※この作品はR-18です。

散花凌乱   作:バルボロッサ

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今回は東京レイヴンズより土御門夏目の登場です。
時間設定は原作第5巻、仁義なきしっぽのifストーリーです。

ちなみに
夏目は残念可愛い。夏目は天才(笑)陰陽師。夏目のバカ虎がこんなに鋭いわけがない。ケモナー。トラブる発生中。  といった要素があります。

なお、コンは春虎様のちゅーじつな式神なれば、呼ぶまででてきません。



土御門夏目(東京レイヴンズ)

「しまった。結構混んでるな」

 

 陰陽塾、男子寮、風呂場。陰陽塾に所属する学生である土御門春虎はその日、猫とともに男子寮の風呂場へと来ていた。

 本来であれば猫などの動物を寮で飼うことはできないのだが、寮の側に捨てられた猫を寮母である富士野さんが拾ってしまい、その飼い主が決まるまで面倒を見てくれということを春虎の幼馴染、土御門夏目経由で頼まれた春虎は昨日からこの猫、クロを自室にて飼っているのだ。

 

 

 幾人かの先輩たちに声をかけられ頭を下げながら奥まで進んだ。

 

 首をつかまれたまま浴室に連れてこられた猫は「うにゃあ、うにゃあ」と激しく動転したように鳴いている。

 

「こら。落ち着けって」

 

 春虎は子猫を裸の胸に抱え直した。すると子猫の毛が肌に触れ、猫は「にゃっ!」と短く鳴いて、尻尾の先までピンと硬直させてしまった。

 

 

 

「ほら、よーしよし」

「はにゃっ!」

 

 泡立てた石鹸を頭部につけ、もこもこの状態にすると子猫はビックリしたのか変な鳴き声を上げた。だが暴れる様子はなく、爪を立ててくることもなかったため、春虎はそのまま手を動かした。

 

「いい子だぞー。そのまま暴れるなよー」

 

 優しく撫でるように頭部を洗い、ピンと立っている耳も親指と人差し指で摘まんで丹念に磨くように洗う。昨日もよく撫でてあげた喉元もしっかりと洗おうと手を伸ばし、傷つけないように優しく丁寧に毛を泡立たせた。

 子猫はくすぐったいのか「にゃっ、にゃっ」と時折鳴き声を上げるが、ピンと強張っていた体が逆に解れてきたようで弛緩し始めている。

 春虎はそのまま前肢の付け根、胸元にも手を伸ばした。

 

「にゃにゃっ!!?」

「おわっ!?」

 

 するとそれまで大人しかった子猫が突如として体をくねらせ、春虎の手から逃れるように暴れだした。

 いきなり興奮しだした子猫に春虎は驚きつつも子猫を抱えなおした。

 

「こらこら、暴れるなよ、クロ」

「ふにゃっ!」

 

 抱えなおされたために子猫と春虎の密着具合がまして、なぜだか子猫は再び硬直してしまった。なんだかあわあわとでも言いたげに小刻みに震えているような気もする。

 ともあれ再び大人しくなったのをいいことに、春虎は子猫の洗体を再開した。

 前肢を抱え込んで胸元に泡をつけ、毛を引っ張らないように優しく体を撫でる。子猫は口元に前足を押し付けるようなそぶりをしたままビクビクと体を震わすものの暴れることはない。そのまま春虎は丹念に脇から腕にかけてを優しく洗った。

 胸元から首あたりが白く泡塗れとなったころ、一息つけるように春虎は手を止めた。

 

「ふにゅぅ」

 

 やっと終わったとばかりに子猫は全身の力を弛緩してぐてっと春虎の膝の上でのびた。

 

「よーしよーし。今度は後肢の方だからなー」

「へにゃ?」

 

 春虎はぐったりしている子猫をよそに、一気に洗ってしまおうと石鹸ボトルを2,3度プッシュし、石鹸を補充した。春虎の声に反応してか子猫は気の抜けた鳴き声を返して、春虎の方を振り返ろうとした。

 

「ぅゅっ!!」

 

 春虎の手が子猫の脇腹へと触れてその毛並みに白い泡をつけた。

 胸元から腰骨にかけてのラインを丁寧になぞり、手が上下するたびに子猫は何かを堪えるようにビクッ! と反応した。

 猫の体を洗うのが楽しくなってきたのか春虎は鼻歌混じりに手を動かし続け、子猫は「ぅにゃっ。ふにゃっ」と喘ぐような声を上げ続けた。

 そして後肢を持ち上げて肢の付け根、股へと手を潜り込ませた瞬間、

 

「にゃぁっ!!」

 

 一際高く子猫が声を上げた。

 

「ちょっと待ってろよー」

「ふにゃっ! ひにゃっ! ゃっ!」

 

 後ろから手を伸ばし入れ、股の中央をなぞるように手を優しく上下させ、中心部分に手を当ててくしゃくしゃと優しく掌全体で刺激した。段々と子猫の鳴き声が高くなっているような気もするが春虎は構わずに嬉しそうに手を動かし続けた。

 楽しくなってきた春虎が気づいているかどうかは定かではないが、正面の鏡を見ていれば猫の口元が締まりなく緩み、瞳は潤んでいたことに気づいただろう。

 春虎の手は臀部についた尻尾にまで伸びた。

 

「!!!? ッ!! !??!」

 

 右手を筒状にしてするっと伸びた尻尾をしごくように前後させ、同時に左手は固定するように胸元に置いて優しく力を込めた。

 猫からは声にならない声が漏れたように顎が上下した。

 春虎は猫が暴れないのをいいことに泡立てた掌で散々に尻尾を弄った。付け根をぐりぐりと擦り合わせ、すすっと付け根から先端までを挟んで扱く。

 

「よーし、それじゃあ流すからなー。目を閉じててくれよー」

「ふにゃ。にゃ……」

 

 心行くまで猫を洗った春虎は言葉が通じているかのように目を閉じるように言ってから弱めのシャワーを浴びせて石鹸を洗い落としていった。

 子猫はぐったりといった様子だが、時折春虎の手が身体を撫でてビクッビクッと体を揺すった。

 

 その後、ぐったりしている猫をひとまずお湯をはった桶に入れておき、春虎は手早く自分の体を洗った。

 洗われて疲れたのか猫はへにゃっとして桶の中で息を整えるように大人しくしていた。

 

 

 

    ☆☆☆

 

 

 

 自室に戻った春虎は、バスタオルで水滴が滴り落ちないようにした猫を椅子の上に置いて、ひとまず自分の髪を手早く乾かした。

 子猫は湯にでも当てられたのかぐったりとしており、あまり動く様子がない。

 手を動かしながらその様子を微笑ましそうに眺めていた春虎は、ふとなにか思いついたように机の引き出しにしまってあったとある“呪符”を取り出した。

 

 にまり

 

 と、春虎の口元が三日月を描くように吊り上るが、へにゃりとしている猫は気付かない。

 

 春虎はバスタオルごと子猫を抱き上げると、毛を引き抜かないように気を付けながら水気を取り始めた。

 

「ほ~ら、今乾かしてやるからな~」

「…………っ。…………っ!?」

 

 ぽすぽすと痛めないように優しげに水滴をタオルに移していた手つきが段々と滑らかに毛を撫でるように代わり、子猫の体をまんべんなく彷徨った。

 子猫はぐったりしていた体をびくっびくっ! とときおり動かして反応を返す。

 

「よーし、よーし、可愛いやつだなーオマエ」

「ふ、みゃぁ……」

 

 優しげに声をかけながら、愛おしげな眼で猫を撫でながら、恍惚といった表情の子猫に、そっと先程の呪符を貼りつけた。

 陶然とした様子の子猫はそれに気付かない。

 

 十分に水気を吸ったバスタオルをとすりと落し、春虎は子猫を胸に抱え直して立ち上がった。

 そして丹念に撫でながら、部屋を後にした。

 

 喉元をころころと撫で、小さな体を支える手は胴体から胸元をさわさわと撫で、時に耳をくりくりと弄ったりするたびに子猫は「みゃぁ、っ、ゃぁ」と甘えた声を小さく上げた。

 

 廊下に出た春虎はなるべく音をたてないように、そして愛撫に夢中になっている猫が逃げ出さないように静かに隣の部屋の扉の前に立った。

 

 こんこん、と扉をノックするが、“予想通り”部屋の中から反応はない。

 部屋には主が“居る”はずだが、やはり“ぐったり”としているのだろう。

 

 春虎は少し警戒しながらもドアノブに手を伸ばし、触れても何も起こらないことを確かめてからゆっくりと回して扉を開けた。

 

 部屋の中は電気がついており、やはり部屋の主はそこに居た。

 

「おーい、夏目。居るじゃないか。どうしたんだ、ベッドでぐったりして?」

 

 部屋の主にして、式神としての春虎の主、土御門夏目がそこには居た。

 ただし男子用のジャージを着たまま、ベッドの上でぐったりとしている。

 

 春虎は声をかけながら、音をたてないようにゆっくりと鍵をかけ、扉にこっそりと呪符を貼った。

 

「はる、とら……?」

 

 部屋の主、夏目は陰陽生の中では群を抜いて優秀な陰陽師だ。

 いつも凛として、成績優秀。

 春虎が転入してくるまでは土御門宗家の次期当主という肩書もあって周りの者が気後れするほどだ。まあ、それも春虎たちが転入してからは随分と薄れ、友人もできたりしているのだが。

 ただ、今の夏目は様子がおかしい。

 顔はなんだか酔ったように上気し、瞳はトロンとし、微妙に息が乱れている。

 

 “まるで湯あたりでもしたように”

 

「珍しいな、夏目がこんな時間からだらけるなんて」

「そん、な、こと……っ!」

 

 春虎はそんな夏目の様子を微笑ましげに見て、猫を撫でながら近づいた。

 瞬間、びくんっと夏目の体が震える。

 

「どうせゆっくりするなら夏目もこいつと遊ぼうぜ! ほら、こいつ可愛いだろ」

「っ! くんっ!! はっ、ぁっ!」

 

 予想通りの反応に、春虎は笑みを深くして、夏目の横に腰掛けて子猫を可愛がり始めた。

 尻尾を優しく抓み、するすると手を上下させる。

 夏目の体がぐんっ! と丸まり、色めいた声が上がった。

 

「ほら、可愛いだろ、夏目? 触ってやってくれよ」

「っ……っぅっっ!!」

 

 必死に何かをかみ殺している様子の夏目に微笑を向けながら春虎は子猫を抱き直して夏目に差し出した。

 左前脚の脇から手を差し入れて胸元に回し、右手は台座のように臀部で保定した。

 顔を上げた夏目に子猫を差し出した拍子に胸元の手が突起に触れた。

 なんとか持ち上げていた夏目の顔が急激に俯いた。

 

 甘い吐息を漏らしながら、なんとか普段通り振舞おうとする夏目の目の前で、春虎が“子猫”を可愛がっていく。

 春虎の手が再び尻尾へと伸び、その優しく絶妙なタッチが尻尾を上下に扱く。

 その手つきに、“夏目”の体がびくりびくりと反応を示し、声が漏れる。

 

「っ!! っっ!!! ……っぅっ!! く、も、どれ……!」

 

 耐えきれず夏目は震える指を一払いし、“式紙と感覚を共有する術”を解こうとした。

 その様子を見て、しかし春虎はにまりと嬉しそうに笑うと子猫を胸元に抱き寄せてその耳を甘噛みした。 

 

「ひあっ!!! な、はんっ! なんでっ! ひんっ!!」

 

 はむはむと耳を食みながら春虎は子猫の尻尾をくるくると指に巻きつけ、その猫と部分をくりくりと擦りあげた。

 

 思い通りにならなかった、どころか更なる触刺激を、共有した感覚から流れ込まされた夏目は驚愕して声を上げようとし、艶めいた声を上げてしまった。

 

 猫を愛撫するたびに、びくんびくんと愛い反応を示す主に春虎は抱きかかえていた猫の背中を、そこに貼りつけた札を見せつけるように夏目の前に持って行った。

 

「陰陽術の乱用は駄目じゃないか、夏目」

「!! それっ! ひんっっ!!」

 

 その札に込められた術の意味と、そして自らの失態を悟った夏目は、自らの式神である猫に貼りつけられた札を剥がそうと手を伸ばした。

 だが、寸でのところで春虎がその手を躱し、子猫の愛撫を再開させた。

 

「まったく、いくら俺が猫を触りたがってたからって、まさか“自分と感覚を共有させて”猫の式神を持ち込んでくるなんて……そんなに俺に触って欲しかったのか、夏目?」

「ち、ちが、ひんっ! くんっ!!」

 

 寮の前に捨てられたと夏目が持ってきたこの猫。

 実はこの猫、ただの猫ではなく式神。

 それも、春虎の主である夏目の感覚を共有させた式神。

 陰陽生多しといえど、自身の感覚を丸ごと式神に移すことが出来る者など、優等生だらけの陰陽塾の中でも土御門夏目だけであろう。

 

「そういえばコンは尻尾触られると恥ずかしそうにしてたけど、どんな感触なんだ?」

「やっ! 春虎、くんんっ!! それ、やっ! 尻尾、やめ、っっ!!」

 

 だが、才におぼれたというべきか、自らの式である春虎に、式神との感覚共有の接続を切ることができなくなる術をかけられた夏目は、子猫が受けた愛撫を、自らの式神の目の前で受け続けていた。

 遂には腕を持ち上げておくこともできず、堪えるために夏目はベッドのシーツを掴み、淫靡な反応を示そうとしている体に力を入れた。

 

 そもそも、夏目がこんなことをしたのは、春虎に原因がある。

 以前から春虎は犬のふわふわの尻尾なんかを、もふもふと撫でるのが好きだった。

 だが陰陽塾に入り、寮生活が始まってからはそのもふもふができず、知らず知らずの内に鬱憤が溜まっていってしまっていたらしい。

 

 そこで問題になったのが、春虎の護法式である狐の幼女、コンだ。

 彼女は妖狐の式神だけあって、触り心地の良さそうな狐耳と木の葉型でもふもふな尻尾を持った幼女なのだ。

 どうやら尻尾を触られるというのは彼女にとって中々に恥ずかしいことらしいのだが、この式紙、主である春虎に非常に忠実で、尻尾を触られることに否やを唱えない。どころかスキンシップと称してどんどんと触って欲しそうにするのだ。

 無意識のうちにコンの尻尾を撫でてしまう春虎だが、その度にコンの艶のある声が漏れてしまい、あらぬ噂をたてそうな展開になりかけていた。

 

 そこで一計を案じたのが春虎の主、土御門夏目だ。

 “彼女”はとある理由で男装して陰陽塾に通っており、また男子寮にも居室を持っている。

 その彼女が春虎のもふもふ欲求を満たすために(および怪しいまでのコンとの仲を遮るために)、術で春虎の好みそうな猫の式神を作り、存分にもふもふさせていたというわけだ。

 

 そして今

 

「くんっ! あっ! んっ、んっ! んんっ!!」

 

 春虎は思う存分に、夏目の目の前で、夏目と感覚をつなげている子猫を可愛がっていた。

 流れ込んでくる感覚に夏目は喘ぎ声を上げながらベッドの上で耐えていた。胸元の毛並を撫でるのにあわせて柔らかなタッチが夏目の胸を愛撫する。無いはずの尾部がしごかれて快楽というなの信号を伝えてくる。

 

 春虎の手が、夏目の体に愛撫の感覚を伝えてくる。

 

 夏目はベッドのシーツを掴んで感覚に耐えようとしているがその顔は赤く上気し、歯を食いしばるも閉じた口の隙間から堪え切れない感覚が溢れるように涎が滴る。

 

 春虎は夏目の姿に満足そうな笑みを浮かべて立ち上がった。片手で子猫を抱きながら器用に尻尾をくりくりと弄びながら、夏目の机の方へと向かっていく。

 手を伸ばし、その机の上にあった適度な太さのボールペンを手に取った。

 

「はっ。はっ……ひぎっ!! 春虎!? な、ぎっ!!」

 

 弱まった感触に息をついていた夏目は、突如増大した痛みを伴う嫌悪感にぼうっとしていた脳を覚醒させられた。

 痛みを伴うその感覚を告げる場所は肛門。

 振り返って見ると、そこでは春虎が手にしたボールペンを子猫の肛門を弄っていた。

 

「はると、ひぐっ! やめ、んっ!!」

「へー、子猫の感覚でもここって感じるのか夏目?」

 

 反射的に刺激を送ってくる股倉に手を当てるが、当然そこに刺激を送りこむ元凶はない。夏目は懸命に耐えるようにベッドのシーツを握り締める。

 

 ぬぷ、ぬぷ、ぬぷ、ぬぷ……

 くり、くり、くり、くり……

 

 十分に愛撫されて昂ぶったところへ尻尾と肛門からの感じたことのない協奏での刺激。

 

「あっ、あっ、あ!! んくっ。あああぁつ!!!」

 

 段々と夏目の喘ぐ声がスタッカートのように短くなり、そして堪えきれなくなった器から溢れ出るように絶頂の声を上げた。

 

 夏目が絶頂を迎えると同時に、春虎の手元から式神の子猫はふしゅーと音を立てて煙となった。

 

「あれ? 消えちまった」

「はぁはぁはぁ、はぁ……」

 

 絶頂を迎えて夏目からの霊力の供給が乱れてしまったのだろう。

 手元に残った2枚の式符。一枚は春虎の貼りつけたモノで、もう一枚は子猫の式紙のものだろう。

 

 白熱が駆け巡り、降りてきた夏目は白く靄のかかったような頭でベッドにうつ伏せで沈んでいた。

 四肢が重く、腕を上げることもままならない。 

 秘所から溢れだした愛液が下着どころか男物のジャージのズボンを濡らしていた。

 

 そしてそんな夏目に近づく春虎。

 主思いの式神である春虎は、ジャージ姿のままベッドに沈む夏目を優しく引き起こした。

 

「ん。はる、とら、くん……」

「あーあーダメじゃないか夏目。こんなにここを濡らしちゃ」

 

 自らもベッドに腰掛け、夏目を自分の体にもたれ掛けさせた春虎は、仕方ないなーという口調で、にんまりと笑いながら夏目のズボンへと手をかけた。

 男のズボンを脱がす趣味は春虎には無論ないが、あくまでも夏目は男物のズボンを穿いた女の子だ。

 

「ゃ……」

「うわっ。下着までぐちょぐちょじゃないか、夏目」

「ぁ。っっ」

 

 靄のかかった頭でも自らのズボンが脱がされようとしていることに気づいた夏目が小さく抵抗しようとするが、春虎は強引にズボンを脱がし、わざとらしく見たままを口にした。

 春虎の言葉と、そして言葉通りの洪水状態に夏目はかぁっっと顔を赤くした。

 

 昔から大好きだった、そして今も大好きな男の子。自分の式神である春虎。

 彼と同じ部屋で、同じベッドの部屋で、抱きかかえられ、衣服を脱がされている。

 そんな状況に夏目は恍惚としかけ

 

 ――コンコン――

 

 ドアをノックする音にハッと意識を覚醒させた。

 

「夏目君いる? 少し話したいことがあるんだけど……」

 

 寮母の富士野さんだ。

 話があるらしく部屋をノックしているが流石に女性の寮母が“男子”の部屋に勝手に入ることはしないのかドアノブを回す気配は今のところない。

 だが、今のこの状況は非常にマズイ。

 

「そーいえば俺ドアの鍵かけたっけなー。こんな姿見られたら、しきたり的にマズイよなー夏目?」

「ば、っっ!」

 

 小さな声ですっとぼけたようなことを囁く春虎の言葉に、夏目は本家のしきたり ――他家に対しては男子として振舞うべし―― を思い出してざっと顔を蒼ざめた。

 霊気の偽装と男装により他者の目を欺き、春虎の隣に住むために男子寮にまで住み込んだほどだ。

 だが、今、春虎に愛撫を受けながらズボンを脱がされ、愛液で濡らすさまなど寮母に見られたら……

 もしかすると別の方向の妄想をあの貴腐人に与えてしまうかもしれないが、いずれにしても非常にマズイ。

 怒鳴ろうとした夏目だが、声が漏れることを恐れて慌てて両手で口を抑えた。

 

 男装がばれることの危機感が絶頂の余韻を吹きとばしたのか、夏目は口に手を当てたまま涙目で春虎を睨み付けた。

 だが、その顔は恥ずかしさで赤くなっており、出せない声を代弁するなら「ばかとら」か「屈辱(くつじょきゅ)だ」だろう。

 

 男装してもばれない夏目であるが、そうと知って見れば、良家のお嬢様らしく整った顔立ちの美少女なのだ。

 春虎は幼馴染の美少女の赤くなった涙目ににまぁと笑顔を深くした。

 

 そして

 

「ッッ!! ッ!!! っめっ!!」

「ほらほら夏目。しっかり閉じておかないと声が漏れてるぞ」

 

 びしょびしょに濡れた下着一枚。あまりにも薄い防壁に守られた秘所へと手を伸ばし、濡れぼそった縦筋を愛撫した。

 縦筋の周囲を春虎の手が上下するたびに喘ぎの声が上がりそうになり、反射的に制止の声を叫びそうになる。漏れ出そうになる声を懸命に手で押さえつけて留めた。

 両手で押さえつけなければ扉の外まで聞こえるほどに喘ぎの声を上げてしまう。そんな恐怖感を夏目は感じて、そのために自らの秘所を守るために手を伸ばすことができなくなっていた。

 

 あの夏目が手も足も出せずに自らの腕の中で悶えている姿に、春虎は気をよくしたのか左手を上衣の中に潜り込ませ、手探りで胸部へと進めた。

 

「~~ッッ!!」

「小っさいけど、やっぱ夏目感度いいよな。ほら可愛い乳首苛めるたびに喘ぎ声が漏れそうだぞ」

「ッ!! ッ!!! ッッ!!!」

 

 共有する式神からではない、直に触れてくる春虎の手の与える刺激に、夏目は状況を把握することができなくなるほどに体をびくつかせた。

 耳を澄ませば扉の向こうにはもはや寮母はおらず、人がいないことがわかっただろうが、一度植え付けられた恐怖感が夏目の口元から手を離すという選択肢を忘れさせた。

 

 ただ声を漏らしてはいけないという強迫観念だけが残され、夏目は荒れ狂う快楽の渦に必死に抗っている。

 そんな可愛らしい姿に春虎はさらに指先を進めた。

 股に伸ばした手は下着の中に入り、左手は器用にジャージを脱がしていった。

 右手の指がくちゅりと秘所の中に侵入し、夏目の体が反り返る。

 

「はっ! はっ! ぁ!   !!!」

 

 侵入する指が1本から2本へと増え、くちゅくちゅと水音をたてながら暴れていく。左手は小ぶりな胸を包み込み、掌で揉みしだきながら人差し指で乳首を弾く。

 夏目の背が限界まで反り返り、顎が持ち上がる。

 元々感覚共有で散々に弄り続けられて昂ぶっていた体だ。加えて一度絶頂を迎えて過敏になっているところに無理に声を我慢していることで一層快楽が溜め込まれている。

 春虎の右手が中指だけを膣内に潜り込ませたまま人差し指と親指でぷっくりと膨れたクリトリスを抓んだことで一気に弾けた。

 

「ふ、ぅ~~~~~~!!!!」

「おー偉い偉い。ちゃんと声だけは漏らさなかったじゃないか」

「はぁはぁはぁ……」

 

 二度目の絶頂。

 口元に手を当てるために持ち上げていた腕が、上げ続けることができなくなって落ちる。ぐったりと体を弛緩させた夏目の様子に、春虎は一旦責め手を止めた。

 

 赤くなった顔、涎にまみれた口元、涙で潤んだ瞳。

 夏目のその姿に春虎は自然とその口元に吸い寄せられるように口を近づけた。

 

「ん……」

 

 唇が触れ、温かく、柔らかな感触。

 そして次いで入り込んでくるぬるりとした舌の感触。

 夏目は戸惑いつつも、春虎の舌を自らの舌で絡め取った。

 

 くちゅ、くちゅと、静かになった室内に水音だけが響く。

 

「こんな顔、扉の外じゃ見せられないよな、夏目」

「春、虎、くん……」

 

 唇が離れ、自分を見つめる春虎の顔が近くに見えた。 

 

「いいか? 夏目」

 

 意地悪く浮かんでいた笑みが、いつの間にか優しく自分を見つめていた。

 短く確認するような春虎の問いに、夏目はこくんと頷きを返した。

 

「…………はい」

 

 

 

 ☆☆☆

 

 

 

 

「まったく、気付かれなかったから良かったものの。富士野さんがホントに入ってきたらどうするつもりだったんですか春虎君」

 

 ことが終わり、倦怠感がひと段落した後、頭を覆っていた靄が晴れたのか、夏目はいつもの夏目に戻ったようでぷりぷりと怒っていた。

 危うく羞恥プレイをさせられそうになったことと、しきたりを破ることになるところだったのを怒っているのだろう。

 だが

 

「それなら大丈夫だって。ちゃんと鍵、閉めたし」

「え? だ、だって、閉めてないって!?」

 

 春虎の仕掛けた些細ないたずらに、まだ気づいていないようで夏目はガバッと振り返って問い詰めた。

 

「言ってねーよ。鍵かけたっけなーって聞いただけだぜ? あれれぇー。夏目さんは俺が入ってきたときにはもうそれどころじゃなかったのかなー?」

「ぅっ……で、でも、もし声が漏れたりしたら」

「そっちも大丈夫。ちゃんと防音しておいたって」

 

 再び例の意地悪なにんまりとした笑みを浮かべた春虎に、夏目は顔を赤くして反論し、返ってきた言葉に愕然として扉に振り向いた。

 

 たしかにそこには、しっかりとロックされた鍵と板に貼られた防音の符があった。

 唖然とする夏目の顔に、春虎はくっくっと笑いをかみ殺した。

 

「ぅぅ~~……ばかとら……」

 

 してやられたことに今更ながら気づいた夏目が涙目になって春虎を睨み付けた。

 

 鍵がかけられ、防音の処置も施されていた以上、夏目が感じていた強迫観念はありもしなかったことなのだ。

 だまし、だますのが陰陽師というものだけに、自らの式神にしてやられたことは、本家の主としては屈辱なのだろう。

 

 そんな姿も可愛らしい。

 春虎は愛おしそうに夏目を見て、ふと思い浮かんだことを口にした。

 

「でもさ。まさか夏目もこういうことできたんだな」

「こういうこと?」

 

 からかうような春虎の口調が本当に感心したようなものへと変わった。

 なにに感心しているのだろうと夏目が首を傾げると春虎は今はもう符に戻った猫の式神だったものを指さした。

 

「いやさ、北斗みたいに、感覚を式神に移すことだよ。それってすごく難しいことなんだろ? 流石夏目だよな」

「…………」

 

 ぴたりと、夏目の動きが止まった。

 

 思い出すのは春過ぎのころの出来事。

 あの時もそうだった。

 全部分かったと言いながら、結局何も分かっていなかったというオチ。

 

「この……」

「ん?」

 

 結局

 

「バカ虎!!!」

 

 バカ虎はやっぱりバカ虎だった。

 




活動報告でもう少しかかりそうみたいに書きましたが、思いのほか筆がのったので、一気に仕上げました。

いかがでしたでしょうか。
今回はいつもと違って陵辱ではない(?)展開となりました。
夏目さんが可愛くて可哀想で、バカ虎との仲を応援したくてしょうがない感じです。
特に原作は8~10巻で泣きまくったほど感動したものなので、いつもの陵辱展開にはできませんでした。
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