺激し、びくびくと震える悠里の身体を弄ぶ。
そうして愛撫を続けていれば、当然、悠里もすぐに達してしまう。
「だめ、だめ……! もう、ダメ────んぁあああっ!」
教室内に……いや、教室の外にまでも悠里の嬌声が響き渡る。
彼女の膣口から潮が吹き出て、身体がガクガクと震え出せば、誰にでもイッてしまったことなど分かるだろう。
それは、最も悠里の近くに居る胡桃にもだ。
「ぁ、はぁ……っ、はぁ……ぁ、っ……」
「はは、もうイッちゃったんだ。けど、やめるつもりはないからな」
「え……? ちょ……わたし、いまイッたばっかりで……ッ!」
窓に背を付け息を切らしている悠里だが、再び与えられる愛撫によってまたしても全身を震わせてしまう。
が、先程までとは少し違う。
胡桃は指を悠里の中から引き抜くと、今度は彼女の秘所に顔を寄せ、蜜が溢れたそこに口を付けた。
そして、わざとらしく音を立てて愛液を吸い上げる。
「んぁ……ぁっ! や、そんな……っ! あんっ、だめ……わたし、またイッちゃ……!」
吸っても吸っても溢れてくるな、と笑って虐め、続けて舌を膣内へと侵入させる。
同じ女だからか、何度も行為を交わしてきたからか。あるいはその両方か。
相手の弱く、感じやすいところは全て把握している。
「んぁあああっ! だ……めっ! くるみ、くるみ……っ!」
自身の名を呼ばれ、そのことが嬉しくて、胡桃は舌を使って大事な思い人を責め立てる。
膣壁を擦り、染み一つない太股を空いたで撫で上げ──とどめとばかりに隠核を甘噛みした。
瞬間。悠里の身体が今まで以上に震え、あまりにも大きな喘ぎ声が上げられた。
「んぁああああああぁあああッ!」
と、絶頂の余韻で力が抜けてしまったのか、悠里がたたらを踏んで倒れてしまいそうになる。
が、彼女の身体はすぐに立ち上がった胡桃が支えてやった。
「っと……大丈夫か? りーさん」
「う、うん……その……ありがとう」
「いいっていいって。それより、もう満足した?」
悠里の身体を抱き締めながら、彼女の耳元でそっと問い掛ける。
胡桃としては、まだまだ悠里に付き合っても構わないと思っているのだが、悠里の方が限界なのか小さく首を振って否定した。
それよりも今は──
「もう少しだけ、このままで居てもいい?」
「甘えん坊だなぁ、りーさん」
クスクス笑って答え、胡桃も悠里の身体を優しく抱き締めた。
ひんやりと冷たい感触が、悠里の身体を包み込む。
「ねえ、くるみ。ずっと、傍にいてね」
「なに言ってるんだよ……そんなの、当たり前だろ。あたしは、りーさんから離れたりしないよ」
「……うん」
背中を撫でられたことに僅かな安堵を覚え、回された手の冷たさで泣きそうな気分になる。
絶対に、この人を離したくない。そう、心の中で決めた。
「くるみ。手が冷たい人は心が暖かいって話、知ってる?」
「うーん、その話あたしはよく知らないけど、たぶん本当だな。だって、りーさんの手って結構冷たいじゃん」
「……ありがと。もし本当だって信じてくれるなら、きっと胡桃の心も同じね」
囁いて、より一層胡桃の身体を強く抱き締めた。
息を呑む音が聞こえたが、二人の会話はここで終わり。
胡桃と悠里が部屋を抜け出してから、それなりに時間が経過している。そろそろ戻らないと、教室で寝ている二人に気付かれてしまうかもしれない。
だが、今だけは、このままここで抱き合っていたかった。
そして、悠里は胡桃の唇にそっと口付けし、誰にも──どんな状況にだって負けないくらいのキレイな笑みを浮かべた。
きっと、明日は今日より良い日になる。
それは、これから先もずっと変わらない。
どんなに辛いことがあっても、泣きたくなるような苦しいことがあっても、きっと皆と居られたら──大事な彼女と居られたら、それはとても幸せなことなのだろう。