※この作品はR-18です。

散花凌乱   作:バルボロッサ

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今回は数年前に一世風靡した(と私は思っています)“灼眼のシャナ”からの出典です。
元ネタこそメジャーですが、今回の主役は覚えている方がどれだけいるのか、“破暁の先駆”ウートレンニャヤと“夕暮の後塵”ヴェルチェールニャヤのフレイムヘイズ“極光の射手”キアラ・トスカナたんです!!! ←長い!!!

キアラたんはサーレの嫁!!
キアラたんは見た目はともかく一応百歳越えだからロリじゃないもん!! 
でもサーレとは見た目で20歳近く、実年齢では数世紀の年の差があるからやっぱりサーレはロリコン!



キアラ・トスカナ(灼眼のシャナ)

 どうしてこんなところにいるのだろう…………

 

 

「—―ッ!! ふぅうっ!! —―ッ!!」

 

 一人の幼く見える(・・・)少女が、異形の怪物にその蕾のような肢体を弄ばれ、必死に声を殺そうとしていた。

 

「はははッ!! これが世に知られた“極光の射手”かぁ!? おら、歌が自慢なんだろ! 啼いてみろよ!」

「く、ぅッッアッ!!」

 

 右の手首には鎖でつくられたような腕輪がはめられており、少女の身にはただそれだけしか身に着けることを許されていなかった。

 身を隠す衣装は破り捨てられ、常ならば背中まで伸ばした髪を結んでいた鏃(・)型の神器は接収されている。

 殺そうとした声は、しかし与えられ続ける刺激に抗することができずに決壊するようにその口から漏れ出ていた。

 

 見た目通りの非力さしか発揮できない少女は、ただでさえ圧倒的な力の差のある異形の怪物3体を前に、抑えつけられ、成長することのない乳房を弄ばれ、うっすらと毛の生えた秘処を舐めしゃぶられている。

 

 

 

 この世界には、人ならぬ者たちが人知れず跋扈している。

 歩いて行けない隣、“紅世”から渡り来た異世界人たちだ。彼らは“存在の力”というそこに在るための根源的な力を喰らい、操ることで、“徒”たる自己をこの世界に現し、自在法なる超常の力をもってこの世界を彼らの愉悦とともに遊び歩いている。

 その行い —―わけても人の存在を喰らうということは、この世界の歪みを引き起こし、そしていずれは来る大災厄を招くと予想されていた。

 そのために、彼らの同胞たちは、跳梁跋扈する乱獲者たちを討ち滅ぼすために、彼らに復讐を誓った人間たちと契約を結び、その全存在を対価に異能の力を授けていた。

 それこそがフレイムヘイズ。

 同朋殺しの道具と揶揄される復讐鬼、あるいはこの世のバランスを守るために戦う異能者たちだ。

 

 彼ら、あるいは彼女らは、契約した“紅世の徒”、その中でも“王”と称される者と契約したことによって、この世における存在を捧げており、この世界における条理から外れた存在となっている。

 成長することのない不老の身体や見た目にそぐわぬ怪力。そして徒と同じく、存在の力を操る、自在法を行使する異能力。

 

 今、囚われの身となり、そして徒にその幼く見える体を弄ばれている少女 —―“破暁の先駆”ウートレンニャヤと“夕暮の後塵”ヴェチェールニャヤの二人一組の姉妹の “王”と契約するフレイムヘイズ、“極光の射手”キアラ・トスカナも見た目通りの年齢の非力な少女ではない……いや、なかった。

 

 1世紀以上を生き、そして戦い続けてきた強力なフレイムヘイズであり、その相方にして師匠(兼恋人)である“鬼巧の操り手”サーレ・ハビヒツブルグとともに隠れた世に知られた討ち手だ。

 

 本来であれば、今、彼女に群がっている程度の徒など、彼女の異能、“極光の射手”としての力をもってすれば、数秒あれば討滅することが可能だ。

 彼女の本領が、巨大化した鏃型の神器“ゾリャー”に乗っての高速空中戦闘だということを除いても、それでもこの程度の徒など、相手にもならない格の差が、本来であればあった。

 

「いやぁ!!!! やめッ!!! ひぃ、っ!!」

 

 だが、今、通常の大人くらいある体格の蛇のような顔の徒が、キアラの股座に潜り込み、三又の下で愛液で濡れる秘部を嘗め回すのに対して、少女は“王”ですらない有象無象の“徒”相手に、啼くことしかできなかった。

 

 通常、フレイムヘイズは人よりも鋭敏な感覚をもっており、人では拾うことのできない小さな音を聞き分け、遠くの物を見分けることができる。だが、戦闘を本分とする彼らは、その気になれば、痛みを無視し、負傷などの身体の異常を即座に癒すことができる。

 討つべき敵に、少女としての大切な場所を視姦され、嘗め回されたからと言って身体的な抵抗ができないなどということは本来であれば決してない。

 

「こうなっちゃ、“極光の射手”も形無し、ただの人と同じだな!」

「いやいや、こんな玩具もそうはねえだろ。なにせ名前と見た目ばかりはイイからなぁ!」

「あ? 俺としちゃ、あの“弔詞の詠み手”くらいの女の方が、弄りがいがあるってもんだがな!」

 

 徒たちがゲラゲラと笑い、語りながらも各々キアラを弄ぶ手は止まらない。

 

「くぅッ、アッ!! イッッ!! ああッ!!」

 

 未熟な果実を思わせる少女の胸はフレイムヘイズになったころより育つことはなく、永久に変わらぬ無垢さを思わせるそれは、徒たちの指が扱き、舐めしゃぶられ、赤く屹立している。

 

 神経を剥き出しにされているかのように刺激の走る体。

 キアラは望まない快楽を受けている悔しさと何もできない悔しさとが滲む瞳で、自らの異能を封じ込めている腕輪を見た。

 存在の力を抑え込まれたキアラは、見た目通りの少女としての力しか発揮できず、徒に対して行う抵抗など虫のあがくほどにも及ぶことがない。いや、それどころか徒が気まぐれにキアラの構成を弄れば、それだけで今のキアラの存在を消滅させてしまうことすらできるだろう。

 その力の差は、フレイムヘイズとしてのキアラの根底を揺るがし、感覚を狂わされた体にもたらされる徒たちの悪戯は、キアラの少女としての心を痛めつけていた。

 

 

 

 

 始まりのきっかけは、たしかいつもの他愛無い喧嘩からだった。

 

 師匠であり、恋人であるサーレと、彼の無精髭を剃る、剃らないで“また”言い合いになり、“例によって”彼が逃亡してしまったのだ。

 いつものことでもあり、キアラはいつものようにサーレを連れ戻しに彼を追っていた。

 

 だが、その途中であった。

 何者かの襲撃を受けた、と気づいたわけではない。

 ただ自覚した時には、キアラは前後不覚の状態に陥ってしまっており、ふらつく体で膝を地につけたときには、もはや上下の区別もつかないほどになってしまっていた。

 敵による何らかの自在法を受けた、と気づいた時にはもはやすべては手遅れだった。

 

 敵の攻撃を受けて前後不覚、戦闘不能に陥ったフレイムヘイズの末路など決まっている。

 討滅者である“フレイムヘイズ”と世界の異物である“紅世の徒”というのは根本的に相容れることがない。

 ゆえに、例えば捕虜の立場などというものには往々にしてなりえない。

 捕まったフレイムヘイズが救出されるという以外の方法で殺されないということは稀有な事例を除いて存在しないのだ。

 

 今回のキアラの立場は、その意味で極めて稀有な事例だろう。

 意識を失ったキアラが目覚めたとき、彼女はすでに異能の力を封じ込められた状態でいずことも知れぬ空間に閉じ込められており、彼女が意識を取り戻したと知るや、現れた3体の徒が、彼女へと群がり、彼女の衣服を破り捨て、それから数時間にわたって彼女を弄び続けているのだ。

 

「ッ!! は、っぁ!! あ、ああッ!! ッ、ッ、―――――!!!」

「へはははっ!! またイキやがった! ガキみたいな体のくせに、もうすっかりできあがっちまってやがるぜ!」

「ははは! まあピルソイン様の自在法、ダイモーンを受けちゃ、どんなフレイムヘイズでもまともじゃいられねえだろうよ!」

 

 この数時間 —―あくまでも契約した二人の王との交信すら遮断され、周囲の状況を知ることのできない、果て無く続く凌辱の中での感覚ではあるが―― 何度も迎えた状態、思考が白い閃光で埋め尽くされ、体の感覚が完全に制御から外れてしまう状態、絶頂をまた刻み付けられたキアラ。

 徒たちは、本来であれば圧倒的に格上であるはずのか弱い少女を嘲笑い、キアラは反抗することもできずに絶頂の余韻に息を乱していた。

 

 この状況でも、キアラが得た情報はいくつかある。もっとも知ったからといって、今のキアラがどうこうできるものではないのだが…………

 

 まず、彼女を襲撃した徒は目の前の3体だけではない、ということだ。

 キアラを凌辱しながら戯れに話していた会話によると、彼女の意識を奪ったのは、かの悪名高い自在法“ダイモーン”であるらしかった。

 “蠱溺の盃”ピルソインの自在法、特定対象物を毒する靄を撒き散らすというものだ。

 陵辱の始めから、彼女の身体の感覚が触覚に限って極めて鋭敏となり、もたらされる感覚が強烈なものとなっているのは、どうもその仕業らしい。

 だが、そのピルソインの姿、ぶかぶかローブに身を包んだやぶにらみの子供の姿はここにはない。

 

 そして徒たちにはなにかの思惑があるということ。

 先にも述べた通り、通常、徒がフレイムヘイズを無力化し、捕らえた場合、殺さず生かしておくという選択肢はまずない。

 紅世の徒は人間に似た精神構造を持ち、嗜好品を楽しみ、仲間や人間を愛するという行動をとるものではあるので、もしかすれば、今のようにキアラのような少女染みた体躯の人間を弄ぶことに愉悦を感じる徒もいるかもしれない。古くを省みれば、刃を交えている相手に愛を語らった徒もいた。

 だが、集団で一人の少女のようなフレイムヘイズを捕らえて無力化し、それを弄んで愉しむということを、彼ら程度の雑魚の徒がするとは考えづらい。

 まあ徒の思考は、それこそ人のそれが千差万別であるのと同様、多岐にわたるため、あくまでも考えづらい、ということではあるが、今は姿を見せないピルソインほどの“王”が、襲撃に加わっていたと思われるのだ。なんらかの企みの一環と見てしかるべきだろ。

 

「――ん、む!! んんっ!! っ、はっ!! いやっ!!」

「それじゃ全然防げてねーな! この自在法“ロリペット”は!!」

「フレイムヘイズとはいえ、徒に唇を奪われるのは嫌みてーだな!!」

 

 サル顔の徒がキアラの唇を無理やりに奪った。

 必死に抵抗するように細腕でそのサル顔を押しのけようとするも、その徒はそれすらも愉しみの内とでもいうかのように存分にキアラの口内を蹂躙し、さらには今また自在法をキアラの体に流し込んでいた。

 その力はすでに散々に受けている。その力の具体的効能は分からないが、ダイモーンによる感覚混乱が収まらず、むしろ恥部の疼きが燃えるようになってしまうことから碌でもないものだということくらいは察しが付く。

 

 サーレのための、誓いの唇が無情に奪われたことを悲しむ暇はない。

 それどころか、すでにそれは最早何度も何度も、入れ替わり立ち替わり続けられ、奪われてしまっていた。

 自在法の影響か、キアラは下腹部のキュンとした切なさが倍加し、内腿をすり合わせようとして、しかし別の徒によって開かされてしまう。

 

「げははは! なんだよ、自制心、ってもんがもうどっかに逝っちまったみてえだな! 愛液だらだらでよぉ! もう弄ってほしくてたまりません! ってか?」

「—―――ッッ!」

 

 びしょびしょに濡れぼそったキアラの蜜壺。

 徒の舐めた唾液だけでなく、キアラ自身の体から出されたそれは、まぎれもなく徒の言ったとおりであり、徒がはやし立てる声を上げてキアラの恥辱を誘う。

 いくつもの自在法を重ね掛けされ、発情し、淫に堕とされたキアラの体はもう、気の狂う寸前まで追い詰められており、耐えることができなくなっていた。

 

「それじゃあ、こっちはこの“淫溺の耽”の自在法の出番だよな」

 

 キアラの股を開かせていたピエロのような様相の徒が、“また”自在法をかけるために、指を突き立て、キアラの秘処に挿れた。

 

「いやっ! いやあぁぁぁああつ!!」

 

 ぬぷ、ぬぷと進み淹れられていく徒の細い指。

 それは体の小さなキアラに対しても決して太すぎない大きさだ

 だが、苛むのはそこに込められた自在法。

 キアラの膣中を無遠慮に探り当て、もっとも効果的な場所に火をつけたかのように感覚の激流を流し込んでくる。

 キアラの体が耐えきれない感覚の奔流に流され、跳ね上がる。必死に歯を食いしばるキアラだが、理性も精神ももはや散々に千切れている。

 

「おっと、気をつけねーと、狂っちまうぜ。まあ、この“廓の拿捕”の自在法にかかっちゃ狂うこともできねーだろーがな」

「~~~~ッッ、はぅっ!!! あっ!!! ああッッ!!!!」

 

 だが、千切れ、狂いそうになる感覚がむりやり“巡らされる”。

 繋ぎ止められるのではなく、頂点に達したまま、その状態がクルクルと廻るように持続する。

 

 キアラの絶頂の声が高く、高く、残る僅かな力すべてを吐き出させるかのように響き、秘処からは潮が吹きだすように溢れかえる。

 また一つ、キアラの絶頂の高みが引き上げられ、そこにあることを強いられた。

 

「ああッッ!!!! ああああッ!!!!!」

 

 これ以上は無理、という少女の懇願の思いとは裏腹に続けられる陵辱。

 その喉から奏でられるのはオーロラの歌ではなく、絶頂の喘ぎと叫び。

 延々と果てなく廻り、続いて行く快虐の宴だった。

 

 

 

 

 そして長い、長い絶頂からようやくおろされた時

 

「ぁ、ぁ………………」

 

 キアラの瞳にはもはや光はなく、なおも続く余韻に苛まれて時折ぴくぴくと体を震わせていた。

 

「へへへ。もう十分すぎるほどだろ」

「そうだな。あんまりやりすぎちまうと、挿れてからの反応までなくなっちまうからなぁ」

 

 力なく息をするキアラの前で、徒たちはその存在そのものの愉しみを会話にしていた。

 散々に玩び、弄りつくしたキアラの体。

 だがそれはまだ前戯にしか過ぎない。その先の欲望の放射こそが、彼らの愉しみなのだから。

 

 だが

 

「おい。でもそれは止められて」

「かまやしねえよ。あの変人のいうことなんざ、聞く価値も――――」

 

 その欲望を実現させよう。

 その矢先、サルの顔をした徒が、白みを帯びた緑色の炎に包まれて消えた。

 

 突然消滅した徒。

 その光景をキアラは淀んだ瞳で見つめた。

 

「なっ!! おい! この炎はっ、あのイカレやろ――――」

「ひっ!!」

 

 残された二体の徒は、その覚えのある炎の色にざわめき、今度はピエロのような徒がまた同じ色の炎によって討滅された。

 残された蛇の顔をもつ徒は、引き攣った声をあげ、

 

「や、約束が違うぞ! 探―――」

 

 抗議の声を上げようとして、同じ炎に焼かれて消えた。

 

 陵辱の匂いの残る空間に一人残されたキアラは虚ろな瞳であたりを探り、

 

「あ、あ…………」

 

 それを見つけて、顔を歪めた。

 

「遅くなってすまん。キアラ」

 

 スーツの上には襟を立てた見慣れたトレンチコート。目深にかぶったソフト帽から覗く顔の輪郭には、すでに遠い記憶のように感じられる無精髭が見えた。

 

「……さーれ、さん? ほん、もの……?」

「ああ、そうだ」

 

 キアラの師にして恋人、“鬼巧の操り手”サーレ・ハビヒツブルグの姿が、そこにはあった。

 呆然としたキアラの問いに、サーレはいつものように深みのある声で応え、頷いた。

 

 サーレは裸身を晒すキアラに歩み寄ろうとし、しかし、キアラの反応を見て足を止めた。

 キアラは、サーレから逃げるように、彼を恐れるように裸身を隠そうとして、両腕で抱きしめ、残る僅かな力を振り絞って距離をとろうともがいた。

 

「どうした、キアラ?」

「………………ごめ、ごめん、なさい。わたし…………汚されて……」

 

 見下ろしてくるサーレの顔は帽子に隠されてキアラからはうかがい知ることができない。

 ただ、淡々としたように問われた言葉に、キアラは沈黙し、嗚咽を漏らし、そして掠れる声で涙ぐみながら答えようとした。

 そしてその言葉が言い切られる前に、

 

「あっ……ッ!!」

 

 キアラの体は、生まれたままのその姿で、サーレに抱きしめられた。

 徒が消滅したことで自在法自体はもう消えているが、陵辱されたその体に残る自在法の影響までは消えておらず、発情し、鋭敏化させられた淫らな体が、恋人に抱きしめられたことで、ビクンと反応してしまった。

 

「いいんだ。キアラ」

「あっ。ッ、ぅ、ぁ…………」

 

 かけられる言葉、感じる温もり。

 キアラは意図せずして小さな絶頂の波に揺られながら、サーレから優しくかけられた言葉に飲み込まれそうになっていた。

 

「キアラ。俺の可愛いキアラ」

「………………」

 

 こんな時だからだろうか。

 ともにある“王”ならばともかく、彼本人からはかけられたことのないような甘い言葉が、キアラの耳元で囁かれた。

 

 

 —――― 分かっている――――

 

 

 抗うことなど、できるはずもない。

 

 ――――分かっているのだ…………――――

 

 キアラは、ゆっくりと、震えながら自らの恋人を抱きしめ返した。

 

 師匠であり、恋人であるサーレのことだから、ちゃんと分かってるのだ。

 だが、それでもキアラには、この優しい夢に、抗う力など、残されてはいなかった

 

 

 

 

 “鬼巧の操り手”の、彼の――――“本物の”サーレ・ハビヒツブルグの炎の色は、菫色なのだということは…………

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 馬鹿のように白けた緑色の紋章が煌煌と輝く一室。

 壁に掛けられたモニターには、抱きしめあう実験素体と実験器具が写っていた。

 

「んーふふ~。ドォーミノォ――!! 準備はいいですかぁ!!?」

「はいはーい。実験素体、“極光の射手”は、感度、発情値、想定通りの異常(・・)亢進値を示しており、準備万端整いましてございますです」

 

 だらんと長い白衣を着たひょろ長い男の問いに、ガスタンクのようなまん丸の物体が元気よく溌剌と答えた。

 その物体は、頭部のような球体の部分に大小の歯車を目のように張り付け、頭頂部にネジを突き出した顔モドキを乗っけた人形のようで、その手足もパイプやら歯車やらでいい加減にそれらしくつくられていた。

 一方の男の方は、不健康気味で顔には分厚い眼鏡。常に愉快気な笑みを振りまいている怪しげな人物だ。

 

「んぬっふっふー。そぉーれではこれより、実験をはじめますよドォーミノォ!!」

「はいはい。それではこれより、本実験の開始を行いますです、教授」

 

 モニターの向こうでは、裸身を晒す実験素体であるフレイムヘイズに、実験器具が優しい愛撫を開始しており、フレイムヘイズの少女は数値の示す通り、喘ぎ声を上げて快楽に飲み込まれている。

 

「こぉーの実験の要諦はちゃぁーんと分かっていますか、ドォーミノォー?」

「はー……あー、いい、えー……分かってるような、ええっと分かっていはははは!」

 

 教授と呼ばれた男、紅世に名高き変人の“深耽求究”ダンタリオンと、その“燐子”ドミノ。

 教授はにゅうっとマジックハンドを伸ばし、ドミノの頬に当たる部分を抓りあげた。

 

「ドォーミノォー!!! ぬぁーにをあぁーやふやなことを言ってるんです!?」

「だだだ、だって教授、知ってるって言っても、知らないって言っても抓るらららら!」

「なぁーまいきを言うんじゃあーりません!! そぉーんな口は、こぉーしてしまいますよ!」

「ふぁふぁふぁ! ふぁあ、ひりまへん!!」

 

 これでもかと抓りあげてから教授はようやくマジックハンドを放してドミノを解放した。

 

「そぉれでは、無ぅー知なおまえにぉ教えてあぁーげましょう!」

「はいはい、お願いしますです」

 

「つぅーじょう、我々“紅ぅー世の徒”はこの世界に顕在化するために、“存在の力”をひぃーつ要とする!! フゥーレイムヘイズとは、そぉーの存在の力を消耗することなく、“紅ぅー世の王”がこちら側に存在するための手段!! 器たる人間の、こぉーれまでの全てと、こぅぉーの世界でこれからあるはずだった可能性のすぅーべてを捧げることで、我々を狩るための力を手に入れる討滅の道具!! そぉーれはつまり、フレイムヘイズとなった人間は、以降の成長も、存在の分化である子を為すこともできなくなるということ!!!」

 

「はぁーい、その通りでございます。つまりこの実験の概要は、通常であれば生成することができない“子”という存在をフレイムヘイズがつくることができるかという、たたたたた!! ひはひひはひほんほひひはひ(いたいいたいほんとにいたい)!! ははひてほめんははい(じゃましてごめんなさい)!!!」

 

 途中で割り込んできた助手を容赦なく抓りあげて教授は自分が言うはずの部分を続けた。

 

「つぅーまり、今回の実験の要諦はフレイムヘイズが子をつくれるかということ!! その要となるのは存在を分化するために必要な変化の因子とぉ、分化を発生させる母体!! まぁーずは自在法によりフレイムヘイズ“極光の射手”の異能を封じ込め、そぉーの存在を人たるものにまで落とす!!」

「まぁ、“極光の射手”を拿捕したのはピルソイン様で、自在法も“仮装舞踏会(バル・マスケ)”からちょろまかしたものなんででででひはひひはひ!!」

 

「そぉーして次に重要なのは、変化因子の投与!!! いぃーかに人たるまで存在を抑えたとはいえ、フゥーレイムヘイズの身体にひーとの素因が抗することができないのは自ぃ明!!! そぉーのために、我ぁー学の結晶エクスペリメント13261―合体無敵超人-、サーレ・ハビヒツブルグのフレイムヘイズになる前の精子を投ぉー与!!」

「フレイムヘイズになってしまうと、通常なら人間だったときの痕跡は消えてしまうのですけれど、“鬼巧の操り手”は教授がフレイムヘイズにした失敗作ですからできたたたたたたた!!!!」

 

「失ぃー敗ではあーりますぅぇーん!! 過ぁー去の実験の結果から、あーらたになる実験を構築していくことこそ! 実験の肝要たることです!! つぅーまり、フレイムヘイズとなると本来消えてしまうはずの人間の分化提供因子を自在法により保存・強ぉー化!! それによりフレイムヘイズとなった人間の分化因子として存在することができたということなのでぇーす!!!」

「はいはいぱちぱちばちー」

 

 長ったらしい教授の説明を途中適度に腰を折りつつ、頬を捻られつつ、最後には適当に盛り上げた。

 

「あれ? でも教授。もし“極光の射手”が新たなフレイムヘイズを生み出してしまったら、また徒さまにぃいいひははは!」

「ドーミノ!! 過ぁー去のあれこれを振り返っていては、進歩という発展はあぁーりません! 分からないからこその実ぃー験です!!!」

 

 過去、強制契約実験なる実験により数多の“紅世の徒”や“王”を消滅させ、そして最終的に一つの強力な討ち手を作り上げてしまったという実績。

 それの成果こそが“鬼巧の操り手”サーレ・ハビヒツブルグであり、その強力なフレイムヘイズの誕生の原因となったダンタリオン教授は、ある方面の“徒”からは非常に恨まれていたりもする。

 ゆえに懸念を口にしたドミノだが、それはすぐさま頬を抓りあげられることで封殺された。

 

「でも人間だと分化した存在が体外に現れるまでおおよそ十か月もかかってしまいますよ、教授?」

「そぉーの間にさまざまな実験を行えるではありませんか!!! 母体のフレイムヘイズの改造! 新たに生まれる個体にとりつけるドォーリルの作成!! やぁーることはやぁーまほどあります!!」

 

 変人で知られる“深耽求究”ダンタリオン。彼の興味は猫の気紛れさよりも軽く移ろい、その結果生み出される災禍にはまるで頓着しない。

 教授の助手であるドミノからすれば、母体に精子が着床してからの十か月間など、その半分、いや三分の一も教授の興味を繋ぎ止めておくことはできはすまい。

 彼の言う、フレイムヘイズや新たな個体の変質も、おそら1,2か月もすればあらかた壊しつくして別のものへと興味が移るに違いない。

 

 とはいえ、今現在の教授の興味は、過去の実験の失敗作 ―サーレ・ハビヒツブルグ――の精子を搭載した仮の人形がキアラ・トスカナに膣内射精することにのみ向いている。

 

 教授が今回の実験のために得た最近の資料によると愛し合う者が、その愛を深めたときほど精子の着床率は高まり、母体が妊娠する可能性が高いということから、失敗作と、そういう関係にあるらしいフレイムヘイズを対象とし、わざわざ変化因子の投与装置を、あの失敗作の姿に似せ、しかも盛り上がるシチュエーションまで構築したのだ。

 

 モニターの向こうでは、果たして教授の思惑通りなのか、忌々しいサーレの形をした投与装置が、屹立した肉棒(教授曰く本人より1.5倍増)をキアラの小さな蜜壺へと突き刺し、何度も腰を打ち付けている。

 キアラは、愛しいサーレ(の形をした装置)に必死に応えようとしているのか、股を開き、脚でがっちりとサーレ(の形をした装置)をホールドしている。

 

「さぁーあ! それではいよいよ変化提供因子の投与!! いぃーざ逝け我ぁー学の結晶エクスペリメント69690721 ――散花の胎――!!!!」

「はーい、それでは投与しまーす、ぽちっとな」

 

 

 

 どことも知れぬ研究所でスイッチが押されたのと同時

 

 

「キアラ、膣内で射精すぞ!!」

「んあっ! ひゃ、ひゃい!! ひっ、来て、下さい!! サーレさん!!!」

 

 

 遠からず飽きられて、いずれ壊れることを宿命づけられた哀れな少女が自らの幻想へと逃げ、白濁としたそれを受け入れていた。

 

 

 

 

 

「変化因子の投与を確認。“散花の胎”の子宮内を充満して――――あ、いまとりついたのを確認しましたです、教授」

「よぉーろしい!! さぁーあ!! そぉーれでは、次の実験に移りますよドォーミノォ!!」

 

 

 

 

 ―――――――1か月後、教授の興味は、いかにドリルを改造して多機能・高性能化ができるかという方へと移っていた。

 

 そして我学の結晶エクスペリメント69690721 ――散花の胎――と名付けられた少女が、果たしてどうなったのかは、誰も知らない。当の教授ですら覚えていない。

 

 

 

 

 

 




バッドコースと見せてハッピーエンド! と見せてやっぱりバッドエンドでした。
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