前回投稿からいつにもまして早く投稿できたのは、今回がネタ短編となっているためいつにもまして短いからです。
読了後、「何がしたいんだ! アンタはッ!!」と思っていただければ幸いです。その答えはあとがきにある。
――ずず、ずずずずず―――
室内に音が響く。
汗を滴らせながらも、口をすぼめて食らいつく音。
そんな音をたたせているのは、街中ですれ違えば振り返って目で追ってしまうほどの美少女だ。
ウェーブのかかった淡い金髪 ――鹹水のごとき薄い黄色の長髪。色素が薄いのか瞳の色は赤みがかっており、肌の色は日本人離れして白い。
そんな少女が頬を上気させ、汗を滴らせながらも一心不乱に汁の絡んだ“それ”を口に食んでいた。
細長く、けれども喉に心地よさをもたらす太さの“それ”は弾力があり、白濁とした汁を絡ませて少女の欲を刺激していた。
「ふ、ん……んく。ん――――」
周囲から向けられる視線など気にも留めず、“それ”に口をつける少女の瞳は、“それ”のもたらす芳醇な味わいによってまるで中毒にでもなっているかのように啜り続ける。
代わる代わる啜り続け、時に茂るような黒をも食んだ。
やや粘性のある白濁を含みふやけたそれは、先ほどまで食んでいた“もの”とはまた違う食感であり、彼女の舌にアクセントを与えた。
白濁の液をこくこくと喉に流し込む。
その可憐な唇が油分と白濁の汁によって艶めかしく光る中、少女は恍惚とした顔で口元に笑みを浮かべた。
少女の名は小泉。
身にまとうセーラーの学生服が示すとおりに学生、女子高生だ。
少女の周囲に腰掛け、少女と同じ行為に熱中している者たちは見る限りでは男たちばかりであり、年の頃が近い者はいない。
行為によって汗ばんだセーラー服は、薄っすらと透けて少女のブラを映しており、可憐な少女の外見や赤らみ恍惚とした顔と相俟って未成熟ながらも色気を感じさせた。
ごくんと、口に含んだ汁を楽しみ、飲み込んだ少女は、次なる獲物へと口をつけ、今度は軽く歯を立てた。
先ほどまで口腔を滑るように喉へと滑っていたのとは異なり、たしかな歯ごたえが返ってくる。
だが噛み千切る、というほどに力を加える必要はない。
汁が絡みつき、それまでとは異なる歯ごたえが少女を愉しませる。
また別の獲物に手を伸ばした。
肉欲の愉しみ。
まるで口内でほろほろとほどけるように、旨味が広がる。
また別の獲物に手を伸ばした。
ゼリーのような弾力はあっという間に口に馴染み、とろける。
汁を吸いこんで蠱惑の味わいとなったそれは、それ単体だけではなく、汁にも溶けて相乗的に味わいを増大させる。
味わいの饗宴。
この味を知ってしまっては、後戻りなどできようはずもない。
少女はすでに“それ”の、“それ”らが生み出す快楽の虜なのだ。
週に一度、日に一度、などという生易しい頻度ではない。
次から次へと。
“それ”のない日など、少女には耐えられない。
“それ”はすでに少女の血肉そのものとなるほどに、少女は“それ”に溺れている。
周囲の男たちよりもなお一層貪欲に、がっつくように手を、口を、舌を動かす少女。
学校での少女は、無口で無表情。
その見た目から、同学年、年ごろの男子たちの健全な視線を集めるだろうほどだが、周囲の人間に関心などないかのように壁を作っている。
だが今、“それ”を貪るようにしている少女の姿は、あるいは男子たちを失望させるかもしれない。
もっとも、今のその少女を目にした男たちは、少女と同じく自分も“それ”を味わいたいという思いを、少女の卑猥な、淫悦ともいっていいだろう姿から受けている。
事実、その部屋へと至る道には、大勢が列をなして待っていた。
「ふぅ、は、ぁ……」
先ほど口にした肉と汁とが蕩けるのと同様に、少女の本来は聡明なる思考も蕩けさせ、普段は感情などないかのように凍てついている彼女の顔を至福に染め上げ、蕩けさせる。
それは彼女のような可憐な少女がして気楽に見せていい顔ではないだろう。
だが、“それ”のもたらす欲に憑りつかれた彼女には、もはや抗うことなどできはしない。
毎日、毎度のごとくに“それ”を口にするなど、本来彼女のような年頃の子女が行っていい行為ではないだろう。
“それ”がもたらす悪徳を知っていながら、“それ”を女子が口にする。
それがもたらされることは、彼女と同じくらいの年頃ならば、いや、どれほどの年齢であろうとも女ならば忌避することだろう。
だがそんな有象無象の意見など、彼女には一体なんの関係があるというのだろう。
“それ”のもたらす至福の時間は、彼女の人生に彩を与える。
“それ”から抜け出すなんて、少女には人生を侮辱しているのにも等しい所業だ。
――ちゅる、ちゅるちゅる。ずず。ずずずず――――
音をたてて、残りが少なくなっている“それ”を啜る。
そして少女は、この饗宴に終幕を下すため、両手を伸ばし、手に持ったそれに口をつけ――――――
―――――ずずずずずずず。ぷ、はぁ――――――
「ふぅ……………ご馳走様でした」
“どんぶり”の中に残っていた汁を飲み干し、両手を合わせて馳走を締めた。
ガラリと、スライド式の店の扉が開き、人が出入りして、
「あれぇ? 小泉さんっ! 奇遇だね、小泉さん! 一緒の店に入るなんて、これはもう運命だよ! というわけで相席に座ってもいいかな!」
小泉さんとは対照的にショートカットな黒髪の少女で、小泉さんと同じセーラー服に身を包む、高校の同級生クラスメイト――――大澤 悠。
彼女は小泉さんの席に近づくと、アグレッシブにがつがつと、退く暇など与えるものかとばかりに同じ席につこうとした。
実際、高校での小泉さんは、自発的に他人と関わろうとしない―――ラーメン以外のことに関しては、ほとんど会話することもない。
だから小泉さんと仲良くなろうと思ったら、ラーメン屋でご一緒になり、かつガツガツといかなければならない、と悠が思うのも当然なのかもしれないが、
「どうぞご自由に。私はもう頂きましたので」
基本的に彼女はラーメンとは一人で楽しむものだと考えている。
それでなくともすでに彼女は食べ終えたのだ。
今から席につき、注文をし、配膳されてから食べるというクラスメイトをのんびりと待つ気はない。
「え? あれっ!? 小泉さん!?」
そして残念。
人が大好きな犬がご主人様にまとわりつくようにニコニコ顔で相席についたのに、友人(になりたい、あるいはなっていると思っている)の冷淡にも見える態度とそっけない行動によって、悠は置き去りにされた。
「小泉さ~ん!?」
「ちょっとお客さぁん。ご注文は?」
クラスメイトの悲痛な叫びと、お店の人の困惑しがちな接客態度を背に、小泉さんは淡々と勘定を済ませて店を出た。
小泉さんは今日もイク。
おいしいラーメン求めて、この後も…………
A.ラーメンが食べたいんです。
というわけで、どれほどの人が知っているのか、“ラーメン大好き小泉さん”から小泉さんの登場でした。