※この作品はR-18です。

散花凌乱   作:バルボロッサ

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今回はいよいよアニメ最終回を迎えそうな“魔弾の王と戦姫”から
“凍漣の雪姫”リュドミラ=ルリエの登場です。

まな板だの貧相な胸だの、ぺったんこだのと言われているミラちゃんですが、全然そんなことないよ! ちゃんと胸あるよ! ツンデレ気味のミラちゃん可愛いよ!
と言いつつ実は自分の中ではサーシャ、オルガに次いでの3番手なのですが。

今回は原作4巻、アニメでは第10話のオルメア会戦からのifストーリーです。
原作では奇跡的なタイミングで、想定外の援軍が続々と駆け付けるという展開でしたが、今作ではオルメアに援軍が到着しなかった場合のストーリーです。
いつも通りエロ可哀想な展開です。ご注意ください。


ちなみに今回作者名とよく似た名前が異名として出てきてしまいますが偶然です。原作にでてくる人物です。
作者名をつけて、大分してからこの原作に出会ったのでまったくの偶然です。

バルボロッサは赤い髭ももってないし、日焼けてターバン巻いた軍人でもありません。




リュドミラ=ルリエ(魔弾の王と戦姫)

 ブリューヌ王国はいわゆる内乱の状態に陥っていた。

 王の姻戚であるテナルディエ公爵と同じくガヌロン公爵との王を蔑にした政争。

 そしてジスタートとの戦いにおける“悲劇”。王のたった一人の子であるレグナス王子の敗死から端を発した、ブリューヌ東部、アルサスを中心とした第3勢力の台頭だ。

 第3勢力とはテナルディエ、ガヌロンのブリューヌ二大貴族による横暴をよしとしない中小の貴族や領主たちにより巻き起こった勢力であり、その中心は辺境アルサスの伯爵でしかないディグルヴルムド=ヴォルンを中心とした(テナルディエや中央から見て反乱軍の)“銀の流星軍”だ。

 ヴォルン伯爵は当初、複雑な経緯によりブリューヌに敵国であるジスタートの勢力を引き込み、それをもってテナルディエ公爵の軍勢を退け、以降、アルサスや東部の平穏を維持するという目的で軍を拡大していた。

 きっかけがテナルディエによるアルサスへの一方的な蹂躙行為と、それに対する抵抗からだったとしても、王や宰相による統治が機能不全に陥っていた王都からは、ヴォルン伯爵の抵抗は大義なき謀反として片付けられてしまった。

 

 ムオジネルの侵攻はその隙をついたものであった。

 いかに内乱中とはいえ、東部に暮らす大部分の領主や民にとって、ムオジネルの侵攻は理不尽な侵略であり、当然ブリューヌ王国には彼らを守る義務があるはずだった。

 だが、テナルディエ軍は海路から迫る南部(大部分がテナルディエ公爵の領地)の防衛に専念し、北方を拠点としているガヌロン公爵は彼らの救援に駆けつける構えすら見せなかった。どころか、それを機に政敵であるテナルディエ公爵を牽制する構えすら見せた。

 

 本来、国土への侵略者に対しては騎士団と呼ばれる各地にある王の軍勢が防衛にかけつけるはずなのだが、王子の死と“諸事情”により王は命を出せる状況になく、また反乱軍の多い東部を積極的に助けることに対して抵抗があった。

 そのため奴隷の確保とブリューヌ南部の略奪を目的としたムオジネルの侵攻は、大きく二か所での戦に収着した。

 海から南部の港を攻めた船団とブリューヌ王国の公爵であるテナルディエ軍による戦。

 そしてムオジネルきっての戦上手と言われるクレイシュ=シャヒーン=バラミール。赤髭(バルバロス)の異名を持つムオジネル王弟によるアニエス侵攻軍との戦いだ。

 

 銀の流星軍はヴォルン伯爵 ――ブリューヌ北東部のアルサスの領主だ。ゆえにその勢力はムオジネル軍の侵攻からは遠い位置にあった。

 だが、中央が本格的に東部を見殺しにすれば、東部には虐殺と略奪の嵐が吹き荒れることが懸念される。ヴォルン伯爵とその軍勢 ――銀の流星軍はムオジネル迎撃のために南部へと移動し、防衛にあたったのだ。

 

 銀の流星軍はヴォルン伯爵が協力を依頼し、反乱初期から活躍するジスタートの軍、アルサスの自前の軍、その他彼に味方する軍を併せても、今回動員できる軍勢は2千足らずでしかなかった。

 

 ジスタート王国にはその建国伝説から由来した7人の戦姫と呼ばれる存在がいる。戦姫はそれぞれ公国を治める公主に任じられる。

 ヴォルン伯爵に味方したジスタートの公主はその内の一人、“銀閃の風姫”の異名を持つエレオノーラ=ヴィルターリア(エレン)であったのだが、彼女はこの侵略の直前、ジスタート国内で起こった異変により軍を離れることとなってしまった。

 戦姫はそれぞれ、竜具と呼ばれる特殊な武具に認められ、その力を操る。

 その力は、大気を薙ぎ払い、空を凍てつかせ、あるいは光を操るものであり、人を超える強大な生物の竜をすら屠る力を持つ。

 そしてその竜具をもつ戦姫自身も、その力抜きにしても統治者として優れ、武人として長け、将としての見ある者たちだ。

 そのエレンを今回欠いたことは、彼女が苦渋の選択ながら一部の兵を連れて戻らざるを得なかったことと同等以上に痛手だった。

 

 だがヴォルン伯爵はたった2千の兵力で、ムオジネルの先遣隊、2万を一度は撤退させることに成功した。

 彼の持つ類まれな弓の技量と戦術眼、地の利により敵の指揮官を討つことで自軍に10倍する敵を相手取ったのだ。

 だが、それはあくまでも先遣隊。

 本隊4万の軍勢を指揮するのがバルバロスことクレイシュ王弟だ。

 

 再度の侵攻により再び窮地に陥った銀の流星軍だが、その窮地に駆けつけた援軍があった。

 エレンと同じジスタート七戦姫の一人、操氷の槍“ラヴィアス”に選ばれし“凍漣の雪姫”リュドミラ=ルリエだ。

 青い髪と背程の長さの髪をショートのように纏める白いリボン、凍てつく空の青のような瞳をもつ、少女にして、ジスタート王国にあるオルミュッツ公国の公主だ。

 本来戦姫は、“特殊な事情”により血も身分も関係なく、文武に優れる女性から選ばれるのだが、リュドミラのルリエ家はその中でも代々“ラヴィアス”に選ばれる稀有な存在だ。

 その家柄から、傭兵出身のエレンとは会うたびに子供のような(しかし当人たちの戦力ゆえにただごとではない)喧嘩をする間柄だ。

 彼女はエレンを品がないと貶し、エレンは彼女を傲慢で胸も背丈も貧相な可哀想なやつとお互いにあげつらっている。

 そんなリュドミラはブリューヌ内乱において当初、諸事情によりエレンおよびヴォルン伯爵と敵対していたのだが、戦いを通じてヴォルン伯爵の誠実で実直な性格や卓越した弓の技量、暗殺者から守ってくれた恩義などから今回の彼の救援に駆けつけてくれたらしい。

 

 銀の流星軍2千に加えリュドミラ旗下の4千。

 増えたとはいえ4万のムオジネル軍を相手にするにはあまりにも少ない軍勢であった。

 先遣隊から得られた情報によりこちらの軍容は概ね知られ、初戦で利となった地の利ももはやアドバンテージとはなりえない。散々にしかけた奇襲のために向こうの警戒網は密になり、小細工にももはやかからない。

 

 だが、勝機はあった。

 オルメア平原。そこでならどうにかなる策がリュドミラにはあり、事実あと一歩の所でバルバロスの喉元へと刃が食い込むところまで銀の流星軍は奮闘したのだ。

 

 しかし、無慈悲な運命は略奪者に味方をした。

 いや、それは最初から無理なことだったのだろう。破綻は一見すると唐突に、しかし当然の帰結として訪れた。

 

 銀の流星軍の限界。

 もともと彼らは第三勢力として戦っていた。そこに加えてこの遠征。そして先遣隊との、10倍の敵との奇跡的な撃退戦。

 それらの事情により、当初からリュドミラは戦の限界をこの一戦だと見定めており、それにより決する算段だった。

 だがその日の朝から降り続いた雪の冷気、地に降り積もった雪にとられる足、それらがリュドミラたちの予想と期待を裏切って彼らのたいりょくを奪っていたのだ。

 

 結果、あと一歩のところで銀の流星軍は大軍に押し包まれ壊滅。

 一度は奪還した捕虜たちは再び囚われの身となり、兵たちは散り散りになった。

 リュドミラはそれでも戦姫としての矜持から孤軍奮戦していた。

 

 剣を振り上げ、槍をかまえて殺到してくるムオジネル兵を“ラヴィアス”を振るって打ち倒し続けた。

 ある者は首を刎ね、胸を衝き、周囲を雪と泥と血と敵兵の死体で埋め尽くさんとしていた。

 だがいかに一騎当千の戦姫とはいえ、所詮は人でしかない。

 弓をもって戦っていたヴォルン伯爵(リュドミラはティグルの愛称で呼ぶようになっていた)の弓矢はつき、そうでなくとも弓弦を引き続けた手は寒さと疲労と相俟って痺れて使い物にならなくなり、敵兵の波にさらわれた。

 

 

 ――「諸国に名高い戦姫を我が前に引きずりだしてくれよう。なに、国王に次ぐといわれる者だ、捕虜の辱めは与えぬ。賓客として手厚くもてなすとも。手厚く、な……」――

 

 

 大勢が決した趨勢に、ムオジネル軍指揮官のクレイシュはほくそ笑み、彼の意を組んでムオジネル兵は疲弊したリュドミラを捕縛した。

 

 オルメア会戦。そう呼ばれることになる4万対6千の戦いは、それ以上の救いの手を差し伸べられることなく当然の決着を見た。

 銀の流星軍壊滅。そしてジスタート七戦姫の一人“リュドミラ=ルリエ”は、ムオジネルの手に落ちた。

 

 

 

 

 一つの大きな戦が終わったムオジネル軍のとある賓客用の幕舎。

 リュドミラはそこで虜囚となっていた。

 青を基調とした彼女の戦時の装束は剥かれていた。

 エレンからは「貧相」だの「まな板」だのと言われるが、たしかな膨らみをもち、ティグルからは「たしかに大きくはないけど、綺麗な形で、色は……」と評されかけた胸は露わとなっており、雪のように白い肌はむき出しになっている。

 しかも彼女の愛槍である竜具“ラヴィアス”は取り上げられ、四肢は鉄鎖によって拘束されていた。

 両手は頭上でひとまとめに柱から吊るされて立ったままを強制され、両の足首にも鉄の環が嵌められそこから伸びる鎖の先には重い鉄球へと続いている。

 起伏に乏しいと評されていても、その裸体は劣情を誘うものがあり、まさに囚われの女騎士だった。

 これのどこが賓客扱いかというものではある。だがこれはムオジネル軍にとっては当然の処置であった。

 

 ムオジネルはジスタートとも国境を接している。

 周辺諸国の中では唯一奴隷制度を採用していることもあり、ジスタートはムオジネルとも国交を開いてはいる。例えば捕えた捕虜をムオジネルに奴隷として売りつけるというのも主要な取引の一つだ。

 オルミュッツ公国の公主のリュドミラもムオジネルとそのような取引をしたことはある。オルミュッツの領土を荒らした賊を捕えて処分したり、戦で捕らえ、捕虜交渉に決裂した者を売り払ったりだ。

 もっとも今、まさにリュドミラ自身がその対象になろうとしているのだが…………。

 取引を利用し、国交があるといってもジスタートやブリューヌにとってムオジネルは奴隷制度のある、略奪国家であり野蛮な者どもだ。

 戦をしたことも多々あり、オルミュッツはジスタートの領土の中でも南に位置しているため、ムオジネルと直接戦ったことも幾度もある。

 

 これまでムオジネルは、戦姫に対して暗殺者を差し向けたこともあるが、その悉くは返り討ちにあった。

 竜具を持っていない時に襲い掛かった暗殺者もいたが、いつのまにかその手元には竜具が現れ、暗殺者を打ち倒すのだ。

 ムオジネルにとって戦姫は厄介な敵だ。戦技無双、兵としても将としても卓越している。その力は竜具なしでも十分に強い。

 

 ゆえにどこに何を仕込んでいるかも分からない以上、女の貴人といえども、暗器の所持を警戒するのは当然の処置であり、どのようにして、どこから竜具が現れるか分からない以上、手足を拘束するのは必要な処置だ。

 意識がある限り身一つだけでも何をしでかすか分からない。

 だがここはジスタートとは敵対国であるブリューヌである。女が裸で逃亡するのは心理的にも多少は抑制効果があるだろう。

 できれば薬で眠らせるなどしたいところだが、行軍の問題もあるし、“愉しみ”も減ってしまう。

 ゆえに戦で疲弊しているリュドミラを立ったまま拘束することで休息を十分に与えないようにしているのだ。

 

 雪の降るような気温の季節ではあるが、リュドミラは操氷の槍の担い手だ。

 もともと薄い衣服でも問題はなかったのだから、裸でも寒さが堪えるということはない。だが体力の回復は確実に遅れる。

 

 

 ばさりと幕舎の入り口の幕が開き、裸体を晒すリュドミラのいる貴賓室へと男が入って来た。

 

「ほほぅ。先に挨拶に向かわせた使者から聞いてはいたが、評判通り、いや以上の美しさだな」

「……バルバロス」

 

 舐める様な視線と声にリュドミラは億劫そうに顔を見上げ、そこにいる男、クレイシュの異名を忌々しく口にした。

 

 中肉中背ながら引き締まった体躯。派手な色合いの絹服に身を包み、ムオジネル人によく見る頭部を包む絹布には虹色の巨大な羽が差さっている。

 顎には異名の由来となった赤髭が生え、リュドミラの美意識に喧嘩を売るためにそうしているかのように胸元まで伸びている。

 王弟、つまりは王族であるはずなのだが、その奇相からは王族よりも道化師を連想させた。

 

「強気な顔も嫌いではないが、まあ、まずは無礼をわびておこう。国王に次ぐ貴人に対する待遇ではないからな」

 

 にたにたと笑うように口角をあげるクレイシュ。その目は顔程には笑ってはいない。

 リュドミラは睨み付ける眼差しを一層凍てつかせた。

 

「だがまあ許せ。戦姫相手ではどんな油断も命取りになりかねんのでな。この待遇はいってみれば、それだけお主の評価が高いということだ、戦姫リュドミラ=ルリエ」

「略奪者風情が礼を心得ているとは初めから期待していないわ」

「くはは。なかなかどうして、戦の敗北程度ではその気位は折れぬか」

 

 リュドミラの蔑みの言葉と眼差しにクレイシュは声を上げて笑った。

 もっともその眼は油断なくリュドミラの裸体を見つめている。

 クレイシュの言葉に偽りはない。このような状態でも、戦姫に対する油断をもつことは愚かだと分かっていた。

 おそらくムオジネル軍の中でもっともこの虜囚の戦姫を警戒しているのがクレイシュだろう。

 

 今回の戦、銀の流星軍により先遣隊が敗走させられた時から、ひっかかるものはあった。

 ジスタート軍が4千もの兵を劣境地に送り込んできたというのも引っかかりの一つだ。

 他国の援軍、というのはクレイシュの常識にあてはめれば、あてになるものではない。

 友軍と言い張りながら、盗賊のごとくに略奪にいそしんで国内を荒してまわり、面倒な戦は極力回避し、懐を十分に温めてから礼を述べて帰る、そういうものだ。

 だがリュドミラのオルミュッツ軍はそうではなかった。

 厳しい軍規で略奪を禁じ、あえて劣勢の軍にかけつけ、勝ち目の薄い戦に兵を投入した。

 そこに幾分かの勝機を見出し、なんらかの利益があったのではあろうが、明らかに自分とは違う気高さを持っている証左だ。

 

「虜囚の辱めを与えるつもりはなかったが……ふむ。戦姫の気勢をそのままにしておくわけにはいかぬな」

 

 クレイシュは赤い顎鬚を撫でつけながらじっくりとリュドミラの肢体をねめつけた。

 

 リュドミラは目の前の敵将が、ただの色ボケした馬鹿とは違い油断なく目を光らせていることに舌を打ちそうになるのを堪えた。

 いざとなれば竜具を手元に呼び出して逃げ出すことはできなくはないと思っていた。

 鉄の拘束具といえども“ラヴィアス”を使えば容易に断ち切ることができるし、手元にはない竜具は、リュドミラの呼応により即座に手元に現れる。

 

 だが、疲弊した今の状況、そして一糸まとわぬ今の状態では、竜具一つで遠いジスタートまで逃走することは難しい。

 せめてバルバロスが多少なり油断しており、あるいは色香に惑う凡愚なら隙をつき、監視の目をかいくぐる目算もたったかもしれない。だがこの男の様子からするに軍営の監視は万全だろう。

 

 

 クレイシュはじっくりとリュドミラの反応を愉しむように近づき、リュドミラの雪のような肌に手を伸ばした。

 

「くっ! 触れるな!!」

「くくく。なるほどこれが国王に次ぐ貴人の肌か。多くの奴隷や娼婦の肌を知る俺から見ても、味わいがいを感じさせてくれるな」

 

 控えめな、それゆえにこそ張りのある乳房を手のひらで包み込み、しっとりと沈み込む弾力を確かめるように掌を動かした。

 

 かつて、エレンの策略により浴場で男――その時はまだ愛称で呼び合う仲ではなかったティグルヴルムド・ヴォルンに裸体を見られたことがあった。

 その時は犬や猫に肌を見られてもどうということはないと返したが、実際には羞恥と怒りでいっぱいだった。

 今まさに、それ以上の行為を味合わされているリュドミラは、必死にこの汚らしいバルバロス(赤髭)を家畜だと思い込もうとした。

 

「っ……、っ」

「声も漏らさない、か。だがどうやら戦姫様は戦ごとばかりでこちらの方にはあまり芸を磨いては来なかったようだな」

「っ!!」

 

 外気の冷たさに応えていたからか、クレイシュの掌の温もりが、感じたくはないのに、揉まれている胸に熱を感じさせる。 

 感触を愉しんでいたクレイシュは、わずかに芯を帯びた乳首をぎゅっと抓り、リュドミラは痛みに顔を顰めた。

 

「……下手くそね」

 

 リュドミラは侮蔑の視線とともに吐き捨てるように言った。

 虜囚に堕ちてなお気高くあろうとする戦姫の、そんな反応を愉しんでいるのかクレイシュは罵倒に対してにやりと嗤った。

 

「なに。気高き戦姫殿は生娘殿のようだからな。精々賓客として存分に愉しませてやろうという心遣いだ」

 

 クレイシュはぱちんと指を弾いた。リュドミラの監視かクレイシュの警護かは分からないが、幕舎の外に控えていたらしい兵士が合図を聞いて入ってきた。

 その目が裸体を晒すリュドミラに向き、劣情の色を帯びるがクレイシュが居るからかすぐにその色は消えて視線が逸れた。

 兵士は小さな小箱と薬瓶を手に持っており、黙然とそれをクレイシュに手渡した。

 

「くっく。どうやら戦姫殿の魅力は我がムオジネルの兵にも有効らしいな。いっそあやつらに股でも開いて活路を見出すか?」

 

 あえて下劣な言葉を口にして気位の高そうなリュドミラを煽っているのだろう。

 リュドミラはいちいち反応するのも面倒だとばかりにうんざりとした顔をした。

 

 どのような反応でもクレイシュにとっての予定に変わりはなかっただろう。

 クレイシュは口元には笑みを浮かべているが、その目はこの幕舎に入ってから、リュドミラの裸体を観察するときも、雪のような肌に手を伸ばした時も、柔らかな胸の弾力を感じたときも、乳首を抓られたリュドミラの痛みを堪える顔を見たときも、決して油断はしていない。

 おそらくリュドミラの心が折れ、気位を失っても、戦姫である限り警戒を解くことはないように思える。

 

 ただ当面の戦力を低下させる目的のために、クレイシュは小箱を開き、そこから針を取り出した。そして薬瓶の蓋を開いて、その中に針を入れ、取り出した。

 薬瓶の中には何かの液体で満たされているのか、取り出された針はねっとりと濡れており、糸をひいている。

 

「薬? 呆れたわね。下手くそな上にそんなものに頼るなんて」

「ふん。言っただろう。賓客として愉しませてやると。ムオジネルの王族に伝わる秘薬だ。効果は……まあ楽しみにしていろ」

「っっ!」

 

 クレイシュは左手でリュドミラの右胸を寄せ、右手に持った濡れた針を乳房に刺した。

 チクリ、とした痛みにリュドミラは顔を顰めた。

 もちろん剣で切りつけられた時ほどの痛みではない。今までには胸元に傷を負ったことだって当然ある。

 だが戦いの昂揚の中で負った戦傷と、恥辱の中で与えられる傷とはまるで違うものだ。

 針はそれほど長くはなく、クレイシュもそれほど深くは突き刺しはしなかった。

 だが、リュドミラの胸が針でつかれた痛みという熱を伝えるのを繰り返した。

 

「っ……っ! …………くっ!」

 

 クレイシュは乳房を変えて左にも同じように針を突き刺すのを繰り返した。

 何がしたいのか。

 次第に、痛みは熱に変わり、そしてドクンと血のめぐりが加速したように感じた。

 

「ほう。効いてきたようだな。随分と効きが早いな」

「くぅ……!」

 

 早くも薬の効果が効き始めたのを見たクレイシュは突き刺すのを止め、両手でリュドミラの乳房を揉み始めた。

 最初に痛みを与えてからは乳首には触れていない。だが小さな痛みを繰り返された胸は敏感になっており、触れられていない乳首は充血してピンと立っている。

 

「くぅ、ハッ、ぁっ!!」

 

 はじめは弾力を確かめる程度だった触り方は、いまではリュドミラの大きくはない胸の形を変えるほどに力がこめられている。

 しかし、今はもうリュドミラの胸は痛みではなく、脳をしびれさせるような感覚を伝えていた。

 反射的にだろう、リュドミラの頭上で組まれた腕がガチャガチャと鎖を鳴らし、抵抗しようとしていた。

 しかしいかに戦姫の力とはいえ、竜具も武器もなしに鉄の鎖は千切れない。

 柔らかく張りのある胸が形を変えさせられるたびに、鎖がガチャ、ガチャ、と音をたて、リュドミラの顔が恥辱に歪む。

 徐々に徐々に、わけのわからない感覚だった熱が、明確な指向性をもたせようとしていた。

 

「ッアッッ!!」

 

 指向性が形になる。その矢先、胸から再び痛みが走った。

 つい大きな声があがり、リュドミラは顔を赤くした。

 見ればクレイシュは再び針を手にもっており、先ほどの痛みはそれで刺すことを再開したのだろう。

 

「っぅ! くっ! これにっ! なんの意味が、あるのよ」

 

 意味の分からぬ繰り返し作業。いや、だいたいは分かる、分からせられてしまう。

 徐々に徐々に敏感になっていくことが分かる胸が教えていた。

 リュドミラは湧き上がってくる感覚の捌け口を逸らせるためにあえて怒りの口調でクレイシュに問いただした。

 

「自分の体の変化に興味がわいたか? いい傾向だぞ、“リュドミラ”」

「貴様ごときに、ィッッ!!!」

 

 呼び捨てにされたことで、カッとなったリュドミラが声をあげようとした瞬間、それまで触れていなかった乳首を再びギュっとつままれた。

 瞬間、前は痛みしか感じなかったそこは、痛痒な感覚を奔らせた。

 

「この薬は効きが早く効果も大きいのだが、肌には染み込みにくいのでな。こうして針で中に入れる必要があるのだよ」

 

 再び顔を赤くして睨みつけてきたリュドミラの屈辱的な表情を愉しんだクレイシュは先の質問の答えを告げた。

 

「それに小さな痛みを受ければ感覚は鋭くなり、幾度も小さな穴をあけることで薬の染み込みをよくする効果もある。有効性は……体が証明してくれておろう?」

「ッア!!」

 

 今度は強く、乳首を摘ままれた。

 流石に強い痛みが走るが、それだけではない。乳首が弄られ続け、リュドミラは止めようとしても声が止まらなかった。

 ギュ、ギュと弄られるたびに、リュドミラの喉が楽器のように音を鳴らす。

 

「だんだんと声が大きくなってきたな。戦姫殿は流石覚えがいい。もう胸で感じることを覚え始めたようだ。どれ、乳首にも同じことをしてやろう」

「!! やめなさい!!」

 

 クレイシュの言葉に、リュドミラははっとなって制止の声を上げた。

 乳房を触られるのと乳首を触られるのとでは伝わってくる感覚がまるで違った。 

 乳房でされていたことを、今度は乳首でされたらどうなってしまうのか。

 リュドミラの声にはわずかに恐怖が交じり始めていた。

 

「アッ!! ッ、アッ!! ヤッ!! ァッ!!」

 

 当然、リュドミラの制止で止まるものではなく、クレイシュは屹立している乳首を摘まみ、それだけでも跳ねそうになる体に追い打ちをかけるように針を乳首に突き刺した。  

 リュドミラは刺されるたび、乳首を摘まむ指が動くたびに、声を上げて背中を逸らせた。

 

 チクリ、チクリ、チクリ、チクリ

 まずは右の乳首に狙いを定めているのか何度も何度も繰り返し、執拗に乳首を針で突き刺した。

 早く、早く終わりなさい。

 そう願うリュドミラの思いを裏切るように執拗に行為は繰り返され、

 

「ッぁ! ふ、ああああっ! や、なにっ!!?」

 

 突然、針で突かれる感覚は別の物に代わった。

 鋭敏なものからざらついた気色の悪い感触。背を逸らし喉を鳴らしていたリュドミラは慌てて胸元を見ると、そこでは先ほどまで針を突き刺していた右胸に、クレイシュがむしゃぶりつくように口をつけていた。

 舐められたのだ、と気づく間に、乳首を舐られた。

 

「っ、ああッ!! なんで!? こんな、気持ちっ!! 悪いのに!!」

 

 固くなった乳首を舌で転がし、唇で啄まれ、口の中で転がされる。

 自分の胸に憎々しい敵将の男がむしゃぶりついている。

 嫌悪をもたらすはずの状況なのに、感じるのは明確に快楽と分かるものだった。

 

「気持ちよかろう? 痛みと口淫を繰り返すと快楽が増す。ひとつ勉強になったな、リュドミラ」

「はぁアッ! アアッ!!」

 

 舌が離れ、口が離れ、代わりに再び針の鋭い痛みがやってきた。

 痛いはずだ。だが、痛みではない。乳首はもはや痛いことが気持ちいいという錯覚を起こして、快楽を伝えてきている。

 

「やめてっ!! やめなさい!! ソレッ!! やめなさいッ!!! はァぁっ!!!!」

 

 チクリ、チクリ、チクリ、ゾワリ。

 リュドミラの要望通り、針で突かれることが中断されて、代わりに再び口淫の番になった。

 右の乳首だけではない。幾度繰り返されたのか、分からぬ間に左の乳首も弄ばれ始めていた。

 始めは右乳首の口淫の片手間に指で弄り、むしゃぶりつかれ、同じように針で突かれた。 

 左の乳首が十分に敏感になれば、再び右。再び左。

 針と口淫の波状はリュドミラに休息を与えることなく、続けられた。

 

 幾度、繰り返されたのだろう。

 

「—―――ッ!! —―――――ッ!! ハッ、アッ!!!」

 

 ガシャガシャと打ち鳴らしていた鎖を掴み、少しでも逃れるように力を込めていた。

 

「—―――――ッッぅ!! ふ、ぅ、ぁ」

 

 リュドミラがようやく息を整えることを許された時、リュドミラの白い肌は恥辱以外の理由で薄紅色になっており、火照りを示していた。

 息が乱れ、膝がガクガクと震える。 

 深く呼吸を繰り返すと、力が抜け、吊り上げられた腕の鎖に任せるままに脱力してしまった。

 

「立っているのもやっとという有様だな、リュドミラ。どれ、支えるのを手伝ってやろう」

 

 それは抵抗の好機ではあった。

 鉄球付きの枷がある以上、リュドミラは足を高く上げられない。腕が吊り上げられている以上、なんとか攻撃するためには蹴りしかないのだが、高く上げられない以上、クレイシュには届かない。

 だがクレイシュがわざわざリュドミラの足元へと近寄ってくれたのだ。

 

 しかし

 

「ッッ!!」

「ほう。こちらは弄っていなかったが、次はこちらをご所望かな?」

 

 蹴り上げようとした瞬間、支えるはずの軸足がガクリと膝折れし、あたかも支えると宣言したクレイシュの言葉に甘えるようにもたれかかってしまった。

 クレイシュは片脚だけを、鉄鎖が伸びる限り持ち上げて開き、その付け根で雫が光のをわざわざ教えた。

 

「いや!! そこはやめて!! 針はもうイヤぁっ!!!」

「ははは。まるで女子のような声ではないか、戦姫よ? 戦姫の矜持とやら、見せる絶好の機会だぞ?」

 

 胸と乳首だけで十分すぎるほどに、薬を注ぎ込まれ、体全体が敏感になっているのだ。

 リュドミラは恐怖に顔を歪めて叫ぶが、クレイシュは愉快そうに針を手に、リュドミラの秘所へと近づけた。

 

「—―ッ! ッぁ! っぅ!! っ! っ!」

 

 狙いは秘所の割れ目、その際で盛り上がる土手と乳首同様固くなっている陰核だ。

 

 

 

 

 

 秘所への責めが始まり、溢れかえる愛液が地面に水溜りとなったころ

 

「ふむ。戦姫殿も十分に学ばれたかな?」

「—――――ッ」

 

 ようやくクレイシュは責めの手を止めた。

 クレイシュの支えが外れた瞬間、リュドミラは完全に脱力した。ガクンと体が落ち、しかし床に崩れ落ちることは腕を拘束した鉄鎖が許さなかった。

 鉄環が食い込んで手首が痛み、自重で肩や腕がわずかに痛みを告げるが、膝に力が入らない。

 クレイシュはそれでも油断なく、リュドミラを観察し――くちゅりと割れ目に指を侵入させた。

 

「ァあああっッッ!!!」

 

 責めが始まってから初めての膣への攻撃。

 責めの中、リュドミラがそこを意識しなかったわけなんてことはない。

 陰唇がひくつき、その度に愛液を散らしていたのだ。何物の侵入も許したことのないそこが、ナニカを受け入れるためのものだということは、人に教えられることもなく本能が訴えていた。

 

 クレイシュは、愛液でぐっちょりとしたそこの感触を無遠慮に探り、リュドミラの反応を――与えられる快楽への抵抗力が削られているのを観察し、指を引き抜いた。

 

「はぁ、はぁ、はぁ…………」

「どうやら抵抗する力はあらかたなくなったようだな」

 

 指が引き抜かれ、ホッとした?

 いや、リュドミラは自分のソコがキュンと疼くのを確かに感じた。

 

 クレイシュは虜囚の戦姫の危険度が下がったことを確認したことで、一段階警戒を下げ、そして攻撃の段階を上げることを決めた。

 リュドミラの右足首に嵌められた鉄環を外した。

 だが左の足首はそのままであり、左の脚は鉄球に繋がれたまま。そして両腕の拘束もそのままだ。

 警戒を下げても、リュドミラの現状、戦う体力が残されていなくとも、バルバロスは決して致命的となる油断だけは許さない。

 

 戦姫を小娘と侮り、慢心に驕り、身を滅ぼした愚か者は枚挙に暇がない。

 バルバロスはどちらにもなるつもりはない。

 

「さて、戦姫。次の勉強の時間だ」

「—―、ッ、ァ。……!! ひっ!!」

 

 リュドミラは呆然自失としていた現状から、目の前に凶器を見せつけられて恐怖に目を見開かせた。

 それは肌を傷つけるものではない。

 骨を断つものではない。

 

 赤黒く、不気味なほどに血管が浮き出て脈動する肉の槍。

 リュドミラの膣を穿つための剛直とした武器(ペニス)だ。

 

 枷を一つ外したのはリスクとリターンのバランスを考えた結果だ。

 つまり挿入しやすくするため、股を開かせやすくするために片脚を高く持ち上げやすくするためだ。

 

「いやっ!! やめて! いやよ! いやっ!!!」

 

 リュドミラは必死に力を入れて逃れようとするが、力は全く入らず、片脚を持ち上げられた状態では逃れることもできない。

 

「さて、とっ!!」

「—―――――ッッッ!!!!」

 

 ズン、と、リュドミラの膣が穿たれた。

 リュドミラの息が詰まり、無意味に口が開閉する。

 音なき悲鳴が溢れるが、下腹部に満たされた異物感から声が出ない。

 激痛と、理解できない現状に真っ白になった一突き目。

 

 リュドミラがなんとか己の膣から凶器を引き抜こうと体を捩るが、その動きは遅々たるもので、わずかに腰が動くのみ。

 そして“王家に伝わる秘薬”とやらの効果を十分に発揮した膣内は、わずかに肉棒のカリが引っ掻くたびに、強烈な快楽をリュドミラの脳へと伝えていた。

 

「ぬ、抜きなさ、ヒッ!!!」

 

 わずかな抵抗。荒波のような快楽に逆らいながら、それでも徐々に徐々に出口へと近づいていた亀頭。

 しかし再び奥へと突き込まれてリュドミラは再び息を詰まらせた。

 今度は分かった。 

 思考を焼き、意識を真っ白に染めるものの正体。

 快楽だ。

 

「ほぉう。こちらは、教えられる前に分かっているとは、流石だ、な」

「—―――ッッッ!!!!」

 

 再び出口へ近づく亀頭。

 それはリュドミラが抵抗したからではない、クレイシュが引き抜くように腰を引いていたのだ。

 そして抜き去る前に、三度、奥へと突き込んだ。

 パンッッと、肉と肉がぶつかる音が響き、膣の中ではぐちゃりと愛液がかき乱されていた。

 

「一人では立てんほどに疲れ切っていても、締め付けてきおるわ。流石、戦姫殿は鍛えられているなぁ!!」

「—―――ッッ!!!」

「うねるように絡みつく襞といい、なかなかの名器だぞ、リュドミラよ!」

「ァ――――――ッッッ!!!」

 

 パンッ、パンッと繰り返されるたびにリュドミラの声なき絶叫が上がる。

 “こんなことのために鍛えていたわけではない。”とか、“これが賓客としての扱い? 野蛮人ね。”とか、“薬を使ってこの程度?”とか、いつもであればすらすらと出てくるはずのリュドミラの高慢な態度からくる皮肉は、もはやリュドミラの口の端に上る余裕もない。

 

「ふっ、ふっ、ふっ」

「ッッ!! ァッ!!! —―――ッッ!!!」

 

 秘薬の効果なのか、散々にほぐされ、イカされた後だからか、リュドミラの膣内は一突きごとに絶頂を許すほどに敏感になっていた。

 

「ふはは。これが、ジスタートの戦姫の矜持か? リュド、ミラよ!! たいしたものだ!!」

「ィ――――ッッ!!! ァ!!!!」

 

 ジスタート。戦姫。己の誇りを思い出させる言葉に一瞬リュドミラは己を取り戻し、喘ぎ声を抑え込もうとするも、止まらない挿注によって喘ぎの声も容赦なく口からこぼれた。

 

「たしか、戦姫は、出自も、身分も、無関係に、先代の戦姫が選ぶので、あったな!」

「ァッ! ァ!! ッ! ッぁ! ッ!! ッッッ!! —―――ッッ!!!」

 

 クレイシュが話す最中にも、ストロークは繰りかえされ、リュドミラはその度に体がバラバラに消し飛ぶような快楽と戦っていた。

 

「その中で、ただ一人、先代から引き継いだ者が、居るのであったな」

「—―ッッ!! —―ッッ!! —―――ッッ!!! !!!!!!!!」

 

 話の内容がリュドミラ自身に届いているのかは定かではない。

 だが、これは実はクレイシュにとって望外ではあったが、非常に大切なことなのだ。

 

「リュドミラ=ルリエ! お前のことだ!」

「ヒッ!!! ッッ!!!!」

 

 一般的に、というとおかしいが、戦姫は先代の戦姫が選ぶと言われている。

 そこに出自も身分も関係なく、戦姫がもつ特殊な感覚のみが後継者として優れた乙女を選び、竜具を継承すると言われている。

 そんな中で、唯一三代に渡って同じ竜具を継ぐルリエ家。

 それは非常に重要なことだ。

 

 激しく繰り返されていた肉を打つ音が不意に止まった。

 

「つまり――――お前を孕ませれば、次の戦姫は我が娘というわけだ」

「!!!!? それは、ッッッ!!!!」

 

 言葉の衝撃に、リュドミラが我に返り、声を上げようとした。

 だが、言葉を続け、抵抗する前に再び挿注が始まり、遮られた。

 

「案ずるな、娘が生まれるまで、何度も、何度も、繰り返そうではないか、リュドミラよ!」

「ヒィ! ぃ!! ぁ!! !!!! !!!!」

 

 竜具を持つ戦姫がジスタート王国のそれぞれの公国の主となり、その地位は国王に次、国王以外に傅くことはないと言われている。

 リュドミラが娘を孕めば、その者が次の戦姫となり、ジスタートの国内に強固な地位と領土を得る。

 戦をする必要もなく、厄介な戦姫と戦う必要もない、効率的で、効果の大きい方法だ。

 

 だがこれは、誤解、というよりも実際とは異なる真実があり、叶うことのない野望だ。

 だが、周囲にはそのように伝わっているし、もとより捕虜となった若い女騎士の行く末など当たり前すぎるものだ。

 

 戦姫は人が選ぶのではない。 

 戦姫は竜具が選ぶ。

 

 それは公にはされていない事実だ。

 竜具には意思がある。

 竜具は己が定めた使い手のもとに自然に現れ、使い手が病や怪我、あるいはなんらかの事情により相応しくないと判断した時にその元から姿を消し、再びふさわしい使い手のところで現れるということを繰り返すのだ。

 そのため、戦姫の治めるそれぞれの公国には、統治者である戦姫が不在でも統治が滞らないような仕組みが用意されている。

 だが、一般的には不可思議な力により戦姫が選ばれる、というのはあまり伝聞としてよいものではないため、先代の戦姫が次の担い手を選ぶということにされている。

 

 竜具が選ぶ基準はそれぞれの竜具ごとに異なっていて、実はよくわかっていない。

 世襲が一般化していないのはそのためだ。

 リュドミラの持つ“ラヴィアス”も同じだ。

 リュドミラのルリエ家が、彼女の祖母の代から世襲であるかのように竜具を継承できているのは、単に代々の継承者が文武に優れ、“ラヴィアス”が選ぶにふさわしい者になるように努めていたからに他ならない。

 

 ゆえにクレイシュの目論見は果たされることはないのだが、それでも強大な戦姫を堕とすことはムオジネル自体にとっては大きくメリットのあることだ。

 

「さあ、そろそろだ!!」

「ヒッぅィ! ィ! ァア!!」

「膣内射精(ダ)すぞ!!」

「ィアアアアアアアアッッ!!!!」

 

 リュドミラの絶叫。 

 果たされることない野望が、リュドミラの子宮へと滾るように注ぎ込まれた。

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 一体、今はどこで、あの戦からどれほどの時間がたったのだろう。

 

「アッ♡ ン♡ アッ♡」

 

 幾度か幕舎が移動した。

 賓客室はいつのまにか移動用のテントづくりではなく、しっかりとした建物へなっていた。

 移動の合間に繰り返される行為と開発に、いつしかリュドミラは心身ともに抵抗を諦め、荒れ狂う快楽を受け入れていた。

 何度も使われた秘薬の効果は絶大で、そして冷める前に次々と咲かされた。

 体は常に衣服がこすれるだけでイキそうになるほど敏感になり、心は発情しつづけたように快楽を求め続けるようになった。

 まともに頭が働くのは、散々に絶頂を強制され、気絶するように眠り、起きてから発情に襲われるまでの短い時間だけだ。

 戦姫としての誇りからか、未だに理性では脱出の機会は伺おうと、あるいは救出の望みは抱いていた。

 しかし発情に襲われてしまえば、そんな隙を探すどころではない。 

 いつからか、休息――精力盛んとはいえ中年のクレイシュのための休息の際にも、リュドミラは自らの秘所を、胸を、そして開発された肛穴すらも弄るようになっていた。

 

 そして

 

「アッ♡ イ、くっっ♡♡♡」

 

 誰もいない賓客室で、自慰にふけるリュドミラ。かつて誇り高い戦姫だった“凍漣の雪姫”は見る影もなかった。

 

 不意にその眼前に光が集った。

 光は徐々に強まり、一つの形を作った。

 

「……ラヴィ、アス?」

 

 絶頂に息を乱し、思考を乱されていても愛槍の姿を見間違えることはない。

 だが、意味が分からなかった。

 リュドミラは竜具を呼んでいない。

 特に必要とする脱出の機会でもない。

 

 なのになぜ竜具は勝手に現れた?

 それはまるで

 

「ぁ……ま、待って! ンっ!!!」

 

 気づいてしまった。

 恐るべき事態に。

 竜具が自分を見限ろうとしている、いや、見限ったのだ。

 リュドミラは懸命に“ラヴィアス”を止めようと心を向けるが、その手はもはや自分の意思からは切り離されたところで動いているかのように、膣内を、乳首を弄るのを止めない。

 ビクッビクッと“ラヴィアス”の前で絶頂する“凍漣の雪姫”。

 まるでそれが最後の評定だったかのように、“ラヴィアス”は再び光を纏い始めた。

 

 もはや遠い昔、初めて自分のもとに降り立ったときのように。

 そして今度は降り立つためではなく、飛び立つために。

 

「ンンッ!!! ま、待って♡ お願い♡ 待って、ラヴィアス!!」

 

 なんとか右手を胸から引き剥がし、“ラヴィアス”へと伸ばすも、左手は膣へと3本指を突き入れたままであり、立ち上がる前に絶頂の波を繰り返す。

 

 言葉だけの制止を一顧だにすることなく、操氷の槍“ラヴィアス”は飛び立った。

 

 

 

 ルリエ家最後の“凍漣の雪姫”。リュドミラ=ルリエ。

 彼女によって、バルバロスの野望、己が子種をジスタートの戦姫に仕立てる、という計画は潰えた。

 

 だが、戦姫でなくなった以上、彼女はもはや賓客でも、国王に次ぐ貴人でもなかった。

 彼女を犯す者が、王弟から、軍の将官、そして兵士になった。

 

 そしてそれからしばらくして、ジスタート王国で新たな“凍漣の雪姫”が公表された時、彼女は普通の捕虜として奴隷となり、そして………………

 

 

 

 

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